国内外のERP市場は拡大を続けており、その背景にはクラウド型ERPの普及が要因となっています。特に世界市場では、SAPやOracleが市場シェアをリードし、それぞれの強みを生かしたソリューションが成長を支えているのが特徴です。クラウド型ERPは柔軟性やコスト効率の良さから、企業の注目を集めており、今後の市場成長の鍵とされています。
一方、日本では、法制度対応や業界特化型製品の需要増加により、市場が活性化。本記事では、ERP市場の特徴やシェア状況、国内外のトレンドを詳しく解説します。ビジネス戦略を考えるうえでの参考にしてください。
目次
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国内外のERPシェア状況
ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業の業務効率化やデータ統合を図るために不可欠なツールとして注目されています。国内外でのERP市場の動向を把握することは、ビジネス戦略を立てるうえで重要です。ここでは、世界および国内におけるERP市場の特徴とシェア状況について説明します。
●世界でのERP市場シェア
2023年の世界ERP市場規模は約1,242億ドルと推定され、2028年には1,482億ドルに達すると予測されています。この急成長は、クラウド型ERPの普及が主な要因です。クラウドソリューションは柔軟性とコスト効率の良さから、幅広い業種で採用が進んでいます。財務管理や運用管理に特化したERP製品が注目を集めており、今後もこれらの分野の市場が成長すると予想されています。
世界市場を見てみると、約33%を上位10社が占め、その中でSAPが6.2%のシェアでトップ。続いて、Oracle、Intuit、Microsoft、Constellation Softwareが市場の主要プレイヤーとして名を連ねています。これらの企業は、それぞれ特定の分野で強みを発揮しており、競争を繰り広げています。
例えば、SAPのS/4 HANAは、大企業向けに多言語対応や高度な業務統合性を提供し、グローバル企業の需要に応えています。一方で、Microsoft DynamicsはOffice 365との連携の良さが評価され、中小企業から支持を集めているのが特徴です。Oracleは財務や製造プロセスの効率化に特化したソリューションを展開しており、幅広いユーザー層に訴求しています。
参考:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2023-2028
●国内市場の特徴と傾向
日本国内におけるERP市場では、SMILEシリーズ(大塚商会)、GLOVIAシリーズ(富士通)、SAP ERPが高いシェアを占めています。特に、SMILEシリーズは自動化機能や情報系との統合が評価され、中堅・中小企業の間でシェアトップを維持しています。これに続くGLOVIAシリーズは、富士通グループの再編を背景に今後の方向性が注目されている状況です。
SAP ERPについては、大規模な企業だけでなく、中堅・中小企業向けの施策「Grow with SAP」などの展開を進めており、シェア拡大を目指しています。一方で、SAP Business All-in-Oneのようにサポート終了が予定されている製品もあり、ほかの新製品への移行が進められています。
国内企業は、日本独自の商習慣や業界特有のニーズに対応するERPを選ぶ傾向があり、製造業や流通業など業界特化型のERP導入が顕著です。例えば、流通業においては、物流の2024年問題に対応するため、業務管理の精度を高めるERPが求められています。
クラウド型ERPの需要が拡大しており、電子帳簿保存法やインボイス制度の施行がその後押しとなっています。クラウド型ソリューションは、法令対応を簡便化するだけでなく、柔軟な業務運用を可能にするため、多くの企業にとって魅力的な選択肢です。
これらの要素が絡み合い、日本のERP市場は国産製品とグローバル製品が共存する独自の構造を形成しています。今後も各社の戦略や法制度の変化が市場の動向に影響を与えることが考えられるでしょう。
参考:2023年 中堅・中小市場におけるERPの社数シェアと有力な差別化ポイント
クラウド型ERPが市場を牽引
クラウド型ERPの導入が近年注目されています。その背景には、初期コストの削減や管理業務の負担軽減などが挙げられます。以下では、クラウド型ERPが普及する理由や特徴、オンプレミス型との違い、さらにはハイブリッド運用について解説します。
●クラウド型ERPの普及の理由
クラウド型ERPが普及している主な理由は、初期コストが抑えられる点にあります。従来のオンプレミス型ではサーバや機器の設置が必要でしたが、クラウド型ではこれが不要で、中小企業でも導入しやすくなっているためです。
また、保守作業をベンダーが担うため、専門知識がなくても管理が簡単です。さらに、インターネット環境があればどこからでも利用可能で、テレワークの普及に対応した柔軟性も評価されています。短期間での導入が可能な点も、多くの企業にとって魅力です。
●クラウド型ERPの特徴
クラウド型ERPの特徴として、システム管理をベンダーが行う点が挙げられます。これにより、利用企業は専門知識がなくてもシステムを導入・運用しやすくなっています。
モバイル対応や複数のデバイスでの利用が進んでおり、社員がどこからでも業務を進められます。また、アップデートが自動で行われる場合が多く、法制度の変更への対応がしやすいだけでなく、都度アップデートされた機能を利用できる点も特徴です。
●オンプレミス型との違いと選択基準
クラウド型とオンプレミス型には、それぞれ異なる点があり、企業のニーズに応じて選ばれています。
カスタマイズ性
オンプレミス型は業務フローに合わせた細かな調整が可能である一方、クラウド型は標準的な機能を利用するケースが多いため、大規模なカスタマイズには向いていません。
セキュリティ
オンプレミス型は社内サーバを利用するため、外部からのアクセスを制限しやすい利点があります。一方で、クラウド型はセキュリティをベンダーに委ねる形となりますが、多くのベンダーは厳格な管理体制を持っています。
コスト
オンプレミス型は初期費用が高額になるものの、運用費用は安定しています。クラウド型は初期費用が抑えられる一方で、月額料金などのランニングコストが発生します。
メンテナンス
オンプレミス型では企業自身がハードウェアやソフトウェアの保守を行う必要がありますが、クラウド型ではベンダーがそれを担うため、利用企業の負担が軽減されます。
●クラウド型とオンプレミス型のハイブリッド運用
クラウド型とオンプレミス型を組み合わせたハイブリッド運用を採用する企業も増えています。一部業務をクラウド型で効率化し、機密性が高い業務はオンプレミス型で管理することで、それぞれの利点を活用する方法です。
この運用形態は、コストやセキュリティのバランスを取りながら柔軟に対応できる点が特徴です。企業のニーズに応じた組み合わせを選ぶことで、効率的かつセキュリティ面にも配慮した運用ができるでしょう。
ERP導入のメリットと課題
ERPの導入は、業務の最適化や競争力の強化につながる一方、課題を伴うこともあります。以下では、ERP導入のメリットと課題について詳しく解説します。
●導入のメリット
ERPの導入は、業務の効率化や管理の改善を通じて、企業の成長を支えます。
業務全体の効率化
ERPはデータを一元管理し、部門間の情報共有を円滑にします。これにより、重複作業や入力ミスが削減され、業務全体の負担が軽減。特に、在庫や受注管理における効率化が進みます。
迅速な意思決定
ERPのリアルタイムデータ収集機能により、経営層は正確な情報をもとにした迅速な意思決定が可能です。企業は市場の変化に柔軟に対応できます。
コスト管理の改善
ERPシステムは、在庫や購買データを基に需要予測を行い、最適な発注タイミングや数量を提案可能です。結果、無駄な在庫や余分な支出を抑える仕組みを作れます。
法制度対応の簡便化
電子帳簿保存法やインボイス制度など、最新の法制度に対応した機能を活用することで、企業は法令を遵守した経営が行えます。
働き方の柔軟性
クラウド型ERPは、リモートワーク環境でも利用できるため、場所を問わず業務を進めることが可能です。これにより、従業員は必要なデータや機能に簡単にアクセスでき、オフィス外での業務効率も向上します。
●導入の課題
ERP導入にはコストや運用面での課題が伴います。これらの課題を克服するためには、事前の計画と準備が必要です。
初期費用の負担
ERPの導入には高額な費用がかかる場合があり、中小企業にとっては負担が大きいとされています。さらに、カスタマイズが必要な場合、追加費用が発生することがあります。
既存業務との調整
ERPの標準機能と既存業務フローとの間にギャップが生じる場合、業務プロセスの見直しが求められます。また、社員が新しいシステムに慣れるためには教育が必要です。
導入期間と運用開始の遅延
ERPの導入プロセスは長期化することがあり、既存の業務に影響を与えることがあります。スムーズな導入のためには、適切なスケジュール管理が重要です。
社員の慣れと教育の負担
新しいシステムの導入時には、社員が操作に慣れるまで業務効率が一時的に低下する可能性があります。さらに、研修や運用マニュアルの整備が求められるため、教育の負担も増加します。
既存システムとの統合の難しさ
ERPを既存システムと連携させる際、技術的な課題が発生する場合があります。統合が不完全だと、データが分断される可能性があるため、計画的な統合作業が必要です。
ERP市場の今後の展望
企業が業務効率化やデジタル変革(DX)を進める中、ERPは業務の基盤となるシステムとして重要視されています。以下では、国内市場とグローバル市場の展望について詳しく説明します。
●国内市場の成長要因
日本国内のERP市場について、法制度対応や業務効率化のニーズの高まりといった観点から解説します。
法制度への対応
電子帳簿保存法やインボイス制度の施行により、法改正への対応は必須です。これに伴い、ERPの導入や既存システムの更新が進んでいます。特に中小企業では、法令遵守を目的としたERPの導入が増加傾向にあります。
デジタル変革(DX)の推進
DXは企業活動の中で重要なテーマとなっており、業務効率化やデータ活用が進められています。ERPは業務を支える基盤として、単なる管理ツールではなく、経営を支援する役割を果たしています。
クラウド型の普及
クラウド型ERPは、初期コストを抑えながら短期間で導入できる点が評価されています。また、テレワークやリモートワークが普及する中で、クラウド型の柔軟性が企業に支持されています。このため、クラウド型ERPの導入が拡大しています。
業種特化型ERPの需要増加
製造業や流通業など、特定の業界向けに機能を最適化した業種特化型ERPの需要が広がっています。これにより、業務フローに適したシステムを活用する企業が増えています。
●グローバル市場の動向
前述したように、グローバル市場では、クラウド型ERPの普及や技術革新が進んでおり、引き続き成長が見込まれています。地域ごとの需要の違いや新技術の導入が市場拡大を支えているポイントです。
市場規模の拡大
2023年の世界ERP市場規模は1,242億ドルと推定され、2028年には1,482億ドルに達する見込みです。この間、CAGR(年平均成長率)は3.6%と安定した成長が続くとされています。
参考:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2023-2028
クラウド型ERPが市場を牽引
クラウド型ERPは初期費用が抑えられ、柔軟な運用が可能なことから、中小企業を中心に導入が進んでいます。これにより、クラウド型ERPが市場成長を支える主要な要因です。
地域別の成長傾向
アジア市場では経済成長に伴いERPの需要が増加しています。一方、北米やヨーロッパではクラウド型や業務特化型ERPの普及が進んでおり、それぞれの市場特性に応じたソリューションが展開されています。
技術革新の影響
AIや機械学習を活用した次世代ERPが登場し、企業のデータ活用を促進しています。IoTやデータ連携機能を備えたERPは、業務効率の向上とともに新しい価値を提供するツールとして期待されています。
ERPを選ぶ際のポイント
ERPは、企業の業務効率化や運用の改善に役立つシステムです。ここでは、選定時に考慮すべきポイントを解説します。
●業務内容との適合性を確認する
ERP導入の際は、まず目的を明確にし、自社の業務に必要な機能をリストアップします。製造業では在庫管理や生産スケジュール機能、小売業では販売データや顧客情報の管理が求められます。業界特化型ERPであれば、業務内容に適した機能が搭載されているでしょう。
●コストと機能のバランスを確認する
ERP導入では、初期費用だけでなく、運用や保守のコストも考慮しましょう。クラウド型やサブスクリプションモデルは初期費用を抑えやすいため、予算が限られている企業に適しています。必要な機能に優先順位をつけることで、不要な機能が多い製品を避けられます。総合的に費用対効果を評価し、適切な製品を選びましょう。
●操作のしやすさを確認する
ERPの使いやすさは、導入後の定着に大きく影響します。画面設計が直感的でわかりやすく、操作が簡単であるかを確認しましょう。デモ版や無料トライアルを利用して、従業員が実際に評価することで、導入後の業務移行をスムーズに進めることができます。
●サポート体制を確認する
導入後のサポート体制も選定時の重要なポイントです。導入時のトレーニングが充実しているか、トラブル発生時に迅速に対応してもらえるかを確認しましょう。サポート窓口の対応手段や時間帯、オンラインや電話での対応が可能かどうかも評価基準に含めるべきです。さらに、ベンダーが提供するアップデートや機能拡張の頻度も確認しておくと良いでしょう。
●カスタマイズの柔軟性を確認する
ERPが自社の業務プロセスにどの程度適応できるかを確認することが重要です。業務内容が変化した際にシステムを簡単に拡張できるか、特定のプロセスに合わせたカスタマイズが可能かを検討してください。例えば、新しい販売チャネルの追加や物流システムとの連携といった具体的な対応力が選定時の評価ポイントとなります。
●システム連携の可否を確認する
既存システム(会計、人事、在庫管理など)とERPが連携できるかを確認することも大切です。APIやデータのインポート・エクスポート機能が充実している製品は、ほかのツールとの統合を容易にします。
ERP導入を成功させるためのポイント
ERP市場は、国内外でシェア拡大を続けています。世界市場では、クラウド型ERPが柔軟性やコスト効率を背景に導入を進める主要な推進力となり、上位企業が市場シェアをリードしています。一方、日本国内では、法制度対応やデジタル変革がERP導入を後押しし、特に業界特化型やクラウド型ERPが高いシェアを占めています。
ERPは効率化や迅速な意思決定を可能にしますが、コストやシステム連携といった課題も伴います。
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