発注ナビ注目のシステム開発会社を紹介するインタビューコラム。今回は、スマートフォンで撮った写真やオリジナルのイラストなどから、簡単にシールやカンバッヂを作れるスマホアプリ「みんなのシール」と「みんなのバッヂ」が人気のコスモメディアサービスの代表取締役 澤田真一氏と、開発を担当したエンタップの代表取締役 松岡利昌氏にお話を伺いました。
■スマホの写真から
シールやバッヂを作れるアプリが大人気
――「みんなのシール」「みんなのバッヂ」が大人気です。アプリのレビューの評価も、とても高いですよね。どういった経緯で商品化にいたったのですか。
エンタップ 松岡氏 「みんなのシール」は、スマホで撮影した写真からシールを注文できるアプリでグッドデザイン賞も受賞しました。「みんなのバッヂ」は、カンバッヂを注文できます。どちらも、アイデアはコスモメディアサービスの澤田社長からでしたよね。
コスモメディアサービス 澤田氏 そうでしたね。松岡さんとは、週イチくらいで会って、いろいろなアイデアを話し合っています。「あれやってみたい」「こんなことできないかな」と、思いつくままにね(笑)。そんな中から生まれてきたのが「みんなのシール」と「みんなのバッヂ」でした。
当社は、オンデマンド専業の印刷会社で、名刺やリーフレットなど、BtoBのお客様が中心。将来の事業展開を考えたとき、BtoBだけを狙っていくのではなく、BtoC向けに何かしらのサービスを展開したかった。そこで、まず目をつけたのが、スマホの写真です。みんな、スマホで何百枚も写真を撮って、スマホの中に保存していたり、SNSにアップしたりしていますよね。印刷会社からすれば、それをプリントしてもらいたい(笑)。デジタルデータを、リアルに「モノ化」して楽しんで欲しいなと考えたのです。
――それでスマホで撮った写真をシールにできたらどうかとなったのですね。松岡さんは、そのアイデアを聞いたとき、最初にどのようにお感じになりました?
松岡氏 今、澤田社長がおっしゃったように、「みんなのシール」は、デジタルデータをシールにする、つまり「モノ化する」サービスですが、私が感じたのは、「このアイデアは、それだけにとどまらないな」ということ。「シールにして楽しむ」という「ユーザー体験が面白い」と感じました。写真というデータをシールに「モノ化」するサービスでありながら、「モノからコトへ」という顧客体験価値、それを高めてくれるサービスだなと思いました。だから、「ぜひやりましょう!」と(笑)。
澤田氏 そうそう、だから「みんなのシール」は、写真からシールを注文できるというだけの、ただのアプリとはちょっと違うんだよね。「シールを手作りできる」というユーザー体験を楽しめる、そこがポイント。写真をシールにするとき、ユーザーはスマホの画面に表示した写真を、指でなぞって好きな形に切り取れるのです。写真もオリジナルなら、シールの形も自分で好きなよう指で切り取れる。世界でたった一つのシールを作れるサービスです。
■写真を指で切り取るときの
「触れ合い」が「ユーザー体験」に結びつく
――えっ、四角と楕円形とか、あらかじめ形が決められたシール台紙に、スマホの写真を印刷するサービスではないのですか?
松岡氏 全然、違います(笑)。写真を指で好きな形に切り取ってシールにできるのです。例えば、子どもの写真をシールにしているお母さんが多いのですが、写真を切り取るとき、子どもの写真をみながら指でなぞるでしょう。そのときに、子どもへのいろいろな想いがよぎったり、触れ合いを感じたり・・・。そのユーザー体験こそが、このアプリの本当に魅力なんです。
澤田氏 そう、そこなんだよね。私は確かに最初に「こんなことしたいなぁ」と漠然とアイデアを出したけど、そこから先は、松岡さんと話し合っていったよね。その中で、ユーザーにシールを作る楽しみをいかに体験してもらうか、などいろいろとアイデアがでてきて、それがカタチになったのが、「みんなのシール」だと考えています。
――なるほど、すると「みんなのバッヂ」もユーザー体験を大切にしたサービスですか。
澤田氏 その考え方は基本的には一緒です。「みんなのバッヂ」は、5種類あるバッヂから好きな形を選んで注文すると、スマホの写真などから簡単にカンバッヂを作れるサービスです。テキストを入れられるなど、デコレーション機能が充実しています。バッヂは胸につけたり、キャップにつけたり、いわば「飾りつけ」のひとつでしょう。なので、デコレーションして楽しめるようにしました。
このみんなのバッヂですごいのは、作るバッヂのイメージをスマホの画面でリアルに確認できる機能です。3Dで、360度回転できるのでバッヂの裏側まで確認できます。サイズの確認も「500円玉と比べると、こんなサイズになります」と具体的にわかります。アプリでこういったことができるのもユーザー体験のひとつ。私がエンタップに依頼したのは、「サイズ感がわかるようにして」というリクエストだけでした。それなのに、「3Dで360度回転させてみました」「500円玉と比べられるようにしました」と、リクエスト以上の機能で応えてくれるのがエンタップですね。
■要件定義からではなく
「実現したいことは何か」から考える
――リクエスト以上に応えてくれるのがエンタップの魅力なのですね。澤田さんがアイデアを出すと、そのアイデアをベースに、さらに良いものカタチにしようとするが松岡さんの役割と、お二人のご関係はそんなイメージでしょうか。
澤田氏 松岡さんと仕事で付き合い始めたのはもう15年くらい前になりますね。その頃から、「こんなこと考えている」とアイデアを話すと、次に会うときには、「この間の話しは、こんなことでしたか」とモックアップを作ってきちゃうんだよね(笑)。そこがすごいところ。スピード感だけじゃなく、そのサービスやシステムを使うエンドユーザーに「どんなふうに使って欲しいのか」「どんな体験をしてほしいのか」、あわせて、発注者側である私が「何をしたいのか」、そこを最初に考えてくれるのです。そこをモックアップなどを使いながら、きちんと確認してくれるところが信頼できます。
松岡氏 当社は、システム開発会社ですが、創業当初からスマートフォン向けのサービス、システム、アプリの開発に注力してきました。スマホアプリ専業のシステム開発会社といってもいいでしょう。スマホ向けの開発で求められるのは、何をさておいても、ユーザーの体験です。これをどれだけ重視した開発ができるかどうか、ここが大切です。わかりやすく言い切ってしまうと、UIに帰結します。ユーザーがどう触れるのか、ユーザーにどう触れてほしいのか、つまりは、ユーザーに「何を体験してほしいのか」ということです。
澤田氏 そういった開発は、多くのシステム開発会社がやっているように要件定義から入ってくる開発ではできないんだよね。要件定義がベースになると、エクセルの仕様書から入ってしまって、「この仕様書のこの文言はどういう意味合いですか」と、些末な議論に終始してしまう。結果的に、「本当は何をしたかったのだっけ?」「ユーザーにどんな価値を提供したかったのだっけ?」という、システム開発における最も重要な議論がなされずに、要件定義の範囲内に無理矢理、押し込められたシステムができあがってしまう。じつは私も何度かそういった苦い経験があって、だから、そんなシステム開発会社とはひと味違う、エンタップと長く付き合っているんだよね。
――お二人にとっては、「実現したい体験は何なのか」が重要で、お互いにそのことを理解し合っているのですね。今後、「みんなのシール」「みんなのバッヂ」に続くアイデア、プランは動き出しているのですか。
澤田氏 ECサイトなどのサービスを見渡すと、Webではサービスが提供されていても、スマートフォン向けになるとまだまだ提供されていない機能が意外に多くあります。とくに、オンデマンド印刷を中心としたネット印刷サービスの中には、Webベースでのサービスは充実していても、スマートフォン向けにはないサービスがたくさんあるのです。ただ、それらをスマホ向けに改良するだけでは面白みがありません。
――やっぱり、そのサービスで実現したいことは何か、どんな体験をしてほしいのか、ですか?
松岡氏 はい。まさにそこですね。澤田さんからアイデアをいただき、それをベースに、どんなユーザー体験をカタチにしていくか。これからも、そこに注力していきたいと考えています。
――お二人とも、本日はとても興味深いお話をありがとうございました。
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