病院における請求業務は多岐にわたり、複雑です。請求書の発行や入金管理を効率的に行うためには、請求書発行システムや請求管理システムの導入が不可欠です。
本記事では、請求書発行システムと請求管理システムの違いや、各システムの機能、導入によるメリット・デメリットについて詳しく解説します。さらに、病院向けのシステム選定ポイントも紹介し、自院に最適なシステムを導入するための参考にしてください。効率的な経理業務を実現し、病院経営の質を向上させるためのヒントをお届けします。
目次
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請求書発行・請求管理システムの基礎知識
一見すると同じようなものに思える請求書発行システムと請求管理システム。ここでは、2つのシステムの違いや機能について見ていきましょう。
●請求書発行システムと請求管理システムの概要
「請求書発行システム」と「請求管理システム」は、名前が似ていますが実は機能に違いがあります。
請求書発行システムは、その名のとおり請求書の作成と送付を中心とした業務を効率化するためのツールです。病院での日々の請求業務をスムーズに行うために役立ちます。
一方、請求管理システムは請求書発行システムの機能に加えて、さらに充実した経理処理機能を備えています。入金管理や催促など、より幅広い経理業務をカバーするシステムといえるでしょう。
両者の主な違いは経理処理機能の豊富さにあり、請求管理システムのほうが、より多くの経理業務機能を搭載しています。ただし、請求書の発行がメインのシステムでもある程度の管理機能が備わっているものもあります。
システム名 | 特徴 |
---|---|
請求書発行システム | 日々の請求業務を効率化するためのツール/請求書の作成と送付 |
請求管理システム | 入金管理や催促など、幅広い経理業務をカバー/請求書発行機能 + 経理処理機能 |
●請求書発行システムの機能
請求業務を効率化する請求書発行システムには、以下のような基本機能が搭載されています。
請求書作成機能
請求書発行システムの最も基本的な機能です。事前に登録された取引先や発行者の情報を使って請求書を作成できます。フォーマットやテンプレートがあるため、入力する箇所は金額、日付、用途など取引に関する独自の情報だけで済みます。一から書いたり入力したりといった場合に比べて、作業時間を大幅に削減できる点が特徴です。
請求書発行・送付機能
作成した請求書をPDF形式で出力し、メールやFAXで送付できる機能です。手作業での宛名書きや押印といった郵送作業が不要となるため、業務効率が大きく向上します。特に多数の取引先や保険会社、業務委託先に請求書を送る必要がある病院にとっては、非常に便利な機能といえるでしょう。
データ取り込み機能
会計ソフトや診療記録システムなど、ほかのシステムと連携して請求金額や項目を自動的に取り込むことができます。データの再入力による手間や入力ミスのリスクを減らせる点がポイントです。
●請求管理システムの機能
請求管理システムは請求書発行システムの機能に加えて、以下のような経理処理機能を備えています。
入金管理
入金管理の基本である、請求した金額が期日内に正しく入金されているかを確認したり、入金があれば消込まで自動で行える機能です。患者や保険会社からの入金をリアルタイムで把握でき、未払いの管理も容易になります。
自動催促
支払期日が近づいた患者や保険会社などへリマインドを自動送信する機能です。また、支払いが遅れている場合にも、自動で催促メールが送信されるため、未収金の削減や資金繰りの改善につながります。
自動消込
入金データと請求データを自動で照合し、消込処理を行う機能です。手作業での消込作業を大幅に削減できるため、経理担当者の負担軽減につながります。特に取引量の多い大規模な病院やクリニックには、必須といえる機能です。
請求書発行・請求管理をシステム化するメリットとデメリット
請求書発行・請求管理システムの導入を検討する前に、メリットやデメリットについて知っておきましょう。
●システム化するメリット
請求書の発行や請求管理をシステム化することで、病院の経理業務はどのように変わるのでしょうか。主なメリットを3つ紹介します。
1.業務効率化
請求書発行・請求管理システムは、どちらも請求業務の効率化に特化したシステムです。例えば、テンプレート機能を使えば定型的な請求書を数クリックで作成できますし、入金管理や支払督促など請求フローに沿った多数の機能が搭載されています。そのため、アナログな方法やExcelを使用する場合と比べて請求業務がはるかに効率的に行えます。
また、システム化には、テレワークへの対応をサポートできるというメリットもあります。クラウド型のシステムであれば、インターネット環境があれば病院にいなくても請求業務を行えます。押印や宛名書きといった郵送作業のためだけに出社する必要がないため、請求業務の煩雑さが軽減できるでしょう。
さらに、システム化のメリットは請求書を受け取る側にもあります。電子データで請求書のやり取りが可能になれば、出社していなくても請求書の確認ができるようになるほか、重要な書類の紛失といったリスクも軽減できます。
2.人的ミス防止
手書きによる記入ミス、郵送先の間違い、金額の入力ミスなど、請求業務ではさまざまなミスが起こります。システム化することで、このようなヒューマンエラーの発生を抑制できます。
例えば、請求書発行システムでは、過去の請求書データを再利用する機能があり、毎回の入力作業が省略できるため入力時のミスを減らせます。また、郵送先の情報をデータベース化し、宛名印刷機能と連携させることで、郵送先の記載ミスも防げるでしょう。
ほかにも、請求管理システムでは、請求金額の自動計算機能や、請求漏れのチェック機能などが搭載されているため、金額の計算間違いや請求忘れといった人的ミスを予防できます。
3.コスト削減
請求書発行・請求管理のシステム化には初期投資が必要ですが、長期的には大きなコスト削減につながります。
前述した業務効率化により請求業務にかかる時間が大幅に短縮され、導入以前よりも少ない人員で対応できれば人件費の大きな削減になります。空いた人員をほかの業務に振り分けることができ、社内の人的リソースの適正化にもつながるでしょう。
また、紙の請求書を印刷して郵送する必要がなくなるため郵送費や印刷代、封筒代といった経費も削減できます。小さなことのようですが、取引先が多ければ多いほど削減効果は大きくなります。
●システム化するデメリット
システムの導入前には、メリットだけでなくデメリットも押さえておきましょう。
1.金銭的コスト
新しいシステムを導入する際、まず考えなければならないのが初期費用や運用費用といった金銭的コストです。例えば初期費用としては、ソフトウェアのライセンス料、カスタマイズ費用、データ移行費用などが挙げられます。
また、システムの運用には継続的な費用もかかります。内訳は、月額や年額での利用料のほか、保守費用やアップデート費用、サポート費用などです。
また、多機能でカスタマイズ性が高いシステムほどコストも高くなります。金額に見合った効果が得られるのか、費用対効果を鑑みて納得のいくシステムを選ぶことが大切です。
2.人的コスト
金銭的なコストのほかにも、人的コストも考えましょう。新しいシステムは、それを使いこなすための社員教育が必要です。システムの使い方を理解し、正しく操作するための研修などに時間やお金といったコストがかかります。特に、今までアナログで作業していた従業員にとっては、デジタル化への移行に大きな抵抗を感じるかもしれません。マニュアルを作成する、社内での問い合わせ窓口を設けるなどのフォロー体制も用意しましょう。
3.不具合やトラブルのリスク
どんなシステムにも、ソフトウェアのバグ、サーバのダウン、データの消失などのトラブルが起きる可能性があります。こういった不具合が発生すると、原因を特定して修復するのに時間がかかり、その間の請求業務が滞ってしまう恐れもあります。予期せぬトラブルに備えて、バックアップを取り、サポート体制を確認しておきましょう。
4.導入計画の重要性
効率化のためのシステムは、導入しただけで成功というものではありません。導入から使用後のフォローといった計画が不十分だと、使いにくいシステムや製品を選んでしまい、かえって業務効率が低下してしまう恐れもあります。
まずは請求業務のフローや課題感を充分に洗い出し、そこから予算の計算、自院に合うシステムやベンダーの選定、導入スケジュールの策定などを考えましょう。
病院向けの請求書発行・請求管理システムの選び方
請求書の発行や請求ができるシステムは多数あるため、どれを選べば良いのか迷う方もいるでしょう。ここでは、病院に適した請求書発行・請求管理システムを選ぶ際のポイントを紹介します。
●業務課題を解決できる機能があるか
請求書発行・請求管理システムと一口にいっても、実際にはシステムによって対応範囲が大きく異なります。請求書の発行に特化したシステムもあれば、管理に重点を置いたシステム、あるいはその両方にバランス良く対応できるシステムなど、その種類はさまざまです。
また、病院の規模や業務の複雑さ、課題感によって重視すべき機能は変わってきます。そのため、導入前に自院の業務課題を正確に認識し、それを解決できる機能が搭載されているシステムを選ぶことが大切です。
例えば、大規模な病院やクリニックでは医薬品や医療機器の購入、リース、清掃や警備などの業務委託など、取引先や品目が多岐にわたります。一つひとつの取引を管理すること自体が煩雑なため、請求書の発行から管理までを一元的にシステム化できれば業務は大きく効率化できるでしょう。
小規模な病院・クリニックで、請求管理の負担は少ないが請求書送付の量は多いという場合には、請求書発行システムだけでも充分なこともあります。
●既存のシステムと連携できるか
請求業務では、同じく金銭面の管理を行うという理由から会計ソフトとの連携が重要です。例えば、医事会計システムと連携することで、退院時の請求書発行や領収書作成、レセプト作成の効率化が図れます。また、口座振替やクレジットカード決済など、異なる経路での入金結果を一元管理できるシステムも便利です。
しかし、新しく導入するシステムが既存のシステムと連携できない場合、手動での入力対応が必要になり、かえって非効率になってしまう可能性があります。そのため、導入を検討しているシステムが既存のシステムと連携できるかどうかを事前に確認しておきましょう。
●改正電子帳保存法に対応しているか
改正電子帳簿保存法(電帳法)とは、一定の要件を満たすことで国税に関する帳簿や書類を電子データとして保存できるという法律です。これまで紙ベースでの保管が原則とされていたものが電子データとして保存できるようになったことが大きな改正内容で、経理や会計のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めるうえでのポイントとなっています。
この電子帳簿保存法では、データの削除・改ざんができないことを意味する「真実性」、データの検索・表示ができることを意味する「可視性」の2つが要件として定められています。
しかし、この法律の要件を満たしていないシステムを使用した場合は紙での保存が必須となり、せっかくシステムを導入しても業務効率化の恩恵が受けられません。そのため、導入を検討しているシステムが改正電子帳簿保存法の要件に対応しているかどうか、事前に確認することが非常に重要です。
自院に合った請求管理システムはマッチする外注先の選定から
医薬品や医療機器の購入、リース、清掃や警備など病院特有の請求業務はさまざまです。特に大規模な病院ほど、請求先が多様化し、管理が複雑になりがちなもの。請求書発行システム、請求管理システムであれば、そんな病院・クリニックの請求業務の効率化に役立ちます。
なお、病院の請求業務は大規模であればあるほど多岐にわたるため、標準的なパッケージシステムでは十分に対応できない可能性もあります。その場合は、自院の業務フローや課題に合わせてカスタマイズされたシステムを開発するという手もあるのです。
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