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順調なSES事業がコロナ禍で苦戦。受託開発シフトの壁を発注ナビで克服

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株式会社Act-Selfの扉絵

順調だったSES事業が、コロナ禍で売上が減少。そんな経験を持つ開発会社も多いのではないだろうか。株式会社Act-Selfの代表取締役である加藤竜彦氏も、その一人だった。大手SIerは小回りが効かないことも多く、急激な世の中のニーズの変化に対応しきれない部分がある。それなら自社でエンドユーザーから開発案件を直接受注していこうというのは、合理的な判断と言えるだろう。しかし、SESから受託開発へのシフトにはさまざまなハードルがある。それらをどう乗り越えたのか、加藤氏にお話を伺った。

 

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社名 株式会社Act-Self
所在地 東京都小金井市中町4-1-8
従業員数 1 – 30名
事業内容 システム開発、 Webデザイン、ITソリューション
掲載カテゴリ

WEBシステム アプリ開発

 

  • 導入前の課題
    コロナ禍でSESの案件数減少に伴い、自社のビジネスの軸足を受託開発にシフトすることに決定。しかしSESと受託開発では営業スキームも異なるため、何らかの営業支援ツールが必要だった。
  • 導入後の効果
    6カ月で3件の受注に成功したほか、発注ナビの掲載情報を見たお客様からも問い合わせがあった。提案書の作成や自社HPのリニューアルなど、発注ナビ運用からのフィードバックで営業体制も洗練。エンジニアの自社への帰属意識も高まった。

 

コロナ禍を契機に、ビジネスの軸足をSESから受託開発へシフト

2013年に設立されたは株式会社Act-Selfは、設立当初は今とは違う顔を持っていたという。

「当初はエンジニア数名と私が現場に常駐するSESでスタートを切りました」(加藤氏)

ビジネス開始当初は登録したエージェントからの紹介案件に対応をしていたため、営業のノウハウがなくても、ある程度案件獲得の仕組みができていたようだ。

「当社が注力していたのは、質の高いエンジニアを送り出すことぐらいでした」

2013年から2019年にかけては、同社のビジネスに大きな変化はなかったという。

「コロナ前まではそのような感じでした。SESビジネスでずっといければ良かったのですが、新型コロナウイルスの流行でSESの売上が落ち込んできたのです。会社としてもSESだけでビジネスの基盤を固めるのは脆弱と考えていました。受託開発については、コロナ前から開拓していくべきとの考えがありましたが、差し迫っていなかったため、積極的に体制を整えるまでには至っておらず、リファラル営業やたまたま飛び込んできた案件をこなす程度でした」

この状況をどうにかしたいと考え、同社は受託開発案件の受注体制を整えていくことになった。

 

早くて安いところが勝つのではなく、提案力で勝負できるのが発注ナビの魅力

「営業のアウトソーシングや、クラウドソーシング、案件マッチングサービスなど、いろいろな業者から売り込みがあったり、どこかで話を聞いたりしましたが、以前はそこまで真剣に考えていませんでした」

あらためて受注体制を整えていく上で、同社が着目したのは案件マッチングサービスだった。

「さまざまな案件マッチングサービスを比較検討しました。案件へのエントリーから、具体的にお客様を紹介してもらうプロセスも違っています。紹介先の絞り込みが、先着順の早い者勝ちというサービスや、10社以上に紹介するというサービスもありました。その中で、発注ナビは、エントリー期限内に手を挙げたすべての開発会社から、4~5社に絞った紹介をしています。そのため競合が数社となり、提案内容をお客様にじっくりと検討していただけるほか、エントリーする側もスピード勝負にならず、期限までの間にエントリーするかどうかをじっくりと検討できます」

加藤氏は発注ナビの「早くて安いところが勝つ」というのではなく「提案力で競える」というところが気に入っているという。

 

発注ナビの運用から学んだ結果、営業の進め方も大きく変わった

同社は2019年に、発注ナビのセレクトプランを導入。24カ月の有効期限内で任意の6カ月を選んで、月間に何件でもエントリーできるというプランだ(その後、2022年に同内容の契約で更新している)。最初に契約した6カ月間で、発注ナビから紹介された件数は22件、うち3件の受注に成功している。

同社の普段の発注ナビ運用についても聞いてみた。エントリーする案件の基準はどのようにしているのだろうか。

「システムを開発している場面を想定し、どのように案件が進んでいくのか、先が読めるものについてエントリーし、開発過程のイメージが湧かないものはエントリーを控えるようにしています。見極めのポイントとしては、案件に記載されている内容で、本当に作りたいというのが伝わってくるかどうかです。分野で言うと、Webシステムやアプリ開発で、金融系とIoT以外は手を挙げるようにしています。エントリー段階で選んでいるわりには、受注率は高いほうだと感じています」

いくつかの案件をこなしていくうちに、同社の商談も洗練されてきたという。

「提案フェーズの最適化を図ってきたため、全体の効率は良くなってきました。稀に紹介されたお客様と連絡が付かないケースもありますが、テーブルにさえ着けば、ある程度は受注に向けた商談ができています。実際に直近の商談も、すべていいところまでいっています」

また、提案書作成の方針は大きく変わった。加藤氏は、もともとエンジニア出身ということで、お客様への提案についても、従来はエンジニア目線で、要件をどのように着地させるかを常に考えてきた。見た目よりも中身で勝負という、少し職人気質なところがあったようだ。

「発注ナビで紹介されたあるお客様から、提案書の見た目が他社に比べて、よくないという指摘をいただきました。私は中身で勝負すればよいと考えていたのですが、お客様先の担当者にお話を聞くと『内容が分かりづらい』とのことでした。こういう厳しい指摘をしてくださるのは、当社にとっても、とてもありがたいことです」

担当者は情報システムに精通しているケースもあるので、内容重視の提案書でも、きちんと理解してくれるかもしれない。しかし、そこから先に進めるかどうかは、提案書の分かりやすさが重要になってくるという。

「決裁者は、担当者からの説明を聞き、発注先の判断をします。つまり、最終的には決裁者が複数の提案を見るときに、どう勝ち抜くかが受注の鍵を握っています。そのため、担当者にしっかりと提案内容を伝えるのも重要ですが、提案書を見ただけで決裁者である上長にも内容が伝わることが、より重要なのだと再認識しました」

以来、同社では提案書の見た目や分かりやすさにも力を入れるようになった。もともと提案内容は確かなものだったため、訴求力は飛躍的に高まったという。

さらに、数々の商談を繰り返す中で同社が新たに打ち出したのが「プロトタイプ無料」という画期的なサービスだ。

「一般的な開発会社ならば、お客様の課題やニーズを丁寧にヒアリングした後、提案書と見積書を作成することになります。当社では、お客様にシステムのイメージを掴んでいただくためにプロトタイプをご提供しています。デザインされた画面を見ることができるため、どなたにもイメージしていただけます。また、この時点で見積を算出するため、予算を正確に把握していただけます。ここまでは無料となります」

このサービスが、顧客にとって大きな安心感を生んでいるのは間違いない。

 

現在は受託開発が9割!発注ナビの会社紹介ページ経由の問い合わせも

商談以外にも、発注ナビで気づかされた部分があったという。

「発注ナビのサイトに当社の会社紹介が掲載されると、それを見て会社に連絡してくださったお客様もありました。1~2年の間で2~3回はありました。実はその当時、当社のホームページは会社概要のみを掲載したシンプルなものでした。そうしたことがあって『インターネットでのPRは大事だ』と認識を新たにし、自社のホームページを、マーケティングを意識したものに刷新しました」

副次的な効果があったのは営業スキームだけではなかった。受託開発になったことで、エンジニアたちの意識も変わってきたという。

「会社への帰属意識は大きく変わりました。これまではお客様先に常駐することが多かったのですが、今では、自分の会社で働いているという実感が持てているのだと思います。案件も『自分で回している』という気持ちが強く、これまで以上にしっかりとした責任感が醸成されつつあります。以前は、プロジェクトの最後まで私がつきっきりでいましたが、今では、ある程度任せられるようになりました」

社内のエンジニアたちの意識も変わってきた同社では、そろそろ自社でサービスをスタートすることも考えている。

「現在は9割が受託開発ですが、さらにビジネスの構成を変えていくことも考えています。SESから受託開発に移行し、社内にさまざまな知見が蓄積されてきました。そうした知見を活かして、まずはお客様とタッグを組んで、新しいビジネスを作り出していくところからスタートし、ゆくゆくは自社サービスを展開することで、内製への転換を推進していきたいですね」

これまでは受託案件の狭間などに出る余剰人員をSESの案件に配属していたが、SESで一度外に出してしまうと、多くの場合、プロジェクトが終了するまで2~3カ月の間、戻ってこない。そこで、そうした人員を自社サービスに振り向けることで、柔軟かつスピーディーな開発体制を構築しようと考えた。

「とはいえ、今まで築いてきたSESのエージェントを切るようなことはありません。SESは現状、ほぼリモートワークになっており『ラボ型でチームを揃えて欲しい』というニーズもありますし、実際に、0.5人日、週2日とか3日という細かなニーズもあり、エンジニアの待機期間を細かく調整するのにも役立っています」

 

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