ECサイトを構築して新たな販路を切り開きたいと考える企業は多い。ECサイトの新規構築、特に既存ビジネスの販路拡大としてECを検討しているのならば、迷わずECサイト構築パッケージ「EC-CUBE」を使うべきだと提唱するのは、神奈川県横浜市に本拠を構えるソフトウェア開発会社であるアプテック株式会社の代表取締役 倉石 太郎氏。その理由を詳しく伺いました。
ECサイト構築パッケージEC-CUBEを使い続け、豊富なノウハウと技術を蓄積。社内にはEC-CUBEのエキスパートも在籍中!
―― アプテック様は、さまざまなシステムの開発やWebサイトの構築を手掛けていらっしゃいますが、今回、御社のECサイト構築について詳しく話をお聞かせください。
アプテック 倉石氏: 当社では、幅広い業種のお客様に向け、Webシステム開発、ECサイト構築、ホームページの制作などをご提供しています。その中でもECサイトの構築は業務システムの開発と並んでサイトの保守サポート業務もご発注いただくことが多く、必然的にお客様と長いお付き合いに発展しています。そうしたこともあり、お客様に寄り添うことを大切にしている当社としても、ECサイトの構築は注力している分野の1つです。
―― 御社ではECサイトの構築にEC-CUBEを利用することが多いとお聞きしました。
倉石氏: はい。当社は多くの場合、EC-CUBEというパッケージソフトウェアを利用してECサイトを構築しています。EC-CUBEは日本発EC構築パッケージのロングセラーで、国内で35,000店舗以上が実稼働している実績を持ち、IT業界でも定評があります。
―― 具体的にどのような点で人気を博しているのでしょうか。
倉石氏: パッケージソフトウェアということで、EC-CUBE単体で基本的な機能を備えているため、イチから作り上げていくスクラッチ開発に比べると開発工数も少なく、納期面やコスト面で大きなメリットがあります。一般的なECサイトに必要な機能として、ユーザー情報の入力・管理、ユーザー認証、商品の検索・閲覧、商品のカートへの追加、決済といった標準機能がパッケージされているため、短期間に安定したECサイトを完成させることが可能です。しかもそれら1つ1つの機能は、これまでに数多くのサイトで使われてきており、一定の年月をかけて、機能面の充実や、信頼性の向上が図られています。また、EC-CUBEはオープンソースのソフトウェアのためカスタマイズが可能となっています。お客様のビジネスに特化した多様なニーズや独自性の高いご要望にもお応えしやすくなっています。
―― 確かにEC-CUBEを使ってECサイト構築している開発会社さんは多いという印象があります。
倉石氏: それもEC-CUBEが人気パッケージであるからこそと言えるでしょう。しかし、そうした多くの開発会社の中でも当社はEC-CUBEについてのノウハウが豊富であると自負しています。当社では、2008年リリースのEC-CUBEバージョン2の頃から、最新バージョンである4.2(2023年4月)まで一貫して使い続けてきました。そのため、豊富な知見が社内に蓄積されているほか、EC-CUBEにかなり精通したエキスパートと呼べる人物も在籍しています。こうした知見やヒューマンリソースを活かして、お客様のあらゆるご要望に柔軟にお応えしながらサイトの構築を行っています。他社で難しいからと断られた仕様も、当社なら実現・実装できることがあるかもしれません。ぜひ、一度、ご相談していただきければと思います。
単純な物販ならクラウドサービスもOK!でも自社の特徴あるビジネスをEC化したいならEC-CUBEをオススメします
―― コストや納期という面ではShopifyやBASEといったクラウドサービスも人気です。それらに対するEC-CUBEのメリットはどこにありますか?
倉石氏: 当社ではBASEを使ったECサイトの構築も手掛けています。単純な物販だけなら、そうしたクラウドサービスで構築するのもありだと思います。こうしたクラウドサービスは、ECの入門としては最適です。デザインテンプレートがどんどん増えているため、独自のデザインのショップを簡単に構築できますし、基本無料で使えるという点が人気の秘密でしょう。たとえば自分で作成したアクセサリー小物を販売したいというのであれば、経費の面を考えてもBASEを使うほうが断然お勧めです。ただし、画面からBASEロゴを消したい、独自ドメインで運用したいなど、やりたいことが増えてくると、すぐにコストが付いて廻ることも認識しておくべきでしょう。
もともとビジネスが確立していて、そのワークフローやシステムの中にECでの販売も取り入れていこうということなら話が変わってきます。
単純に商品を並べて販売するだけでなく、販売管理、生産管理、在庫管理など、既存のシステムとの連携させたい場合や、受注や販売に際して特別な処理が必要な場合など、クラウドサービスでは、そもそも対応できないことも少なくありません。EC-CUBEのカスタマイズの自由度の高さが大きくものを言います。
標準的な売り方、配送方法ならば問題はありませんが、たとえばECサイトと実店舗で同じ在庫を管理しているケースのように実店舗や他の流通経路がすでに確立されているところにECを加えるとなると、在庫管理システムとの連携・連動といった部分で、カスタマイズが必要になります。ECの導入を機に、これまでのやり方を捨てる覚悟があれば、ワークフローをECに合わせてしまうこともできますが、これまでのやり方にECを取り込んでいくためには、程度の多少はあれ、何らかの形でEC側をカスタマイズする必要があるでしょう。
―― 既存の在庫管理や販売管理との連携・連動は確かにニーズが多そうです。一方で、受注や販売に特別な処理が必要な場合というのは、どのようなケースが考えられますか?
倉石氏: 当社が手掛けた事例ですと、薬剤師さん向けの資料・教材の販売サイトがあります。別のeラーニングサイトで講座を受講している人だけに関連教材を販売したいというご要望がありました。ECサイト側の手順としては、教材をカートに入れて、レジで決済する際に該当するeラーニングサイトの会員として対象となる講座を受講しているかどうかを確認したい、というものでした。EC-CUBEのカスタマイズが必要で、eラーニングサイトとの間で確認するための処理と画面を間に入れる必要がありました。eラーニングサイトから受け取った講座の種別を基に購入する教材が適切かどうかを判定して決済に進むようにしています。そのほかにも、指定の雑誌の購読者でなければ購入できない仕組みが必要ということで、購読会員のDBに照会するECサイトもありました。
プラグインを使えばカスタマイズの予算も工数も抑えられる。プラグインで間に合わなければ開発を伴うカスタマイズで解決可能!
―― EC-CUBEをカスタマイズすると、予算や工数もかかるのでしょうか。
倉石氏: それはケースバイケースです。EC-CUBEはバージョン3から、プラグインが使えるようになっています。プラグインは機能拡張のためにモジュール化されたソフトウェアで、これを追加することでEC-CUBEの機能を拡張できます。数多くの有料プラグインも登場しており、何か機能を追加したいときには、EC-CUBEのプラグインストアを探すと、かなりの確率で目的のものが見つかります。バージョン2の時代は、機能を拡張するために直接内部のソースコードを書き変えていましたから、それに比べれば予算も工数も抑えられるようになりました。
EC-CUBEの導入は、内容次第ですが70~120万円ほどかかります。そこに1つカスタマイズの機能を加えるたびに10万円程度が上乗せされていく感じで捉えておかれると良いかもしれません。
―― プラグインで用意されていない機能拡張はできないのでしょうか。
倉石氏: プラグインが用意されていない場合は、直接ソースコードを書き変えてカスタマイズしていきます。これができるのでEC-CUBEのご提案の幅が大きく広がります。当社は、バージョン2の時代から内部のソースコードに触れてきました。バージョン3で内部の仕様が大きく変わりましたが、そうしたところもすべてキャッチアップしています。お客様のご要望にとことん寄せていくことができるものと自負しています。
また、既存のプラグインが使えそうで使えないというケースがあります。一例を上げると、定期購入については決済会社側がプラグインを作成しています。しかし、当社が手掛けたサプリ販売のサイトでは、ご年配のお客様が購入されることが多いため、電話による注文も受け付けることにしていました。ECのワークフローに電話での注文処理も加えるという感じです。オペレータが顧客データベースに登録し、電話によるご注文のタイミングで、ECサイトと同じ流れで決済や配送手配をしたいということで、オペレータが使う管理画面をカスタマイズする必要がありました。不定期の購入から定期購入に変更をご希望された場合に、どう処理するかなど、既存のプラグインだけでは完全に解決できない部分が残るため、実装に苦心しました。このようにプラグイン自体にカスタマイズを加えて機能をさらに拡張する必要が生じることもあります。
ECにビジネスを合わせるのではなく、ビジネスにECを合わせる。アプテックはお客様のビジネスを尊重したECサイトをご提案します!
―― そのほかにもEC-CUBEの方が向いているケースはありますか?
倉石氏: 工業用の部品の販売とか、商品アイテム数が多いような業態ではクラウドサービスでのEC構築は向かないかもしれません。商品ごとに説明文をつけるだけでなく、まずトップに商品全体の特徴を紹介するページを置くとか、あるいはホームページの一部に販売機能を付加するという場合には、EC-CUBEが向いています。EC-CUBEで構築すれば、いろいろなブランドの案内やコンセプトの紹介があり、そこから絞り込んでいって商品を購入するという流れを作り出すことができます。
ただし、これは人気のCMS(コンテンツ管理システム)であるWordPressにECプラグインを追加して実現することもできます。コンテンツを重視するサイトに、ショップ機能を付けるという意味では選択肢になりますが、あくまでもECはプラグインによる機能拡張に過ぎません。ECを主体に考えるならばEC-CUBEの方が、きめ細かく多様な展開が可能です。どちらを主体に据えたいかで、選択結果は違ってくるでしょう。
―― 最後に、あらためてEC-CUBEはどのようなお客様にお勧めできますでしょうか。
倉石氏: 実店舗で長くやってきたお客様なら、受注から出荷までの現場の流れはすでに確立されているので、ECを始めても、その流れをうまく使いたいという考えがあるはずです。既存システムとの連携も、オンラインで接続する方法から、一度ExcelやCSV形式のデータファイルを介して受け渡すという方法だってあります。今あるビジネスをそのままに、新たにECも展開していきたいというお客様は、ぜひ当社にご相談ください。お客様のビジネスを尊重し、最適なご提案をさせていただきます。
また、すでにECサイトがあり、社内外からいろいろな要望が上がっているけれど、ベンダーに相談しても解決できずにいて、あきらめかけているというお客様も、当社なら解決できるかもしれません。こちらも、ぜひ一度ご相談ください。
当社は、BASEのようなクラウドサービスの利用、WordPressのプラグインを使ったECの展開、さらにはスクラッチ開発によるECサイト構築も手掛けた経験があります。そうした数々の経験を踏まえた上で、ECサイトの構築にEC-CUBEを推奨しています。ECサイトをご発注の際は、ぜひ技術と経験が豊富なアプテックをご指名ください。
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