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受託開発の利益率はなぜ低い?業界構造の課題と高収益化への具体的な戦略を解説

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受託開発の利益率はなぜ低い?業界構造の課題と高収益化への具体的な戦略を解説のイメージ図

受託開発業界で「頑張っても利益が残らない」と感じたことはありませんか?

実は、この業界の利益率が上がりにくいのには、明確な理由があります。本記事では、業界全体の数字をもとに、どこで利益が消えてしまうのか、どのような構造的な課題があるのかを分かりやすく解説。さらに、他社と自社を比較して経営状態を見直す方法や、高収益企業が実践している具体的な改善策も紹介します。日々の業務で活かせる「利益率アップのヒント」も提案していますので、ぜひ今日から実践し、持続的な成長を目指してみてください。

 

目次

 

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数字で見る!業界平均の利益率と構造的課題

受託開発業界は、企業のビジネスをITの側面から支える重要な存在です。しかし、その収益構造にはさまざまな課題が潜んでおり、利益率の確保が容易ではありません。この章では、業界の平均的な利益率の実態を数字で把握し、利益率が伸び悩む主な原因や構造的な問題について説明します。受託開発企業が健全な経営を実現するために、現状の課題を客観的に理解することが第一歩です。

 

●営業利益率はなぜ低くなりがち?

受託開発業界の営業利益率は、他の業界と比べて低い水準が続いています。たとえば、受託開発ソフトウェア業では3.8%(2018年)、情報サービス業でも5.3%(2022年)と、決して高い数字ではありません。

これは、多くの企業が「どれだけ頑張っても利益が残りにくい」と感じている理由の一つです。この背景には、いくつかの構造的な課題があります。

構造的な課題 課題の背景
人件費・外注費の負担が大きい エンジニアの人件費や外注費がコストの大半を占め、利益が圧迫されやすい
人件費が変動しにくい 正社員中心の雇用が多いため、案件が減っても人件費という固定費が重くのしかかる
多重下請け構造の影響 仕事が下請けに流れるたびにマージンが抜かれ、下流企業ほど受注単価が低くなり利益が出しにくい
納品責任とリスク 設計や開発の現場では、仕様変更やトラブルによって工数が増え、収益が大きく変動しやすい
クライアントのコスト削減要求 発注元からの値下げ要請や厳しい予算制約により、価格交渉力が弱い企業は利益率の低い案件を受けざるを得なくなる

これらの理由により、受託開発業界では営業利益率が上がりにくい状況が続いています。だからこそ、コスト構造の見直しやプロジェクト管理の工夫、自社の強みを活かす取り組みが重要です。

現状をしっかり把握し、小さな改善から始めてみることが、利益率アップへの第一歩となります。

 

●労働分配率の高さが響く

受託開発業界では、営業利益率の低さとともに、労働分配率の高さも収益を圧迫する主な要因となっています。労働分配率とは、会社が生み出した利益のうちどれだけを従業員に分配しているかを示す指標です。

この業界では、売上の60〜80%以上が人件費に充てられている場合も珍しくありません。売上に対して人件費が重すぎると、企業に残る利益はわずかになります。特に、売上が低迷している時や生産性が向上していない時には、人件費の重さが経営を圧迫します。

また、人材への依存度が非常に高いことも特徴です。数人のエンジニアが抜けるだけで、プロジェクトが止まってしまうこともあり、特に中小企業ではその影響が大きくなります。

さらに、生産性が上がらない限り固定費の負担が重いまま残るため、業績が伸び悩む原因となります。特に下請けや二次請け企業の場合、売上単価が低く、人件費率が高くなりがちで、利益確保がますます難しくなっています。

 

競合との差を知る!ローカルベンチマークの活用

人件費が高くなりがちである現状を把握したうえで、受託開発業界で自社が他社と比較してどのくらい人件費率が高いのかという現状や課題を知り、改善に向けた具体策を立てるためには、比較分析が非常に役立ちます。こうした比較を支援するためには経済産業省が提供している「ローカルベンチマーク(ロカベン)」が有効です。自社の財務指標や業務状況を客観的に把握し、改善点を見つけるために活用できます。

 

●ベンチマーク分析の活用方法

ローカルベンチマークを使うことで、同業種や同規模の企業と自社の財務状況を比べることができ、課題や強みを明確にできます。営業利益率や労働生産性などの指標を他社と比較することで、自社がどこで苦戦しているのか、どの分野が優れているのかを把握できるのです。

さらに、定量的な数値で比較することで、社内の議論や戦略立案に説得力が生まれます。感覚だけに頼るのではなく、数字に基づいた検討が可能となり、従業員や経営層の共通認識も作りやすくなります

この分析は一度きりではなく、定期的に実施することで、市場や業界環境の変化に柔軟に対応できる体制が整います。継続的なモニタリングによって、時代の変化や新たな課題に早期に気づき、速やかに方針を転換できるでしょう。

 

●注目したい6つの指標

指標名 概要 計算方法
売上高営業利益率 本業の収益力を示す指標 (営業利益 ÷ 売上高) × 100 (%)
労働生産性 従業員一人あたりが生み出す付加価値 付加価値額 ÷ 従業員数
労働分配率 付加価値に対する人件費の割合 (人件費 ÷ 付加価値額) × 100 (%)
営業運転資本回転期間 運転資本が売上に変わるまでの期間 (売上債機+棚卸資産−仕入債務) ÷ 月商
EBITDA(有利実財備倍率) 借入金返済の健全性 (有利実財備 − 現金領金) ÷ (営業利益+減催資産)
総資本回転率 資産全体が売上に結びつく効率 売上高 ÷ 総資本

これらの指標を継続的にチェックし、業界平均や優良企業の数値と比べて、自社の課題や強みを明確にしましょう。

 

高収益企業が実践している4つの戦略

業界の課題が山積みでも、しっかり利益を上げている企業は確かに存在します。彼らはコスト削減や効率化だけに頼らず、戦略的な取り組みでビジネスモデルを進化させています。ここでは、高収益企業が実践している4つの代表的な戦略について紹介します。

 

●ポジションアップ(1次請け化)

まず一つ目は、クライアントと直接契約を結ぶ「1次請け化」を目指すことです。元請けとなることで、中間マージンが発生せず、その分を自社の利益にできます。自社の技術や提案力を直接アピールできるため、価格決定力も高まります

また、設計や提案段階からプロジェクトに関われることで、利益を出しやすい工程を自社で管理できるようになります。顧客と密に連携し、本当に求められている価値を提供することが可能となり、信頼関係の構築にもつながります。

こうして信頼を得ることで、継続的な案件受注や新たな紹介も生まれやすくなり、安定した収益基盤が構築できるのです。

 

●一気通貫体制の構築

次に、設計から開発、運用までを自社で一気通貫して対応する体制を作る戦略です。こうすることで、外注先の管理コストやミスが減り、品質や納期のコントロールがしやすくなります。

社内で全ての工程を担当することで、ノウハウや経験が組織内に蓄積され、次の案件で再利用しやすくなります。また、教育コストも抑えられ、効率的な人材育成が実現できるでしょう。

 

●成果物ベースの契約による裁量確保

従来の「人月単価」に頼るのではなく、提供する成果物の価値で契約する方法も注目されています。効率化によって工数が減れば、その分だけ自社の利益が増えます。成果物ベースの契約は、業務範囲や責任分担を明確にしやすく、スケジュール管理や利益計算もシンプルになります。

この契約方式を進めるには、要件定義の段階でクライアントとしっかり合意形成を図ることが重要です。成果物の価値や完成の基準をはっきりさせることで、トラブルや追加工数のリスクを抑えやすくなります。

 

●スキルマネジメントと人材配置最適化

最後に、社員一人ひとりのスキルを見える化し、最適な配置や育成を行う戦略です。得意分野や経験をもとにプロジェクトを割り振ることで、無駄な工数が減り、生産性が上がります。

社内研修や外部講座を活用し、不足しているスキルを計画的に育てることも重要です。また、知識やノウハウを組織内で共有し、属人化を防ぐことで、誰が抜けても業務が回る強い組織がつくれます。

戦略 主な内容 メリット
ポジションアップ クライアントと直接契約し、上流工程から関与 マージン排除、価格決定力アップ、続續受注の獲得
一気通記体制 設計〜運用まで全て社内で完結 外注コスト削減、ミス減少、ノウハウ共有
成果物ベース契約 成果物の価値で契約し効率化の恩恵を得る 工数減=利益増、スケジュール管理が容易
スキルマネジメント 社員スキルを可視化し最適配置・育成 生産性向上、教育コスト削減、専門化防止

 

利益率改善のヒント!業務プロセスの見える化が重要

利益率を改善するためには、日々の業務プロセスを「見える化」することが不可欠です。どこに無駄があるのか、どこでコストがかかりすぎているのかを正確に把握し、小さな改善を積み重ねていくことが長期的な収益力向上につながります。

 

●工数・原価の見える化

各プロジェクトに実際にかかった工数を記録し、定量的に管理する仕組みが必要です。工数の記録をもとに、どの業務が本当に利益を生み、どの業務が赤字になっているのかを正確に把握できます。

こうした工数データを蓄積しておくと、次の案件での見積もり精度が大きく向上します。過去のデータをもとに、どの工程でどれくらい工数が必要か予測できるため、赤字案件を避けやすくなります。

 

●マネジメントツールの導入

工数管理や営業支援、収支分析などを一元管理できるマネジメントツールの導入も効果的です。ツールを使えば、各案件の収支を自動で集計・分析でき、経営判断に役立つデータがすぐに手に入ります。

また、システム化することで報告作業の手間や管理部門の工数を削減でき、本来の業務に集中しやすくなります。ミスも減り、情報の一元化が進むことで意思決定のスピードも上がります。

 

●小さな改善の積み重ねが利益を守る

劇的な改革だけでなく、日々の業務の中で原価を少しずつ見直していくことも大切です。外注先の選定や社内の無駄な会議・資料作成の削減、ツールの活用など、小さな積み重ねが最終的に大きなコスト削減と利益向上を生みます。

また、売上が増減しやすい業界だからこそ、状況に応じて柔軟にリソースを調整できる体制を持つことが中長期的な利益維持のカギとなります。固定費と変動費のバランスを見直し、繁忙期には外部リソースを活用し、閑散期にはコストを抑える工夫が必要です。

日々の数値を見ながらPDCAサイクルを回し続けることで、組織として学びと成長を続けることができます。失敗から学び、次に活かす意識を持ち続けていただきたいと思います。

 

受託開発の利益率を見直して戦略的に改善へ

受託開発業界の利益率は、売上の多さだけで決まるものではありません。コスト構造や契約形態、社内の業務プロセスや人材戦略といった多様な要素が複雑に影響しています。これらを一つひとつ見直し、改善していくことで、持続的な利益体質を作ることができます。

利益率の向上には、コスト構造の柔軟性が重要です。売上を伸ばすだけでなく、固定費と変動費のバランスを調整し、案件数の増減に合わせてリソース配分を変える工夫が必要です。

下請け構造や契約形態の根本的な見直しも体質改善のカギです。1次請け化や成果物ベースの契約への移行を目指し、より裁量のある経営を実現しましょう。

「営業リソースが足りない」「効率よく見込み顧客と出会いたい」とお悩みの開発会社の方がいらっしゃいましたら、発注ナビのようなマッチングサービスの活用も一つの方法です。最短1日で本気の発注者と出会えるチャンスがあるので、ぜひ検討してみてください。

 

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