今や多くの業種・業界において、AIを活用するのが「当たり前」になりつつあります。とはいえ、いざ自社にAIを導入しようとしても「何から始めればいいのか分からない」と悩む企業も少なくありません。そんな企業にとって心強いパートナーとなるのが、エイジラボ株式会社です。
同社は、モバイルアプリ開発や業務システム開発はもちろん、AIに関するソリューション開発と導入・活用支援を得意としています。なかでも金融領域における専門知識や知見、実績が豊富にあり、金融に特化したAIの導入・活用支援ができることが大きな強みです。同社代表取締役の袴田 格氏にお話を伺いました。
AIの導入・活用において「結果に責任を持ち、できるまでやる」
―― 生成AIの登場以降、「貴社のAI活用を支援します!」といった特徴を掲げるシステム開発会社やコンサルティング会社が増えてきました。そうしたところと比べて、エイジラボの強みは、どこにあるのでしょうか。
袴田氏: 当社は金融業界出身のメンバーが多く、金融業界における実績が豊富なことが、まずは大きな強みですね。代表の私はメガバンク・資産運用会社での勤務経験があり、他にも銀行・証券会社出身のメンバーが所属しております。また、AIを活用したソリューションをはじめ、さまざまなシステム開発においても、お客様からの信頼を重視した「伴走型の開発支援」を心がけて実践しています。技術力が高いこともアドバンテージだと考えています。
例えば、金融業界の実績では、ある保険代理店向けに生成AIが自動で営業用メールを作成し、自動送信するシステムを開発しました。これはお客様からのご要望をもとに当社がイチから設計した仕組みです。まずは、保険代理店が作成した営業用メール送信リストをもとに、生成AIがターゲットとなる顧客企業のWebサイトやメディアに掲載された記事などの公開情報を調べます。次にその情報をもとに、生成AIがその顧客企業の状況にあった営業用メールを自動生成し、さらには指定のメールアドレスに自動送信までしてくれる仕組みです。
―― まるで、生成AIを活用した「個別最適な営業用メールの自動生成・送信システム」ですね。
袴田氏: そうです。損害保険へのニーズがありそうな顧客企業を探し出して、そのニーズにマッチした営業用メールを送ってくれるのです。お客様の反応も上々で、「生成AIでこんなことができるのか」と驚かれました。
この実績では、生成AIを活用できる技術力だけでなく、どのようなお客様に損害保険商品のニーズがあるのかを判断できる保険や金融に関する知識が当社になければ、それを生成AIの技術に応用することはできません。このように金融の専門知識と技術力の掛け合わせが当社の大きな武器です。
―― なるほど。その「金融×技術力」を活かして、「当社もAIを導入・活用したい」というお客様からオファーがきた場合、実際にはどのような手順で開発を進めていくのですか。
袴田氏: まずは、お客様の社内でAIを活用できるかどうかを検証します。AIは、定例業務の効率化に威力を発揮します。そこで、お客様へのヒアリングを通じて定例業務をピックアップし、それらをAIで自動化や効率化できないかを検討します。そして、「御社の場合、生成AIを導入することで、このくらいの業務効率化が見込めます」といった検証結果を示して、お客様に実際に導入していただくかどうかを判断していただく流れです。
この検証と結果のご提示は、当社の特徴のひとつでもあります。実際にお客様の業務フローをしっかりと把握し、そのうえでAIの具体的な導入効果を算出するので、1~2カ月はかかってしまいます。「えっ、そんなにかかるの」というお客様もいらっしゃいますが、当社はこの検証を通じて「○○%の業務効率化」というように具体的な数字を示し、その結果に責任を持ちます。ここが他のシステム開発会社やAIコンサルティング会社とは一線を画す、当社の特徴です。AIを導入・活用していただく以前に「御社なら○○%の業務効率化が実現できますね」と示して、それを文字通り実現するのです。
―― 「実現する」とのことですが、達成できないこともあるのではないですか?
袴田氏: 確かに、例えば「3カ月で結果を出す」とコミットしても、結果がともなわないこともあります。もし途中で想定と乖離が出た場合には、ただ粘るのではなく仮説・手法・リソース配分等を見直して、目標を改めて設計します。万一追加の時間や投資が必要になる場合も、根拠と選択肢を提示し、お客様と合意形成したうえで必ず目標地点まで伴走する姿勢があります。
ROI(投資収益率)を明確に計測できる、生成AIのソリューションを作り上げる
―― AIや生成AIについての知識や活用ノウハウがほとんどないというお客様も多いと思います。そんな「これからAIを活用してみようかな」というお客様に導入・活用をご提案するとき、心がけていることはどのようなことですか。
袴田氏: お客様のご担当者様が、「無理なく使いこなせるように」作り上げるということです。ご担当者様が生成AIのソリューションを業務で普通に使って、それで業務効率化などの効果を得られる、そういった仕組みを作り上げることを考えています。
もうひとつ。これは先ほどの「結果にコミットと、できるまでやる」に通じますが、ROI(投資収益率)をきちんと計測できるものを作るということです。例えば、「生成AIのソリューションの開発と導入に500万円を投資した」のなら、それによって「5人の従業員の残業代を月額10万円削減できた」というようにROIが明確わかるように、お客様に示すことを実践しています。
冒頭のご質問にあったようにAIの導入・活用支援を得意とするシステム開発会社やAIコンサルティング会社は数多くありますが、そのほとんどは「こうした結果が見込まれる」、「こうした成果が期待できる」といったレベルで、結果に責任を持たずに提案しているケースが多いのではないでしょうか。そのため、実際に生成AIを活用したソリューションを導入しても、お客様にしてみれば「確かに業務は効率化されたような気はするが、大きな投資に見合うだけの効果はあったのかなぁ」とモヤモヤしてしまう。当社はそこを明確にします。ROIをきちんとご提示できるAIソリューションを作り上げているのです。
―― ROIを明確化するには、お客様との間で導入前に具体的なKPIを設定して合意し、導入・活用後にその達成率を検証することが必要かと思います。そうした取り組みを実践しているということですか?
袴田氏: その通りです。例えば、あるお客様では社内のヘルプデスク向けに生成AIを活用したQ&Aチャットボットを開発・導入しました。その際、まずは、「毎月、営業担当者からヘルプデスクにどれくらいの問い合わせが来ているのか」、「問い合わせ1件につきヘルプデスクの担当者の対応時間はどれくらいか」、「トータルでは毎月、どれくらいの時間が割かれているのか」を計算しました。そのうえで、生成AIを活用したQ&Aチャットボットを導入することで、対応時間の削減、それによるコスト削減などのKPIを設定して効果を測定しています。ここまでやることでROIが明確になるのです。
ROIを明確にするには、営業部門でAIを使って、「売上げがこれだけ伸びた」というような成果がでるとわかりやすいのですが、いわゆる「守りのIT」の領域では業務効率化による残業時間の削減など、なかなかパッと一目で効果が分かるものばかりではありません。「生成AIを導入・活用したが何が良くなったのかイマイチわからない」というケースもあり得ます。そうならないためにもお客様とKPIを設定・合意してROIが明確にわかるように取り組んでいます。
現場はもちろん経営層も含めて、全員が無理なく使いこなせる生成AIソリューションをご提案
―― 生成AIを使ってみたいと思ってもなかなか一歩踏み出せないお客様とか、費用がかかるだろうから自社には無理だと思っているお客様もいると思います。そんなお客様に対しては、具体的にどのような提案をしているのでしょうか。
袴田氏: 当社では、どんな企業においても定例業務が必ずあると思っています。しかも、その業務が何かしらの理由で属人化していたり、難しいシステムを使わないといけなかったりすることも良く耳にします。まずは、そういった「自社に独自の定例業務」をAIを用いて効率化してみませんかという提案をして、そのうえで導入効果も明確にできますよとアピールしています。
もうひとつの視点では、当社ではAIのソリューションを使いこなせないと意味がないと考えています。そこで、「経営者の方々や事業責任者の人たち」、つまり現場はもちろん、さらにはその上長まで含めて「全員が使えるツールを作りましょう」と提案しています。
そのうえで、私はじつは「最初から100%を目指した完璧なシステム」ではなくてもいいと思っています。スモールスタートという言葉もありますが、「まずはここから生成AIを活用していく」、まずは、「ここまでの精度でかまわないので生成AIを活用してみる」、その結果をもとに人がフォローして精度を高めていくという使い方があっても良いと考えています。そんな提案をすることもありますね。
当社では、これからの時代はどのような業種・業界でもAIをうまく利活用しないと、ビジネスのスピードに乗り遅れることになってくると考えています。特に金融業界は、他の分野に比べてAI導入が遅れているのが実情です。しかし、これは裏を返せば、AIおよび関連技術を効果的に導入することで、競合他社との間に明確なアドバンテージを築ける大きなチャンスがあることを意味します。当社は、金融分野における深い専門知識と、AI・ITに関する高度な知見および技術力を兼ね備えています。この独自の強みを活かし、金融業界に特化したAIソリューションの導入から活用までを一貫してご支援し、お客様のビジネス革新に貢献いたします。