株式会社caseは、動画制作のベンチャー企業に新卒で入社して企業向けの各種の動画制作に営業、プロデューサー、ディレクターとして携わり、その後TVCMなどのクリエイティブ制作会社から業務委託を受けて、大企業などのプロモーション案件で動画を含む各種のクリエイティブ制作案件でプロジェクトマネジメント経験を積んだ加藤智史氏が、2023年8月に立ち上げた会社です。多数の動画制作に携わった経験を活かし、企業向けの採用動画やプロモーション動画などの動画制作事業を展開するとともに、動画制作を外注する際のノウハウ記事に特化した国内最大級のWebメディア「case」を運営しています。
「すべて私がフロントに立ってお客様と一気通貫のコミュニケーションを取ります」という加藤氏に、株式会社caseの競合他社との違いや強みについてお話を伺いました。
400件以上の動画制作に携わり、営業から納品までプロセス全てを熟知
―― 株式会社case設立の背景や事業展開にあたっては、動画制作ベンチャーやTVCMなどのクリエイティブ制作会社での影響が大きいと思います。どのような経験をされたのか教えていただけますか。
case 加藤氏: 2012年に新卒として動画制作のベンチャー企業に入社し、お客様へのテレアポから提案、受注する営業フェーズと、受注後の案件の進行管理というプロデュースの部分を担当しました。制作においては、外注クリエイターの選定・依頼、制作チーム作り、クリエイティブの管理、予算の管理、スケジュール管理など、商談から納品までの全工程をお客様と密にコミュニケーションを取りながら進めるという貴重な経験を積み重ねてきました。
その後、IT企業を経て2021年に独立してフリーランスになり、TVCMなどのクリエイティブを制作する会社で、数百万から数千万円規模の広告案件のプロジェクトマネジメントなどを担当して、数十万円〜300万円くらいの案件と、500〜数千万円の案件における営業・提案は、プロジェクトマネジメントのノウハウが全く異なることを知りました。
企業が動画制作を外注する際に、知りたい情報が詰まったWebメディア「case」を運用
―― 株式会社caseを起業しようと考えた理由を教えてください。起業とWeb メディアのcaseとはどのように関係しているのでしょうか。
加藤氏: 独立して2年ほど経った頃、仕事が一旦途切れた際に、一度自分で会社を立ち上げてチャレンジするにはいい機会かなと思いました。動画制作の外注ノウハウ記事を発信するcaseというWebメディアは2018年に始めていました。ただあまり手をかけていなかったのですが、会社を立ち上げるにあたってcaseに本腰を入れて情報発信をし、集客すると良いのではないかと考えました。
メディアのcase始めた当時は、動画制作の外注ノウハウというところにフォーカスして情報発信しているメディアはなかったので、記事を載せれば検索上位が簡単に取れる状態だったのですが、2023年になると同じテーマでいろいろな会社が発信していて、caseは埋もれている状況でした。それを見て、自分が2018年に考えていたことは間違っていなかったと5年たって答え合わせを出来たように思えました。
企業のオウンドメディアは基本的には外注していることが多く、実際の記事はコンテンツマーケティングをやっているようなライターが書いていると見受けられるものが多くあります。実際の動画制作の経験はおそらくないのだろうなと。その点で、caseの全ての記事は私の10年ほどの実体験とノウハウに基づいてすべての記事を私自身が書いています。小さなものから大きなものまで数百件以上の案件に携わったことでプロジェクトマネジメントのスキルも上がったと思っているので、caseを通じて相談が来れば、他社に負けない提案ができるし、信頼も得られるという自信があったことが会社立ち上げの背景になっています。
経営効率を必要以上に追い求めず、優秀な制作チームと共に価値の高い動画を提供することでお客様の信頼を得る
―― ご自身の会社としてやりたいこと、また強みはどんなところでしょうか。
加藤氏: ただ動画を作るのではなくてきちんと意味や効果のある動画を作りたいと思っているお客さんに対して、きちんとした価値を提供したいと思っています。ある程度の社員を抱える制作会社になると、ビジネスとしてはたくさんの案件をこなしていくこと、経営としては高い効率を求めていくことになります。
いかに効率よく案件を回していくかというような話になったとき、一般的には営業は受注するまでが担当、その後はプロデューサーが制作管理をしていきます。このとき、1人のプロデューサーが目の届く範囲で回せる案件には限りがあるので、さらに効率をあげようとすると、制作を丸投げできる外部クリエイターを探すという方向になりがちです。そうすると、お客様の満足度が下がったり、営業に提案してもらった内容と制作時の内容にずれが出たり、さらにはさまざまな担当とコミュニケーションするなかで齟齬が起きたりします。こうなると外注先のクリエイターからも、丸投げで何もサポートがないとか、その割にお金が、といった不満が出てきます。
それは健全な状態ではないですよね。株式会社caseでは、私1人でやっているということもありますが、営業から納品までお客さんに対しては私がフロントに立って一貫してコミュニケーションすることで、信頼を勝ち得たり、満足度を上げたりといったことをやりたいと思っています。クリエイティブの制作には、これまでさまざまな案件で動画制作をしてきたクリエイターの中から、実績も実力もある方を厳選して、ほかの制作会社ではできないような高いレベルの制作チームを編成して取り組みます。
―― 株式会社caseと、それ以前のベンチャー時代、フリーランス時代を含めて、動画制作の経験についてもう少し具体的に教えていただけますか。
加藤氏: 新卒で入社した動画ベンチャーでは、採用向け、広告、会社紹介、製品・サービス紹介などかなり幅広いジャンルで、実写だけでなくアニメーションなども含めて企業PR案件をいろいろやらせてもらいました。広告系の制作会社では、大手広告代理店からの下請け案件ではなく、自分たちでお客様を取っていこうという直販部隊のチームがありまして、そこに業務委託としてジョインし、大手飲料メーカーや化粧品メーカー、製薬メーカーなど大企業のプロモーション案件のプロジェクトのマネジメントをやってきました。
企業動画制作案件のボリュームゾーンを狙い、お問い合わせいただいたお客様に確実にご満足いただけるクリエイティブを制作していきたい
―― 株式会社caseが狙っているジャンルや案件の規模などについて教えてください。
加藤氏: ターゲティングやセグメントで絞るようなことはあまり考えていません。オールジャンルで、1本当たり20万~300万くらいの単価の案件をやるというのが現状の方針です。このくらいの規模感であれば、営業から納品まで私が責任を持って目の届く範囲でコントロールできる、マネジメントしやすいというのが理由です。企業が制作会社に直接問い合わせをして動画制作しようとする案件では、この規模がボリュームゾーンです。これ以上の規模になると代理店が入ってくることが多くなりますので。
インターネットで動画制作の情報を探してWebメディアのcaseを見てくれた企業からの問い合わせに対して、営業をかけて受注するという流れです。メディアのcaseは会社のWebサイトの一コーナーではなく、独立した専門メディアとしての位置づけなので、問い合わせいただいたらそのまま「じゃあcaseさんでお願いします」と言っていただけることも少しずつ増えてきました。営業プロセスの一部をメディアのcaseに任せている形ですので、その分営業コストは下がり、それだけクリエイティブにコストがかけられることになり、結果としてクリエイティブのクオリティが向上することにつながります。それでお客様満足度が上がれば、リピーターになってくれるところも出てくるはずで、そのサイクルを回していければいいなと考えています。
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