愛知県名古屋市に本社を構え、ホームページ制作からコンテンツマーケティングまで一貫して対応する株式会社Dock。ウェブサイトのデザインのみならず、名刺やパンフレット、販促物など紙媒体のグラフィックデザインも得意としています。同社の強みやデザインの重要性、デザインをするうえで大切にしていることなどを、同社代表の平出 勇人氏にお話を伺いました。
カスタマージャーニーを考えて、売上向上などの効果が得られるデザインを
―― 御社は、ホームページ制作だけでなく会社案内や企業紹介の各種資料、販促物などの紙媒体の制作にも対応していると伺いました。
Dock 平出氏: はい。ホームページ制作、名刺や販促物、パンフレット、企業紹介の資料など、幅広く手掛けています。企業のニーズに応じたさまざまな形態のコンテンツ制作に対応できるのが強みです。いずれにも共通するのが「デザイン」です。当社はそのデザインを重視した、デザインに強みのある制作会社です。
デザインで重要なのは、お客様のご要望をどれだけきちんとお聞きして、それをデザインに反映させられるかということ。つまり、良いデザインを作るには、お客様とのコミュニケーションがとても重要になるのです。
また、デザインというのは外観、つまり見栄えの良さやカッコ良さだけを示しているのではありません。例えば、ECサイトなどで「デザインが良いからと言って、売上げアップするわけではないでしょう」という人がいますが、それはデザインを外観など狭義に捉えているということです。どこで消費者にそのECサイトを知ってもらい、どういう経路でECサイトに来てもらい、サイトに来てもらった後にはどのコンテンツを見てもらって買い物をしてもらうか、認知や集客、サイト内の行動からコンバージョンまで一連のカスタマージャーニーがいかにスムーズに流れるかを考えて「デザイン」をして、それがうまくできていればデザインは少なからず売上げに貢献するでしょう。
当社が得意としているのは、そういった意味合いでのデザインです。わかりやすく言うと、見た目だけでなく、動線設計を考えてお客様の売上向上などの課題解決のお役に立つようなデザイン、そんなデザインが得意なのです。
―― なるほど。課題解決までを視野に入れた、トータルな意味合いでのデザインなのですね。
平出氏: ある製品の売上げをアップさせたいなら、キャッチコピーや説明文などのセールスライティングが重要になるでしょう。デザインは、そうしたライティングを「見やすく」お客様にお届けする、そういった役割もあります。
ですからトータルと言っても、製品の「世界観を作るデザイン」というよりは、お客様が「伝えたいこと」をわかりやすく伝えるためのデザインを重視しています。そのために、イラストや写真を使って図解にしたり、文章だけだとわかりにくく伝わりにくいところもあると思うので、そこを視覚的にサポートしたり、そんな役割もデザインには求められていると感じています。
「デザインとは何か?」、「良いデザインとはどんなデザインか?」など、実際に聞かれると端的にどう答えたらいいのか迷うのですが、ひとつ言えることがあるとすると「目的に沿っている」ことが良いデザインの条件のひとつだと思います。伝えたいことが、きちんと相手に伝わっているデザインです。そのために重要となるのが、先ほどお話ししましたお客様とのコミュニケーション、ヒアリングや対話なのです。ホームページのデザインを作るときなどは、お客様とよく話し合いながら、一緒に構成や掲載する文章を考え、「なぜこのデザインなのか?」、「このデザインで良いのか」をお客様と一緒に考えて、認識を合わせていきます。
そうすることで、お客様がイメージするデザインと当社が設計するデザインとの齟齬がなくなり、表面的に見える部分だけでなく、本質的なコンセプトをデザインできちんと設計して表現できるようになります。コミュニケーションや対話の中から、お客様の会社や製品、サービスの魅力を引き出して、ホームページなどのデザインに反映させることができる、お客様の目的を把握してそれを達成するためのデザインをご提案できることがDockの強みです。
良いデザインを作るには、何よりもお客様とのコミュニケーションが大切
―― 実際にデザインしていく中で、心がけていること大切にしていることはどんなことですか。
平出氏: お客様のご要望やご意見に、しっかりと寄り添うということです。デザインに強みのある制作会社の中には、デザインにそれだけ強いこだわりを持っていて、お客様のご要望よりもデザイナーの考え、こだわりを優先させてしまい「こっちのほうが良いです」と半ば押し付け気味に作ってしまおうとするところもあるのが実情です。
実際、私もDockを立ち上げる以前には、別の会社で営業を担当していましたが、お客様から聴こえてくる悩みとして「デザイナーが要望や意見をくみ取ってくれない」、「デザイナーが、自分が良いと思ったデザインを押し付けてくる」というものが意外にも多くありました。
そんな経験もあるので、当社ではお客様のご要望やご意見をお聞きし、製品やサービスに関するお客様ならではの知見も取り入れながら一緒に作り上げていくイメージです。
―― お客様と一緒に作り上げていく、伴走しながらデザインを作っていく、そうした取り組みでも、やはりお客様とのコミュニケーションが重要になりますね。
平出氏: まさに、そこが当社の大きな強みです。先ほどデザインにはコミュニケーションが重要だとお話しましたが、ヒアリングする能力、聞き出す力、会話する力こそが他社にはない当社の一番の強みだと思っています。実際に手を動かしてデザインをすることそのものよりむしろ、その前段階のコミュニケーションを重視しているということです。
このコミュニケーションのときには、ホームページなど作りたいものの「方向性」を必ず聞くようにしています。方向性と言うのは、そのお客様がこのホームページを活用してどういったことを実践、実現していきたいとお考えなのかということ。「今」ではなく「今後、どうしていきたいのか」の方向性を聞くことで、ホームページにはどういった機能が必要で、その機能を使いやすくするにはこういったデザインが求められるというように、決まってくるでしょう。こうしたサイトを訪問して来た人の導線やカスタマージャーニーまでを含めてサイトの設計からデザインを考えることができるのは当社の強みなのです。
また、コミュニケーションで重視しているのは、抽象的ですが「お客様に心を開いてもらうこと」です。そのために、当社は1回のヒアリングだけで全部を聞き出そうとはしていません。何回もお客様と接触して、丁寧にヒアリングをしています。なんか、実際には「常にヒアリングしている」ようなイメージです(笑)。そうすると相手のことがだんだんわかってくるので、相手が求めていることを先回りしてやってあげたり、相手が喜ぶ選択をまずやってあげたりできるようになります。そうやって信頼関係ができてくると、お客様も本音をぽろっと話してくださることもあり、それがじつはとても重要なことだったりして、だんだんと良いものに仕上がっていくのです。
―― 制作会社の中には「ヒアリングは最初の一度、次にお客様とお会いするのはデザインがほぼ完成したとき」という作り方をするところもあると聞いたことがあります。制作の途中段階が見えないとお客様も不安だし、イメージと違うものになっていても最後までわかりません。ヒアリングを回数多くするのは、その意味でも重要ですね。
平出氏: はい。連絡を常にすることは心がけています。ホームページを制作するときなど、最初の構成が出来上がった段階で一回提出し、制作の段階でも工程ごとに出来上がったものをご確認いただき、フィードバックをもらいながら進めています。こうすることで、お客様とのイメージギャップや不安を解消するよう努めています。
ホームページだけでなく会社案内や販促物、ロゴ、名刺などにも対応できることの強みとは
―― 御社はホームページのデザインはもちろん、名刺やパンフレット、販促物、ロゴなども手がけています。デジタルだけでなく紙媒体も対応できるのも強みですね。
平出氏: お客様の立場で考えると、会社案内のデザインはここに依頼して、ホームページはこちらに依頼してとなると、デザインを通じて表現したい会社のポリシーとかコーポレートアイデンティティ(CI)などを、それぞれの制作会社に説明し、共通認識としてすり合わせて齟齬がでないようにコントロールしなくてはなりません。デザインの共通認識というのは抽象的なことなので、受け取る人によっても受け取り方が違ってくる可能性もあるので、それを統一するのは意外に大変なのです。
その意味ではひとつの制作会社にすべてを任せられるのは、お客様にとっては安心でしょうし、何より個別に説明したり認識をすり合わせたりする手間も時間も削減できます。コミュニケーションコストの負担を減らせるのはメリットが大きいと思います。
もう一つはデザインの統一性がとれることもメリットです。コーポレートカラーにはこの色を使いましょうというように決めますが、別の会社に依頼すると同じ赤でも微妙に色が変わってしまったり、統一感が崩れてしまったりする可能性があります。ホームページだけでなく会社案内パンフレットやチラシ、販促物などまで含めると、すべてがマーケティング戦略の一部なので、それをまるっとお任せいただいた方がうまく進められるでしょう。別の会社が絡むとまたそこでやり取りが発生して、意見のすれ違いが出てくる可能性もあるので、全部任せてもらうのが一番いいと思います。
―― 御社ではデザインをウェブデザイン、ロゴデザイン、グラフィックデザインの3カテゴリに分けています。それぞれで、どのようなことを重視して取り組んでいるのでしょうか。
平出氏: ウェブデザインでは、リード獲得、売上向上など具体的な成果や効果がでるようなデザインを心がけています。先ほども説明しましたが、カスタマージャーニーを考えて、どう認知してもらい、どうサイト内を回遊してもらい、どうコンバージョンをとるかなどを考慮してデザインします。集客や採用などホームページの目的に沿ったかたちでデザインをしていきます。デザイナーが良いと思うものを作るというのではなく、ホームページを見に来る人たちが、見たい情報、知りたい情報をしっかり得られて、企業側もコンバージョンなどで効果が得られるような作りにすることに注力します。
一方、ロゴは、企業理念なども製品のコンセプトなどを含めて「背景」を大切にします。ロゴデザインでもヒアリングが重要になるのですが、例えば、会社ロゴの場合は「どういう思いで起業したのか」、製品ロゴなどの場合は「製品開発に込めた思い」などを汲み取って、ロゴに落とし込んでいきます。ロゴと一緒に企業理念や製品の理念を作っていくこともけっこう多くあります。インタビューしながら一緒に理念作りを進めていきます。
グラフィックは、何よりも目的に沿ったデザインにすることが重要です。また、紙媒体はウェブとは違い、直接手に取って感じてもらうことができるので、紙質にこだわった提案をしています。ポスティングするチラシなどの場合、また広告のチラシだと思われるだけなので、いかに興味付けできるかがポイントです。
―― 御社は一度お客様になってくださった会社から、別のお客様をご紹介いただくことが多いと伺いました。信頼関係をしっかりと築いて、長くお付き合いをしていきたい、そんなお客様と出会えることが理想ですか。
平出氏: ホームページでもシステムでも「作ってお終い」をやっていたら関係は続きません。信頼を積み重ねていくことが大切という思いが自分の中にはあります。信頼を積み重ねていく過程で、お客様のビジネスモデルをしっかり理解し、例えば「お客様の現在の課題はこうではないないですか。それなら、こういった解決方法はいかがでしょう」というように、どんどん提案をさせていただきます。
ただし、一方的に提案をするようなことは一切、ありません。お客様と一緒に作っていきますので、そういう制作会社やデザイン会社を探している方はぜひご相談ください。