今から十数年前に、SaaS型のネットワークカメラによる監視サービス『ネットビューシステム』をいち早く展開した株式会社アラウンドシステムズ。同社で古くなったシステムを刷新しようとしていたところ、当初依頼していたシステム開発会社のギブアップにより開発が頓挫してしまった。
その開発会社から発注ナビを紹介され、株式会社Life Crayon Styleに発注。見事、サービスの刷新に成功したという。詳しい経緯について、株式会社アラウンドシステムズの代表である瀬戸辰也氏に詳しくお話を伺った。
電気工事関連の事業から、当時は画期的だったネットワークカメラの監視・録画サービスを展開
――アラウンドシステムズ様はどのようなビジネスを展開しているのでしょうか。
株式会社アラウンドシステムズ 瀬戸氏:株式会社アラウンドシステムズは2008年に、電気工事を手掛ける瀬戸電気のグループ会社として設立されました。事業内容としては、ネットワークカメラを使った監視・録画システムをサービスとして提供しています。瀬戸電気からアラウンドシステムズへの流れについては、そもそもこのサービスの成り立ちが関わっています。
瀬戸電気グループは30年以上にわたり建設業界でビジネスを展開してきましたが、電気工事の仕事はハウスメーカーさんや工務店さんなどの発注者から仕事をもらう、いわば下請けの事業です。そのため業界的には景気に左右されがちなところがあり、リーマンショック前がいちばん大変な時期で、ちょうどリーマンショックでとどめを刺されました。
当時から何か基幹になる商材を持ちたいという思いがあり、そのようなタイミングで登場したのがネットワークカメラでした。
国内でネットワークカメラ製品をいち早くリリースしたメジャーな電気機器メーカーはパナソニックさんなのですが、普段から同社の電気製品の設置工事を手掛けている瀬戸電気に「こういう商材がある」と案内があったのがきっかけで、これで何かできないかと考えたのです。
それから知り合いのシステムエンジニアと相談し、ライブ映像を見ることはもちろん、録画した映像もSaaS(Software as a Service)のような感じで離れた場所から確認できる「ネットビューシステム(以降NVS)」というオリジナルのサービスを作り上げました。手前味噌ではありますが、当時としては画期的なサービスだったと思います。
それだけに、従来の電気工事屋さんとしての立場からサービスを展開していくのには限界があり、システムが完成した段階で、アラウンドシステムズという別会社を設立しました。営業や施工は瀬戸電気で行い、アラウンドシステムズではブランディングやサービスの管理・運営をしていくという形で分担をしています。
十数年間アップデートしてこなかったサービスを、意を決して刷新へ!
――今回、発注に至ったのはシステムの刷新ということですが。
瀬戸氏:はい。NVSのサービスインから年月が経ち、動作環境への対応が厳しくなってきたためモダナイズを決意しました。これまでは、ネットワークカメラ製品の世代交代による性能向上、クラウドサービスの普及、OSやブラウザのバージョンアップなど、あるタイミングで何かが激変するというよりは、それぞれのタイミングでじわじわと少しずつ変わってきて、十数年経った今見ると、古くなっていました。
サービス提供開始当時は物珍しさもあって、特別に営業をしなくても自然とお客様は増えていきました。しかし現在は、対応ブラウザなども限られていて新規のお客様が増えず、Windowsのバージョンやブラウザのバージョンが変わるたびに使えなくなっていくケースも多いため、かろうじて既存のお客様が使い続けてくださっている状況です。その過程でいっそサービス自体を終了しようかと思ったこともありましたが、40件ほど契約を継続してくださっているお客様もいらっしゃることから、テコ入れして継続することにしました。
――刷新に当たってサービスの開発元を頼るという選択肢はなかったのでしょうか。
瀬戸氏:開発は個人のSEにお願いしていたため、細かなバージョンアップも間に合っていませんでした。OSやブラウザへの対応も、細かなバージョンや組み合わせごとの検証が必要で、最新の環境をキャッチアップできずにいました。したがって今回、開発元に刷新をお願いするのは難しいと判断しました。
しかしその一方で、どうすればシステム開発会社さんを見つけられるのか、予算の相場はどれぐらいなのかといったことが分からなかったため、困っていました。
依頼したものの技術的にお手上げだった開発会社から、発注ナビの存在を教えてもらった
――発注ナビの存在はどこで知ったのでしょうか。
瀬戸氏:実は、発注ナビの利用に至る前に、一度あるシステム開発会社さんに発注していまして、その会社さんを経由して発注ナビの利用に至りました。
――それはどのような経緯だったのでしょうか。
瀬戸氏:ある時、銀行から突然「関連会社にアラウンドシステムという会社がありますよね」といわれ、もしかして何か不審がられているのかな、とドキっとしました。
最初はてっきり実体のない会社と勘違いされたのかと思ったのですが、よくよく話を聞いてみると、その銀行のグループ会社にシステムインテグレーションを行っている会社があり、そこを紹介させてもらえないかということでした。
あるシステム開発会社というのは、そちらの会社さんになります。
――銀行が取引先同士を上手く結びつけたということですね。
瀬戸氏:はい。そこから話はトントン拍子で進んでいきました。しかし結果として、その開発会社は決定的にスキルが足りていませんでした。
1年ほどかけて話を詰めていき、金額も相応にかかっていたのですが、テストケースを作ってもらったところ、これではダメだという判断になりました。開発会社も銀行もギブアップしてしまいました。
――それほど技術的なハードルが高かったのでしょうか。
瀬戸氏:カメラからの映像データをサーバに蓄積して、蓄積した分に課金するという仕組みです。なのでただ単に映像を蓄積するだけなら、それほど難しくはありません。
従来のサービスでは動画の解像度も640×400ピクセルと粗く、ファイル形式もMotion JPEGだったため、容量もそれほど大きくはなりませんでした。しかし最新のカメラでは解像度も4000×2000ピクセルと破格に高く、これをネット経由で視聴するには、MPEG4で使われるH.264コーデックで圧縮しなければなりません。
また、カメラからの読み出しやストリーミング視聴では、アプリケーションプロトコルにRTSP(Real Time Streaming Protocol)を使用する必要があります。
決定的だったのは管理部分でした。カメラの死活監視、ユーザーアカウントの管理、カメラの状態取得など、あらゆることを管理用画面から把握・設定できるようにしたかったのですが、ここが難しかったようです。
唯一の拠り所にギブアップされてしまい途方に暮れていたところ、その開発会社の担当者が「実は発注ナビというものがありまして……」と、こっそり教えてくれました(笑)。すでにプレゼン用の資料はできていたので、その日のうちに発注ナビに申し込んで、資料を一式送りました。
最終候補はどちらも差がないほど魅力的。発注の決め手は『物理的な距離』
――発注ナビからは5社ほど紹介させていただきました。
瀬戸氏:はい。そのうちの2社は、当社サービスのプレゼン用資料をお渡しした時点で、技術的なハードルを理由に断られました。残る3社はそれぞれオンラインで打ち合わせをさせていただき、質疑応答した後に概算の見積もりを出していただきました。銀行から紹介されたシステム開発会社さんの時に、おおよその費用感はイメージしていたのですが、そこから大きく外れるようなことはなく、予算的には3社とも問題ありませんでした。
――そこからどのように絞り込んでいき、発注先を決められたのでしょうか。
瀬戸氏:まずは3社のうち、さらに2社に絞り込みました。1社は今回発注したLife Crayon Styleさんで、ネットワークカメラについての知見はありませんでした。もう1社は長野の会社でカメラ使ってシステムを開発した実績を持っていました。両社とお話をさせていただいたところ、コミュニケーション面や技術面については問題なく、長くお付き合いしていく上で問題が無さそうであり、当社としてはどちらに発注してもOKという感触を得ていました。
最後の決め手は物理的な距離でした。当社は名古屋にありますが、Life Crayon Styleさんは、当社から車で15分の距離にありました。何かあったときに近いほうがいいかなと。最終候補の2社については本当にそれぐらいしか差がないほど魅力的でした。
――開発は順調に進みましたか?
瀬戸氏:発注ナビに申し込んだのが2023年2月だったので、リリースは12月頃かなと見込んでいたのですが、映像の圧縮部分で少々難航しました。Life Crayon Styleさんの方からテストをさせて欲しいという申し出があり、10月になって圧縮部分を刷新しました。その後ほかにも細かい問題がいろいろ出てきまして、開発中は毎晩のようにLife Crayon StyleさんからLINEやメールが入っていました。2024年1月末にようやく、これでリリースというところまで漕ぎつけました。
――まだ新サービスはスタートしていないのでしょうか。
瀬戸氏:既存のお客様をどうするかという課題が残っています。そもそもカメラが異なるので、新サービスへ移行というわけにもいきません。また、ホームページも刷新したいと考えていたので、まだサービスの開始には至っていません。新システムのランニングコストを算定した上で料金体系も検討する必要があります。
発注ナビを使った感想は「レスポンスが速い」。各開発会社との進捗が把握しやすく、使いやすい専用画面も好印象
――あらためて発注ナビをご利用いただいた感想をお聞かせください。
瀬戸氏:まずレスポンスの速さに驚きました。申し込み後、すぐに発注ナビの担当者から連絡がきて「え、こんなにすぐに連絡がもらえるの?」という感じでした。
実は先入観で怪しい雰囲気の会社なのかなと思っていたのですが、やる気満々の会社でした(笑)。こちらの要望をとても細かくヒアリングしてくれて、選び抜いた開発先の候補を5社も紹介してくれたことにびっくりです。
専用画面もシンプルで、履歴を見れば、各社との進捗がどこまで進んでいるかも一目で把握できます。進捗状況をマーキングできるようになっていて、とても使いやすく作られているな、と感心しました。
Life Crayon Styleさんに決まるまでも速かったですね。紹介された後も、発注ナビの専任アドバイザーから定期的にフォローの連絡をもらえたので、不安もありませんでした。
――アラウンドシステムズ様の今後の展開などあればお聞かせください。
瀬戸氏:昨今では工事現場にカメラを設置したいといったニーズが増えています。録画ではなくリアルタイムのストリーミングで現場の様子を把握したいというものですが、該当するサービスがありません。今回のシステムをベースにすれば、リアルタイムのストリーミング監視分野にも参入できるかもしれません。
これまでは、現場でカメラの設置工事をする際にカメラのセットアップやネットワーク接続の確認を行う必要がありました。それには一定の経験や知識が必要になります。
今回、サービスの管理部分を強化したので、事前に社内でカメラのセットアップやネットワーク接続や確認ができるようになりました。今後は現場作業の工数をできるだけ減らし、瀬戸電気の従業員なら誰でも取り付けられるようにしたいと考えています。
――ありがとうございました。
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