検体の情報管理を効率化したい、現場の業務負担を軽減したい場合、検体管理システムの導入を検討しましょう。
この記事では、検体管理システムとはどういったものなのかをはじめ、主な機能や導入するメリットについて解説します。また、検体管理システムの選び方や自院に合うシステムが見つからない場合の解決策についても紹介しているため、検体管理システムの導入を検討する際の参考にしてください。
目次
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検体管理システムとは?
まずは、検体管理システムについてどういったものか、なぜ重視されているのかについて解説します。
●検体管理システムの概要
検体管理システムとは、病院やクリニックで日々採取される血液や尿などの検体を効率良く管理できるように開発されたシステムです。システムから発行される貼付用バーコードと紐づけながら、検体情報を一元管理できるのが特徴。システムによっては衛生研究所や保健所、そのほかの関係施設との共同利用によってリアルタイムでのデータ共有を実現できるほか、検査依頼書や成績書などの帳票発行にも対応可能。迅速な結果報告や情報マスキング、操作履歴の管理など安全に作業できる環境の構築に取り組めます。
●病院検体管理システムの重要性
医療機関で扱う病理検体の数は劇的に増加している一方で、病理検査技師(臨床検査技師)の人員不足が問題となっています。慢性的な人員不足によって引き起こされるのが、検体の取り違えです。検体の採取から治療までは長いプロセスを経る必要があり、手作業も多いことから、すべてのプロセスで検体の取り違えが発生する可能性があります。
検体の取り違えは重大な事故やミスにもつながりかねないため、医療現場では取り違えを防ぐ対策が求められています。検体の取り違え対策として効果的と考えられているのが、検体管理システムをはじめとするITシステムの導入です。ITシステムの導入によって業務を効率化できれば医療従事者の業務負荷が軽減され、余裕が生まれることで確認不足によるヒューマンエラーを予防しやすくなります。
検体管理システムの主な機能
検体の効率的な管理と追跡を実現するために、検体管理システムには様々な機能が搭載されています。その中から主要な機能をピックアップして解説します。
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検体の登録と追跡
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検査結果の管理と報告
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データの一元管理
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履歴管理とレポート作成
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セキュリティ機能
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カスタマイズ
●検体の登録と追跡
検体の登録作業や管理を効率化する機能です。バーコードラベルを使用することで検体の登録から追跡までを容易に行えるようになり、検体の取り違え防止や効率的な管理を実現。バーコードリーダを使用すれば、連続的な登録処理も迅速に行えます。検体の登録から廃棄までの日時とオペレータ情報を一貫して履歴に残せるシステムなら、監査証跡に対応できるトレーサブルな運用が可能。検体の保管状況の追跡やアラート機能によって、保管期限の超過を防止できます。
●検査結果の管理と報告
リアルタイムでの検査状況を管理し、正確な検査結果を臨床側へ迅速に報告する機能です。迅速な報告によってスムーズな診療を実現できるほか、検査時の異常値やパニック値の発生を通知する機能も備わっており、検査室の業務効率化に貢献。結果入力や報告書出力などの機能を使えば、書類作業の手間や手書きによる記入ミスがなくなり、業務負担の軽減に取り組めます。検査結果は時系列やグラフで表示することもでき、データを視覚的に分析することも可能です。
●データの一元管理
生化学分析装置や血球計数装置、尿分析装置などの各種検査機器と連携して、検体情報や検査データを一元管理する機能です。電子カルテやレセプトコンピュータ、オーダリングシステムなどと連携すれば患者情報の共有も容易に行えます。また、個別管理していた情報を1つのシステムに集約することにより、データの整合性や関連性を把握でき、業務効率や診療の質の向上を図れるのもポイントです。検体取得時の同意書やアンケートも保存できるほか、画像データや関連ファイルへのリンク情報も保管できます。
●履歴管理とレポート作成
検体の登録や取り出し、移動などの操作履歴を管理する機能です。レポート作成機能によって、検体の使用量や担当者などの使用履歴をExcelやCSV形式で出力することもできます。いつ、誰が、どの検体を、どうしたのかといった内容を調査でき、検体の移動や使用状況などの情報を容易に把握できます。
●セキュリティ機能
検体管理システムに使用権限やアクセス権限を設定することで、不要な操作や操作ミス、部外者の使用などを防ぐ機能です。特定のユーザーのみがシステムにログインできるように設定することも可能。また、不正アクセスや覗き見を防止するためのロック機能やマスク機能を搭載したシステムもあり、検体データのセキュリティを確保できます。
●カスタマイズ
カスタマイズに対応している検体管理システムなら、施設の規模や運用に合わせて操作の簡略化や自動化、機能の追加などを行えます。不要な機能は外すこともできるため、業務に最適化した機能と画面構成になるようにしましょう。カスタマイズの柔軟性についてはシステム会社によって異なるため、自院に合った検体管理システムを導入したい場合は、いろいろなシステムを比較検討するのがおすすめです。
病院検体管理システムの導入メリット
検体管理システムの導入によって得られるメリットには、業務効率の向上やコスト削減、セキュリティの強化などが挙げられます。それぞれのメリットについて解説するため、導入を検討する際の参考にしてください。
●業務効率の向上
バーコードシステムを使って検体の登録や検査結果の管理を行えるため、検査者によるデータの手入力や目視確認は必要ありません。検査結果の報告書も自動で作成できるので、これまで書類作成にかかっていた時間を大幅に削減できます。検体の追跡や管理もリアルタイムで行えるため、迅速かつ正確な情報提供によって診療業務の効率化にもつながります。診療業務の効率化によって医師が患者に向き合える時間も増え、患者満足度の向上につなげられるのも検体管理システムの導入で得られるメリットです。
●コスト削減
検体の採取から治療までは長いプロセスを踏む必要があり、多くの工数が発生します。検体管理をシステム化することで業務の効率化を図れ、これまでかかっていた人件費や検体管理のコストを削減することが可能。検体管理システムの導入によって手作業を自動化できればヒューマンエラーによるミスを減らせ、手戻りや再検査の必要がなくなることで無駄なコストを抑えられるメリットもあります。また、自動化によって安定した検査管理のプロセスが確保されれば、人材育成にかかる時間も減らせるでしょう。
●データの正確性向上
検体管理システムを導入すれば、これまで個別に管理していた検体情報や検査データ、患者情報を一元管理できます。検体管理システムに集約することでデータの整合性や関連性を把握しやすくなり、業務効率や診療の質の向上を実現。リアルタイムで検査状況を管理しているので、必要なデータを迅速かつ正確に提供することもできるようになるでしょう。情報の共有も容易に行えるので、システムに保存されている情報をもとに適切な治療を選択しやすくなります。
●セキュリティとコンプライアンスの強化
検体管理システムには様々な検査情報や個人情報が保存されているため、それらを安全かつ適切に扱うための機能が備わっています。使用権限やアクセス権限を設定したり、機微な情報は項目単位でマスキングしたりすることも可能です。閲覧や作業の履歴が記録されるため、不正アクセスやデータの改ざんの防止にも取り組めます。また、検体情報を匿名化できる機能を備えたシステムなら、個人情報の取得・閲覧ができないため、検体提供者のプライバシーを保護しながらデータを管理できます。
●カスタマイズと連携の柔軟性
カスタマイズ性が高い検体管理システムを選べば、病院の規模やニーズなどに合わせて機能や画面構成などを最適化できます。また、電子カルテやレセプトコンピュータなどと連携することで、より利便性の高いシステムにできるでしょう。ほかのシステムとの連携によってデータの一元管理と情報の共有を容易に行え、業務効率や診療の質をさらに向上できるメリットがあります。
病院検体管理システムの選び方
検体管理システムを効果的に運用するには、操作性やカスタマイズ性、搭載されている機能などを確認したうえで、自院に合ったものを選ぶことが大切です。システムを選定する際に注目したいポイントを解説します。
●操作性とユーザーフレンドリー
検体管理システムを選ぶにあたって重要なのは、システムに関する知識がなくても直感的に操作できる設計かどうかです。操作性の悪いシステムだと操作に慣れるまでに時間がかかってしまい、せっかく導入したのに生産性や患者満足度の低下につながりかねません。操作性は日々の業務効率に直結する要素のため、検体管理システムを導入して業務効率の大幅な向上を目指すのであれば、使いやすさと操作性に配慮したユーザーフレンドリーなシステムを選ぶようにしましょう。
●カスタマイズ性
自院が求める機能が搭載されているか、まずは基本的な機能を確認しましょう。さらに、自院のニーズに合わせて特定の機能を追加したり、不要な機能を削除したりなど、カスタマイズに柔軟に対応できるかも重要な評価ポイントです。例えば、より良い環境で作業できるように検体の管理項目や保管場所、報告形式などをカスタマイズできるかを確認します。カスタマイズ性の高いシステムを選ぶことで、自院の規模や業務に最適化されたシステムを導入できるでしょう。ただし、カスタマイズしすぎるとメンテナンスの手間やコストがかかるため、本当に必要なカスタマイズかを十分に検討する必要があります。
●連携機能
各種システムや機器と連携できることで業務効率の向上や業務負担の軽減につながるため、検体管理システムを選ぶ際は連携の有無や範囲を確認しましょう。電子カルテやWeb問診システム、自動精算機などの各種システムや機器をすでに使用している場合は、それらのシステムと連携が可能かも確認しておくことで、スムーズに導入できます。例えば電子カルテと連携すれば検査結果を自動で取り込むことができ、検査結果の迅速な確認や緊急性を要する患者への対応のタイムラグを抑えられるでしょう。
●セキュリティ機能
検体管理システムを選ぶ際、セキュリティ機能の確認は非常に重要です。まず、アクセス制限やログ管理機能を備え、誰がいつデータにアクセスしたかを監視できるかを確認してください。また、匿名化システムや静脈認証システムとの連携が可能であれば、セキュリティがさらに強化されます。
多くのシステムにはバックアップ機能が標準装備されていますが、バックアップの頻度や方式が自院のニーズに合致しているか、災害対策としての堅牢性も確認しましょう。これにより、データの安全性が確保され、システムの信頼性が高まります。
●サポートとメンテナンス
検体管理システムを安心して運用するには、適切なサポートとメンテナンスが不可欠です。システム選定時には、専任スタッフによる現場対応やコールセンター経由のサポート体制が、自院のニーズに合っているかを確認しましょう。
また、定期点検やバックアップ対応、操作画面のレイアウト変更や機能追加が可能かも重要です。トラブル発生時に迅速な対応が受けられるかも事前に把握しておくと、緊急時に落ち着いて対処できます。
自分のクリニックに合うシステムが見つからないなら開発会社に依頼
市販されている検体管理システムを比較検討したものの、操作性や機能、サポート体制などがクリニックのニーズに合わないといったこともあるでしょう。そういった場合は、オーダーメイドの検体管理システムの開発を依頼するという方法もあります。開発会社に依頼することで、クリニックのニーズや業務などに最適化されたシステムの導入を叶えることが可能です。要件定義から設計・開発、テスト、導入、保守まで一貫したサポートを受けられるため、安心してシステムを運用できます。
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