ホームページの制作からWebシステムの開発まで、HTTPプロトコルを使った領域であれば全てのものに対応することを得意としているヒューマンデジタルコンサルタンツ株式会社。制作や開発だけでなく、社名の通り「コンサルティングにも強みがある」同社の東京本部統括の津田和也氏(執行役員)、Webディレクション部の駿河愛樹氏(マネージャー)に、お客様へのご提案の際にこだわっていることや、データ解析を活用したコンサルティングについてお伺いしました。
コスト感・スピード感・安心感の三拍子、さらに国産CMS「NOREN」のテクニカルパートナーでもある「技術力」が強みです
―― まずは御社の事業内容や会社の特徴についてご説明ください。
ヒューマンデジタルコンサルタンツ 駿河氏 当社は、ヒューマンホールディングス株式会社のグループ会社です。教育事業のヒューマンアカデミー、人材事業のヒューマンリソシア、介護事業のヒューマンライフケアなどの各グループ会社と並んで、当社はIT部門を担っています。
社名にコンサルタンツと入っている通り、お客様のビジネスを成功に導くためのコンサルティングを得意としています。システム開発だけではなく、例えば、Webサイトを活用したマーケティング戦略の企画・立案・実践など、お客様のビジネスを支援できるのが当社の強みです。
また、当社ではWebサイトやシステムは単に作って終わりではなく、「納品してからが、本当のスタート」ということを常に考えています。運用や保守、改善のためのコンサルティングも提供し、例えば、Webサイトを運用するうちに出てきた課題に対して、アクセス解析や調査を実施し改善するというようにPDCAを回しながらのサポートもしています。
ヒューマンデジタルコンサルタンツ 津田氏 もう一つ、当社の強みを示すとすれば、企画の立案から、それをシステム化するときの設計、開発、実装、運用・保守、そしてUI/UXを重視したデザインまで、全てを自社の専門的なスキルを持ったプロパーのスタッフでまかなえるということです。
当社のスタッフは50名ほどですが、通常、当社くらいの規模のシステム開発会社ですと、システム開発は得意だがマーケティングは苦手であるとか、デザインは外注しているといったケースが少なくありませんが、当社は全てに対応することができます。
全てを自社で対応できることは、お客様にとっても大きなメリットになります。例えば、小規模なシステム開発会社は、安価な費用でもシステム開発を請け負うことが可能ですが、デザインやマーケティング、広告プランの展開となると「パートナー企業に外注」というケースが少なくありません。それらを合算すると、一見、システム開発コストは安価に見えても結果的に大きな費用が必要となってしまう。「システムは構築・導入して終わり」ではなく、お客様はそのシステムを活用して売上アップなど本来の目的を達成したいとお考えでしょう。それを実現しようとすると、マーケティング費用、プロモーション費用、広告費用というように、徐々にコストが上乗せされ、「当初、100万円でできると思ったのに、最終的に300万円もかかってしまった」というようなことが起きてしまいます。
それに対して、当社は全てを自社でまかなえるので、最初の打ち合わせの段階からお客様の最終目的をお聞きし、「マーケティングやプロモーションの機能を含めて、この程度になります」とご提示できます。お客様が「目的達成のためにいくらかかるのか」を最初に具体的に把握できるのです。
駿河氏 さらに、マーケティングやプロモーションを外注するケースでは、「効果がまったくでない」、「何らかのトラブルが発生した」といった場合に、マーケティングやプロモーションを請け負った会社が対処するのか、システム開発を請け負った会社が対処するのかが曖昧になりがちです。お客様にしてみると、誰に相談していいのかわからなくなってしまう。こうした場合でも、当社なら全てを自社でまかなうので、当社にご相談いただければ、コンサルティングを含め、善後策を検討してご提示できます。
津田氏 お客様からすれば集客から制作、運用保守まで全てやってくれる、非常に頼みやすくてコストパフォーマンス面でもご満足いただける、「ちょうどいい会社」だと考えています。お客様との直取引が多いのも、そこに理由があると感じています。全てを内製することができるため、コスト感とスピード感があることに加え、ヒューマングループであることや多数の大手案件実績があること、国産CMSのNORENを手掛ける株式会社のれん様から「NOREN Award 2018 テクニカルパートナー賞」を受賞しているなどの安心感が決め手となってご依頼いただくことが多いです。
Webサイトを「数字」で分析し、データを踏まえた「外からの内部視点」でコンサルティング
―― 御社がコンサルティングをするときに心がけていることや、競合と比べた御社の強みはどこになるのでしょうか?
津田氏 当社は、お客様のビジネスに対して、概念的、抽象的なコンサルティングをするのではなく、データから分析した具体的なコンサルティングをご提供しています。例えば、Webサイトに関するコンサルティングあればGoogleアナリティクスのデータからチューニングポイントやボトルネックを抽出して改善点をご提示します。その際に心掛けているのは「プラス・ワン」のご提案をすること。例えば、お客様のWebマーケティング戦略に関するコンサルティングでは、競合他社の施策を当社でヒューリスティック的に分析し、そこに「プラス・ワンした戦略」をご提案します。お客様から言われたことだけをやるのではありません。
データをもとにしたコンサルティングは、お客様も「まずは数字で」状況を理解できるので、わかりやすいでしょう。「(数字で明らかなように)ここが競合に負けています」、「ここは競合に勝っています」と明確にできます。数字で示すと、お客様のマーケティングやプロモーションのご担当者が「気づいていなかったこと」も明らかになります。当社がコンサルティングをすることで、お客様のご担当者は、「外から見た(分析した)」、「ご担当者ならではの視点」、当社では「外から見た内部視点」と表現しますが、それを持つことができます。ここがお客様にとっての大きなメリットですね。
―― 「外から見た内部視点」を持てるということは、自社の状況を客観視して、その上で自社の戦略を見直せることにつながると思います。そんなコンサルティングでお客様のビジネスを改善した具体例を教えてください。
津田氏 医療関係のお客様から「中途採用がうまくいかない」というご相談をいただいたケースがあります。もともと中途の応募が非常に少なかったのですが、当社でお客様のコーポレートサイトをリニューアルしたところ応募数が8倍に増えました。
ポイントは、募集サイトそのものを変えたとか、リスティングを新たにやったのではなく、お客様のコーポレートサイトを小規模にリニューアルしただけで成果を出すことができたということ。求職者は募集サイトだけでなく、実際に企業のコーポレートサイトを確認してから、応募するかしないかを判断します。コーポレートサイトがチープかリッチかによって応募の意欲が変わってくるのです。そういった応募者のペルソナ、応募者のサイト間の移動の状況などを分析し、数字で明らかにしてみると、「中途採用への応募を増やすにはコーポレートサイトのリニューアルが必要」という、ご担当者も気づかなかったことが見えてきました。「外からの内部視点」を持つことができたので、それに合わせて、求職者が知りたい情報を探しやすくする、応募欄への導線をシンプルにするなど細かな対策を実施しました。
当社は、コンサルティングから分析、改善提案とその実施までを手がけますが、そこで重視しているのは「手段と目的」の明確化です。例え話になりますが、家電量販店にお客様が掃除機を買いに来たら、スタッフは掃除機を売ろうとしますよね。ところが、お客様の本当の目的は、「部屋が汚れるからなんとかしたい」ということです。そこがわかるかどうかが、「外からの内部視点」を持てるかどうかの分かれ目だと思います。掃除機を買うのではなく、「汚れないように対策をとればいい」となれば、別のご提案もできるようになる。
お客様が示された課題を普通に改善するだけの提案なら当社でなくてもできるでしょう。当社にご相談いただいた以上は、お客様の本当の目的は何で課題はどこにあるのかを明らかにし、それを改善するご提案をしないといけない、そんなことを意識しながら進めています。
「どんな人がWebサイトにアクセスしてくるのか」、ペルソナを明確にして改善策をご提案します
―― お客様の本当の目的、課題が明確になったとき、今度は課題解決と目的達成の対策をデザインに落とし込んでいかなくてはなりません。そのときに、どんなことに気をつけていますか。
駿河氏 先に説明があったように、まずは、「手段と目的」の明確化です。次に気をつけているのは、そのサイトの来訪者のペルソナです。実際にサイトに訪れる人、サイトを使う人は「どんな人たちか」を明確にすることです。「サイトをかっこよくしたい」とか「使いやすいサイトにしたい」と言うのは簡単ですが、かっこよさや使いやすさは人によって全然違います。私が感じる使いやすいサイトと、高齢者や小さな子どもが使いやすいと感じるサイトは違うでしょう。お客様がターゲットとしているメインユーザーのペルソナを徹底的に明確にしたうえで、「その人にとって使いやすいサイトはどういうデザインなのか」を考えていきます。
その過程で、メニューを並べただけのシンプルなサイトの方が使いやすいということもあれば、デザインを追求したほうがユーザーにとっていい印象を与えられるサイトになる、といったことが明らかになってくるのです。実際のユーザーをしっかりと定めた上で、お客様と我々作り手が共通認識を持てる設計をすることで、自ずとデザインに落とし込んでいくことができます。
―― 幅広く事業展開をしている会社、多くの商材を扱っている会社だと、事業やサービス、商品といったページごとにペルソナを変えなくてはならないのでしょうか。
津田氏 Googleで何か知りたいことを検索すると、知りたいことが書かれているページが表示されますよね。その情報を発信しているのがある企業だとしても、企業のトップページが表示されるのではありません。そうしたことも考えて、「この企業のサイトだからこのペルソナ」ではなく、二階層目、三階層目ごとにペルソナを変えていくといったご提案もします。分かりやすい例では、コーポレートサイトと採用ページを考えると来訪者のペルソナは違いますよね。ですから、別のトーンでページを作ります。当然、デザインも変えます。
Webサイトの「ちょい直し」で「100点」に近づける、その積み重ねがプラス・ワンの提案につながります
―― 案件によっては、コンサルティグとシステム構築だけでいい、あるいは、システムとサイト制作、その後のプロモーションまでやって欲しいなど、いろいろなパターンがあると思います。御社ではどういうチームを作り、プロジェクトを進めていくのでしょうか?
津田氏 プロジェクトごとに、まずは全体を把握する「大統括」を立てます。次にそのプロジェクトがシステム構築を中心としたものか、クリエイティブ重視かを判断し、それぞれに強いPMとPLを立てて進めていきます。
基本的な進め方として、お客様が言われたことを汲み取った上で我々が良いと思うご提案をする、デザインも2~3種類持っていくといったことは変わりません。当社は中途採用のメンバーが多く、それぞれが以前のシステム開発会社で主戦力級だった人材です。いわば「一騎当千」のメンバーが集まり、つながり、知識やスキル、ノウハウが集結されています。だから、コンサルティングでもシステム構築でもデザインでも、「プラス・ワン」のご提案ができるのだと自負しています。
駿河氏 プラス・ワンのご提案にもつながっていくことですが、制作会社としてはお客様に対して大規模なリニューアルをご提案したほうが当然、お金になるわけですが、私が好んでご提案しているのは「ちょい直し」です。ちょっとずつ直していく取り組みです。例えば、あるバナーの色を変えてみる、文字の大きさを変えてみるなどの修正です。ちょい直しの場合、直したことでアクセスが増えたか減ったかといった効果が分かりやすい。これが大規模にリニューアルをすると、どこをどう直したからこういう結果がでたという分析が難しくなってしまいます。
小さく直して、その結果を積み上げていくことで、どの対策が有効でどの対策は効果が小さいのかといったデータも蓄積され、それがお客様にとっても有効活用できる財産になります。長い目でみれば、そうしたデータを積み上げ、ノウハウとして蓄積しているからこそ、プラス・ワンのご提案ができるのです。そこが他のシステム開発会社やWeb制作会社との決定的な違いの一つです。こまめに分析をして少しずつ直していくほうが、お客様にとってはコストもかからないですし、何がうまくいったのかが分かりやすく、目的達成により近づいていけます。
ただし、Webサイト制作やWebマーケティングにはゴールがなくて、先週まで正しかった施策が「今週はなぜか効果がでない」ということもあります。時代が動き続けている以上、常に状況の変化に追随しなくてはなりません。100点のWebサイトやシステムというのはないということ。今100点でも必ず落ちていくので、常に改修を重ねて100点に近づけていく必要があります。そういうところをお客様と一緒になってやっていくのが当社です。
津田氏 100点に近づけていく取り組みは、言い換えると、お客様のビジネスを「デジタルの力で最適化していく」ことだと思います。現在、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉をよく耳にしますが、当社は、私たちが持てるデジタルの知識と力で、さまざまな物事を最適化していきたいと考えています。それが、お客様のDXを支援することにもつながり、我々がコンサルティングでご提供できる付加価値でもあります。
例えば、デジタルでお客様の業務を最適化、つまり効率化できれば、新たな時間を創出できるでしょう。その時間を使って、お客様はさらに新しいビジネスのアイデアを生み出したり、課題解決に取り組んだりできるようになります。我々が、デジタルの力でご支援をさせていただくことで、お客様がさらに先に進んでいく余力が生まれ、新たな課題も生まれ、その解決に当社がまたお手伝いをさせていただく、そんな相乗効果が生まれることを期待しています。