電話やFAXによる受発注業務はミスや手間が多く、業務効率化の課題となっています。そこで注目されるのが「受発注システム」です。本記事では、受発注システムの作り方について、自社開発からクラウド型システムの導入まで具体的な方法を紹介。あわせて、導入時に役立つERP選びのポイントまで徹底解説します。受発注業務をデジタル化して効率アップを図りたい企業の方は必見です。
目次
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受発注システムとは?業務効率化につながるしくみ
受発注システムは、電話やFAXなどで行われていた商品の受注や発注を、インターネットを通して一括管理するシステムです。従来は、顧客からの問い合わせに電話で応対したり、FAXで届く注文書を手入力したりと、多くの手間がかかっていました。聞き違いや入力ミスが起きると、受注内容の修正に時間を費やす恐れもあります。そこで、オンライン上で注文を受け付けるしくみに変えると、担当者の作業量は抑えやすくなり、確認や修正の回数も減るでしょう。
このシステムを導入すれば、注文情報の一元管理が実現できます。顧客が入力したデータが即座に反映されるため、担当者による再入力のミスが減ります。リアルタイムで在庫数や出荷準備の進捗を確認できるメリットも大きく、急な変更が生じても素早い対応が可能です。また、外出先や自宅など、会社以外の場所からアクセスできるクラウド型システムを選べば、テレワークや出張時でも受発注の状況を把握しやすくなります。
さらに、取引先との連絡がスムーズになる点も特筆すべきでしょう。従来のやり方では、電話をかけるタイミングや担当者の在席状況などに左右されていましたが、オンライン上のやりとりなら取引先は都合の良いタイミングで注文を入力できます。受注側も、システムを通して内容を即座に確認できるので、業務全体にかかる時間を短縮しやすいです。
●受発注システムの基本機能
受発注システムには、受注管理や発注管理、在庫管理、そして支払・請求管理など、多面的に業務を最適化する機能がそろっています。まず受注管理では、注文の受付から出荷作業、納品完了までをひとまとめに扱えます。電話やFAXでバラバラに行っていた手続きを一つの画面で管理できるため、部署間の情報共有もスムーズです。
発注管理は、必要な原材料や商品を仕入先へ注文するプロセスを効率化します。システム内で在庫数を把握しながら発注できるので、過剰発注や欠品のリスクを抑えられます。そして在庫管理機能は、リアルタイムに在庫数の増減をモニタリングし、一定数を下回った際の自動発注や過多状態のアラートなど、売り上げの機会損失や保管コストの増大を防ぐ工夫がなされています。
さらに支払・請求管理では、請求書の発行や入金確認をシステム上で行うため、紙の書類を用意する手間が減ります。経理業務は日々発生するため、入力ミスや請求漏れが起きるリスクを抑えられるのは大きなメリットです。加えて、注文数や売上高を分析する機能を備えたシステムもあり、売れ筋商品の把握や需要予測にも役立ちます。データを可視化し、事業戦略の判断材料に活用することで、企業成長につながるでしょう。
●受発注システムを導入するメリット
オンラインで受注を受け付けるようになると、ヒューマンエラーの発生率が大きく下がります。電話応対や手書きの書類では、数量や金額などの誤記入が起きやすく、トラブルに発展する場合もありました。デジタル化によって、こうした聞き違いや転記ミスを減らせるのは大きなアドバンテージです。
また、ペーパーレス化が進むと経費削減にもつながります。従来は注文書や請求書を印刷し、郵送するコストがかかっていました。紙の管理スペースや紛失リスクの問題もありましたが、データ管理であれば検索・保管がスムーズです。担当者間の意思疎通が円滑になる点も見逃せません。受注内容がシステムに集約されるので、誰がいつ確認しても同じ情報を共有でき、連絡の行き違いを防げます。
加えて、作業負担が軽減されることで残業や不要な出社を減らしやすくなります。注文対応のために深夜残業や休日出勤を強いられていたケースも、システム導入後には大幅に削減しやすいでしょう。テレワークにも対応しやすくなり、働き方改革の一環としても評価されるポイントです。
受発注システムの作り方|導入の選択肢
受発注システムの導入を検討するときは、まず自社にどのような課題があり、どんな効果を求めるかを明確にする必要があります。あわせて、パソコンやスマートフォンなど取引先の利用環境にも配慮しなければなりません。導入方法には大きく分けて四つの選択肢があり、それぞれ特徴が異なります。
●1. 社内開発(スクラッチ開発)
社内開発とは、ゼロからシステムを作り上げる方法です。自社独自の業務フローやデザインを反映しやすい反面、開発費や運用保守の人材確保など、大きな負担がかかります。開発期間も長期化することが多いため、十分な予算と技術力、そしてスケジュールの余裕を見極める必要があるでしょう。大規模企業や非常に特殊な要件がある場合は、この方式を選ぶと自社に最適化されたシステムを持てる強みがあります。
●2. エクセルやアクセスを使う方法
既存ソフトウェアのエクセルやアクセスを利用し、簡易的な受発注管理を行う選択肢もあります。あらたにソフトを購入しなくて済むため、導入コストは低く抑えられます。ただし、データが膨大になると動作が重くなる傾向がある点には注意が必要です。さらに、複数人で同時に更新すると整合性を保ちづらくなるため、本格的な受発注システムとしては機能が不足する可能性があります。小規模でITに詳しい担当者がいる会社であれば検討に値するでしょう。
●3. 既存のクラウド型システムを導入
クラウド型システムを利用する方法では、インターネット環境さえあればどこでも接続できる利便性が魅力です。サーバー構築やメンテナンスを外部事業者に委託し、月額料金を支払うことで導入しやすくなります。ただし、サービスによってはカスタマイズの自由度に制限があったり、提供元の都合でサービス終了するリスクがあったりもします。中小企業で標準機能で十分な場合や、早期導入を目指す会社には適しているといえます。
●4. 外注開発(システム会社に依頼)
外注開発では、専門の開発会社にシステム構築を委ねます。自社でIT人材を確保しなくても、独自の機能を盛り込んだシステムを実現しやすいのがメリットです。専門家によるサポートも期待できるため、導入後の運用フェーズでも安心感があるでしょう。ただし、委託費用が高額になりがちなうえ、開発期間も長引く可能性があります。要件定義が不十分だと仕上がりが希望と異なるリスクもあるため、複数の会社から見積もりを取り、じっくりと擦り合わせることが大切です。
導入すべきERPシステムを選ぶ際のポイント
受発注システムを検討するうえで、ERP(Enterprise Resource Planning)によって基幹業務全体を統合管理したい企業も少なくありません。業務範囲が広いERPは、受発注管理だけでなく会計や人事、生産管理などにも及ぶため、選び方のコツを押さえる必要があります。
●自社の業務課題を明確化
最初に行うべきは、自社の業務フローを分析し、どこにボトルネックや重複作業があるかを洗い出すことです。複数の部門で扱うデータが分散している場合は、情報を統合管理しないとミスや確認の手間が増えます。電話やFAX対応に時間を取られているなど、具体的に解決したい課題を箇条書きで整理すると、ERPの導入目的がよりはっきりするでしょう。ほかのシステムで解決できるケースもあるため、本当にERPが必要かどうかも見極めるのが大事です。
●予算と導入期間を考慮
ERPは、多くの場合、初期導入費だけでなく月額費用なども発生します。システムの規模が大きいほど投資額も高くなるため、まず全体予算を設定し、費用対効果を想定しましょう。業務効率化でどの程度のコスト削減や売上増が望めるかを試算し、導入期間も含めてスケジュールを組むことが求められます。特に中小企業では、必要な機能だけを厳選することで費用を抑え、短期間で導入する手法も検討するとよいでしょう。
●将来的な拡張性
企業の規模や事業内容は変化することがあり、従業員数や取引先が増えた場合にもシステムが安定して稼働するかは重要なポイントです。多店舗展開や海外への進出を視野に入れるなら、多言語対応や他システムとの連携性をチェックしなければなりません。社内の業務プロセスが追加・変更されても柔軟に対応できる設計かどうかも、長期運用を見据えるうえで欠かせない条件です。
●操作性と従業員への負担
ERPシステムは日常的に多くの従業員が使うため、操作が複雑だと現場に混乱が生じる可能性があります。導入後すぐに現場で運用できるよう、直感的に扱える画面設計や充実したサポートがあるかを確認しましょう。試用版やデモを活用して、実際に操作したうえで導入を検討すると安心です。導入時の研修や問い合わせ対応の体制によって、従業員の負担や戸惑いを最小限に抑えられるかどうかも見極める必要があります。
受発注システムの導入ステップ
企業が受発注システムを新しく取り入れるには、いくつかの段階を踏むことが大切です。ここでは導入までの大まかな流れを説明します。
●1. 現状分析と課題の洗い出し
まずは、受注から納品までの業務フローを可視化し、どの工程で手間やミスが発生しているかを明確にする作業が必要です。電話対応やFAX処理での入力ミスが多くないか、二重チェックに時間が取られていないかなどを具体的に調べます。この段階で問題点を浮き彫りにすることで、システム導入による改善効果をイメージしやすくなります。
●2. 導入目的の明確化
現状の課題を把握したら、「テレワーク対応がしたい」「入力作業を減らしたい」など、導入目的をはっきり言語化します。ここで取引先にとっても使いやすい仕組みかどうかを検討材料に入れておくと、システム完成後の運用がスムーズです。導入の範囲や予算規模も、このタイミングで概略を固めると後の工程が進めやすくなります。
●3. システムの選定
次に、どの導入方法が自社に適しているかを検討します。スクラッチ開発やクラウド型、外注開発など、それぞれにかかる費用や特徴を比較しましょう。必要な機能を洗い出したうえで、導入可能なスケジュールと予算を確認し、複数の開発会社から見積もりを取って合致度を検討するのがおすすめです。
●4. システム構築・導入
選定が終わったら、システム構築に入ります。自社開発や外注開発であれば具体的な要件定義を詰め、画面仕様の検討やカスタマイズを進めます。クラウド型システムなら、アカウント開設や初期設定を行い、利用環境を整えましょう。テスト環境を用意し、実際の業務を想定して動作確認を繰り返すことが重要です。
●5. テスト運用・改善
本格導入前に、一部の取引先や部署でシステムを試験的に運用し、画面の見やすさや操作しやすさを確認します。在庫数の表示や注文手続きに不備があれば、ここで修正を加えておくことが賢明です。テスト結果を集約し、改善案を取り入れて最終的な完成度を高めます。
●6. 本格導入と運用開始
試験での問題点を修正したら、正式にシステムを稼働させます。旧システムから移行するスケジュールを周知し、取引先にも新しい手続き方法を案内して混乱を防ぎます。導入後の問い合わせ窓口や障害対応の体制をしっかり定めておくと、トラブルが起きてもすぐ対応が可能です。運用のなかで見つかった改善点は定期的にフィードバックして、アップデートや機能追加を行い、使いやすさを維持していきます。
受発注システムを取り入れて業務を効率化
アナログ中心の受発注からシステム中心に切り替えると、業務全体の生産性向上と人為的ミスの削減が見込めます。ただし、なぜ導入するのかという目的があいまいだと、取引先や社内スタッフへ周知しきれず、せっかくのシステムが活用されない事態になりかねません。導入前には目的を明確化し、利用開始時に操作方法をしっかり説明しておくことが肝心です。導入後も運用状況を定期的に見直し、新たな要望や業務環境の変化に合わせてアップデートすることで、より便利に使い続けられるでしょう。
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