愛媛に拠点を置く株式会社シスディブリンクは、2015年に設立したシステム開発会社です。幅広いWebシステム開発、シーケンサ・マイコン・各種センサ・ラズパイ・アルディーノを用いた制御システムの開発を行う同社ですが、中でも最も得意とするのが、自社で開発したパッケージシステムの「現場主導型(寄合型)生産管理システム」を用いたソリューションです。同システム開発のきっかけやその多岐にわたる機能、発注者様から好評の理由について代表取締役社長の高橋 基氏にお話を伺いました。
「自分たちで製造計画を直せない」の声を受け改良
―― 御社が自社開発された「現場主導型(寄合型)生産管理システム」について教えてください。
シスディブリンク 高橋氏 当社が開発した「現場主導型(寄合型)生産管理システム」は中小企業の製造業に向けて開発した生産管理システムです。Excelで作成した見積書や生産計画、製作指示書から必要項目を製造指示、製作日程表へ自動で読み取り、製造日程計画・仕入・納品・請求・元帳などのデータを全て一元・共有化することができます。
データの登録や更新もExcel、Webブラウザで簡単に行うことができ、製造現場で計画変更ができるため、実態に即した計画と実績の生産管理システムの運用が可能となっています。
―― 開発のきっかけは「製造現場の声」だったそうですね。
高橋氏 起業する1年ほど前ですが、知り合いの製造業の代表から「設備の稼働予定や製造の進捗状況が見えるようなシステムを作ってくれないか」と相談を受けました。そこでヒアリングを行った上で要求を満たすようなシステムを探してみましたが、うまく合致するようなシステムはありませんでした。そこで新たに開発することを検討し、約1年をかけて初期版を作成しました。完成したものでテスト運用を始めようとしましたが、製造現場の方から「こんなんじゃ使えない。指示の内容とか製造計画、スケジュールを自分たちで直せないから」と言われてしまいました。その後約半年を費やして製造現場でも指示内容や予定を変更できるシステムを開発しました。それが現在提供させて頂いている「現場主導型(寄合型)生産管理システム」の原型になっています。
私自身、それまで大手製造業の子会社で10年近く製造指示のシステム開発・保守を担当するなど長く生産管理に携わっていましたが、製造計画などを現場で変更することなど考えてもいませんでした。
というのも、製造工場では生産計画から製造計画を作成していわゆるトップダウン方式で現場に指示が出されることが一般的です。私が当時在籍していた会社も基本的にトップダウン型で「こういった物をいつ、こういう風に作りなさい」と指示内容が出され、それに沿って現場は動いていました。
そのため最初はトップダウン型を想定したシステムで開発したのですが、よくよく現場の方に話を聞くと、中小企業ではお客様の納期変更が度々発生している。例えば「月末まで」と言われていたものがいきなり「3日早めてくれないか」といったケース。また「来週のこの日までに作ってくれないか」といった特急品と言われる急な発注や、設備に関する備品が無い治具不足、不良発生もよくあると聞きました。製造が計画通りに進んでいけば問題はありませんが、現実には、不良が発生したり、特急品が入ってきたりと計画通りに進んでいかない事態が発生します。
こういった不測の事態が起こるたびに、製造リーダーらが各部署と相談して「じゃあどうしようか」と一番良い方法を模索して計画を変更し、製造に入っています。「明日の予定だったけど今日やってしまおう」とか「今日はどうしても難しいので、別の設備で明日にズラしてやろう」とか、そういうことを決めて製造している。つまり、実態は現場で計画変更を行っていたのです。
私は中小企業の生産管理を経験したことがなかったので、初めて実際の声を聞いてみて「なるほどな」と思いました。現場を一番よく分かっている製造担当者が最適な生産効率の良い製造計画を立てることができる、現場の声を反映したシステムにするために改良して開発したのが「現場主導型(寄合型)生産管理システム」なんです。
多岐にわたる機能を備えた中小企業向けの低価格のERPシステム
―― トップダウンではなくボトムアップ方式にしたシステムなんですね。具体的にはどのようなことが実現できるのでしょうか。
高橋氏 まずWeb上で製作指示書を作ると、自動的に製作日程表に設備や担当者が自動で割り振られ、生産計画から製造日程計画を自動展開します。自動で配置できない場合は未割当て、のように表示されます。自動で割り振られた内容はドラッグ&ドロップで自由に動かすことができ、例えば製造現場でタッチスクリーンなどを導入してもらえれば、指先のドラッグで動かすこともできます。
自動配置シミュレーション機能で、割込処理を行うことも可能です。なるべく現場で手間が省けるよう、工程が詰まっている箇所に割込処理を行うと後ろの工程が自動的にずれる機能で、動かした結果納期遅れになる場合はアラートでお知らせします。連動して材料の所要量の計算を行う計画連動型所要量計算の機能や、分割・結合機能、担当者が有給休暇を取ったりする際にデータ入力できる個別休日(設備メンテナンス設定)機能、人が付かずに設備だけ動いている場合の自動運転対応(段取り時間設定)機能、見積番号や注文書番号で検索ができる絞り込み機能なども備えています。
また製作日程表は1日~3カ月単位をボタン一つで簡単に切り替えられるようにしており、3カ月に設定すれば先々の空き状況が一目で分かるので、効率よく受注管理を行うことができます。図面や製作指示書を取り込むことで、同画面内で参照も可能です。
―― まさに現場の実態に即したシステムですね。
高橋氏 それだけではありません。日程計画や生産管理以外にも見込み客・案件管理の仕組みや受注管理、見積発行の仕組み、仕入れ発注、材料外部委託、入金・支払い処理などの顧客管理、受発注管理、債権債務管理のシステムも搭載されています。会計や給与システム以外はほぼ網羅しているので、経理システム連携機能をご使用頂ければ多岐にわたる機能を備えたERPシステムのようにご利用いただけます。
開発のきっかけとなった地元愛媛の製造業社はそれまで、工程の変更や日々の見積・受注・生産・納品・請求管理など多くの業務工数を費やしていました。本システムを導入されてからは、見積書作成から製作指示、請求業務まで効率よく業務を行うことができ、製造現場での計画・工程変更機能や実績情報入力機能を活用することで特急品や突発的な計画変更に対してきめ細かな対応ができるようになった、とご好評いただいています。
カスタマイズ性とコストパフォーマンスの高さを実現
―― 様々な機能を備えていますが、生産管理システムは基幹システムの中でも企業によって生産方式や形態が異なるため開発が難しいとも言われています。
高橋氏 当社の「現場主導型(寄合型)生産管理システム」はカスタマイズすることを前提として開発したパッケージシステムです。生産管理は同じ業種でも主力製品や取引形態の違いによって業務フローや生産管理の方法が異なる場合が多く、そのすべてに対応できるパッケージにしようとすると高額なものになってしまいます。
本システムは確実に利用効果があげられるよう、ベースとなるパッケージシステムからお客様ごとにカスタマイズを前提としてシステムの導入を図ることができ、現状分析やシステム導入後の業務フロー等を作成して、間違いのない、より使い易いシステムを構築することができます。カスタマイズ前提の良さとして、基本的にはどのような機能も盛り込むことができ、また一般的なパッケージシステムと同等の価格でご提供することができます。
サブシステムとして盛り込まれている販売管理、在庫管理、出荷計画、請求管理、売掛/買掛管理等の多くの機能から自社の業務に合うシステムを選択、データの一元化により業務効率化につなげることができるので、生産管理だけではなく、様々な分野に適用することも可能です。
―― 基幹業務のDX化を検討している中小企業には特に嬉しいシステムですね。
高橋氏 展示会で実際にシステムを見ていただくと、「製造現場の情報とシステムのデータの差異を無くし、本当の見える化を実現できる」という点に特にご注目いただいており、おかげさまでこれまで15社以上の製造業社に本システムをご提供してまいりました。お客様には、製造業以外の例えばサービス業などにも応用できそう、と言ったお声もいただいています。また中小企業だけでなく、SAPのようなERPシステムを活用している大企業でも本システムを製造現場専用システムとして導入し、ERPシステムと連携してご利用いただいています。
基幹業務のシステム化を検討されている企業様はぜひ一度ご相談ください。