POSシステムを導入すると、店舗の販売情報をリアルタイムで把握し、売上向上やコスト削減につなげることが可能です。本記事では、POSシステムの基本的な仕組みや主な機能、導入費用の相場をわかりやすく解説します。店舗経営をさらに効率化したい方はぜひ参考にしてください。
目次
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国6000社以上からご提案
POSシステムの基本と仕組み
POSシステムを活用することで、店舗の販売・在庫・顧客情報を一元的に管理できるようになり、業務効率が大きく改善されます。まずはPOSシステムとはどのような仕組みなのか、POSレジとの違いも含めて説明します。
●POSシステムとは?
POSシステムは、「Point of Sales」の頭文字を取った言葉で、日本語では「販売時点情報管理システム」と呼ばれます。これは、商品が売れた瞬間に、商品名や金額などの売上データを自動的に記録・集計し、リアルタイムに把握できる仕組みを指します。従来は、一日が終わったあとで売上を手作業で集計していたケースが多かったのですが、POSシステムを使うと販売情報が即座にデータとして残るため、効率性と正確性の両面で大きなメリットを得られるのが特徴です。
さらに、バーコード読み取り機能を通じて価格を迅速に計上できる点も、POSシステムの大きな強みといえます。商品に付いているバーコードをスキャンするだけで、システムに登録された商品名や価格が正しく入力されるため、入力ミスのリスクが下がり、レジ会計のスピードを高められます。こうした機能を通じて蓄積された売上データは、どの商品がいつ、どのくらい売れたのかを多角的に分析する際の貴重な情報源となり、販売戦略や在庫管理など店舗経営のさまざまな意思決定をサポートしてくれるでしょう。
●POSレジとの違い
「POSシステム」と「POSレジ」は同じ意味合いで使われがちですが、実は指す範囲が異なります。POSシステムは、販売時点の情報を集め、在庫や顧客データなどを含めた幅広い店舗運営を管理する「仕組み全体」を指します。一方、POSレジは、そのPOSシステムが搭載されたレジ装置やレジ用ソフトウェアのことを意味します。つまり、POSシステムが包括的な概念であるのに対して、POSレジは実際に会計を担うハードウェアやソフトウェアの部分を示すイメージです。
近年は、据え置き型の専用レジ装置だけでなく、タブレット端末やスマートフォンにアプリを入れて利用できるモバイル型のPOSレジも増えています。そうしたモバイルPOSレジを使うことで、場所を選ばずに決済が行えるようになり、小規模店舗やイベント出店などでも柔軟に対応できるようになるケースが増えました。また、POSレジを通じて顧客管理や勤怠管理を行える機能を備えた製品もあるため、単なる会計装置に留まらない役割を果たしているのも特徴的です。
●POSシステムの仕組み
POSシステムは、バーコードをスキャンすることで商品名や価格を自動的に読み取り、その時点で売上や在庫数を素早く更新します。商品が売れた情報はクラウドサーバーや店舗内サーバーに送られ、安全に蓄積されるため、あとから過去の販売履歴を容易に確認できることもメリットの一つです。バーコードをスキャンすると同時に在庫数が減算される仕組みが連動しているため、常に最新の在庫状況を把握できます。これにより、在庫切れでお客様をがっかりさせたり、過剰在庫を抱えてしまったりするリスクを抑えられるようになります。
さらに、POSシステムを導入すると、売上や在庫管理が自動化されるだけでなく、担当者の手入力による会計ミスや在庫数のズレが大幅に減らせるという利点もあります。 リアルタイムで正確に数値が把握できれば、経営判断もスピーディーかつ適切に行いやすくなり、スタッフの作業負荷も軽くなります。こうしたデジタル管理の仕組みを取り入れることで、店舗運営の効率が格段に向上していくでしょう。
POSシステムの主な機能
POSシステムは単なるレジ機能だけでなく、売上データの分析から在庫把握、顧客との関係管理まで、店舗経営を幅広くサポートする機能を備えています。ここでは代表的な機能をいくつか紹介し、どのようなメリットがあるのかを解説します。
●売上管理
会計情報を登録すると、その日の売上金額だけでなく、販売個数や決済方法まで多面的なデータが自動的に記録されます。複数の店舗や端末がある場合でも、クラウド上で情報を集約することで本部側で一括管理が可能になります。これによって、どの店舗がどの時間帯に最も売上を伸ばしているかといった比較がしやすく、戦略的な販促活動を行う際に大いに役立ちます。
加えて、視覚的に売上推移を確認できるグラフ機能を備えたPOSシステムであれば、売上状況を一目で把握できます。売上日報や月報の作成もシステムが自動でまとめてくれるため、管理業務の手間を削減しつつ、意思決定のスピードアップを図れることが大きな魅力です。
●在庫管理
在庫管理機能もPOSシステムの重要な機能の一つです。レジで商品が販売されるたびに在庫数が自動更新されるため、面倒な手作業が少なくなり、人的ミスによる在庫数のズレを減らせます。売上実績と連動して売れ筋や不良在庫を把握することで、商品の品切れや在庫の過剰を防ぎながら、店舗間での在庫移動もスピーディーに行えるようになります。
特に複数店舗を運営している場合、どこかの店舗で在庫切れが起きたとしても、別の店舗に同じ商品が多く残っているような状況をデータ上ですぐに確認できます。そのうえで、在庫を移動したり、急ぎで発注したりといったフレキシブルな対応がしやすくなるのがPOSシステムによる在庫管理の強みです。
●顧客管理
POSシステムには、会計時に顧客の購入データを保存できる仕組みがあります。お客様の情報を登録し、過去の購買履歴を蓄積していくことで、どのような商品を好んでいるかが細かく分かるようになります。このデータを活用すると、リピーター獲得のためのクーポン配布や、購買頻度の高いお客様への特別な特典設定などを行いやすくなり、結果的に顧客満足度を高める施策につなげられるでしょう。
また、店頭で発行する会員カードとPOSシステムを連動させる事例も増えており、これによって来店履歴を正確に記録したり、ポイントプログラムを運用したりと、多彩な顧客管理が可能になります。顧客との関係性を深めるうえで、POSシステムは欠かせない存在になってきています。
●決済管理
現金だけでなく、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、多様な支払い方法に対応できるのも、POSシステムの大きな利点です。お釣りの計算を自動化し、誤差を減らせるだけでなく、お客様のニーズに合わせてキャッシュレス決済を導入することにより、会計スピードを一段と向上させることができます。レジ周りでの混雑が緩和されれば、店舗の印象やサービス品質も高まりやすくなるでしょう。
加えて、決済別の売上データが一括管理できるため、クレジットカード会社とのやり取りや入金確認もスムーズに行えます。どの決済方法がどれくらい利用されているかを分析することができるため、今後の店舗経営で取り入れるべき支払い手段を検討する際の指針としても役立ちます。
●スタッフ管理
スタッフの勤怠状況や売上実績を管理する機能が搭載されているPOSシステムもあります。例えば、従業員が出勤や退勤の打刻をPOSレジで行う仕組みを備えていれば、タイムカードの集計が自動化されて管理担当者の負担を軽減できます。売上についてもスタッフごとの販売実績を振り返ることで、適切な評価や効率的なシフト組みに生かせるでしょう。
こうした勤怠管理やシフト作成機能が整備されると、人的ミスが起きやすい作業を大幅に減らすことができ、人件費管理の正確性も高まります。店舗オペレーション全体の透明性と生産性の向上が期待できるため、多くの飲食店や小売店などで注目されています。
POSシステムを導入するメリット
POSシステムは販売業務の効率化だけではなく、データを駆使した経営戦略や顧客サービスの向上まで多彩なメリットをもたらします。ここでは代表的な利点をいくつかピックアップして解説します。
●レジ業務のスピードアップ
商品をバーコードリーダーでスキャンするだけで金額を正確に読み取れるため、手打ちによる入力ミスが減り、会計が大幅に効率化されます。さらにお釣りの計算もシステムが自動で行うため、スタッフの負担も軽くなり、お客様を待たせる時間を短縮できます。会計がスムーズになれば、利用しやすい雰囲気を作りやすく、顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。
●売上データの可視化
POSシステムを導入すると、リアルタイムで売上データを確認できるだけでなく、いつ・どの商品がよく売れたのかを簡単に分析できます。これにより、特定の商品の売れ行きや、曜日や時間帯ごとの売上推移を把握しやすくなります。どのタイミングでキャンペーンを打ち出せば効果的かといった戦略を立てるのにも役立ち、迅速かつ的確な売上対策を行いやすくなるでしょう。
●在庫管理の最適化
会計時の販売情報と連動して在庫数が更新されるため、人気商品が売り切れる前に発注をかけることが容易になります。タイミングを逃さず仕入れができれば、機会損失を防げますし、逆に売れ残ってしまう商品を割引販売に回すなどの在庫調整もしやすくなるため、仕入れコストを合理的に管理できるようになるでしょう。
●コスト削減
POSシステムを導入して販売データを細かく把握するようになると、仕入れや人員配置に関する無駄が見えやすくなります。必要な人手を必要な時間帯にだけ確保できれば、人件費を抑えられますし、余分な在庫の発生を防ぐことで廃棄コストも削減しやすくなります。さらに、手入力や書類作業を減らすことで、ミスの訂正ややり直しを最小限に抑えることができ、結果的に多方面での経費が下がりやすくなる点も魅力的です。
●複数店舗の一元管理ができる
チェーン店や複数の拠点を展開している事業者にとっては、POSシステムを使った集中管理がとても有用です。売上や在庫情報が一箇所に集約されるため、異なる店舗でもタイムリーにデータを見比べられます。離れた場所にいても、各店舗の売上を確認したり、在庫を再配分したりといった的確な指示が出しやすくなるため、多店舗経営の効率化に大きく貢献するでしょう。セールやキャンペーン情報を全店舗に一括配信する仕組みも用意されていることが多く、スピーディーな店舗運営を実現できます。
物流向けERPの選定ポイント
POSシステムが主に店舗の販売やレジまわりの機能をカバーしているのに対し、物流業務を含む広範な領域を管理するためには、ERP(Enterprise Resource Planning)と呼ばれるシステムの検討が必要になるケースがあります。特に物流向けのERPを選定するときは、以下の観点を重視すると良いでしょう。
●自社業務への適合性
まずは、物流のどの部分に課題があるのかを明確にし、それを解決できる機能がERPに備わっているかをチェックします。倉庫内の在庫管理や配送ルート計画など、自社の運用に直結する要件を網羅しているか、現状のシステムとの連携が可能か、といった点を優先的に確認しましょう。さらに、今後の業務拡大を見据えて、追加機能やカスタマイズへの柔軟性がどの程度あるかも見逃せません。業種特有の規制や顧客対応に対応できるかどうかも重要な選定基準になるでしょう。
●サポート体制
ERPは導入後の運用が長期にわたるため、サポートが充実しているかどうかは選定時の大きなポイントです。導入時におけるトレーニングやシステム設定の支援はもちろんのこと、運用中に何かトラブルが生じた際、迅速かつ的確なサポートを受けられる窓口があるかを確認することが大切です。システムのアップデート情報や改良案を定期的に提供してもらえるか、万が一の障害時に現場がどの程度まで対応を求められるか、といった点を事前に確認すれば、安心して運用を続けることができるでしょう。また、日本語での問い合わせ対応があるかどうかや、担当者がシステムに慣れていない場合にも丁寧に説明してくれるかは、導入後の運用をスムーズに進めるうえで欠かせません。
●費用対効果の検討
ERPの導入には、初期費用や月額利用料、メンテナンス費用など多面的なコストが発生します。クラウド型なのかオンプレミス型なのかによっても料金体系が異なるため、総合的に比較検討する必要があります。導入によって得られる効率化やコスト削減が、投資に見合ったリターンを生むかどうかも要検討です。また、費用に含まれるサービス内容やサポート範囲はベンダーによって異なるため、カスタマイズやトレーニングといった要素を具体的に確認したうえで判断するのが賢明です。
POSシステムの導入費用はどれくらい?
POSシステムの導入には、ハードウェアやソフトウェアの導入費だけでなく、月々の利用料やオプション費用など、さまざまなコストが発生します。以下では、代表的な費用の種類と相場感を解説します。
●初期費用
まず最初に必要になるのが、レジ本体や周辺機器の購入費です。据え置き型のPOSレジは多機能な専用端末ということもあり、20万円から50万円程度と比較的高額な傾向があります。高機能モデルだと100万円を超えるケースも珍しくありません。一方で、タブレット型やモバイル端末を利用するPOSシステムならば、初期投資を抑えやすく、機器代が0円から20万円前後で済むこともあります。
周辺機器としては、バーコードリーダーやレシートプリンター、キャッシュドロアなどが挙げられます。これらのアイテムをすべてそろえるとなると、規模によっては費用がかさむ場合もあります。ただし、必要な機能とオプションをうまく取捨選択すれば、コストパフォーマンスの高い導入が可能になるでしょう。
POSレジの種類 | 初期費用相場 |
---|---|
タブレット型POS | 0円〜20万円 |
据え置き型POS | 20万円〜50万円 |
モバイルPOS | 5万円〜15万円 |
パソコン型POS | 数万円〜50万円 |
自動釣銭機付きPOSレジ | 100万円〜150万円 |
●月額費用
POSシステムのソフトウェアをクラウド型で提供している場合には、月額利用料が発生します。クラウドサービスの相場としては、3,000円から15,000円程度と幅がありますが、機能やプランによって金額は上下します。据え置き型のレジ装置でも、リース契約や保守サービスをつける場合には、月額5,000円から数万円ほどかかることがあります。
無料プランを導入できるPOSシステムも存在しますが、その場合は利用できる機能が限られたり、サポートが最小限に留まったりする場合が多いです。本格的に売上管理や在庫管理などを活用するのであれば、ある程度の月額費用を見込んで選ぶ必要があるでしょう。
POSレジの種類 | 月額費用相場 |
---|---|
クラウド型 | 3,000円〜15,000円 |
据え置き型 | 5,000円〜30,000円 |
モバイルPOS | 1,000円〜10,000円 |
パソコン型 | 5,000円〜30,000円 |
●追加費用
初期費用と月額費用に加えて、想定しておきたいのが周辺機器の追加や決済手数料、保守・サポート費用などです。クレジットカードや電子マネー、QRコード決済端末を導入する場合、端末の購入や決済手数料が加算されることがあります。売上に応じた料率で手数料が発生するため、キャッシュレス決済の導入比率が高いほどランニングコストは上がります。
また、POSシステムの不具合が発生したときに出張サポートを依頼すると、別途費用がかかる場合もあります。保守プランに加入していれば、修理対応や機器交換を迅速に受けられるケースが多いため、トラブル時のリスクに備えて検討しておくと安心です。
POSシステムを活用して店舗経営を効率化
POSシステムを導入することで、レジ機能の大幅な効率化だけでなく、売上や在庫データを活用した精度の高い経営判断が可能になります。いつ、どのような商品が売れているかをリアルタイムで把握できるため、無駄な在庫を抱えずに適切なタイミングで発注をかけることができますし、人気商品の欠品を防ぐことで機会損失を抑えられます。顧客情報の蓄積も大きな強みで、常連客への特典やリピーター対策などの販促施策も打ちやすくなるでしょう。さらに、スタッフ管理の機能を使いこなせば、勤怠管理やシフト調整にかける時間を大幅に削減することも期待できます。
発注ナビでは、企業のニーズに合わせた工数管理ツールを開発できるベンダーやメーカーを数多くご紹介しています。「自社に合った開発会社がわからない」「選定にできるだけ時間をかけずにスムーズに導入したい」とお考えのご担当者様は、ぜひ一度発注ナビの利用をご検討してみてはいかがでしょうか。
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国6000社以上からご提案