
サービスの品質向上や業務効率化などを図るために、AIの導入を検討している企業が増えています。一方で、自社に合ったAIを開発するには専門知識や開発経験が必要です。専門知識や開発経験の少ない企業でもAI開発を進められるサービスとして、AIプラットフォームが注目されています。AIプラットフォームについて詳しく知りたいとお考えのご担当者様に向けて、AIプラットフォームの基本情報や主な機能、AIプラットフォームの選び方などについて解説します。
目次
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AIプラットフォームとは

AIプラットフォームとはどういったものなのか、定義と基本概念、種類ごとの違いについて解説します。
●定義と基本概念
AIプラットフォームとは、AI開発に必要な機能やデータなどを備えたシステムのことです。学習データに関連する機能や膨大なデータ処理のための環境などが事前に用意されているため、AIプラットフォームを用いればAIをゼロから構築する必要がなくなります。例えば、製造現場で不良品の自動検出を行うAIを導入する際、AIプラットフォームを利用すれば、不良品データを準備するだけで効率的にAI技術を取り入れることができます。AIプラットフォームによってはサンプルデータが用意されているものもあるため、データの少ない企業でもスムーズにAI開発を進められます。
●AIプラットフォームの種類
AIプラットフォームの提供形態は、主に「クラウド型AIプラットフォーム」と「オンプレミス型AIプラットフォーム」の2つです。それぞれの提供形態の特徴を解説します。
クラウド型AIプラットフォーム
AIプラットフォームの主流となっている提供形態で、インターネット上で開発を行えるのが特徴です。インターネット環境があればどこからでもアクセスできるほか、大容量のクラウドサーバ内でデータの蓄積や処理を行えるので、大量のデータ処理に必要なスペックを持つサーバや端末を自社で用意する必要はありません。少ない初期投資で大規模で複雑な処理を行えるAIの開発環境を確保できるのが、クラウド型AIプラットフォームのメリットです。
オンプレミス型AIプラットフォーム
オンプレミス型は、自社でサーバやソフトウェアなどを調達し、社内のネットワーク環境でAIの開発を行うプラットフォームです。クラウド型とは違って外部に情報を移動・保存しないので情報漏洩のリスクが低く、独自のセキュリティ対策を施すことで機密情報を安心して取り扱えるメリットがあります。また、カスタマイズ性が高いのもオンプレミス型の魅力です。ただし、クラウド型に比べて初期投資の費用が高額になるほか、サーバを設置する場所の確保も必要になります。
●総合型と特化型AIプラットフォーム
AIプラットフォームは、そのほかにも「総合型AIプラットフォーム」と「特化型AIプラットフォーム」に分けられます。総合型と特化型それぞれの特徴について解説します。
PaaS系の総合型AIプラットフォーム
総合型AIプラットフォームとは、AI開発に必要なツールやサービスが一元化され、データの収集・前処理、モデルの構築・トレーニング、デプロイメントまでを包括的にサポートするプラットフォームです。これにより、AI開発経験が少ない企業でも、容易にAIモデルの構築と運用が可能になります。代表的な例として、IBM Watson、Amazon Web Services(AWS)のSageMaker、Google Cloud AI、Microsoft Azure AIなどが挙げられます。
特化型AIプラットフォーム
特化型AIプラットフォームは、特定の業界や機能に特化したプラットフォームのことです。医療分野における画像診断をはじめ、小売・物流の在庫仕分けや金融・保険の自動与信審査などが該当します。総合型に比べてプラットフォームの汎用性は低いですが、高度な専門性や正確性などが求められる場面で効果を発揮するのが特徴。分野に特化したAIプラットフォームには、観光業の顧客管理に特化したtalkappiや映像解析に強いSCORER、製造業向けのMANUFACIAなどがあります。
AIプラットフォームの主な機能

AIプラットフォームで提供される機能には、主にどのようなものがあるのかについて紹介します。
●データ収集と前処理
AIモデルの精度は学習データの内容や量に左右されるため、AI開発において学習データの収集は重要な工程です。必要な学習データの量は分野によって異なりますが、単純な画像分類の場合は、それぞれのクラス(分類対象のカテゴリ)に1,000~10,000枚もの画像が必要になります。AIプラットフォームのデータ収集機能を活用すれば、外部ツールとの連携やデータ抽出などによって学習データを効率よく集めることが可能です。ただ、大量のデータを収集するだけではAIに学習させることができません。
収集したデータをAIに学習させるには、データを適切な形式に加工する前処理が必要です。データ処理が適切に行われないとAIモデルの精度が低くなったり、誤ったAIモデルが構築されてしまったりする可能性があります。AIプラットフォームのデータ処理機能を活用して、事前に入力ミスや欠損のあるデータの正規化といった前処理を行うことが大切です。
●モデル構築とトレーニング
学習したデータからAIモデルを構築する機能です。試作モデルを作成し、現実のデータを使って、予測した結果が作成されるかどうかを確認します。AIプラットフォームでは解決したい課題に応じて適切なモデルが構築可能。画像認識や音声認識、売上予測、採用マッチングなど様々なAIモデルを作成できます。
トレーニングでは、機械学習のアルゴリズムを使ってネットワークの重み付けを変えます。トレーニング後は新しいテストデータでパフォーマンス評価を行い、高精度の結果が出ない場合はアルゴリズムの選択に戻って手法を再度選択。データが適切でなかった時は、別のデータを用意し直すこともあります。このように、自社に適したAIのモデルをトレーニングしながら構築します。
●再学習とアップデート(MLOps)
再学習とは、新しいデータを使って既存のモデルを改善する機能です。既存のモデルに最新の学習データを入力してモデルのパラメータを更新することにより、モデルの性能が改善され、新しいデータに対してより精度の高い予測を行えるようになります。このように、効果的なモデルを活用し続けるには、モデル構築が終了してからも再学習による継続的なアップデートが必要です。
こういった考え方をMLOps(エムエルオプス)といいます。再学習は自然言語処理や画像認識など、時間の経過によって変化するタスクに対して特に有効です。
AIプラットフォームの選び方

自社に合ったAIプラットフォームを選択するには、次の3つのポイントを押さえておくことが大切です。それぞれのポイントについて解説します。
●目的と用途に合った選択
最適なAIプラットフォームを選択するにあたり、まずは導入の目的や解決したい課題を明確にしましょう。AIが活用できる分野は音声認識や画像認識、自然言語処理、異常検知、未来予測など多岐に渡りますが、分野によって必要な機能が大きく異なります。
また、AIプラットフォームの製品によって得意分野も様々です。例えば音声認識と未来予測では求められる技術が大きく異なり、音声認識にどれだけ優れているAIだとしても未来予測の分野では活用できません。そのため、AIプラットフォームを選択する時は、自社の導入目的や課題に合った機能を備えているかを確認しましょう。
AIプラットフォームの中でも、Amazonが運営するAWS(アマゾン ウェブ サービス)はITインフラに必要な機能を豊富に提供しているのが強みです。AWSの豊富な機能を組み合わせることで、複雑なビジネス要件にもスムーズに対応できます。
●コストとROIの考慮
AIモデルの精度を維持するには定期的なデータの更新やアルゴリズムの調整を行わなければならず、さらに社員のトレーニングも必要になるため、導入後も運用費用が継続的に発生します。ROI(投資対効果)を最大化するにはコスト削減と効率化がポイントで、目的や課題に応じたAIプラットフォームの選択やインフラの最適化、AI導入によるビジネスプロセスの改善が必要となります。ROIをしっかりと評価したうえで、長期的なビジョンを持つことが大切です。
例えばMicrosoftが提供するAzure AIはMicrosoftの製品やサービスとの親和性が高く、シームレスな統合が可能です。新たなツールやプロセスを習得する必要がないので、Microsoftを使い慣れた企業にとって取り組みやすいのが強みといえます。既存のMicrosoft製品やサービスとの連携を深めることで、業務の効率化とコストの最適化が行えます。
●技術サポートとパートナーシップ
AIプラットフォームはコーディングや機械学習などの専門知識がなくても使用できますが、AI開発の工程では疑問やトラブルが付き物のため、スムーズにAIを開発できるとは限りません。そのため、疑問やトラブルが発生した時に丁寧なサポートが受けられるかどうかが、AI開発にかかる時間とコスト節約のカギとなります。AIプラットフォームは製品によってサポート体制が大きく変わってくるため、AI開発の経験が少ない企業であれば24時間いつでも対応してくれるか、専門知識を持つAIエンジニアがサポートしてくれるかなどの点も考えたプラットフォーム選びをしましょう。
代表的なAIプラットフォームの1つであるIBM Watsonは、データ活用の仕組みづくりも含め、全社的なAI活用に向けた総合的な支援を行っているプラットフォームです。また、ビジネス向けに特化しているのもIBM Watsonの特徴で、一定レベルの学習を事前に済ませた状態のAPIを提供しており、データ収集や学習にかかる時間・コストを節約できます。
AIプラットフォーム導入のメリット

自社の業務に、AIプラットフォームを導入することで得られる利点は、3つあります。
●コストを抑えられる
自社でAIを開発するよりもコストを抑えられるというメリットがあります。
自社で開発する場合、AIの専門知識やノウハウをエンジニアに依頼する必要があり、社内に人材がいなければ外部に依頼するため、委託費用がかかります。
さらに、構築には時間を要するため、人件費などのコストと時間がかかるため、AIプラットフォームを導入する方がトータルコストを抑えられるケースが多いです。
●小規模からの活用が可能
AIプラットフォームなら、小さな事業から試してみることが可能です。
小さな事業から試しに活用してみて、徐々に事業を拡大していくことも可能なので、効果を確認しながら、予算との兼ね合いをみて、効果的な活用ができます。
●ノーコードで導入可能
AIプラットフォームでは、エンジニアのように豊富な知識がなくてもノーコードで導入が可能です。
社内にエンジニアがいない場合でも、問題なく活用できるため、プログラミングの知識を得るための費用や人材育成の必要がありません。
AIプラットフォーム導入前のデメリット

AIプラットフォームを導入する以前は、3つのデメリットがありました。
AIプラットフォームを活用することで、デメリットを解消できるため、ぜひ参考にしてみてください。
●専門的な知識を持つ人材がいなければコストがかかる
AIプラットフォームを導入しない場合は、自社で独自に構築する必要があり、専門的な知識を持つ人材が必要不可欠です。
社内にエンジニアがいない場合は、外部に委託する必要があり、委託コストがかかります。
社内で人材を育成しようと考えた場合も、エンジニア育成のためのコストがかかるため、予算が少ない企業は対応が難しいでしょう。
●データ収集にリソースが割かれる
データ収集にはコストと時間、リソースが割かれるデメリットがあります。
AIプラットフォームの導入には、膨大なデータを収集する必要があり、リソースが割かれます。
AIプラットフォームが有効なデータを示すためには、事前に膨大なデータを収集し、学習させる必要があるため、専門の人員を配置しなくてはなりません。
●開発に時間がかかる
たとえ、自社にエンジニアがいたとしても、開発に時間がかかるため、すぐにAIを活用できない点がデメリットです。
独自でAIプラットフォームを開発する場合は、構築に時間がかかります。
開発に時間がかかることで、競合他社との競争に後れをとってしまう恐れがあります。
AIプラットフォームの開発を外注する場合

AIプラットフォームの開発を外注する場合に、どのような会社を選ぶと良いかのポイントを解説。また、AI開発がどのようなプロセスで進んでいくのかについても把握しておきましょう。
●外注先の選び方
AIプラットフォーム開発の外注先を選ぶ際は、以下の4つの点に注意が必要です。会社選びで押さえておきたい点を紹介します。
1. 専門知識と経験
AIプラットフォーム開発の外注先を選ぶうえで、最も重要なのがAIプラットフォーム開発に関する知見とノウハウの有無です。開発実績が豊富な企業であれば、確かな知識とノウハウを蓄積している可能性が高いと考えられます。過去の開発実績については企業のHPで確認するか、担当者に直接確認しましょう。
2. コミュニケーション能力
外注先を選ぶにあたって開発会社の技術力に注目しがちですが、実はコミュニケーション能力も重要です。外注先と綿密なコミュニケーションがとれていないと、認識のずれが発生して想定していたシステムにならないリスクがあります。また、認識のずれによって手戻りが発生すると予算オーバーしてしまう確率が上がるため、コミュニケーションに力を入れているかどうかも確認しましょう。
3. 費用対効果
開発費用は外注先を検討する際の重要な事項ですが、コストをただ比較するのではなく、提供されるサービスの品質や効果を総合的に評価して選ぶことが大切です。また、外注にあたっての予算を含む社内の制約条件をまとめ、条件をクリアできる開発会社を選ぶようにしましょう。
4. サポート体制
AIは新規性のある専門的な分野のため、開発後のトラブルに対して柔軟に対応してくれるかは、外注先を選ぶうえで重要なポイントとなります。また、AIは導入後も再学習によるAIモデルのアップデートが必要になるケースが多いので、開発後のサポートやメンテナンス体制が整っているかを確認することが大切です。
●開発プロセス
AI開発は以下の4段階のフェーズで進められるのが一般的です。
- 構想・コンセプトフェーズ:解決すべき課題をもとにAI開発の目的を明確化し、どのようなAIを開発するのか検討・計画します。
- PoCフェーズ:プロトタイプを作成し、構想計画が実現可能かを実証実験します。
- 実装フェーズ:PoCフェーズで構築したプロトタイプをもとにAI開発を本格的に進めていきます。
- 運用フェーズ:AIを実際の業務で運用し、モニタリングとチューニングを行います。
AIプラットフォームの活用事例

AIプラットフォームの具体的な活用事例を紹介します。
●医療
医療の分野では、X線・CT・MRI画像などの診断の支援に活用されています。
さらに、患者の治療計画作成の支援やカルテの解析、レセプト作成などの業務の自動化にも活用可能です。
医療現場でAIプラットフォームが活用されることにより、スタッフの負担が軽減され、人的ミスが減り、業務の効率化が図れるというメリットがあります。
●金融
金融機関では、信用審査の一部を自動化する、不正利用や不正行為を検知することに活用が可能です。
融資や住宅ローンなどの信用審査の一部を自動化し、重要な部分は行員が担当して、業務の効率化が図れます。
クレジットカードの不正利用や振り込め詐欺などの不正行為をAIにより検知することで、人間が気付けなかった異常の発見に活かせます。
●小売業
小売業では、在庫管理や顧客からの問い合わせに対する返信などにAIを活用できます。
チャットの問い合わせの回答として、よくある問い合わせの返信を用意しておけば、スタッフが個別に対応せずに問題が解決できるケースがあります。
定型の返信では解決できない内容のみ、スタッフにつながるようにすれば、サービススタッフの負担を軽減することが可能です。
他にも、オンラインショップで買い物をしている顧客に対して、閲覧した商品や興味関心の高い商品を再度表示させるなどして、顧客の購入意欲を高めることに活用できます。
●製造業
製造業では、製品の品質チェックや在庫管理などに活かすことができます。
製品の品質チェックでは、異常を検知した製品をはじくように設定することで、人間の目で見逃してしまうような製品を見落とすことなく検品できます。
大量の在庫を抱える製造業では、AIを活用して効率的に在庫管理を行うことで、人的ミスを防ぐことができます。
AIプラットフォームの開発を依頼するなら
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