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受託開発ビジネスの進化とこれから | 価値創造型モデルへのシフトと実践ポイント

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受託開発ビジネスの進化とこれから|価値創造型モデルへのシフトと実践ポイントのイメージ図

受託開発ビジネスは、多くの企業にとってシステムやソフトウェア開発を実現するための大切な選択肢となっています。しかし、従来の「人月モデル」や納品重視のやり方には、現場で働く人や企業の成長にとってさまざまな課題も存在します。近年は、こうした課題を乗り越えるため、「価値創造契約」と呼ばれる新しいモデルが広がり始めています。本記事では、受託開発の仕組みや契約の違い、従来モデルの限界、そして新しいモデルへ転換する際のポイントまで、現場目線でわかりやすくご紹介します。これからの受託開発に悩む経営者や担当者の方が、より良い一歩を踏み出せるよう、最新のトレンドと実践のヒントをお伝えします。

 

目次

 

新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決システム開発に特化したビジネスマッチング

本気の発注者と最短1日でつながる

・コンシェルジュが依頼内容をヒアリング
・対応したい案件を選べるエントリー制
・エントリー時の見積作成は不要
・発注者の95%がエンドユーザー

 

まず確認したい、受託開発の基本構造

受託開発は、企業がシステムやソフトウェアを外部に発注し、専門会社に開発を依頼する仕組みです。IT業界のなかでも多くの企業が活用し続けるビジネスモデルですが、その収益構造や契約形態にはいくつか独特の特徴があります。ここでは、受託開発がどのような仕組みで利益を上げているのか、契約の種類とそれぞれの特性について、まずは理解しておきましょう。

 

●利益は「人月×稼働率」依存の構造

受託開発会社が利益を生み出す根幹は、「人月単価」と呼ばれる計算方式です。これは、エンジニア1人が1ヶ月働くことを1人月とし、それに単価をかけて算出する方法です。たとえば、1人のエンジニアが5ヶ月間働けば5人月、5人のエンジニアで5ヶ月なら25人月という計算になります。この単価はエンジニアのスキルや会社規模、案件の難易度によって変動しますが、あくまで「どれだけの時間と人手を投入したか」によって売上が決まるため、時間労働集約型のビジネスとなりやすい傾向です。

この構造には大きな課題も潜んでいます。たとえば、エンジニアがプロジェクトに参加していない「空き」の時間が増えると、その分売上が下がります。したがって、エンジニア全員が常に案件に携わっている状態、つまり高い稼働率を維持することが経営上の最重要課題になります。しかし、常に適切な案件が見つかるわけではなく、時にはエンジニアが自分のスキルに合わない仕事を担当せざるを得ないこともあります。この無理なアサインが重なれば、モチベーションの低下や品質問題、さらには離職のリスクを高める要因にもなってしまいます。

また、受注できる案件が増えたとしても、それをこなすエンジニアの人数が不足していれば売上は伸びません。人月単価を上げるか、稼働率を極限まで高めるか、あるいはエンジニアを増やすしかありませんが、優秀な人材の採用や育成には時間もコストもかかるため、急激な成長には限界があります。

さらに、最終的な請求金額は「時間の消費」によって決まるため、本来重視すべき成果物の価値や効率が価格に反映されにくい特徴もあります。たとえば、スキルの高いエンジニアが短期間で良いものを仕上げても、長時間かけた場合と比べて評価や報酬が変わらないケースも生じます。このため、開発会社と顧客の間で「価値」に対する認識のズレが生まれやすく、効率化や付加価値の高い提案が評価されづらい状況に陥ることもあります。

 

●請負契約と準委任契約の違い

受託開発における契約形態には、「請負契約」と「準委任契約」という二つの主なパターンがあります。どちらを選ぶかによって、開発会社と顧客の責任範囲や支払い基準が大きく異なります。

請負契約は、決められた仕様通りに成果物を完成・納品することが前提となる契約です。開発会社は完成を約束し、納品された成果物に対して対価が支払われます。発注側は人件費や作業時間を細かく気にせず、仕様さえ満たせばOKという考え方ですが、成果物の仕様が契約時点で細かく定義されるため、途中で仕様を変更するのは難しくなりがちです。そのため、変更や追加には別途契約や費用が必要となり、柔軟性が欠けやすいのが特徴です。

一方、準委任契約は、成果物の納品よりも「作業にかかった時間」に対して料金が発生する契約です。こちらはアジャイル開発や、変更の多いプロジェクトに向いています。仕様変更に柔軟に対応できますが、何をどこまで進めたかが顧客から見えにくい場合もあり、進捗や成果の可視化、コミュニケーションが重要となります。

両者の主な違いは以下の通りです。

契約項目 請負契約 準委任契約
受注者の義務 完成された成果物の納品 善管注意義務に基づく業務遂行
報酬の基準 完成品の納品に対して支払われる 作業時間・役務の提供に対して支払われる
仕様変更の柔軟性 低い(契約変更が必要) 高い(作業内容変更に柔軟対応)
顧客の成果実感 成果物が明確なため実感しやすい 成果が不明確な場合、実感しにくいこともある

請負契約は納品や予算計画が立てやすいため営業しやすい側面がある一方、準委任契約は信頼関係を構築しながら継続して支援する形となるため、長期的なパートナーシップを築きやすいです。しかし、それだけにコミュニケーションや成果の可視化などがより一層求められることを理解しておきましょう。

 

従来モデルの限界に向き合うとき

これまで受託開発のビジネスモデルは、「契約通りの納品」を最終目的とするやり方が主流でした。しかし、こうした従来型の考え方や構造には、時代の変化とともに明確な限界が見え始めています。現代の企業ニーズやシステム開発の現場において、どのような問題が起きているのか、ここで整理します。

 

●「納品がゴール」の弊害

請負契約を中心とする従来型の開発では、仕様書通りにシステムを作って納品することが最大の目的になりやすいです。このため、本来重視すべき「そのシステムがどのように使われ、どのような価値を生むか」という視点が弱くなりがちです。作ること自体が目的となってしまい、利用価値や現場の業務改善といった観点が後回しになることがあります。

また、契約時点ですべての仕様を決める必要があるため、開発途中で市場環境や事業方針が変わっても、簡単に仕様を変更することができません。もし変更が必要になれば追加費用や納期調整が必要となり、対応遅延や最適なシステムから離れてしまうことも起こりえます。

さらに、実際にシステムを使い始めてから見つかる改善点や新たな要望は、契約外として扱われがちです。追加対応には再契約や追加料金が発生し、顧客は継続的な改善を求めにくくなります。その結果、納品されたシステムが現場でうまく活用されず、顧客満足度が下がることも珍しくありません。

要件定義が曖昧なまま見積もりを出すケースも多く、開発が進むにつれて当初想定していなかった作業や費用が発生し、予算やスケジュールの管理が難しくなるリスクも増します。

 

●リスクの転嫁が多重構造を生む

受託開発業界には、元請けが受注した案件をさらに下位の企業やフリーランスに再委託する「多重下請け構造」が多く見られます。大手企業が営業やプロジェクト管理を担当し、実際の開発作業は下請けや孫請けが担当するため、各段階で中間マージンが発生し、最終的な開発費用の多くが中抜きされる仕組みです。

こうした構造の中では、下請け企業や個人は激しい価格競争にさらされ、コストや納期重視のプレッシャーが高まります。その結果、品質よりもスピードや単価を優先せざるを得ず、開発現場が疲弊しやすくなります。

また、情報伝達が複数階層を経由することで、顧客の意図や要求が現場に正しく伝わらないリスクも増大します。断片的な指示しか得られないまま開発が進み、顧客の期待とは異なる成果物になることも起こりやすいのです。

さらに、外部委託に頼りすぎると、自社内で技術やノウハウが蓄積されず、長期的な競争力が低下するリスクもあります。こうした背景から、単なる下請け構造にとどまらず、技術力強化や内製化にも目を向ける必要が高まっています。

 

「価値創造契約」という考え方の広がり

従来の受託開発の課題を受けて、近年では「価値創造契約」と呼ばれる新しいビジネスモデルが注目されています。このモデルは、単なる成果物納品にとどまらず、顧客とともに継続的に価値を創出し、その成果を共有することを目的としています。

 

●初期費用ゼロで月額利用料を得る仕組み

価値創造契約の代表的な形が、初期費用を抑えて月額利用料(サブスクリプション)でサービスを提供するモデルです。従来のように大きな初期開発費を一度に請求するのではなく、顧客は月々の一定料金だけで開発と保守を継続的に受けられます。

このモデルには、顧客にとっても開発会社にとっても大きなメリットがあります。顧客側は多額の初期投資を避けられ、新しいシステム導入へのハードルが下がります。特に中小企業やスタートアップには大きな魅力です。開発会社側も、毎月安定した収益を見込むことができるため、キャッシュフローの安定や長期的なビジネス展開に有利です。

また、月額制やラボ型契約では、契約期間中であれば追加開発や仕様変更にも柔軟に対応でき、変化に強い開発体制を実現できます。顧客の新たな要望やビジネスの変化にも迅速に対応できるため、システムの価値や効果を長期にわたって維持・向上させることが可能です。

 

●発注者と共通ゴールを持つ関係へ

価値創造契約が重視するのは、顧客と開発会社が「長く使い続けられる仕組みを共に育てる」というパートナーシップの構築です。これまでのような一度きりの取引ではなく、システムがもたらすビジネス成果や業務改善といった「効果」を共通のゴールとして掲げます。

開発会社は、顧客のビジネス目標や課題をしっかり理解し、余計な機能の追加や無駄な作業を省きつつ、本当に必要な価値を優先します。こうした姿勢は、短期的な売上ではなく、長期的な信頼関係や継続的な収益につながるため、結果的に双方にとって効率の良い開発が実現できます。

また、KPI(重要業績評価指標)などを共通の成果指標として設定し、定期的に進捗や成果を可視化・共有することで、透明性の高い関係を築くことができます。このような体制は、顧客が投資対効果を実感しやすく、開発会社もさらなる信頼を得られる基盤となります。

 

ビジネスモデル転換時に注意すべきポイント

新しい価値創造型モデルに転換する際には、多くのメリットが期待できる反面、いくつかの注意点もあります。特に顧客の理解を得るための工夫や、営業スタイルの見直しなどが重要になります。

 

●顧客の理解を得るハードル

従来の成果物納品型契約に慣れた顧客にとって、新しい「成果物を納品しない」契約は分かりにくいものです。月額課金モデルでは、「どこまで対応してもらえるのか」「何に対して料金を支払っているのか」が不透明になりやすく、社内の稟議や承認も通りにくい場合があります。

こうした不安を解消するには、契約内容やサービス範囲を明確に定義し、定期的なコミュニケーションを通じて期待値を調整することが大切です。SLA(サービスレベルアグリーメント)の導入や、作業範囲の明確化も有効です。

また、新しい契約モデルをいきなり大規模に導入するのはリスクが高いため、まずは小規模なトライアル契約や限定的なプロジェクトから始めて、実際に効果を実感してもらう方法がおすすめです。徐々に信頼関係を築きながら移行することで、顧客の理解や納得を得やすくなります。

 

●営業スタイルの再構築が必要

ビジネスモデル転換には、営業手法そのものの見直しも欠かせません。従来の「作って終わり」の単発受注型から、「関係性を重視した長期的な営業」へ切り替える必要があります。

新しいモデルでは、開発会社が顧客の課題解決や事業成長に寄り添う「パートナー」としての役割を果たすため、高度なヒアリング力や共感力、技術的な理解力が営業担当にも求められます。自社の強みや製品を一方的にアピールするだけでなく、顧客の現状や本当の課題を深く理解し、適切な解決策を提案するスタイルが重要です。

また、営業担当だけでなく、エンジニア自身が顧客と直接やりとりし、伴走しながら技術的なアドバイスや提案を行う場面も増えています。営業と開発の垣根を越えたチーム連携や情報共有が、今後はますます重要となるでしょう。

受託開発の営業についてより深く知りたい方はこちらの記事もご確認ください。

受託開発の営業ってどのようなもの?案件の探し方や獲得するコツとは

 

新しいモデルに向けたステップと選択肢

価値創造型モデルへの転換をいきなり全社的に進めるのは現実的ではありません。まずはリスクを抑え、小規模な範囲や短期間での導入から始め、徐々に拡大していく段階的なアプローチが有効です。

 

●機能単位、短期単位での契約を試す

最初は大規模なシステム全体を対象にするのではなく、機能やモジュールごとに限定して開発することで、スコープや費用が明確になりやすくなります。たとえば「まずは1ヶ月だけ」や「特定の機能のみ」といった短期・小規模の契約から始めることで、顧客も開発会社も実際の進め方や成果を体験できます。

この方法は、少人数のチームで対応できるため、社内リソースを大きく割く必要がなく、ノウハウの蓄積や課題の洗い出しにも適しています。小規模な成功体験を積み重ねることで顧客との信頼関係を深め、最終的に継続的な大規模契約や長期プロジェクトへの移行もスムーズに進められます。

 

●利益を上げ続けるために、今こそモデルの見直しを

新しいモデルをいきなりすべての顧客に提案するのではなく、まずは既存顧客の中でも特に関係性が良好な1~2社に限定して試験導入してみることをおすすめします。こうした既存顧客で成功事例やノウハウを蓄積すれば、同様のニーズを持つ他の顧客や新規顧客にも自信を持って提案しやすくなります。

また、開発から運用・保守まで一貫して対応できる小規模チームを社内に設け、段階的に新しいサービス体制を整えていくことも大切です。部分的な導入でリスクをコントロールしつつ、少しずつ収益源を多様化していくことが、安定した成長のためのポイントです。

 

時代に合った開発スタイルへのシフトを

現代の受託開発ビジネスが成長を続けるためには、従来の慣習にとらわれず、時代に合った柔軟な開発スタイルへ積極的にシフトしていくことが不可欠です。

一度きりの納品型契約から、運用や保守、改善を含む継続的なサービス提供を前提とした関係づくりが求められます。顧客ごとに最適な技術や開発方針を選定し、変化するビジネス環境や課題に合わせて柔軟に対応する力が必要となっています。

また、チーム内での情報共有や業務ノウハウの形式知化、ナレッジマネジメントの徹底も重要です。個人の経験やスキルに頼るのではなく、誰でも同じレベルでプロジェクトに参加できる体制を整えることで、引き継ぎ時の負担を大幅に軽減できます。

「営業リソースが足りない」「効率よく見込み顧客と出会いたい」とお悩みの開発会社の方がいらっしゃいましたら、発注ナビのようなマッチングサービスの活用も一つの方法です。最短1日で本気の発注者と出会えるチャンスがあるので、ぜひ検討してみてください。

 

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