昨今の技術向上により、画像解析は高度なレベルまで対応できるようになりました。
例えば、人の顔の認証などは空港の入国審査などでも使用されるレベルになっています。
そもそも、画像解析とはどのようなことができる技術なのか。そしてどのように活用されているのか、複数の業種での事例を紹介します。
導入を検討するにあたり、知っておくべきメリット・デメリットまで一挙に解説します。
目次
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画像解析とは
画像解析とは、カメラなどのセンサーを使用して画像を取得した後に、コンピューターがさまざまな判断を行うシステムのことです。コンピューターに搭載した認識技術をも用いて画像の内容を理解し、情報の抽出やデータ化を可能にします。
画像解析を理解するには、人間がものを認識する場合を想像するとわかりやすいでしょう。人間がりんごを見たとき、大きさや色や形状などの特徴を認識して、目の前にある対象物を「りんごである」と判別します。このような判別が可能な理由は、これまで蓄積してきた知識や記憶などを判断材料に、りんごに対して以下のような特徴があると認識しているからです。
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「球形に近い形状をしている」
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「色は赤もしくは青(緑)である」
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「野球の硬球か砲丸投げの球くらいの大きさである」
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「上部と下部にくぼみがある」
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「ヘタが付いている」
人間が脳内で行っている対象物の特徴を捉えて判別するという流れを、画像解析は画像を通して行っています。画像や映像の中に映る対象物の特徴を認識し、「その対象物が何なのか」「対象物がどのような物体であるのか」ということを機械的に判別する、というイメージです。
画像解析は、人間が自然にやっているこのような情報処理を、コンピューター上で行います。まず、コンピューターで画像をデータとして取り込み、オブジェクトの特徴を抽出します。そして「画像に映ったものは何か?」を判別します。身近なところで採用されている技術としては、スマートフォンの指紋認証システムや、デジカメなどに搭載されている顔認証システムがあります。デジカメの中には笑顔検出機能まで付いているものも登場しています。似たような技術では、動画を解析する「映像解析」も進歩しています。どちらも画像や映像をコンピューターで処理・解析して、有効な情報を取りだすことを指しています。
画像解析が必要とされる理由
人の目で見て診断できる量には限界があり、大量の画像データを瞬時に解析するのは不可能です。一方で、大量の作業をもくもくと続けることは、コンピューターの得意分野です。画像の解析であれば、撮影した画像や動画を、AIを利用した解析エンジンにかけるだけで処理が完了します。
テレワークやペーパーレス化などの推進が著しい令和の現代は、多くのビジネスにおいて画像や映像を取扱う機会が増えています。人よりも速く、大量に画像解析をすませて結論を導きだせることは、ビジネス上でも大きなメリットにつながります。以下では、画像解析仕組みについて、わかりやすく紹介します。
どんな仕組みで画像解析は行われる?
コンピューターでの画像判別には、非常に高度で複雑な処理が行われます。人間のように見た目や匂いといった感覚に頼らず、オブジェクトの抽出からデータの演算処理、最終的な判別までに、数学的な方法が必要となるからです。端的に言えば、
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オブジェクトの抽出
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抽出したピクセルデータの演算処理
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算出結果に基づく判別
などの手順を経て、画像の解析が行われる仕組みです。
これらの手順を順に説明すると、対象物の画像データを取得した後、機械的に認識しやすくするために「画像処理・抽出」を行います。画像処理・抽出で行われる手順は次の通りです。
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画像のノイズや歪みを取りのぞく
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明るさや色彩を調整する
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対象物の輪郭を強調する
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対象物の領域を抽出、背景との区別をつける
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対象物の画像データをピクセル単位で抽出する
画像に写っているものがわかったら、次は「抽出した対象物のデータは何か」を特定します。これは人間で例えると「蓄積した記憶や経験から、物体を判断する」という工程です。事前にコンピューターに大量の画像データとラベルを学習させておき、それらの情報をもとに物体を特定します。ここでいうラベルとは、画像データが表す情報のことです。
現代ではさらに、この技術とAIのディープラーニング技術と合わせることで、今までより精度の高い画像判別が可能になりました。画像判別とAIによるディープラーニングを融合させた技術には、以下のものが挙げられます。
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物体認識:空間の中に指定の物体があるか・ないかを判別する
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顔認識:画像に写る顔の中から個人を特定する
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文字認識:ブログ記事やYouTubeのサムネイルに書かれた文字を識別する
これらは、AIの発展は膨大な画像データの蓄積と分析を進行させ、製造現場などだけでなく、医療や農業の分野などさまざまな分野で幅広く活用されています。
画像解析はどのような場面で利用されるか
ここからは、すでに多様な業界や業務で活躍する画像解析の事例を紹介します。
●製造業における「生産ライン上に流れる製品の検品」
コンベアを流れる商品へのラベル貼りに、画像判別のシステムが活用できます。人力で行うラベル貼り作業は精度やスピードにムラがあるうえ、生産量に合わせた人員の配置にも苦労しがちです。そこで、ロボットと画像判別システムで製品をチェック・正しい位置にラベル貼りという工程を任せることで、作業スピードを大きく向上しつつ、品質の平均化を実現しやすくなります。
また、ビール工場で回収されるリサイクル用のビール瓶などは、人の目でひびが入っていないかを確認しますが、この目視もシステムにより人件費の削減が可能です。ビール瓶を撮影し解析することで、自動的に状態が不良の瓶がはじかれるようなシステムが採用されるなど、画像解析の利用は製造業において広がりを見せています。
●レントゲンやCTスキャンを解析する「病理検査」
医療機関や臨床検査センターでは、病理診断・検査にAI解析を取り入れることで業務効率を上げ、労働負担の軽減につながります。病理検査で細胞をカウントするという行為には、人手が取られてしまいがちです。しかし、画像解析システムは数秒のうちに完了するほどに進化しています。条件を満たす対象を検出しつつ、不要な部分をカウントの結果へ含めないなど、複雑な解析も可能です。
●商業施設やイベント会場の「不審者検知」
画像解析や映像解析システムは、セキュリティの分野にも広がっています。多くの人が集まる空間で人物を特定し、追跡することも可能になりました。
例えば、監視対象となる人物の特徴(服装、手荷物)を指定するだけで、大勢の人が映ったカメラ映像から類似する人物を高速で絞りこむことができます。蓄積されたカメラ映像のチェックを素早く行うことは、人力よりも映像解析のほうが得意です。さらに、対象の人物が映ったカメラの位置と時刻を特定して行動を追跡することもできます。外部システムとの組み合わせによっては、不審者や不審物の検知を示すアラートの受信と追跡をシームレスに行うことも可能です。
人間の顔そのものを活用する「顔認証システム」も、活用シーンが増えています。顔認証とは生体認証のひとつで、画像から顔の部分を抜き出してデータベースと照合することで、本人を特定・認証を行うシステムのことです。顔は複製や偽造がとくに難しいため、セキュリティの分野で利用されるようになりました。顔認証システムの活用シーンは、スマホアプリの利用から金融システムのセキュリティにテロ対策まで、様々な分野へ広がっています。
顔認証システムの活用シーンは、スマホアプリの利用から金融システムのセキュリティにテロ対策まで、さまざまな分野へ広がっています。顔認証システムの仕組みや従来のセキュリティと比べたときのメリットは、以下の記事で詳しく紹介します。
■顔認証システムでセキュリティ強化!精度向上で広がる顔パスの活用
このほかにも、SNSの投稿の中から自社製品を撮影した写真を抽出し、マーケティングに活用するといったテクニカルな用途にも使用可能です。解析の技術がさらに進めば、用途の幅が広がる可能性も高く、画像解析は将来性がある分野なのです。
このほか、犯罪防止などの観点から、画像解析システムが採用されることも増えています。あらかじめ、コンピューターに犯罪歴のある人のデータを登録し、設置された防犯カメラの中にその人物が現れるかどうかを常にチェックするシステムが稼働しています。テロリスト対策の強化など犯罪抑止を目的として、このシステムがさらに普及することが予想されています。
画像解析を導入するメリット
ビジネスに画像解析を導入するメリットとデメリット | |
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メリット | デメリット |
労働環境の改善に繋がる | カメラやモニタといった機材の導入に費用が発生する |
業務効率化や人件費の削減を実現しやすくなる | 業務に活用できる画像解析アプリやソフトウェアが少ない |
画像解析を導入するメリットは以下の2点が挙げられます。
●労働環境の改善につながる
画像判別機器とロボット、あるいは生産管理システムなどの業務効率化システムの組み合わせによって、FA化と呼ばれる、生産工程の自動化を進めることができます。
検品業務を例にすると、画像解析をおこなう機器が発したエラーに連動し、ロボットアームが製品除去や移動を行うプログラムを組み込むことで、人の手を使わずに製品の検品が可能になります。システムには疲労やケガ、病気が存在しませんので、長時間にわたる稼働や危険な場所での作業も問題なく遂行できます。人にとって、長時間労働や危険箇所での労災を防ぐなど、安全な職場環境づくりも実現しやすくなるのです。
●業務効率化や人件費の削減を実現しやすくなる
コンピューターを用いた画像解析は、時に人間の目よりも正確に働きます。目視では見逃してしまうような小さなキズや形状の違いも検知することができるのです。人間の目で処理できる情報には限りがあり、個人のスキル差や疲労による品質のブレを防ぐにも限界がありますが、AIの画像解析システムでこれらの問題を解消可能です。ヒューマンエラーによる見逃し・誤検出の防止や高速ライン対応なども可能となり、検品作業の精度が向上します。作業にかかる労力や人員が抑えられるので、結果的にコストの削減につながります。
画像解析を導入するデメリット
一方、画像解析の導入にはデメリットもあります。
●カメラやモニタといった機材の導入に費用が発生する
高性能な画像解析システムと高解像度の画像を使えば、目視で見つけられないような小さなものでも発見することが可能です。しかし、それほどまでに高精度なシステムを導入するにはコストがかかりますので、予算が限られている企業にとっては導入が容易ではないというデメリットがあります。
●業務に活用できる画像解析アプリやソフトウェアが少ない
企業で画像解析システムを導入する場合、業務にとって必要なだけの性能を持つシステムを選べば、コストと成果のバランスを取ることができます。しかし、画像解析に関するシステムは多様性があるものではなく、業務やニーズにフィットしたアプリやソフトウェアを見つけるのが困難です。将来的にさまざまなシステムが普及する可能性こそありますが、画像解析はまだまだ発展途上の分野と言えるでしょう。
画像解析のシステムやソフトウェア開発を得意とする企業は?
画像解析は、人工知能の分野と親和性が高く、AI開発を得意とする企業が画像解析のシステム開発を手がけるケースが少なくありません。業務効率化のためには、画像から有効なデータをどれだけ取りだせるかが重要ですので、システム開発を依頼するなら人工知能を効果的に組みこめる会社を選びましょう。以下のページでは、そんな人工知能(AI)を使ったシステム開発でおすすめの会社を紹介しています。画像解析のシステムやソフトウェア開発を得意とする企業の最新情報をまとめているので、画像解析を導入したい担当者様はぜひチェックしてください。
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