東京・渋谷を拠点にシステム受託開発と自社開発したユニークなマッチングサービスを提供している株式会社CLOCK・IT。人材や教育、介護、物流、運輸などさまざまなビジネスシーンで「マッチング」の仕組みを利用した新しいサービスが登場している中、同社はノーコードで企業が簡単に自社のマッチングサービスを構築できる「Matching Match(マッチングマッチ)」を開発しました。同社の代表取締役 飯沼 優輔氏に「Matching Match」の開発の経緯と特徴についてお話を伺いました。
マッチングサービスを作りたいというお客様のニーズに対応するために
―― 御社はこれまでにシステムの受託開発だけでなく、ユニークな自社サービスもさまざまに提供していらっしゃいますね。
CLOCK・IT 飯沼氏: 当社は、大学生をターゲットにした広告入りノート「0円ノート(応援ノート)」など、アイデアに富んだ広告関連事業を展開してきた株式会社CLOCK・ONグループの中で各種ITサービスのプラットフォーム開発を担っています。CLOCK・ONグループ以外のお客様向けにも業務システムやWebシステムの受託開発を手がけているほか、自社サービスとしてベビーシッターのマッチングサイト「mamacoco(ママココ)」、フリーランスのマッチングプラットフォーム「Freebace」などをイチから企画・開発し、サービスとして運用してきた実績があります。
―― 「mamacoco(ママココ)」や「Freebace」といったマッチングサービスを自社で運営されているのがユニークですね。そうした中で、このほどマッチングサイト構築サービス「Matching Match」を開発されました。この背景にはどのようなことがあったのでしょうか。
飯沼氏: お客様からさまざまなシステムの受託開発を請け負ってきた中で、最近、マッチングサイトやマッチングサービスのプラットフォームを作って欲しいというお問い合わせやご依頼をいただくことが増えてきました。
特に、新型コロナウイルス感染症の拡大で緊急事態宣言が出たころを境に、以前のような対面での営業活動、商談、面談などが難しくなったこともあり、オンラインで人と人、人と企業やサービス、企業同士が出会えるマッチングサービスへのニーズが高まっています。そんなこともあって、当社のお客様でも自社でマッチングサービスを新規事業として展開してみたいというところが増えきています。
―― 確かにビジネスにおける人の動きや出会いが制限され、中堅・中小企業はどうやってビジネスチャンスを拡大しようか、頭を悩めていますね。テレアポしようと電話しても在宅勤務で出社している従業員が少ないですし…。だからマッチングサービスへのニーズは高まっているのですね。
飯沼氏: これまで、製造や流通、物販などさまざまな事業を展開してきたお客様からも新規事業として今後はオンラインでサービスを提供したいと、マッチングサービスを始めようとしているケースもあります。一方、自社のDX推進に向けた新しいプラットフォームを作りたいということで、マッチングサービスを検討するお客様もいらっしゃいます。
そうしたお客様のニーズに対し当社はこれまで、お客様のご要望を一つひとつ分解し整理して、システム要件を詰めてイチから作るようなスクラッチ開発のご提案をしてきたのですが、お客様の納期のご希望やご予算の制限があってうまく進まないこともありました。
そこで、当社が蓄積してきたマッチングサイト構築のノウハウをまとめ、汎用的に活用できるパッケージを作ることで、お客様のご要望にもっと広く、安価に迅速に対応できるようにしたいと考えたのです。
ノーコードで始められるマッチングサイト構築サービス
―― 御社のMatching Matchは、どのようなサービスですか。特徴を具体的に教えていただけますか。
飯沼氏: Matching Matchとは、マッチングサービスをノーコードで手軽に構築できるサービスです。お客様の作業はテンプレートを選ぶことと、マッチングサービスに盛り込みたい機能を選ぶだけです。その2ステップが済むと、次に当社で問題なくサービスを提供できるかを確認し、問題なければ即サービス提供開始となります。
お客様にしてみれば、わずか2つの作業だけで必要な機能を盛り込んだマッチングサービスの提供が可能になるのが大きな魅力です。サーバーの準備や管理・運用の必要もありません。
このMatching Matchには、当社のこれまでのマッチングサービスの開発・運用の経験から蓄積されたノウハウや知見が随所に込められています。ノーコードで非常に手軽にマッチングサービスを作れてしまうのですが、完成度はとても高いものができると自負しています。ぜひ、多くのお客様にお使いいただきたいですね。
―― 具体的に、どのようなマッチングサービスを構築できるのでしょうか。
飯沼氏: マッチングサービスには、いくつかの典型的なモデルがあるのですが、たいていのモデルには対応できます。 例えば、当社が提供しているベビーシッターや家事代行といった「時給見積モデル」、発注ナビのような特定の専門家とお仕事のニーズをマッチングさせる「案件紹介モデル」、不動産物件の検索とマッチング、求人といった「掲載料モデル」、その他にもサービスを通じて実際に顧客を送客したら費用が発生する「成果報酬モデル」、「登録料モデル」、「サブスクリプションモデル」、美容師やネイリストを予約できる「メニュー予約モデル」といったマッチングサービスを構築できます。
アイデア次第で、本当にさまざまなニーズに対応できるマッチングサービスを作れると思います。
―― マッチングサービスを初めて作るお客様も多いと思いますが、経験や知見、ノウハウが豊富な御社ならではサポートも受けられるのですか。
飯沼氏: マッチングサービスを作るのが初めてだと、どんな機能を盛り込めばよいのかわからないかもしれませんね。リリース後にどのようなことが起きるかも想定できないでしょう。そのようなご相談にも対応して、ご支援しています。万一、トラブルが発生した際にも当社がサポートしますので、安心してご利用いただけます。
初期サービスとしてはアカウント発行、ドメイン設定、公開審査のサービスを提供しており、ご利用プランの「スタンダード」をお選びいただくと、メール、チャットでのお問い合わせとあわせてお客様は電話サポートと導入サポートを受けられます。
なお、Matching Matchで構築したサービスは基本的にはSaaSでのご提供になります。ただし実際には構築したサービスの運用が軌道に乗ってくると、「こんな機能も追加したい」「こんな対策も必要」といったご要望が出てくると思います。そんなときには、SaaSから切り離して、スクラッチ開発でお客様がご要望の機能を追加していくことができます。
通常、パッケージのサービスをカスタマイズしたいとなると、結構高額な費用をかけて最初からスクラッチに近い形で作り変える必要が出てきますが、当社なら全体を作りなおすのではなく、使ってきたものをベースに必要な機能だけを個別にスクラッチで開発して追加したり置き換えたりできます。安価に短納期で対応できます。
サービスやアイデアのPoCやMVPにもMatching Matchを使ってほしい
―― なるほど。まずはスモールスタートでマッチングサービスを提供開始して、市場のニーズがどれだけあるのかPoC(概念実証)をしたいといったお客様にも適したサービスなのですね。
飯沼氏: そうですね。特に新規事業のためのマッチングサービスを考えているお客様には適していると思います。Matching MatchでPoCをしたり、Matching Matchで作ったサービスをMVPとしてビジネスモデルを検証したり、使い方はさまざまです。ビジネスとして「これは行ける」と判断されたら本格的に、フルスクラッチで作るというご相談にも、もちろん対応可能です。
―― 冒頭にDX推進に向けた新しい事業としてのマッチングサービスのお問い合わせがあると伺いました。いわゆるITからは遠い業種の企業が、自社の製品やサービスとそれを欲しがる新規顧客をマッチングしたいといったニーズにも対応できるのですか。
飯沼氏: 例えば、人材紹介業のお客様が、人の眼だけでなくITの力も借りて適材適所に紹介していきたいとして活用されている例があります。物流業の配達員の人材不足を解消したいとして、個人ドライバーのマッチングサイトを構築されたお客様の例もあります。機械の部品メーカー様から「うちの部品がほしい企業と直接マッチングできないか」とご相談いただいた例もあります。農家のお客様が採れたての農作物を直接消費者に届けたいといった場合にでも、もちろんマッチングサービスを構築するといったことは有効でしょう。活用可能な場所・モノ・スキルなどを共有して利用するシェアリングエコノミーでも、マッチングの仕組みが活用されています。BtoCもBtoBも、本当にさまざまな事業がマッチングの仕組みを活用し始めているので、今後の可能性は大きく広がっていると感じています。
じつは、こうした新しいニーズは前々からあったのです。ただ、以前はマッチングサービスを構築するとなると、システム規模にかかわらずスクラッチ開発するしか選択肢がない状況でした。ですから、少なくとも数百万円単位の費用がかかってしまい、費用に見合う効果を期待できるのかと、PoCすらなかなか進まないのが実情だったのです。
しかし、安価な費用でマッチングサービスを素早く作れるMatching Matchなら、もっと気軽に、多くのお客様が気軽に第一歩を踏み出せるのではないでしょうか。「DX推進で何かしなければならないけれど、何年も経っているのに何もできていない」という中小企業のお客様にこそ、当社のMatching Matchで「何か」を始めていただきたいと思います。
さまざまな業種、さまざまな目的に「マッチングサービス」が有効に機能するということ、そしてMatching Matchという安価で便利に自由にマッチングサイトを構築できるパッケージがあるということを、まずは広く知っていただきたいと思っています。単に「出会うだけのサイト」ではなく、アイデアによって可能性は無限大に広がり、ビジネスの活性化にも大きく貢献できるサービスであると確信しています。 ぜひお気軽にご相談いただければと思います。