少子高齢化による労働人口の減少は、すでに私たちの目の前にまでやってきている。企業がエンジニアを採用したくても、なかなか採用できずに悩んでいるのだ。まして、スポット的に人手が欲しいという場合や、急な退職者や求職者を補填するという場合などに、適切な人材を速やかに調達するのは至難の技と言えるかもしれません。
そんな課題を解決するのが、株式会社QuestBoardが提供するSaaS型のタレントプールサービス「クエストボード_」。タレントプールとは、従業員や外部スタッフなど、優秀な人材の情報をあらかじめデータベース化しておくというもので、いざという時の採用効率の向上や、ミスマッチの減少など、さまざまな効果が期待できると言う。そんな「クエストボード_」について、同社 代表取締役である濱田 淳氏に詳しく話を伺いました。
スポット案件の人材調達や将来のリファラル採用にも役立つ自社タレントプール構築サービス「クエストボード_」
―― 「クエストボード_」はどのようなサービスなのですか。
濱田氏: 「クエストボード_」は、副業のためのタレントプール構築を支援するサービスです。副業を希望する人をあらかじめデータベースに登録しておき、スポット案件での人材確保が行えるのはもちろんですが、実績を積んだ人材を正式に採用するなど、採用活動にも役立てることができます。また、現場から案件の通知を行うこともできるほか、支払い処理を当社が代行するところまでサポートしています。

●「クエストボード_」の構成。自社専用のタレントプールを構築して、スポットワークの人材調達や将来のリファラル採用につなげることができる。

●「クエストボード_」の提供機能。支払い業務や税務を株式会社QuestBoardが代行するのも特徴の一つ
―― タレントの登録はどのような形で行うのですか。
濱田氏: 登録作業自体は、構築したタレントプールの運用者が行うのが基本です。退職したり定年を迎えたりしたいわゆる“元社員(アルムナイ)”や、イベント等で知り合った社外の人材、あるいは副業を希望している自社の従業員を登録するといったケースが考えられます。
現状のプロジェクトではスキルセットは会わないけど、今後のためにつないでおきたいという人材なども登録しておくことで、タレントプールを充実させていくという使い方になるのではないでしょうか。
なお、上位プランをお選びいただくと、広く一般から人材を募集する「クエストボード_」の「採用ページ」という機能をご利用いただくことができ、知己のない人材からも、自社のタレントプールに登録する機会が増えます。
―― 案件はどのようにして出すのですか。
濱田氏: 別途登録している現場社員が「クエストボード_」に案件の概要を入力して掲出します。そのため仕事内容や、求める人材のスキルレベルなども詳細かつ具体的に伝えることができます。
他のプラットフォームでは、案件内容が発注企業間でも閲覧できてしまうものがあります。しかし「クエストボード_」では、自社に登録されている人材にだけ案件を見せることができます。そのため会社や事業部がどのようなプロジェクトを進めようとしているかを、不特定多数に知られてしまう、というようなことはありません。
―― 現場の人が直接案件を掲出するというのは面白いですね。
濱田氏: 案件の内容もしっかり伝わる上、複数の応募があった場合に、応募者のプロフィールやスキル、その会社での他の案件での実績などを、現場の目線で確認した上で起用できるため、ミスマッチも大幅に少なくなるという効果があります。
また、こうして現場と登録されているスタッフとの間で、やりとりが緊密化することで、さらなるメリットが生じるケースもあります。
―― それはどのような場合ですか。
濱田氏: 会社としてはマッチングの良い人物を正社員採用の候補とすることができます。自社の案件での実績を積んでおり、現場との相性も確認されているので安心して採用することができます。また、リファラル採用を推進している企業では、知人を紹介して採用されたときに、その紹介者にも何らかのインセンティブを設けていることがありますが、「クエストボード_」を現場の社員が普段から利用していれば、現場の社員は馴染みのある人材を人事部門に紹介しやすくなりますし、インセンティブを手にする機会も増えるでしょう。
―― なるほど。現場の人たちも自信を持って会社に紹介できるということですね。
プランは3つ。無料で使えるフリープランも用意。報酬の支払業務や税務の代行までサポートするので、経理処理に無用な負荷がかからない
―― 「クエストボード_」の利用料金はどのようになっていますか。
濱田氏: 「クエストボード_」の料金プランには、フリープラン(無料)、ベーシックプラン(月額3万円)、プレミアムプラン(月額10万円)の3つがあります。フリープランでは登録可能なタレントの数が15人までに制限されています。他のプランは登録可能なタレント数に制限はありません。また、プレミアムプランでは採用ページが利用できます。そして全プランとも、案件成立時に、案件報酬の10%の支払代行サービス手数料が発生します。

●無料で使えるフリープランを含め、3つのプランの中から選べる。プレミアムプランでは副業希望者に広く閲覧してもらえる採用ページの機能も付く。
―― 支払代行サービスは、どのようなことをしてもらえるのですか。
濱田氏: 私たち株式会社QuestBoardから日本円による銀行口座に振込みます。源泉徴収税の徴収・納付、報酬の支払なども代行しますので「クエストボード_」を利用されている企業の税務や支払業務に無用な負荷はかかりません。
職種を問わず、さまざまなタレントプールが可能。事業を軌道に載せた後の社員採用にも役立つため、スタートアップ企業にもお勧め!
―― 副業者のためのプラットフォームというと、スキマバイト系の求人サイトやクラウドソーシングなどのサービスも競合になりますか。
濱田氏: いずれもスポットワークの人材確保という点では同じに見えるかもしれません。しかし「エストボード_」は、中長期的な視点に立った人材との関係性構築が可能です。登録している人材のプロフィールには、過去に自社のどのようなプロジェクトで仕事をしたのかも記録されます。ロールプレイングゲームのキャラクターのように、いろいろなクエストを経験しながら経験値を上げていくイメージです。
現場の社員も、このプロフィールを参照することで、案件に対する人材のマッチングをある程度推し量ることができるため、起用時の不安も最小限で済みます。
また、スキマバイトというと、どうしてもブルーカラーのイメージが強いですが、「クエストボード_」はどちらかというとホワイトカラーのスポットワークという位置づけになるのではないでしょうか。

●登録された人材のプロフィールには、自己紹介に加えて、スキルセットや過去にどのような案件で実績があるかなどが記載される。現場で案件を発注する社員もこれを参照することで、案件とのマッチングを推し量ることができる。
―― プラットフォーム自体は職種に特化していないので、エンジニアだけでなく、あらゆる職種のタレントプールに使えそうです。
濱田氏: はい。たとえば開発の現場でも、エンジニア、デザイナー、コーダーなど、さまざまなタレントを登録しておいて、プロジェクトごとにチームを組成するといった使い方も可能です。リーダーが開発チームを組む際に、必要な業務をそれぞれに掲出し、それぞれの人材にアプローチしていくといった運用も考えられます。
―― そうした人材調達の仕組みを構築するためにも、早期に「クエストボード_」を導入しておくのが良さそうですね。
濱田氏: フリープランもありますから、とりあえず試してみるつもりで「クエストボード_」をご利用いただければと思います。社内でスポットワークが多発する、スキルセットは合わないけれどつないでおきたい人材がいる、リファラル採用をもっと推進していきたい、など、少しでも興味関心があれば、ぜひ一度お試しいただきたいですね。
―― 特に利用をお勧めしたい業種・業態とかはありますか。
濱田氏: 業種・業態は特にありません。ただし、スタートアップ企業などでは効果的かもしれません。まだ事業が完成しておらず社員を増やすのは難しいが、いろいろなところで細かな業務が発生し、スポット的に人材が必要になるという場合には、タレントプールの構築が大きな意味を持ってくるはずです。事業が成長していけば、企業規模に応じて社員が必要になりますが、その際もリファラル採用に役立つでしょう。
今後はチームで募集する案件への対応も!採用ページへの集客にも力を入れていく
―― 「クエストボード_」の今後の展開はどのようになりますか。
濱田氏: 現状は1対1の案件を想定したデザインになっていますが、今後は、チームで募集する案件への対応も考えています。また、副業希望者やフリーランスエンジニアに向けた、採用ページへの集客もさらに積極化していきたいと思っています。
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