「海外で開発するのって品質的にどうなの?」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、そのイメージは、そろそろアップデートが必要かもしれません。今やオフショア開発ではなくグローバル開発の時代に突入していると語るのは、株式会社J&Cカンパニーの代表である大塚浩文氏。
岡山の開発会社である同社が、世界的に名の知れた企業からアプリ開発を受注できたのも、グローバル開発によるところが大きい。また、同社は外国人エンジニアを社内に導入したいという企業の相談にも応じているとのこと。グローバル開発を通じて日本企業を元気にしていくという同社は、どのような会社なのか、大塚氏に詳しくお話を伺いました。
「元気グローバル」を合言葉に日本企業を元気にしていくシステム開発企業
―― J&Cカンパニー様の特徴について教えてください。
大塚氏: 当社は「元気グローバル」を合言葉に、岡山に拠点を構えながら、中国にある開発パートナー企業2社と連携し、グローバル開発を行いながら、日本を元気にしていくシステムソフトウェア開発会社です。私がコンサル領域も得意としているため、ITコンサル的なところから、上流工程、下流工程までを、ワンストップで対応可能です。

代表取締役
大塚浩文氏
Webシステム設計開発、アプリ開発、業務システム開発、DXソフトウェア開発等で成長を続けています。また自社製品としてクラウドサービス「つながるワークス」事業、AI顔認証による体温検知ソリューション「SmilingFace」の販売なども行っています。
設立以来、当社のシステム開発実績はすでに1000を超えています。開発スタイルはアジャイル型、スクラム型の開発を主体としておりますので、単なる請負型受託開発と違い、お客様のニーズに柔軟に対応しながら開発を進められます。
―― グローバル開発というのは、いわゆるオフショア開発とは違うのでしょうか。
大塚氏: 従来のオフショア開発とは、日本側でコンサルや上流工程を行い、プログラミングなどの下流工程を人件費の安い中国などの海外で行うというイメージではないでしょうか。
―― はい。間にブリッジエンジニアが入って国内の上流工程と、海外の下流工程とをつなぎ、開発を行うという印象があります。
大塚氏: 私たちは、そろそろその認識をアップデートする必要があるかもしれません。先般、世間を賑わわせたAIソリューションDeepSeekに象徴されるように、中国のソフトウェア開発力は一昔前に比べて各段に向上しており、すでに「下流工程を下請けに出す」という状況ではありません。現在では、上流下流に関係なく、国を超えて、協力しながら一つのプロダクトを開発していくというスタイルに変わりつつあります。
また、国内では人手不足が大きな課題となっており、ソフトウェア開発各社も開発需要に応じたエンジニアをいかに調達するかに頭を悩ませています。かつてはコスト削減のために海外の開発力を頼ってきましたが、現在は優秀なエンジニアを揃えるために頼っているという側面もあります。このように実態は変わりつつあるのに「オフショア開発」というとかつてのイメージで解釈されてしまうため、現在の関係性を当社ではグローバル開発と呼んでいます。
―― 日本の抱える社会課題の解消にも取り組んでいるということですね。
大塚氏: 日本ではいわゆる「失われた30年」として、長らく景気が後退してきました。ようやく今、それを脱却しようとしています。当社は、システムソフトウェアの開発を通じて、そんな日本を元気にしていきたいと考えています。
世界的に知られる保険会社からも受注! 業界・業種・儀重領域を問わず、お客様のニーズに応えるシステム開発
―― お客様の業界・業種などに傾向はありますか。
大塚氏: 当社では、業界や業種に関わらず、さまざまなシステムの開発を行っています。会計や顧客管理といった一般的な業務システムはもちろんですが、企業の基幹業務に踏み込んだシステムの開発にも積極的に取り組んでいます。また、技術面についても、幅広い技術領域に対応が可能です。
―― 技術面で興味深い開発実績があれば教えてください。
大塚氏: そうですね。たとえば、世界的に名前を知られるある保険会社様からのご依頼でスマホ用のアプリを開発しました。内容は、スマホのジャイロセンサーやカメラ等から情報を取得して、保険加入者の健康に関するデータを管理するというものです。起床時の網膜や顔色などからノイローゼの症状を判別し、保険料の割引が得られるというもので、アプリを通じてオンライン診療も受けられるようになっています。すでにリリースされていて、ユーザー数も増えており、発注元である保険会社様にも大変喜んでいただけています。
―― それほど有名な大手企業から受注できたのは、なぜでしょう。
大塚氏: 外資系企業ということで、お客様サイドの動きも、とても早かったのですが当社がそこにお応えできたのだと思います。1カ月以内でモックアップを作って欲しい、今度はそこから3カ月で動くものを作り上げて欲しいという、次々と上がってくるご要望にお応えしてクリアしていくうちに「この会社なら大丈夫」と信頼していただけたようです。この案件では私がコンサルティングを担当し、主に中国人の技術者が開発を担当しています。
―― こうした大きな案件は多いのですか。
大塚氏: いいえ。小さな案件も数多く手掛けています。むしろ件数から言えば、中小規模の案件の方が多いかもしれません。
たとえば、これまで社内のPCでAccessやExcelで処理していた業務があったものの、担当社員が退職したり異動になったりして、改修ができなくなってしまい、それを機にシステムを導入したいというケースは多いですね。
―― ExcelやAccessから、きちんとした業務システムへということですね。既存システムの改修やリニューアルはいかがでしょう。
大塚氏: そうしたニーズもたくさんあります。昔から使っているシステムを現在の業務に最適化したいというご要望にもお応えしています。
―― 改修やリニューアルを検討している企業が困っているケースとして、既存システムのドキュメントやソースプログラムが失われているというものがあります。
大塚氏: そういうケースも当社にお任せください。オフィスで利用するシステムはもちろんですが、たとえば工場のライン制御などで、制御用のPLCや、アセンブリ言語のソースしか残っていないというお客様の、ライン制御システムをリニューアルするという案件も手掛けた実績があります。そのほか、かつてオフコンやビジコンと呼ばれるコンピュータ上でCOBOLのようなプログラミング言語で開発されたシステムを、今の技術に置き替えるモダナイズの案件も手掛けています。
―― レガシーシステムや古くなった技術に精通しているエンジニアさんも揃っているのですね。
大塚氏: それもありますが、そもそも当社が上流工程に強いため、システム全体を見通すことができ、既存システムの仕様を確かめながら、要件を再定義することができる、というのが大きいですね。
個別の技術への対応は、当社が推進するグローバル開発で、知識やスキルを持つエンジニアを広く集めることができるというのが強みになっていると思います。
システムのリニューアルで言うと、ドキュメントが残っていない金融システムのリニューアルを行った実績もあります。この時は、ソースプログラムを解析して処理の流れを追っていき全体を把握した上で、要件を再定義し、設計し直しています。また、ある国の電力会社系システムではソースプログラムも失われていたため、リバースエンジニアリングや逆コンパイルなども行いながら、システムの仕様書を逆起こししたこともあります。
―― 新規システムの開発から既存システムの改修やリニューアルまで、いろいろなことをお願いできるのは心強いですね。
大塚氏: 当社では「NOと言わない」ことを心がけています。唯一「NO」と言うとすれば「下流工程だけをやって欲しい」というようなケースでしょうか。
「システム提案までは無料」なのはエンジニアに120%の力を発揮してもらうための取り組み
――「NOと言わない」というのは、相談しても断られないということですか。
大塚氏: 相談は一度すべてお受けします。そこからお客様のビジネスや既存システムを解析し、予算も勘案した上で「こうやったら良いのでは?」という提案を行うようにしています。ちなみに、この提案まではすべて無料で行っています。
―― 無料というのは嬉しいですね。
大塚氏: はい。その提案を気に入ってもらえたら、すぐに取り掛かりましょうというスタンスです。もちろん既存システムの改修などでソースを分析できずに「あきらめましょう」という結論に至ることもあります。しかし、そのような結論でお金を頂くわけにはいきません。ですから一律、提案までは無料にしています。
―― しかし、提案作成まで過程でエンジニアさんは動くはず。それでは採算が取れないのではないですか。
大塚氏: 実はこれ、エンジニア対策でもあるのです。提案作成までに時間も工数もかかりますから、これを無料にしたらビジネス的にはアウトです。しかしエンジニアたちのモチベーションの維持には効果があります。エンジニアには、より新しいものや、これまで世の中になかったものを作りたい、という欲求が常にあります。この欲求を満たすことで、その持てる力を120%発揮してくれるのです。
―― 確かに、人は好きなこと、面白いことに熱中します。
大塚氏: 提案の作成には、いたるところに新しい要素を盛り込む余地がありますから、エンジニアにとっては良い刺激になります。結果として、当社の成果物の品質を担保するのにも効果があります。
―― そういう意味では、先ほどの保険会社のアプリ開発事例のように、これまで世の中になかったようなシステムの開発だと、より一層面白い提案が期待できそうですね。
大塚氏: まったく新しいビジネスを始めるスタートアップ企業のような場合には、プロトタイプを作って、実証実験を行い、ある程度の方向性を打ち出してから本格開発へ移行するということもあります。
しかし既知のシステムだからといって提案の手を抜くわけではありません。お客様の課題をどう解決するか。たとえば既存システムを作り直すのではなく、最新の環境にマイグレーション(移行)することで、お客様の課題を解決できることもあります。新たな開発は発生しなくても、そのマイグレーションをどう実現するのかを工夫するところが刺激になるのです。
―― なるほど。だから下流工程のような言われた通りに作るだけという依頼は「NO」なのですね。
外国人エンジニアを社内に迎えたいというお客様にも、さまざまなアドバイスやサポートをご提供
―― システム開発の受託だけでなく、外国人エンジニアとの接点も開拓しているとのことですが。
大塚氏: はい。社内に技術者がおらず、パートナー企業だけではシステムの大規模なリニューアルや、高度技術への対応が難しいと悩んでいるお客様に向けて、外国人エンジニア導入のアドバイスやサポートも行っています。
―― これはエンジニア不足に悩むシステム開発会社さん向けのサービスですか。
大塚氏: システム開発会社はもちろんですが、昨今では自社サービスを自社内で開発している企業も少なくありません。いずれもエンジニア不足は大きな課題となっています。ところが、外国人を迎え入れることには、まだまだ消極的です。その理由の多くは、海外の人を使って失敗した経験があるからというものではなく、むしろ使ったことがないからこその不安が多いようです。代表的なのが、言語や文化の違いから円滑なコミュニケーションが取れないのではないかとか、情報漏洩の心配はないだろうかというものです。
―― 経験がないから怖くて最初の一歩が踏み出せないというケースですね。
大塚氏: 当社には、中国人やマレーシア人のエンジニアも在籍しており、開発チームの一員として日本人エンジニアに混じって大いに活躍してくれています。もちろんここに至るまでには、さまざまな問題をクリアしてきました。
たとえば、外国人エンジニアには、日本語だけでなく、ビジネス上の習慣やマナーなども教えています。コンプライアンスの教育も行うほか、現場では、情報が漏洩しない環境や仕組みも構築しているほか、PMの配置なども適切に行い、グローバル開発においても、プロジェクトをしっかり成功させる開発体制を作り上げています。
こうして先陣を切って海外に展開しているからこそ、蓄積されたノウハウもあり、お客様に対していろいろなアドバイスもできるのです。
当社は岡山に拠点を構えていますが、中国、マレーシア、ベトナム、ラオスなどの方からでも海外とつながれる時代が来ています。エンジニア不足に悩まれているお客様には、怖がらずにまずは一歩踏み出してみることをお勧めします。当社にご相談ください。
これからの10年を目指し、小さな会社ですが真摯に取り組んでいく!
―― 御社が目指す「元気グローバル」がよく分かりました。今後の展望などがあればお聞かせください。
大塚氏: 常にこれからの10年を考えていたいですね。補助金や助成金に頼って開発を持ちかけるのではなく、お客様のビジネスを支援し、投資に見合うだけの利益が生み出せるシステムを提案できる会社でありたいと考えています。これからの10年は、おそらく正解がない時代だと思います。既成概念にとらわれずに、いろいろなことがやれるかどうかがとても大切になるだろうと考えます。これまで見えなかった世界を見に行こうと、勇気を持って新たな一歩を踏み出す。そうして、みんなが元気になっていくのが私たちの描くゴールです。
―― 最後にお客様に向けてメッセージがあればお願いします。
大塚氏: 当社はまだまだ小さな会社ですが、常に真摯に開発に取り組んでいます。これまでに、炎上して解約という案件はありません。納品後もお付き合いが続くお客様がほとんどです。開発のご用命があれば、小さなものでかまいません、ぜひ当社をご指名ください。決して「NO」とは言いません!
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