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勤怠管理システムの費用相場は?見積もりの重要性も解説

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勤怠管理システムの費用相場は?のイメージ図

勤怠管理システムの導入は、労務管理の効率化や法令遵守、従業員の健康管理に欠かせないものとなってきています。しかし、どのシステムが自社に最適なのかを判断するのは容易ではありません。

本記事では、勤怠管理システムの基本情報や導入メリットを解説し、どのような種類があるのか詳しく紹介します。さらに、システム導入をスムーズに進めるための外注先選びのポイントもお伝えします。「アナログな勤怠管理では時間がかかる」、「ヒューマンエラーに課題を感じている」企業の担当者様に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。

 

目次

 

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このような方におすすめです
・勤怠管理システムの導入を検討している
・勤怠管理システムの費用相場を知りたい
・どの製品が自社に合うかわからない

 

勤怠管理システムについておさらい

勤怠管理システムとは、出退勤時間の打刻や記録、残業や各種休暇の申請、シフト作成、労働時間集計など、勤怠管理にかかわる業務全般をサポートするシステムです。インターネット環境とデバイスがあれば利用できる「クラウド型」と、自社サーバを用いてシステムを構築する「オンプレミス型」の2種類があります。

 

●勤怠管理システムの重要性

勤怠管理システムは、勤怠管理業務を効率化するだけでなく、法改正に対応して適切な勤怠管理を行う際にも役立ちます。近年、労働基準法の改正により残業規制が厳格化されているため、企業は従業員の労働時間を正確かつ客観的に記録することが必要。勤怠管理システムを活用することで、法的リスクを回避しながら効率的な労務管理が行えます。

また、正確な勤怠データの収集は、従業員の働き方改革や生産性向上にもつながり、リアルタイムでデータが更新されるため、リモートワーク環境でもスムーズに勤怠管理が行えます。多様な働き方に柔軟に対応できるため、人事や労務の業務効率が向上するでしょう。

さらに、勤怠管理システムというデジタルツールを活用することは、現代の労働環境への適応や、競争力を高めることにもつながります。正確な勤怠管理により従業員の過重労働を防ぎ、健康管理の一環としても機能します。これにより、従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上し、結果として企業全体のパフォーマンス向上にも寄与するでしょう。

 

●勤怠管理システムの勘定科目

勤怠管理システムの導入には費用がかかりますが、その費用はシステムの種類によって異なる勘定科目で処理されます。クラウド型勤怠管理システムの費用は、一般的に通信費として計上されます。これは、クラウドサービスを利用するためのインターネット接続料などが含まれるためです。

一方、オンプレミス型勤怠管理システムの場合、費用は消耗品費として扱われます。システムをインストールするためのソフトウェアやハードウェアが消耗品として見なされるためです。

ただし、購入費用が10万円を超える場合は長期的に使用する「資産」として扱うため、「無形固定資産」として資産計上ができます。また、システムの導入後にはメンテナンス費用や更新費用も発生し、これらも適切な勘定科目で処理する必要があります。

システム導入による効率化やコスト削減のメリットも考慮すると、初期投資としての費用以上の価値があると考えられます。例えば、勤怠管理の自動化により人件費の削減や労務管理の精度向上による法的リスクの低減など、多くのメリットが期待できます。したがって、勤怠管理システムの導入は、企業にとって重要な投資といえるでしょう。

 

勤怠管理システムの主な種類

勤怠管理システムを導入する場合、「勤怠管理システムに対応可能な会社にスクラッチ開発を依頼する」方法と、「勤怠管理システムの機能を製品・サービスにまとめたパッケージソフトを導入する」方法の2つがあります。どちらが適しているかはその企業(または店舗)にとってどのような機能が必要なのかで変わります。

以下では、勤怠管理システムの主な種類と、各導入方法の特徴を解説します。

 

●スクラッチ開発の依頼

システム開発会社に依頼し、自社の課題にフィットした勤怠管理システムをスクラッチ開発で作ってもらう方法です。提供される機能をまとめたパッケージ型システムを利用するのとは違い、必要な機能を網羅したオリジナルのシステムを1から構築できるため、より自社に最適なシステムを導入しやすいのが魅力です。

基本機能として決められている機能が使えるのはもちろん、追加したい機能があればカスタマイズも可能です。構築してもらう機能や仕様により、既に自社へ導入しているサービスなどとのシステム連携もできるでしょう。

また、自分で機能を選べないと、企業によってはシステムを使いこなせず持て余してしまうケースも少なくありません。自由にカスタマイズできれば、システムを使いこなせないというリスクを抑えるのにも有効です。

さらに、業界には運用サポートや導入後のアフターケアサービスをしてくれる開発会社も多く、ITに詳しくない方でも安心してシステムの導入が検討できます。システムを作っても、現場で使い方がわからないと、勤怠管理システムの効果を十分に発揮できないためです。

なおシステム開発は、後述するパッケージソフトよりも初期費用がかかりやすいという特徴があります。さらに、開発後や導入後に機能を追加する場合には、追加費用が必要になることもあるでしょう。システム開発企業によって構築費用や導入費用は大きく異なるため、複数社のサービスを比較したうえで依頼を検討するのが理想です。以下のページでシステム開発企業の例をいくつか紹介しているので、参考にしてみてください。

 

 

●パッケージ型システムの利用

システム開発企業が提供しているパッケージ化されたシステムをそのまま、あるいはシンプルなカスタマイズを施すのみで自社へ導入する方法です。

パッケージ型システムは、開発会社各社や製品ごとにさまざまな追加機能が充実しています。しかし、どのパッケージソフトも搭載される機能が全く同じというわけではないため、導入するシステムや形式の選び方次第では、パッケージの追加機能が自社に必要ないということもあるでしょう。まずは、どんな機能が自社に必要なのか、システムの導入によって解決したい自社の課題は何かなどの条件を明確にしてからパッケージソフトを探すのがおすすめです。

また、サービスの提供会社からは、導入サポートやアップデートのサービス、業種別のカスタマイズなどを受けられるのも特徴です。その点ではシステムのスクラッチ開発を依頼するのと大きな差を感じることなく安心して利用できるでしょう。ただし、ゼロから開発をするより初期費用が抑えやすい一方、月々のサービス費用やオプション費用が継続的に発生しやすい面もあるので継続使用期間や予算の計画が必要です。

パッケージ型システムは大まかにオンプレミス型とクラウド型の2種類の製品に分けられます。それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、自社に最適な勤怠管理システムを導入するためにどちらの形式を選ぶのか検討が必要です。

以下では、2種類それぞれの特徴をさらに詳しく解説します。

 

オンプレミス型

オンプレミス型のパッケージ型システムは、自社にサーバを置き、そこに勤怠管理システムのソフトウェアをインストールすることでシステムを導入・運用するタイプです。

開発会社が管理するサーバやサービスの内でシステムを運用するケースが多いクラウド型と比べると、システムそのものを自社向けにカスタマイズできる拡張性の高さがポイントです。オンプレミス型は必要に応じた機能の取捨選択がしやすく、自社向けのシステムを開発会社にスクラッチ開発してもらうより費用を抑えられることもあります。

一方、サーバを自社で用意し、ネットワーク環境の構築や運用保守も自社内で行うことが必須となるため、全体的なコストがかかりやすい点がデメリットです。オンプレミス型を導入する際は、パッケージ購入の費用のみではなく、サーバの月額利用料や運用保守にかかる月額費用も算出に組み込む必要があるので注意しましょう。

 

クラウド型

クラウド型のパッケージ型システムは、インターネットを介して勤怠管理システムの開発会社が提供するクラウドサービスを利用することでシステムを運用するタイプです。クラウド型システムはシステムを導入・利用するために必要なサーバやハードウェアを開発会社側で準備してくれることが多いため、オンプレミス型のように自社内で準備したり運用保守を行ったりする必要がなく、ネットワークがオンラインである限り運用できるのが一般的です。そのため、オンプレミス型のパッケージと比較して初期費用や月額料金などのランニングコストを抑えやすいメリットがあります。

また、サーバを構築したり、構築したサーバに専用のシステムソフトウェアをインストールしたりといった、高度な専門知識を要する複雑な作業を行う必要もありません。比較的簡単な設定で初期設定を終え、手間なく運用をスタートできる製品が多いのも特徴です。そのため、エンジニアなどの専門的知識を持つ担当者が不足しがちな中小企業でも導入が進んでいます。

ただし、オンプレミス型と比較するとカスタマイズ性に劣り、自社の環境やシステムに合わせた豊富かつ柔軟性のある機能拡張や仕様変更がしにくい点がデメリットです。

 

【形態別】勤怠管理システムの導入にかかる費用相場

勤怠管理システムの導入にかかる費用は「システムの導入にどのような方法を採用したのか」、「パッケージ型の場合はオンプレミス型とクラウド型どちらを採用したのか」の2点で変わります。ここでは、以下3つのパターンを想定して、勤怠管理システムの導入時にかかる料金相場や大まかな料金体系を徹底比較して紹介します。

  • スクラッチ開発

  • オンプレミス型

  • クラウド型

 

●スクラッチ開発

勤怠管理システムのスクラッチ開発を依頼する場合の相場は以下のとおりです。

項目 費用
初期費用 数十万~数百万
ランニングコスト 月額1万円程度
保守運用費 月額数千円程度(ユーザー1人あたり)
カスタマイズ費用 内容次第

スクラッチ開発では、自社の勤務形態や就業規則などに合わせて管理しやすい機能を追加したり、UI/UXをデザインしたりすることが可能です。自由度が高く利便性を追求できる反面、開発にかかる初期費用は最低でも30万円前後です。

また、従業員数に比例して初期費用も上がっていきます。なぜなら、大勢の従業員が利用しても問題ないシステムにしなくてはならないためです。そのため、大企業が大規模システムを開発する場合の初期費用は100万円以上となるケースもあります。

また、不明点への問い合わせに応じたり、操作方法をシェアしたりといったアフターサービスが含まれている場合は、保守運用費も利用ユーザーの人数に応じて変動するプランが一般的です。スマホやタブレット端末などにインストールしてシステムと連動させる専用のモバイルアプリ開発が必要な場合は、別途費用がかかることもあります。

ここまで説明しましたが、スクラッチ開発のカスタマイズ費用に明確な基準が存在しないため、同じ作業内容でも依頼する開発会社ごとに費用が大きく変わることもあります。そのため、システム開発を外部に依頼する際は複数の開発会社で見積もり金額を出したうえで、各項目にかかる費用を比較検討しましょう。また、相見積もりをすることで相場を掴むこともできます。

 

●オンプレミス型

パッケージ型システムのうち、オンプレミス型を導入する場合の相場は以下のとおりです。

項目 費用
初期費用 数十万円~200万円
ランニングコスト 0円~数万円
保守運用費 1万円前後のサーバ費用+担当者の人件費
カスタマイズ費用 内容次第

オンプレミス型のパッケージシステムは、自社サーバや機器類などを用意する必要があるため初期費用が高額になりがちですが、カスタマイズがしやすく、自社に最適なシステムにしやすい特徴があります。

一度システムを構築すればその後の運用に費用はかからないイメージがありますが、システムを自社の中で運用する担当者の人件費やサーバ利用料金、アップデート対応などの運用保守に関する費用がランニングコストとしてかかるでしょう。

また、月額料金がかかるサービスの場合は月に数千円~数万円程度が必要です。金額は利用する従業員数(ユーザー数)が多いほど高く設定されていることがほとんどです。また、システムの運用保守に必要な機材がない場合は、それらの購入費用がかかることも念頭に置いておきましょう。

カスタマイズ性が高い分、システムの仕様、追加する機能やユーザーの数、開発会社が提供するサービス内容などにより、別途カスタマイズ費用がかかることもあるのでプランやオプションについて確認しておくことをおすすめします。

 

●クラウド型

パッケージ型システムのうち、クラウド型を導入する場合の相場は以下のとおりです。

項目 費用
初期費用 0円~50万円
ランニングコスト 登録社員1人につき、月額200~500円前後
保守運用費 0円
カスタマイズ費用 0円

クラウド型のパッケージシステムは、WebやSaaSを利用して勤怠管理サービスが利用できる仕組みです。そのため、オンプレミス型のように自社内の設備や環境を整えたり、それらにかかる費用を負担したりすることが不要なケースがほとんどです。よって、オンプレミス型のパッケージシステムよりも、初期費用や運用保守にかかる費用が安価な傾向があります。

一方、システムを導入する際のライセンス発行や初期設定に費用がかかることもあるため、クラウド型の勤怠管理システムはサービスを提供する各社ごとに費用の差が出やすい面があります。

また、クラウド型の勤怠管理システムは運用するユーザー数に応じて費用が変わる従量課金制を採用しているものが一般的ですが、利用できる機能やサービス、用意された料金プランなどに応じて、月額費用が変わります。そのため、自社に合った機能やサービスのプランを選択するようにしましょう。

オンプレミス型と同じく、管理・運用のために社用スマホなどの専用機器が必要な場合は別途購入の必要もあるため、初期費用として見積もっておくと安心です。

 

勤怠管理システムを導入するメリット

勤怠管理システムを導入するメリットとして、以下の5つが挙げられます。

  • 業務効率化につながる

  • 正確な人件費を把握できる

  • 勤怠データを分析・活用しやすい

  • 従業員とのトラブルを回避しやすくなる

  • 生産性の向上に役立つ

 

●業務効率化につながる

勤怠管理システムを導入すれば、勤怠データの集計作業や確認・分析にかかる時間的コストがカットできます。

また、勤怠管理システムには、株式会社オービックビジネスコンサルタントが提供する『給与奉行』などの給与計算ソフトに使用するデータをCSVなどで出力できる、エス・エー・エス株式会社が提供する『勤労の獅子』のようにシステムそのものが他社の給与システムとAPI連携できるようになっているなどの特徴があります。勤怠管理システムの機能を上手に活用すれば、スタッフに支払う給与の計算や交通費精算などが簡単になり、人事管理・人事労務に関する業務全般が効率的になるといえるでしょう。

さらに、タイムカードやカードリーダーを用意した手作業での勤怠管理が必要なくなるので、職場のペーパーレス化を実現できます。これにより、時間的コストだけでなく、紙のコスト削減にも役立ちます。

 

●正確な人件費を把握できる

勤怠管理システムでは、さまざまな雇用形態・勤務形態のスタッフそれぞれの残業時間や休日出勤などを、システム上で一元管理できます。各従業員の勤務状況の正確な情報がシステムに残るため、より正確な人件費を把握しやすくなります。

システム側の管理画面から社員の勤怠情報がリアルタイムで表示されるようになっているため、システムを導入せず手入力で計算するよりもヒューマンエラーの減少も見込めます。また、勤怠関連のデータを紐づければ、従業員の給与と人件費を同時に割り出したり、修正したりといった作業もしやすくなるでしょう。

 

●勤怠データを分析・活用しやすい

勤怠管理システムで正確なデータを可視化できるため、アウトプットした勤怠データの分析とそれに伴う人的リソースの管理がしやすくなります。

システムの機能を上手に活かすことで、業務配分や人員配置をより理想的な形にしやすくなり、従来よりさらに働きやすい労働環境の形成に役立つでしょう。

また、勤怠データの分析が可能なシステムもあり、分析から改善提案までの一連の作業を自動化できた事例などもみられるようになりました。これらの機能が搭載されたシステムを導入することで、PDCAサイクルを最短で回しやすくなるメリットもあるでしょう。

 

●従業員とのトラブルを回避しやすくなる

法や制度で定められた労働時間を超過してしまう、本人以外が出退勤の打刻ができてしまうなどが原因で、会社と従業員との間でトラブルが起こることがあります。勤怠状況を正確に把握でき、会社と労働者双方の不正を防止できる勤怠管理システムを導入することで、従業員とのトラブルを回避しやすくなるメリットがあります。

打刻に関する具体的な機能としては、顔認証・指紋認証・指静脈認証などの生体認証を用いることで本人以外に打刻ができないようにする、GPS(位置情報)機能をオンにしたスマホを使うよう紐づけて、どんな場所に勤務していても正確な出退勤時間を打刻できるようにする、といったことが可能です。このため、直行直帰の勤務パターンが多い会社や、外回り業務がメインの従業員が多い会社とも相性が良いでしょう。

それ以外にも、時間外労働の上限が36協定に抵触していないかなどをチェックし、違反した場合は警告を発するアラート機能を搭載できるタイプもあります。自社や法律が定める労務規定の徹底を強化してくれるため、法改正に則り規則を改めたいといった場面でも、勤怠管理システムが役立つでしょう。

 

●生産性の向上に役立つ

労働環境を改善し従業員にしっかりと休息を取ってもらうことで、生産性の向上にもつながります。特に繁忙期や閑散期はシフト計画が重要になってくるため、従業員の健康維持のためにも適切なタイムマネジメントは欠かせません。

フレックスタイムや在宅勤務、時差出勤などのさまざまな勤務体系が絡む複雑なシフト作成も、システムで自動化すれば短時間でスムーズにスタッフを配置できるでしょう。

また、「各従業員の工数管理や業務進捗の目安を割り出す」「有給や年末調整などの申請を行い会社側に申請承認をもらう」などの一連の手続きをシステムで電子化できるため、雑務にかかる工数を減らし、本来の業務に多くのリソースを割くことができます。

このほか、勤怠管理システムを導入するメリットの詳細は以下のページでご紹介しています。気になった方はチェックしてみてください。

▷勤怠管理システムで業務効率化!労務改善ができる多彩な機能とは?

 

勤怠管理システムを導入するデメリット

勤怠管理システムを導入する際は、メリットだけでなくデメリットがあることも把握しておきましょう。勤怠管理システムの導入による主なデメリットは、以下の4つです。

  • 一定のコストがかかる

  • ワークフローの浸透に工数がかかる

  • システムのトラブル発生時に正しく打刻できない

  • 情報漏えいのリスクがある

 

●一定のコストがかかる

勤怠管理システムを導入するには、主にシステムをスクラッチ開発してもらう方法とパッケージ型システムを導入する方法の2つがありますが、どの形態の勤怠管理システムを選んでも、導入や運用には一定のコストがかかります。

そのため、勤怠管理システムを導入する前に、自社にどのようなシステムを導入するとどれだけの費用対効果があるのかをしっかり確認・検討したうえで導入するのがおすすめです。システムで効率化できる作業時間を算出し、空いた時間をどのように埋め合わせられるかをシミュレーションしてみましょう。

 

●ワークフローの浸透に工数がかかる

業務の効率化に役立つ便利な勤怠管理システムですが、導入する際は、システムを使いこなすための効率的なワークフローを自社に浸透させるための工数も考慮し、ある程度時間がかかることも念頭に置くことが大切です。

システムの導入により社内の手続きに関する「申請、承認、決済」の流れが大きく変わる場合、システムを運用する担当者や担当部署だけではなく、それまで一連の作業や事務処理などを担っていた関係部署にも、業務内容の変更を連絡したり相談したりする必要があるでしょう。外部の社労士などに自社の業務を委託している場合は、そちらにも連絡や情報共有が必要です。

さらに、システムを本格的に運用開始した場合は具体的にどのような業務が減りどのような業務が発生するかを各部署に説明したり、システムの操作方法を従業員に周知し正しく使ってもらうための仕組みを作ったりすることも必要です。

システムを導入してから仕組みの不備に初めて気付くこともあり、当初の想定よりもスムーズにワークフローが浸透しないことも考えられます。

そのため、勤怠管理システムの導入をプロジェクト化する場合は、システムの開発やサービスの導入にかかる工数だけでなく、システム導入後のワークフローが社内に浸透しきるまでの工数も考慮のうえ、スケジュールの見積もりを立てるようにしましょう。

 

●システムのトラブル発生時に正しく打刻できない

勤怠管理システムを運用中に何らかのシステムトラブルが発生した場合、出退勤の打刻が正常に完了せず、正確な打刻時間を記録できないことがあります。そのため、トラブルが発生した場合の代替案をどうするか考え、あらかじめ対策することが必要。

また、出退勤の打刻のトラブル対策だけではなく、トラブルが発生した際の代替案を、システム側の給与計算や時間外勤務などとどのように紐付けるかも確認しておくことをおすすめします。並行して、トラブル発生中にやむを得ず休暇申請や有休申請が必要な場合はどうすれば良いのかなど、社内規則の調整も検討しておきましょう。

運用しているシステムや社内体制によっては、トラブル発生時はExcel(エクセル)などを使った手作業での集計作業が必要になることも考えられるため、システム開発時やパッケージの導入時、対策できる機能やサービスがないかを開発会社に相談してみるのも良いでしょう。

 

●情報漏えいのリスクがある

勤怠管理システムのセキュリティ対策が甘いと、システム内に登録されている従業員の個人情報や出退勤情報などが外部に流出するリスクがあります。スクラッチ開発とパッケージ型(オンプレミス、クラウド)いずれの方法でシステムを選んだとしても、情報漏えいを防ぐセキュリティ対策の強化は必須です。

また、勤怠管理システムは出退勤の打刻やさまざまな申請に用いられるため、実質的には従業員一人ひとりがシステムの使用者といえます。そのため、従業員が社内データの持ち出しをしてしまう、何らかのきっかけでウイルスやマルウェアに感染してしまうといったことが原因による情報漏えいが起こらないよう、社内教育や就業規則の周知を徹底することも必須です。

 

勤怠管理システムに必要な基本機能

勤怠管理システムに必要な基本機能は、従業員側と管理者側で異なります。それぞれに必要な基本機能を以下の比較表にまとめました。

従業員側 管理者側
ログイン機能 申請・承認機能(ワークフロー機能)
打刻機能 勤怠データ分析・自動集計機能(出勤簿機能)
勤務シフト管理 休暇管理機能
有給休暇管理 管理者権限機能
給与明細一覧 給与計算機能
評価シート 工数管理機能

自分の勤怠状況や有給休暇の状況、給与の管理を行うために必要なログイン機能、自身の仕事における評価を管理する評価シートなどが必要です。

一方、管理側には休日出勤や休暇取得の申請・承認機能や勤怠データ分析・集計機能、休暇管理機能などが必要です。従業員の勤怠データの分析をはじめ、給与管理機能や給与計算機能などは、総務や人事の負担を大幅に軽減できる機能です。

 

勤怠管理システムの選び方

勤怠管理システムは、以下の指標を基に選ぶことをおすすめします。

  • 自社の勤務ルールと相性が良いか

  • 打刻はどのような方法か

  • システム開発会社やサービス運営会社からのサポートが手厚いか

勤怠管理システムを導入しても、そのシステムが自社に合っていなければ使い物になりません。大前提として自社の勤務ルールに沿ったシステムを選ぶ必要があります。また、打刻方法がそれまでに使っていたものと違う方法に変わってしまうと、慣れるまでの間、勤怠管理のミスが発生しやすいため注意深く管理をしなくてはいけません。打刻方法などもなるべく同じシステムを採用したほうが良いでしょう。

また、「使い方がわからない」、「ミスの対応方法がわからない」といった際にサポート窓口があれば問題解決を手助けしてくれます。

 

勤怠管理システムを導入する際の注意点

勤怠管理システムを導入する際は、以下の4点に注意して取り組むことで、社内での運用がよりスムーズになります。

  • 自社に必要な機能を事前に洗い出す

  • 無料トライアルがあれば事前に試しておく

  • スクラッチ開発の場合、見積書の作成を依頼する

  • パッケージ型システムをカスタマイズしたい場合は、開発元に相談する

 

●自社に必要な機能を事前に洗い出す

勤怠管理システムを導入する際は、自社の業務を効率的に遂行するために必要な機能を搭載したシステムの導入が大切です。

サービス名の口コミを調べ、スケジュール管理機能などの評判が良いシステムを安直に導入するだけでは、業務の効率化は実現できません。そのため、システムの具体的な開発を依頼したり、パッケージやサービスを正式に購入する前に、自社の業務内容や勤務形態、慣習などにマッチするシステムにするためにはどのような機能が必要なのかを洗い出しましょう。

例えば、社員数が50人程度の中小企業がシステムを導入する場合、大企業向けのシステムではなく中小企業向けのシステムを検討すると良いです。

既に運用している業務システムや労務管理システムなどと連携させるのか、新しく導入する勤怠管理システムに連携サービスはあるかなども確認しておけるとベストです。

 

●無料トライアルがあれば事前に試しておく

パッケージ型システムの場合、実際にシステムを試せる30日間程度の無料トライアルや機能制限付きの無料プランが用意されている場合もあります。

自社の業務効率化のためにはどのような機能が必要なのかを確認したり、システムを実際に使用してみてどのような課題が残ったかの確認にも役立つため、無料プランやトライアル版をインストールできる場合は有料プランを購入する前に利用してみてください。

 

●スクラッチ開発の場合、見積書の作成を依頼する

システム開発企業に依頼する際、見積書の作成を依頼してから検討しましょう。あれこれと欲しい機能を搭載した結果、想定していたよりも費用が高くなることもあります。まずは、実際に依頼するといくらかかるのかを知る必要があります。そして、見積書の作成は1社だけでなく、複数社に依頼して比較することで、希望の機能を低コストで開発してくれる会社へ依頼できます。

 

●パッケージ型システムをカスタマイズしたい場合は、開発元に相談する

パッケージソフトをどうしてもカスタマイズしたい時は、開発元に相談すれば対応してくれる場合があります。しかし、カスタマイズにこだわりすぎると、システム開発企業に依頼するのと変わらなくなります。また、カスタマイズを重ねることで想定外の金額がかかってしまうこともあります。

本当にそのカスタマイズが必要か、ゼロから開発のほうが良いのではないか、など要件をしっかりと検討しておくことが大切です。パッケージソフトの強みはある程度使える機能が決まっていて、やりたいことをすぐに実行できるという点です。カスタマイズはその強みが消えてしまわない範囲で行うようにしましょう。

パッケージ型システムのカスタマイズの例としては以下のものが挙げられます。

  • 計算期間内に時給に変更があっても、自動で計算できる機能

  • 交通系ICカードと連携させ、自動で交通費精算ができる機能

  • 早退・残業などを打刻画面申請できる機能

  • 締めチェック帳票の自動作成機能

しかし、前述のように細部まで実現したいことに執着したり、本来のパッケージソフトがもたらす価値とは違う方向で使ったりするとカスタマイズは失敗しやすくなります。カスタマイズを依頼する際には、元々のパッケージソフトの型が崩れすぎないようにすることが大事です。

開発会社へ相談して、これまでに自社と似たような背景を持つクライアントへの導入事例や導入実績がないか問い合わせてみるのもおすすめです。

 

勤怠管理システムの費用対効果にも注目

勤怠管理システムの費用対効果は、単なるコスト削減だけでなく、業務効率化や法令遵守、従業員の働きやすさにも直結します。適切なシステムを導入することで、長期的に企業の生産性向上とコストパフォーマンスを実現できる理由を以下で説明します。

 

●勤怠管理の作業効率が上がったか

出退勤情報の取りまとめや集計業務にかかる工数について、システム導入前後で比較することが重要です。導入前は手動で行っていた業務が、自動化により大幅に削減できれば、費用対効果が高いといえます。例えば、従来は数時間かかっていた集計作業が、システム導入後は数分で完了するケースも少なくありません。

さらに、エラーやミスの減少は、管理者の負担軽減にもなります。結果として、ほかの重要な業務に時間を割くことができ、企業全体の生産性向上につながります。また、リアルタイムでのデータ確認や分析が可能となるため、迅速な意思決定ができるようになります。これらの点からも、勤怠管理システムの導入は勤怠管理の作業効率化に大きく貢献します。

 

●有給取得率や残業時間削減率をチェック

勤怠管理システムを導入すると、有給取得率や残業時間の削減がどれだけ進んでいるかを把握できます。正確な勤怠データの管理が行えるようになると、取得義務である年に5日間の有給休暇を従業員が消化しているかもチェックしやすくなります。また、残業時間の削減は従業員の健康管理やワークライフバランスの改善のためにも必須です。

勤怠管理システムによって従業員の労働時間が正確に記録されることで、管理者がリアルタイムで労働状況を把握できるため、過度な残業を未然に防ぐ効果があります。また、有給休暇の取得状況が可視化されることで、促進策を効果的に実施して有給取得率の向上へつなげられます。従業員の会社への満足度やモチベーションが高まり、企業の魅力が向上する効果も期待できるでしょう。

 

●費用対効果が上がった事例

株式会社ディスコの事例を紹介します。導入前は紙ベースの勤怠管理で多くの時間と労力が必要でしたが、システム導入後はペーパーレス化が進み、申請やチェックの手間が大幅に減少しました。また、外出先からでもスマートフォンで勤怠情報の入力が可能となり、業務効率が向上しました。その結果、費用対効果が高まり、企業全体の生産性が向上。正確な労働時間の把握により、手作業によるミスの減少や効果的な労務管理が実施され、管理者も日常業務に集中できるようになりました。

このように、勤怠管理システムの導入は、費用対効果を考慮した投資として非常に重要であることがわかります。

 

おすすめの勤怠管理システム

それぞれのシステムの費用(料金体系)や機能の特徴などを紹介します。

 

●KING OF TIME

KING OF TIMEは、クラウド型の勤怠管理システムで、多彩な打刻方法と高度な機能を搭載しています。月額300円/ユーザーから利用可能で、ICカード、スマートフォン、PCなどさまざまなデバイスからの打刻に対応しています。また、リアルタイムでの勤怠管理が可能で、法改正にも迅速に対応できる点が特徴です。30日間の無料体験も提供しており、導入前にしっかりとシステムを試すことができます。さらに、豊富なレポート機能やほかのシステムともスムーズに連携できるため、企業の労務管理が大幅に効率化されます。

  • 料金体系:月額300円/ユーザー

  • 打刻方法:ICカード、スマートフォン、PC

 

●チムスピ勤怠

チムスピ勤怠は、チームスピリットが提供するクラウド型勤怠管理システムです。基本プランは月額400円/ユーザーからで、多様な打刻方法に対応しています。出勤や退勤の記録をスマートフォンやPCから簡単に行えるほか、シフト管理や有給休暇の申請・承認機能も充実しており、リアルタイムでの勤怠データの確認が可能です。さらに、柔軟なレポート機能により、従業員の働き方を詳細に分析できます。従業員が自分の勤怠状況を確認しやすいインターフェースも備えており、管理者にとっても使いやすいシステムです。

  • 料金体系:月額400円/ユーザー

  • 打刻方法:スマートフォン、PC、ICカード

 

●マネーフォワードクラウド勤怠

マネーフォワードクラウド勤怠は、クラウド型勤怠管理システムです。スマートフォン、ICカード、PCからの入力に対応しており、従業員の労働時間を正確に管理できます。シフト管理や有給休暇管理、残業時間の管理機能も充実しており、マネーフォワードの給与計算ソフトとの連携がスムーズで、従業員データを一元管理できます。さらに、勤怠データのリアルタイム確認や自動集計機能により、管理者の業務負担を軽減します。

  • 料金体系:月額2,980円/ユーザー50名以下・月額900円/個人プラン

  • 打刻方法:スマートフォンアプリ、ICカード、PC

 

●ジンジャー勤怠

ジンジャー勤怠は、jinjerが提供するクラウド型勤怠管理システムで、月額400円/ユーザーから利用可能です。スマートフォンやPC、ICカードを用いた打刻に対応しており、リアルタイムで勤怠データを管理できます。シフト管理や有給休暇の管理、残業時間の可視化など、多機能が特徴です。さらに、労働基準法に準拠した勤怠管理が可能で、企業のコンプライアンスを強化します。導入サポートも充実しており、初めてシステムを導入する企業でも安心して利用できます。

  • 料金体系:月額400円/ユーザー

  • 打刻方法:スマートフォン、PC、ICカード、タブレット

 

●freee勤怠管理Plus

freee勤怠管理Plusはfreeeが提供する勤怠管理システムで、月額300円/ユーザーから利用可能です。クラウド型で、スマートフォンやPCからの打刻に対応しています。シフト管理や有給休暇の管理、残業時間の管理機能が充実しており、リアルタイムで勤怠データを確認可能。また、freeeのほかの会計ソフトや人事管理ソフトと連携しやすいため企業全体の業務効率を向上させます。直感的な操作性も魅力で、従業員が簡単に利用できます。

  • 料金体系:月額300円/ユーザー

  • 打刻方法:スマートフォン、PC、ICカード、生体認証など

 

●TimePro-VG

アマノの勤怠管理システム「TimePro-VG」は、多様な働き方(テレワーク、変形労働、フレックスなど)に対応し、労務リスク管理や業務効率化を実現します。豊富なアラート機能、休暇管理、ダッシュボード機能を備え、専門SEによるサポートも提供します。クラウド型は従量課金制で特に中小企業に適しており、企業のニーズに応じた柔軟な導入が可能です。オンプレミス型も選択可能で、大企業にも対応できます。

  • 料金体系:初期費用+年間保守費用/プランによる(要問い合わせ)

  • 打刻方法:ICカード、指静脈認証、スマートフォン

 

●楽楽勤怠

楽楽勤怠は、クラウド型勤怠管理システムです。スマートフォンやPC、ICカードを用いた打刻に対応しており、リアルタイムでの勤怠管理ができます。また、シフト管理や有給休暇の管理、残業時間の可視化など、多機能が充実しています。そして、ほかの業務システムとの連携も可能なため企業全体の業務効率が向上します。直感的な操作性と柔軟なカスタマイズ性が評価されており、多くの企業で導入されています。

  • 料金体系:月額30,000円~/ユーザー数により変動

  • 打刻方法:スマートフォン、PC、ICカード

 

勤怠管理システムの導入で業務の効率化を図る

勤怠管理システムの費用相場はシステムの形態や搭載されている機能、料金体系によって異なります。自社に適した勤怠管理システムを導入するためには、信頼できるシステム開発会社へ相談することが重要です。

勤怠管理システムを導入することで、従業員がワークライフバランスを保ちやすくなるだけでなく、管理者は業務効率化に必要な人員配置を行いやすくなります。

勤怠管理システムは、開発を依頼するかパッケージソフトを利用するかで機能や費用相場が異なります。そのため、システム導入時には、自社に最適な導入方法や必要な機能、予算を考慮し、信頼できるシステム開発会社に相談することが重要です。開発や導入にかかるコストだけでなく、資料請求やホームページから情報収集を行い、社内で検討することをおすすめします。

システム開発会社に委託する場合は、発注ナビの利用がおすすめです。専門のコンシェルジュが詳細にヒアリングを行い、最適なシステム開発会社をご提案します。発注ナビであれば、全国5000社以上の開発会社の中からご要望や案件内容に合った最適な勤怠管理システム製品を見つけられます。「自社に合った勤怠管理システムがわからない」、「選定に時間をかけずスムーズに導入したい」とお考えの方は、ぜひ一度ご検討ください。

 

 

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