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IT導入補助金を活用したシステム開発とは?申請方法や流れも

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システムの開発・導入をするのであれば、国や地方自治体などが設けている補助金を活用することを検討してみても良いでしょう。
補助金などの制度は数多くありますが、中小企業・小規模事業者向けの補助金でITサービスの導入に役立てられるものは3種類です。このうちの1つにIT導入補助金が挙げられます。
 

目次

 

 

■中小企業・小規模事業者向けの補助金は3種類

冒頭にもお伝えした通り、中小企業・小規模事業者向けの補助金には3種類あります。

ものづくり補助金

・IT導入補助金

・小規模事業者持続化補助金

この3種類はいずれも、業務の効率化や売り上げアップにつながるITツールを導入する際の補助として金銭面でのサポートをするもので、中小企業庁が一体運用しています。大きな違いとなるのは金額です。補助金の上限が高いものから順に、ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金となります。
使い分けるときの目安としては、フルスクラッチ開発をするためなどで、IT導入補助金の最大予算を超える場合にはものづくり補助金を、IT導入補助金の最低予算を満たさないのであれば小規模事業者持続化補助金の活用を検討してください。
今回はこの3種類の補助金を選ぶ基準となるIT導入補助金について詳しくご説明します。

 

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■IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、業務の効率化や売り上げアップにつながるITツールを導入する際に使える補助金制度のことです。
事業の課題解決に役立つツールの導入を支援することで中小企業・小規模事業者の企業のIT基盤が構築されます。企業によって課題は異なりますが、例えば、卸・小売業の場合、受発注管理や在庫管理、売上管理をそれぞれ個別のExcelで管理していることがあります。帳簿間の内容の書き写しを自動で行うRPAを導入すれば、商品が売れたタイミングで自動的にすべての管理表が更新されます。これなら書き写す際に間違ってしまうことはなくなりますし、転記にかかる時間を削減でき、非常に効率的になるでしょう。
このほかにも、保育・介護業界においては、書類を電子化することで紙の費用の削減につながりますし、運輸業界においては効率の良い配車を自動で組むことができるシステムがあり工数削減・業務効率化に役立ちます。

 

■補助金の対象者の条件

補助金の対象となる条件は、「平成30年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金交付規程」に記載されています。中小企業事業者や小規模事業者のうち、飲食、宿泊、卸・小売、運輸、保育、医療、介護等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象となります。また、法人のみならず、個人事業者も対象になります。

 

一 足腰の強い経済を構築するため生産性の向上に資するITツールを導入する中小企業・小規模事業者等であること。
二 日本国内で事業を行う個人又は法人であること。
三 事務局が求める資料を事務局が別途定める期間内に、事務局が指定する方法で提出できること。
四 中小企業・小規模事業者等以外の者で、事業を営む者(以下「大企業」という。)から、次に掲げる出資又は役員を受け入れていない者であること。
(1)発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
(2)発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
(3)大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
五 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営むものでないもの。ただし、旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項に規定する許可を受け旅館業を営むもの(風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営むものを除く。)を除く。
六 申請者(中小企業・小規模事業者等)又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。反社会的勢力との関係を有しないこと。また、反社会的勢力から出資等資金提供を受ける場合も対象外とする。
出典:平成30年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金交付規程 第8条

 

●中小企業・小規模事業者とは

 中小企業・小規模事業者とは、資本金や従業員において以下の基準に該当する事業者のことです。

業種 資本金 従業員数
製造業、建設業、運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業 3億円以下 900人以下
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下
その他の業種(上記以外) 3億円以下 300人以下
法人医療法人、社会福祉法人、学校法人 300人以下

 

■補助対象になる経費と金額

IT導入補助金の対象となるのは、ソフトウェアの開発・購入にかかる費用と、導入にかかる費用のみです。業務効率化と売上アップが期待できるITツールの導入に、補助金が使用できます。具体的な数字も決まっており、ITツール導入後、労働生産性の伸び率が3年後に1%以上、4年後に1.5%以上、5年後に2%以上になるような目標を、補助金申請前に作成する必要があります。

 

補助金の金額に関しては、申請区分によって異なります。IT導入補助金の申請区分にはA類型とB類型の2種類あります。いずれの場合も補助金で支払うのは、導入にかかる費用の1/2までとなっております。なお、A類型とB類型に関してはITツールの区分にてご説明します。

申請区分 補助金の上限額・下限額
A類型 40万円~150万円未満
B類型 150万円~450万円

 

■補助金の対象となるITツールの区分

補助金の対象となるITツールは大きく「ソフトウェア」、「オプション」、「役務」の3つに分けられ、それぞれ細分化されています。

ITツール区分

出典:一般社団法人サービスデザイン推進協議会 サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局「IT導入支援事業者説明会 2019年4月

 

●ソフトウェア

ソフトウェアはオンプレミス版・クラウド版のパッケージソフトウェアを対象としています。パッケージには「業務パッケージ」、「効率化パッケージ」、「汎用パッケージ」の3種類があります。業務パッケージは業務プロセスそれぞれに特化した機能のことで8つに分けられます。

①顧客対応・販売支援
問い合わせ管理や顧客管理など

②決済・債権債務・資金回収管理
カード決済やQRコード決済など

③調達・供給・在庫・物流
流通管理や仕入れ先管理など

④人材配置
スタッフ管理(シフト作成や勤怠管理)など

⑤業務固有プロセス(実行系)
マーチャンダイジング支援やインストアマーチャンダイジング支援など

⑥業務固有プロセス(支援系)
在庫管理(商品、入庫・出庫、賞味期限)など

⑦会計・財務・資産・経営
予算統制や財務会計、税務申告など

⑧総務・人事・給与・労務
人事・労務・給与・福利厚生・教育・法令、社内資産管理など効率化パッケージは業務に限定されない機能で、RPAなど、複数のシステムを連携・自動化するシステムのパッケージのことです。汎用パッケージも効率化パッケージ同様、特定の業務に限定されない機能で、グループウェアや文書管理など、汎用的に利用できる機能を持つパッケージのことです。

 

●オプション

「オプション」は、ソフトウェアのパッケージに追加していく機能などのことを指します。項目としては「機能拡張」、「データ連携ツール」、「セキュリティ」、「ホームページ関連費」の4つからなります。

■拡張機能……ソフトウェアで説明したパッケージの機能を拡張するもののこと。
■データ連携ツール……パッケージ同士のデータ連携を行うソフトのこと。
■セキュリティ製品……PC・ソフトウェアの保護やデータを暗号化により保護するソフトウェア製品などのこと。
■ホームページ関連費……顧客と双方向にやり取りをするためのホームページ制作費用のこと。

 

●役務

役務には「導入コンサルティング」、「導入設定・マニュアル作成・導入研修」、「保守サポート」の3種類があります。

■導入コンサルティング……ソフトウェア導入の計画と、社員への教育の計画にかかるアドバイスを行うこと。
■導入設定・マニュアル作成・導入研修……導入に当たってのマニュアルを作成したり実際に教育・研修したりすること。
■保守サポート……トラブル発生時の対応やバージョンアップへの対応などを行うこと。導入初年度1年分の費用のみが補助対象になります。

 

●申請区分のA類型とB類型は「ソフトウェア」のプロセス数に注目

申請区分のA類型とB類型は、導入するソフトウェアに追加する業務プロセス数が影響します。

申請区分と業務プロセス

■A類型
青枠で囲んだ中から最低1つ以上の業務プロセスを選択し、赤枠を含めて合計2つ以上の業務プロセスを含む必要があります。

■B類型
青枠で囲んだ中の3つ以上の業務プロセスを含み、赤枠を含めて合計5つ以上の業務プロセスを含む必要があります。

 

また、補助率は1/2と決まっているため、最低でも費用が80万円以上に達していない場合には補助を受けられず、300万円に達していない場合にはB類型の補助を受けることができません。

プロセス数/導入費用 80万円未満 80万円~300万円未満 300万円以上
2プロセス未満 申請不可 申請不可 申請不可
2プロセス~5プロセス未満 申請不可 A類型 A類型
5プロセス以上 申請不可 A類型 B類型

 

■申請までの流れとスケジュール

申請までの流れとしては、以下のような手順となります。

  1. ITツールの選択(補助金制度に登録してあるITツールの中から選択)
  2. 交付申請書の作成・提出
  3. 交付が決まったらITツールの導入
  4. 実績報告書の提出
  5. 補助金の交付手続き

注意すべきは、ITツールの契約などよりも先に交付申請をすることです。交付が決まる前の契約・導入にかかった費用は補助金の対象とはなりませんので、順番を守る必要があります。

2020年の実施スケジュールはまだ決まってないため、その参考として2019年での実施スケジュールをお伝えします。

一次公募 A類型 交付申請期間 2019年5月27日(月)~2019年6月12日(水)17:00まで
交付決定日 2019年6月26日(水)
事業実施期間 交付決定日以降~2019年12月24日(火)
事業実績報告期間 2019年8月13日(火)11:00~2019年12月24日(火)17:00<予定>まで
B類型 交付申請期間 2019年5月27日(月)~2019年6月28日(金)17:00まで
交付決定日 2019年7月16日(火)
事業実施期間 交付決定日以降~2019年12月24日(火)
事業実績報告期間 2019年8月13日(火)11:00~2019年12月24日(火)17:00<予定>まで
二次公募 交付申請期間 2019年7月17日(水)11:00~2019年8月23日(金)17:00まで
交付決定日 2019年9月6日(金)
事業実施期間 交付決定日以降~2020年1月31日(金)<予定>
事業実績報告期間 交付決定日以降~2020年1月31日(金)17:00まで<予定>

 

■申請に必要なもの

申請に必要なものは法人か個人かによって一部異なります。

●共通して必要なものは2つ

1.Eメールアドレス
これは申請者本人が送受信の管理を行っている必要があります。例えば、IT導入支援事業者(ツールの売り手)などが閲覧・送受信できるEメールアドレスである場合には申請が通らない、あるいは交付の取り消しとなることがあります。

2.SMS(ショートメッセージサービス)を受信できる携帯電話
事務局から申請者へ架電する際にも利用されます。Eメールアドレスと同じように、第三者が所有する携帯電話番号を申請に利用している場合には申請が通らない、あるいは交付の取り消しとなることがあります。

 

●法人の場合に必要なものは2つ

1.履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
法人が実在していることの証明として必要になります。

2.当該の年かその前年に納税された法人税の納税証明書(その1もしくはその2)
事業が続いていることを証明するのに必要となります。

 

●個人の場合に必要なものは2つ

1.運転免許証or運転経歴証明書or住民票(発行から3か月以内のもの)
現住所の証明をするに当たって必要です。

2.前年分の確定申告における所得税の納税証明書(その1もしくはその2)と所得税確定申告書
個人事業が続いていることを証明するのに必要となります。

 

以上がIT導入補助金についてです。最後に簡単におさらいしておきましょう。

 

■IT導入補助金のまとめ

対象者 中小企業・小規模事業者(法人あるいは個人)
対象経費 ソフトウェア費、導入関連費用など。
補助金 40万円~450万円
補助率 1/2以下
申請期間 一次:5月末頃~6月末頃
二次:7月中旬頃~8月末頃

 

補助金を受給するに当たって手順や用語が難しく感じる方もいるかもしれませんが、効率化を図って事業をさらに発展させていく際にITの導入が役立ちますし、導入するのなら、そのサポートとなる補助金はぜひとも使いたいところでしょう。ただ、どのシステム会社でも良いわけではありません。補助金を使うためには、システム会社があらかじめ開発したツールを申請しておく必要があります。
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