多くの企業がリモートワークやハイブリッドワークを取り入れている中、オフィスにおける契約書や設計図などの機密書類、PC、カードキーなど「大切なモノ」の管理に頭を悩めるケースが増えています。そんな中、株式会社アヴァンザが開発した、RFIDの技術を活用した無人・非接触のセキュリティキャビネット「CABIMATCH(キャビマッチ)」が注目されています。同社のソリューションシステム部 副部長の岡村 裕利氏とソリューション営業部の太田 寛子氏に開発の経緯や特長についてお話を伺いました。
ICタグを貼ったモノをキャビネットで保管。誰がいつ、何を借りて返したかを自動的に管理
―― 1991年の設立から30年以上、システム開発を続けてこられました。その間に蓄積された実績、経験、ノウハウが御社の強みですね。
アヴァンザ 岡村氏 はい、昨年2021年が当社の30周年でした。IT業界が変遷してきたその歴史と共に、時代のニーズに対応しながら、「お客様に寄り添ったシステム開発」を地道に続けてきました。会社設立時からお取引が続くお客様も多くありますので、お客様から信頼いただいたからこその30年だったと思います。
当社は幅広い業種・業界の業務システムに対応してきましたが、単純にシステムを構築するだけでなく、お客様が抱える業務の課題を解決するご提案をすることが多いですね。
あとは、「組込・制御系システム」も対応させて頂いております。RFIDの技術、画像認識なども活用して、全自動でリアルタイム制御するシステムなど、いろいろと開発してきましたので導入実績は豊富です。
―― たしかに、御社はRFIDのソリューションを開発していますね。例えば、オフィスの大切な備品などを保管するセキュリティキャビネット「CABIMATCH(キャビマッチ)」など、着眼点がユニークですよね。
アヴァンザ 太田氏 どの会社でも、例えば、倉庫や会議室のカギやカードキー、デジタルカメラや社員に貸与するスマートフォンなどの保管や貸出・返却の管理を「意外に面倒」と思っているのでは、というところから発想したソリューションです。
カギ、カードキー、デジカメ、スマホ、その他にも決算書類など重要な書類を電子化したCD-ROM、作業用の工具など、会社がきちんと保管・管理しなくてはならないものは意外に多くあるのです。しかも、ただ保管・管理するだけでなく、従業員の「誰が、いつ、なにを」借りていったのか、それらがきちんと返却されたか、までを正確に管理しなくてはならないものも多いですよね。
そして、多くの企業では、こうした「大切なモノ」の管理をアナログな方法で人手に頼っていることも多いのです。そうなると、管理がずさんになってモノが行方不明になったり、正確に管理しようとすると人手も時間もかかりすぎてしまったりといった問題がでてきます。このような問題に適したソリューションです。
―― なるほど、多くの企業では総務部などが備品管理をしていると思いますが、備品管理の専任ではなく、本来の業務とは別に「備品管理も任されている」状態ですよね。そうなると、そこに時間や労力は割きたくないはず。ニーズがありそうですね。
太田氏 「CABIMATCH」は、管理対象のモノにICタグを貼り付けて専用のキャビネットに入れておくだけで、出し入れの情報が自動的に記録され、履歴として残るのが特長です。つまり、「人手がかからない」のです。しかも、ICタグを貼り付けられるものなら、何でも管理できます。「CABIMATCH」を開けるときにはICカードをかざすのですが、システムに登録されているICカードを持っている人しか開けられませんので、誰が開けたか(借りたか)もすぐ分かり、セキュリティも高いレベルで保つことができるのが特長です。
ICタグを貼りつけてキャビネットに入るモノなら、管理できる汎用性の高さが特長
―― ユニークなだけでなく、とても使いやすそうですね。開発の経緯についても教えていただけますか。
岡村氏 当社にはもともと、「TAGMATCH」という別のソリューションがあります。「TAGMATCH」もRFIDソリューションで、パソコンにソフトをインストールして、ICタグを読み取る機器を使うソリューションです。管理対象のモノにICタグを貼りつけタグを機器にかざすことで、持ち出しと返却を管理するものです。オプションでゲートを用いた不正持出検知の機能もあります。
「CABIMATCH」は、この「TAGMATCH」から派生したソリューションです。企業にとっては大切なモノを保管・管理する仕組みですから、技術的に安心・安全でないとなりません。「TAGMATCH」で培った技術の蓄積の上に、よりセキュリティを高めたいとのご要望を受けて、キャビネットと組み合わせたソリューションとしたのです。
「TAGMATCH」の不正持出検知機能に対して、「CABIMATCH」は、ゲートで管理していた情報をキャビネットの中で行う仕組みになっています。施錠できるキャビネットとの組み合わせで、セキュリティ性を高めて、出し入れの管理を徹底できることがポイントだと考えています。
―― 他社製品と比べて、差別化できる特長はどのようなところですか。
岡村氏 汎用性の高さです。鍵を管理するために、鍵専用のキーボックスを使っている企業様もありますが、「CABIMATCH」はキャビネット内に入れさえすれば、鍵だけでなく、ノートPCなども一度に管理できます。また、キャビネットに入りきらないほど管理対象物がある場合は、「TAGMATCH」をご提案させて頂くことが出来ます。運用状況の変化やニーズに合わせて柔軟に対応できることが特長です。
―― これまで、どのような業種のお客様にどのような用途でお使いいただいているのでしょうか。また、今後はどのような方面に展開していきたいとお考えですか。
岡村氏 この製品は、お客様の業種を選びません。どのような企業様にも業務で使用するモノを管理する部署はあり、これまで人の手で煩雑になっていたところが自動化できますので、「管理したいモノ」があれば、どんな業種・業態でもお使いいただけます。
最近、特に引き合いが多いのは製造業です。製造業向けの展示会に出展して、製品説明のセミナーで紹介させていただくことも増えてきました。
実際の使いやすさを体感できる無償トライアル、使い方のコンサルティングもします
―― 企業にとっては簡単に導入して、すぐに使える。しかも、管理の負荷軽減と効果もすぐにわかる。そんなところが認められて引き合いが増えてきているのでしょうか。
岡村氏 「CABIMATCH」のサイズが小と中の2種類、大が3種類の合計5種類あります。詳しくはホームページでご覧いただけますが、サイズがいろいろあるので設置スペースに応じてお選びいただけます。どのようなオフィスでもキャビネットを置くスペースさえあれば設置できます。
現在、「小」サイズの「CABIMATCH」で2週間無料トライアルができますので、ぜひお気軽にお試しいただきたいと思います。小型「CABIMATCH」と、システムに登録した状態のICタグもつけてお送りして、使い勝手やサイズ感を試していただけます。
使い方は簡単です。お客様は、管理したいモノにICタグを貼り付けて、「CABIMATCH」に保管するだけです。「CABIMATCH」内でICタグの情報を自動的に読み取ります。出ていくもの(貸出)、入ってきたもの(返却)が自動的に判別され、その情報が記録されますのでキャビネットを利用する方は、システムを意識する必要は一切ありません。モノが必要になったり使い終わったりした時に、使う本人がICカードを「CABIMATCH」にかざして開錠し、必要なモノを取り出したり、戻したりするだけです。「CABIMATCH」を開錠/施錠するために必要なICカードは、システムに登録して利用者に事前に配布します。社員証や入館証を活用する運用もできます。システムに登録されたICカードを持っている人だけが、「CABIMATCH」を利用できます。高セキュリティでモノの管理ができます。「誰が○○をいつ借りて、まだ返していない」などの管理情報は、PCからブラウザで「CABIMATCH」の管理画面にアクセスして確認できます。「CABIMATCH」に管理画面の機能も備わっています。
ただし、中で管理するモノを正しく自動認識するために、最初に微調整は必要になります。これについては、当社の営業がヒアリングを行って丁寧にサポートさせていただきます。
当社からは、お客様の運用状況やニーズを確認します。「CABIMATCH」も小型で足りるのか、お客様が管理したいモノはどんなものか。そして、現状の管理方法などもお聞かせいただいた上で、より良い最適な使い方をコンサルティングのような形でご提案しています。
当社はお客様に寄り添った開発をしていますが、このソリューションも基本的なスタンスは同じです。お客様の運用状況に合わせたご提案をしています。
―― 実際に導入いただいたお客様からは、どのような声が届いていますか。
岡村氏 導入いただいているお客様の地域は、首都圏だけでなく、北は北海道、南は福岡まで、全国のお客様に導入実績があります。お客様からお声は、ホームページにも掲載させて頂いております。
例えば、事例として、鍵の管理と運用が煩雑で、月次の棚卸しが大変だったところから、導入により業務の大幅効率化が実現して、余力でより付加価値の高い業務に集中できるようになり、働き方改革の業務時間短縮にも貢献できているとのお言葉を頂きました。
100本以上もの鍵の、頻繁な貸出/返却の管理を人の手で、情報を正確に記録しながらというのは、とても大変だったかと思います。現在は、現物の目視確認さえ必要なくなったとのことで、とても楽になったとお喜びいただいています。当社としても、このようなお話を聞けることはうれしいですし、励みにもなります。
―― 今後、力を入れていきたい業種、業態、領域を教えてください。
岡村氏 例えば、不動産会社様、設備管理会社様、お客様の鍵を預かるセキュリティ系の会社様など、物理的な鍵の管理をする業種には、ぜひ積極的にご紹介していきたいと思っています。物理的な鍵からカードキーに変わってきている時代の流れもありますが、鍵もカードも管理できるのが「CABIMATCH」、切り替わりの過渡期にも対応していけるソリューションだと思います。
それから、ニーズが多い製造業には、これからも続けてPRしていきたいと思います。
―― 機能強化される予定や、今後の展望について教えていただけますか。
岡村氏 よりセキュリティ性を高めるために、指静脈認証のオプションがありますがこれは機器に接触する必要があります。コロナ禍ということもあるので、今後は、非接触技術を使う他の認証方法で、キャビネットを開錠/施錠できるように、機能強化の構想を進めているところです。
―― 認証した情報や貸出/返却の情報管理は、スマートフォンでもできるのですか。
岡村氏 誰が何を持ち出したかの情報はすべて、「CABIMATCH」に組み込んだPCに記録されます。「CABIMATCH」を社内LANに接続すれば社内のどのPCからも管理画面を参照出来ます。スマートフォンについては、スマートフォンが社内LANにアクセスできるWi-Fiに接続されていれば、見ることができます。
テレワークを実施している企業が増えて、自宅から社内のネットワークに接続できるセキュアな環境が整っていれば、自宅からも管理状況を確認できます。管理情報の管理については、テレワークに適した形で機能のバージョンアップをしていく予定です。
なお、ネットワーク環境のセキュリティ面を考えて、クラウドでの情報管理にはまだ対応していませんが、将来的にはどこからでも確認できるようにしたいとは考えています。
インタビュアーのまとめ
インタビューの冒頭で、「ここ数か月、たくさんお問い合わせをいただいていて忙しい、人手不足なんです」とのお話をいただきました。コロナ禍で企業のテレワークが推奨され、管理のための人材をオフィスに置けなくなっているところに、「CABIMATCH」が無人かつ自動で、さまざまモノの貸出を管理できるソリューションであることで、興味を持たれる企業様が増えているのでしょう。
「CABIMATCH」の仕組みは、自動で情報を自動的に読み取りするため、人と人とが接触しない、出し入れの際に密になることもない、今まさに世の中に求められている「低感染リスク」の環境を実現しています。高セキュリティで簡単に確実にモノの管理できるソリューション、しかも使い方が簡単。同社と同ソリューションの発展が大いに期待されます。