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土木現場を熟知する開発会社と出会い、初めてのシステム発注もスムーズに

下水道工事等に使われるシールドマシンのメーカーとして製品の開発・製造・販売を行う一方で、自ら下水道工事の設計・施工までを行うサン・シールド。フルスクラッチのシステム発注は初めてだったという同社が、営業報告支援システムを発注。初めてということで、不安はなかったのだろうか。今回は、発注元のサン・シールドの代表米森氏と同社開発部山本氏、そして受注先のキューキエンジニアリングの山村氏に、お話しを伺った。

■開発部を新設し、社内のシステム化を大胆に推進

――サン・シールドさんが今回システムを発注するに至った経緯を教えてください。

サン・シールド 米森氏 はい。当社は下水道で使用する小型のトンネルを掘るための機械であるシールドマシンのメーカーであり、設計・施工を行うコンストラクターでもあります。土木業界は他の業界に比べIT化が遅れており、その中でも当社が扱う下水道工事はニッチな市場。営業スタイルも旧態依然としたものでしたし、工事現場に出るスタッフたちの報告書作成等の業務も非効率的なものでした。しかし昨今では「働き方改革」が叫ばれるようになり、当社としても、社内のさまざまな業務においてITをより積極的に活用し、業務の効率化を進めていくため、2018年5月に情報システム部門である開発部を新設しました。今回のシステム発注は、その第一弾という位置づけになります。

サン・シールド株式会社 代表取締役の米森清祥氏

 

――今回発注されたシステムは、具体的にどのような課題をどう解決していくためのものだったのでしょうか。

米森氏 当社では、IT化云々以前に、かねてより業務改善を進めていました。たとえば今回の例で言うと、営業スタッフは、日々、どの企業の誰と会ったか、現場や工期、見積や試算の状況、工事会社などを報告させ、営業部のメンバー間で共有しているのですが、これをいちいち会社に戻ってから手書きの報告書を起こすのではなく、外出先から行えないかという課題があり、転職してきたばかりの山本を開発部に配属し、いろいろな方法を検討させました。

サン・シールド 山本氏 はい。まずは現場の営業スタッフから業務を詳しく聞き取り、実際に、表計算ソフトの共有をしてみたのですが、スマートフォンやタブレットでは扱いづらく、これは定着しませんでした。そこで、やはり専用のシステムを調達するしかないという結論に至りました。

サン・シールド株式会社 開発部の山本将太氏

サン・シールド株式会社 開発部の山本将太氏

 

――社内システムの導入は今回が初めてなのでしょうか。

米森氏 先代の社長の時代に経理や、給与計算などパッケージソフトを導入したことがあります。しかし、パッケージソフトでは当社の業態に対応させるのが難しいケースも多く、あまり良い印象を持っていません。私もかつて導入されたシステムを自身でいろいろ触ってみたのですが、どうも馴染まない。そこで今回は、一からシステムを構築する「フルスクラッチ」での開発をお願いすることにしました。

 

■工事現場の業務への知見が、発注先選びの決め手に

――発注ナビからは6社ほどご紹介させていただきました。その中からキューキエンジニアリングさんを選ばれたポイントを教えてください。

山本氏 ご紹介いただいた6社から、企業HPや発注ナビの紹介ページなどを参考に開発実績などを拝見し、まずは、当社のニーズに沿った開発実績をお持ちの4社を選び出しました。その4社の担当者と連絡を取り、こちらからの要望を伝えました。そして各社からご提案いただいた内容を比較検討し、より良いご提案をいただいた2社に絞り込みました。2社のうち、キューキエンジニアリングさんは、現場での工事に詳しく、提案の中にそうしたことが、しっかりと盛り込まれていました。当社の業態をきちんと理解してくれていると感じたので、キューキエンジニアリングさんに発注を決めました。

 

――キューキエンジニアリングさんは、もともと工事現場に関する知見をお持ちだったのですか。

キューキエンジニアリング 山村氏 はい。当社は九州電力グループの九電テクノシステムを親会社に持ち、これまでにも九州電力輸送部門のITシステム開発をはじめ、グループ内外のさまざまな開発案件を手がけてきました。電力系の業務には、現場の土木工事を扱うものも多く、当社が培ってきた知見がお役に立てるのでは、という思いから、さまざまなご提案させていただきました。

株式会社キューキエンジニアリング 営業グループ グループ長の山村圭氏

株式会社キューキエンジニアリング 営業グループ グループ長の山村圭氏

米森氏 今回お願いした第一弾は営業報告システムですが、当社ではその後も、さまざまなシステムの計画があります。たとえば、過去の販売や工事実績の情報共有システムや、ヒト・モノの手配や工期などを含めた土木工事の見積支援システム、工事現場の日報システムなども導入していきたいと考えています。そうした計画に照らしても、キューキエンジニアリングさんがベストな選択だと思いました。

 

■IT用語は分からなくても手書きの図でやりたいことを説明

――初めてフルスクラッチのシステムを発注したということですが、やりとりで不安な点はありませんでしたか。

米森氏 最初は、キューキエンジニアリングさんは九州の会社なので、すぐに来てくれるのかという不安が少しありました。ところが山村さんは、本当にすぐに来てくださる。2カ月に1度は、実際に顔を合わせて打ち合わせをしています。ITの用語などは分からないので、画面の想定や業務フロー、業務の概念図など、私の手書きの絵を交えたものをどんどん渡していきました。

山村氏 それがあったおかげで、当社もエンジニアとの間で業務イメージを共有できて助かりました。とても手慣れていらっしゃる感じでした。

米森氏 それは以前導入された社内のいろいろなシステムを、日頃から興味本位で、自分で操作してみるようにしていたので「こうなっていればもっと使いやすいのに」と感じていたのがあって、それをそのまま手書きにしただけです。

山村氏 毎回のミーティングに社長が出席してくださるのも心強かったですね。担当者に一任しておいて、後になって話が違うということになる心配もありませんでした(笑)。しかも、業務改善とシステム化を切り離し、事前に社内の業務改善を進められていました。そのため、システムの仕様を決めるのがとてもスムーズでした。システム化と同時に業務改善を進めるケースでは、業務フローが後から二転三転することもあり、開発スケジュールに影響することも少なくありません。この点も、開発のしやすさにつながりました。

 

■完成したシステムの活用推進と今後の計画

――完成したシステムの利用は進んでいますか。

山本氏 その点は、社長の強力な後押しもあり、スマートフォンに不慣れな社員も、次第に慣れていっています。

 

――社長の後押しとはどういうものでしょうか。

米森氏 システムは作るだけでなく活用しなければ意味がありません。そこで、システム稼働後は「手書きの報告書は受け付けない」というルールを定めました(笑)。新しいやり方に1日でも早く慣れてもらうためには、こういうルール作りも大切だと考えています。

 

Memo:今回発注した情報共有システム

スマートフォンから、お客様情報や工事概要、確度、予定工期、見積・試算状況を入力していく。外出先から入力でき、内容は即座に追跡表としてチャート付きで共有されるため、帰社後の報告や、会議のための報告書作成業務を大幅に減らし、業務の効率化に貢献している。システムイメージ

 

――第一弾となる営業報告システムは完成した訳ですが、この後の計画なども差支えない範囲で教えてください。

米森氏 この業界はなかなか人を集めにくく、また育てるのも時間がかかります。現在活躍しているベテラン勢のノウハウを、いかに若手に伝えていくかというのも大きな課題です。たとえば、お客様から「1日に最大で何メートル掘れるのか」と聞かれたときに、担当者が知る範囲で4メートルだった場合、「4メートル」と回答してしまいます。でも、その人が知らないだけで、過去には6メートル掘った事例があったりする。次からは全員が「6メートル」と回答できるよう情報共有をしなければなりません。これは見積りや積算といった業務も同様です。ベテラン社員に協力してもらいながら、若手がもっと活躍できるような環境を、ITシステムの力を借りながら築いていきたいと考えています。

 

――点検・保守サービス分野でのITへの取り組みも面白いですね。

米森氏 こちらはキューキエンジニアリングさんにお願いしているものとは別途進めているのですが、当社製品の点検・保守サービスについても、若手が活躍できる環境を醸成したいと考えています。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を利用し、専用のゴーグルを装着することで、当社製シールドマシンの前に立つと点検・保守手順や実際の場所が視界に重ねて表示され、ベテランエンジニアと同様に整備できるというものを開発しています。いずれにしても、現在の人手不足や、今後一段と進む少子化を見据えても、ITによる業務の効率化、省力化は避けて通れません。今後、当社のコアな業務もシステム化を推進していくには、キューキエンジニアリングさんの力が欠かせません。大いに頼りにしています。

山村氏 ありがとうございます。引き続き、どうぞよろしくお願いします。

 

――ありがとうございました。

 

今回の開発プロジェクトに携わったサン・シールド、キューキエンジニアリング両社の皆さん

今回の開発プロジェクトに携わったサン・シールド、キューキエンジニアリング両社の皆さん

 

■今回学んだ発注が上手くいく3つのポイント

 ◆業務改善とシステム化は、きちんと分けて考えておく

 ◆IT用語が分からなくても、手書きの図などを用いて自社の業務の構造やフロー、やりたいことを伝えていくことが重要

 ◆事業責任者が積極的に社内調整などに関わり、プロジェクト推進の旗振り役となる

 

●サン・シールド社が開発した世界最小クラス200mm径のセミシールドマシン(展示会参考出品)

日本の都道府県・市町村レベルの自治体では250mm径の下水道管が使われるが、より小さい径の管でも満足できる自治体も多い。新たな需要を喚起するのと同時に、同社の技術力を示すために提案された製品。50mm小さい直径の筐体に、必要なメカニズムを格納するには、高度な技術が必要とされる。

●MRシミュレーターによるメンテナンスサポートシステム

3Y9A5071-min同社のシールドマシンの前でゴーグルを装着すると、点検・整備の具体的な場所と手順がAR技術で浮かび上がる。経験の浅いメカニックでもベテランと遜色のない点検・整備が行える。

 

■関連リンク

サン・シールド株式会社

株式会社キューキエンジニアリング

 

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