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医療系システム開発で約30年の実績 膨大な医療データから治療法を掘り起こす「医療データマイニング」の先駆者

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株式会社森竹は、静岡市駿河区に本社を置くシステム開発会社です。同社の代表取締役の森 俊晴氏は、約30年にもわたって医療系システム開発に携わり、500床以上の大規模病院向けのシステムでは豊富な開発経験と実績があります。医療系システムは、万一、トラブルが発生すれば人の命に関わることもあり、高い技術力と信頼性が求められます。そんな、ミッション・クリティカルな分野でシステム開発に取り組む同社の強み、そして、約20年前に「時代に先駆けて取り組んだ」という「医療データマイニング」についてお話を伺いました。

 

森竹の設立以前、約30年前から医療系システムの開発に取り組んできた

―― 医療系システムの開発は、高い信頼性が求められます。システムトラブルが患者さんの命に関わることもあるでしょう。そんなミッション・クリティカルな開発に取り組んできた経緯からお聞かせください。

森竹 森氏 当社の設立は2016年ですが、じつは私は1995年頃から医療系ソフトウェア開発に関わっていました。当時、私は医療測定装置の開発会社に在籍していて、そこで、細菌検査などの検査工程を管理するソフトウェアの開発に従事していたのです。振り返ると、約30年間も医療系システムの開発に携わってきたことになりますね(笑)。

当時、手がけていたのは、細菌検査の依頼を受け付け、検査結果と患者情報やバイタル情報を統合管理し、検査装置や他の医療系システと連携するソフトウェアでした。その医療測定装置の開発会社に在籍中は、その後もさまざまな医療系ソフトウェアの開発を任されるようになり、医療分野のシステム開発に必要な知識、技術、ノウハウを蓄積していきました。そして、2016年に独立し、森竹を設立したのです。

 

―― なるほど、約30年間もの経験があるのですね。その間に、さまざまな医療系システムの開発に携わったとのことですが、現在、森竹が最も得意とするのはどんな医療系システムでしょうか?

森氏 例えば、病院など医療機関で血液検査をするときには、患者さんから採取した血液(検体)を外部の検査センターや検査機関に送り、そこで専門的な検査を実施するのが一般的です。その際には、病院など医療機関の検査部門のシステムと、検査センターや検査機関のシステムとを連携させ、検査工程を管理するシステムが必要になります。森竹が得意とするのは、このシステムです。2017年には、大手検査センターの細菌検査科に導入する「細菌検査業務支援システム」開発プロジェクトに参加し、既存システムを刷新して新規にシステムを構築した実績があります。

 

500床以上の大規模病院や医療機関、50施設以上に医療系システムの開発・導入した実績

―― 医療系システムを開発する難しさ、一般的なシステム開発との違いはどんなところにあるとお考えですか?

森氏 最も大きな違いは、常に「人の命に関わる」システムを開発しているという意識を持たなくてはならないということです。システムの故障やトラブルがあってはならないのはもちろん、自然災害などのときのBCPにも配慮した開発が求められます。技術力、信頼性、安定性などいずれも、非常に高い水準が求められます。

それだけではありません。システムが使いにくい、使い方がわかりにくいと、現場でのミスにもつながりかねません。例えば、病院では、産まれたばかりで集中治療室に入っている名前もついていない赤ちゃんの検査などもあります。万が一でも赤ちゃんの取り違えなどがあってはなりません。正確に検査が実施でき、検査結果が正しく届くように、使いやすく、そして、二重三重の確認で正しい患者と正しい検査が紐付くようにしています。まさに、ミッション・クリティカルなので、新しいシステムをリリースした後の1週間は、いつもものすごく緊張しています。

森竹 三上氏 もうひとつ、病院は、診察や検査、投薬といった工程が病院ごとに異なり、「標準化」されていないことが多いのです。同じ病院でも、診療科が変わると医師の使う言葉が違うこともあるほどです。標準化されていないということは、システムの運用も異なるということ。このこともシステム開発を難しくしている要因のひとつです。

当社は、それぞれの病院ごとの工程を理解し、それにマッチするシステムを提案してきました。我々が開発するシステムは、病院の業務フローを変えさせるのではなく、お客様の業務フローに合わせて納品しています。パッケージ製品も活用はしますが、カスタマイズしてお客様の運用に合わせます。この点は他社と比べて秀でていると思います。

医療系システムの開発を手がけてきたことで、ヒアリング能力、課題を見いだし解決策を示す提案力、その提案をシステムで実現する開発力や実装力はかなり鍛えられましたね。そのことは、医療系システム以外の業務システムやWebシステムの開発にも活かせる森竹の財産だと思っています。

―― これまでに、どんな病院や医療機関向けにシステムを開発してきたのでしょうか?

森氏 当社が手がけてきたのは、おもに500床以上の大規模病院、各都市の中核病院で使われることが多い医療系システムです。森竹を設立する以前からの経験を含めると、これまでに約50施設のシステム開発に対応しました。

 

―― 1つのシステムを作るのに半年や1年くらいはかかるのではないですか?50施設に導入というのは、すごい実績ですね。

三上氏 開発期間は、プログラムを作る期間だけならたいてい数か月ですが、最初にヒアリングして、仕様を詰めて、開発、テスト、納品チェック、稼働までだと、やはり半年から1年はかかります。

実際の開発では、スクラッチで作るケースも、当社が独自に持っている検査工程管理システムのパッケージを一部、カスタマイズして対応することもあります。いずれにしても、医療系システムの開発において、おもに500床以上の病院・医療機関向けに50施設の実績があるシステム開発会社はそれほど多くはないと自負しています。

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森 俊晴氏(左)、三上 道彦氏(右)

 

約20年前、時代に先駆けて「医療データマイニングシステム」の開発に取り組む

―― 医療系システムの開発においては、検査工程管理システムだけではなく、大学病院向け医療データ分析システムの開発実績もありますね。この分野に着手したきっかけについても聞かせてください。

森氏 2002年から医療統計、データマイニングの開発に着手しました。じつは、この経験が森竹の「解析結果は『見える化』によってはじめて役立つ」という考え、「あらゆる業務の見える化をシステムで実現する」という理念にもつながります。

当時は、まだAI、ビッグデータ解析などが今ほど一般的ではなかった頃です。そんな頃から、いわば「時代に先駆けて」現在の AIの草分け的なアルゴリズムを実装したシステムの開発に取り組んできました。それが「医療データマイニング」システムの開発です。

三上氏 現在は、さまざまな病気の治療法として、「この治療を施すと、こうした治療成果が得られる」とデータで立証されるようになってきていますよね。いわゆる「標準治療」と呼ばれる治療法が確立され、その認知度も高まっています。ところが、今から20年ほど前の2000年頃までは、標準治療のデータも今ほど整備されてなく、さまざまな医学会での発表や論文などのデータをもとに各病院や医療機関、医師が経験則も合わせて治療法を検討し、実施することもありました。

もちろん、当時でも各病院や医療機関では、過去何十年にもわたる治療に関する膨大なデータを蓄積・保管していました。しかし、AIも実用化には遠い状態で、ビッグデータ解析も一般的ではない時代です。各病院や医療機関が、治療に関する膨大なデータを解析・活用して、適切な治療法を導き出すような仕組みはなかったのです。

そんな時代に、ある医療機関から、それまでに蓄積してきた膨大なデータをマイニングして、過去のデータから効果が高い治療方法の法則を見つけられるようなシステムを開発できないかという依頼を受けました。その法則をみつけられたら、まさに「お宝発見」です。そうして医療データマイニングに着手したのです。

森氏 開発を目指したのは、蓄積されたデータの中から、これまで気づかなかったような「治療に有効な法則」を探しだすシステムです。先入観も仮説もない状態で、データの中に「お宝」が埋まっているのではないかと考えて、それを掘り起こすものです。

分析の元となる医療データは、おもに電子カルテでした。電子カルテは「一人の患者の治療情報」を確認することはできますが、「この患者と同じ因子を持つ他の患者」のデータと紐付けて分析することはできませんでした。また、「この因子を持つ患者に、こういった条件が重なるとこんな病気が発生する」といった分析も、他のさまざまなデータを関連付けないとできませんが、当時はそれぞれのデータがバラバラに存在し、データの紐付けが困難な状態でした。

我々が開発に着手したデータマイニングシステムは、さまざまなデータを連携させて、「因子間の相関性」の分析を自動的に実施するシステムでした。

 

医療データマイニングのシステム開発は、今思うと「10年早かった」

―― 1つの病院だけでも過去何十年もの治療データは膨大でしょう。そんな膨大なデータを関連付けていくのは、気が遠くなるような作業のようにも思えます。

森氏 当時の病院のシステムは特殊でインターネットに接続せず、閉じられた院内ネットワークの中で運用されていました。患者さんの治療情報も守秘義務があり、医師法によって治療にあたっている関係者以外は見てはいけないことも決まっていました。つまり、一つの病院の中だけでも、治療に関するデータを共有するのがとても難しい状態でした。

そこで、病院の中で横断的にデータを集められるように、データ利用許可の交渉を関連する部門ごとにしていかなくてはなりませんでした。それがとても大変でしたね。

結果的に、我々が開発できた医療データマイニングシステムは、細菌検査に関するデータマイニングシステムでした。ある患者さんが細菌検査をしたら、その検査日の2日前までの投薬情報、体温の経過、どの薬によってどんな効果がでているのか、耐性菌が出たときには何が影響しているのかなどを結び付けて蓄積し、見える化するシステムです。

医療系データマイニングのシステムは、ある病院向けのシステムでしたので、データもその病院に蓄積されているものだけを対象としていました。もし、当時に厚生労働省に働きかけて、他の病院や医療機関が保有する細菌検査に関するデータを匿名データとして収集できるようにしていたら、もっと普遍性の高い結果を得られる医療データマイニングシステムとして構築できたかもしれません。

 

―― 非常に革新的な取り組みだったのですね。医療におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にいち早く取り組んだシステムの開発だったとも言えるのではないでしょうか。

三上氏 そこまで言い切れるかどうかはわかりませんが、当時はまだ「誰も思いつかない」時代だったことは事実ですし、そんな早い時期に医療データマイニングの開発に携われたことは、とてもいい経験になったと感じています。

今、考えると「10年早かった」のではないかと思います(笑)。10年後の2010年に始めていれば、今ごろ、ちょうどベストタイミングで開発から普及の波が来て、その波に乗ることができたのではないかと思います。当時は、大学病院で数理解析が専門の医師ぐらいしか興味を持たない、受け入れられるには抵抗が大きくハードルも高い分野でした。

森竹 百相氏 2010年にはやっと医療でも地域連携の重要性が注目されるようになり、地方都市の大学病院をサテライトでつなげて情報共有する流れが出てきました。現在は40ほどの病院から感染症や細菌検査の検査結果情報を提供していただき、どんな菌がどこでどれぐらい出たのか、地域別の統計が取れるようになっています。この統計情報を配布する活動をしている看護師もいると聞いています。

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百相 磨氏

 

―― ここまでお話を伺ってきて、医療系システムの開発で豊富な実績をお持ちで、しかも、革新的な取り組みもされてきたことがよくわかりました。今後は、どのような分野で開発に注力していきたいとお考えですか?

森氏 医療業界での経験が強みなので、今後も医療系のシステム開発は続けていきます。これに加えてIoT、いろんな機械についているセンサー系のデータを蓄積して何か役立つことをやりたいと考えているところです。

医療データマイニングで培った技術力を生かして、医療に限らず身の回りの様々なところからデータを集めて、データから新しい価値を掘り起こしていきたいです。そして、その新しい付加価値のある取り組みやビジネスモデル、作業者の労力を軽減するしくみなどを作ってご提案ができると考えています。

我々の特長として、お客様とのお話から改善のご提案ができること、技術を使って実装して行けることが強みです。今後は医療系システムにだけでなく、業界問わず、センサーからのデータを集めて新しい発見をしたいご要望がある分野のシステム開発に携わり、新しい価値の提供に貢献していければと考えています。

 

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