ビジネスシーンではまだまだ見かけることの多いFAXによる書類の送信。
このアナログ的な作業を顧客に強いることに申し訳なく感じ、DX推進に着手した会社が開発会社探しで発注ナビを利用、理想的な発注先と巡り会うことができた。
新たなFAX送信システムを導入したおかげで顧客からも喜ばれているとのこと。今回は、FAX送信をスマホでもできるようにとDX化を行った、エアコンで熱交換に使う冷媒ガスを取り扱う会社である株式会社プロファインの代表取締役 久米広之介氏と、システムの開発を行った株式会社スティビィーの代表 長谷部光泰氏のお二方にお話を伺った。
手書き文書をFAXで送信していた手続きを、スマホで現場から直接送信できるようにしたい。やりたいことは明確だったが、コロナで一時中断していた。
――プロファイン様はどのようなビジネスを展開されているのでしょうか。
株式会社プロファイン 久米氏:当社はエアコンで熱交換に使う冷媒ガスを取り扱う会社です。中国にてOEMで冷媒ガスを作ってもらい、それをボンベに詰めて、空調機器の施工会社に販売しています。
商業施設や工場などで用いられる大型のエアコンでは、施工現場で冷媒ガスを充填する作業が伴うのですが、現場で使用済みになったボンベは当社で回収し、残ったガスを抜いてから再利用します。
当社ではこれまで、このボンベを回収する仕組みも構築して運用してきたのですが、今となっては使い勝手が良くありません。そこで以前から、思い切ってデジタル化を進めようと考えていました。いわゆるDX推進ですね。
――デジタル化ということは、それまではアナログ的な手法が採られていたということでしょうか。
久米氏:はい。具体的には、現場で施工を行った施工会社様から、運送会社様に向けてFAXで「いつどこでいくつのボンベを回収して欲しい」という依頼書を送信してもらっていました。このFAX送信というアナログな手続きがネックとなっており、FAXのない現場でどう対応するかというのは、かねてからの課題でした。
実は、スマホが普及してきた頃から、QRコードを利用してサイトにアクセスし、フォームで依頼書を入力してもらうというアイデアがありました。しかし、どこに発注して良いのか分からず、後回しになっていました。そのうちにコロナ禍になってしまい、回収システムのDX推進は一時停止となりました。
ようやくコロナ禍も明け、いよいよプロジェクトを再開しようということになり、今回の発注に至りました。
株式会社スティビィーへの発注の決め手は同種のシステムの開発実績とコスト抑制の提案だった
――今回、発注ナビをご利用いただきましたが、そもそも発注先の候補はなかったのでしょうか。
久米氏:お付き合いがあるシステム系の会社と言えば当社のホームページを制作してもらった会社ぐらいですが、その会社はすでに事業から撤退しており、唯一の拠り所が無くなっていました。
――発注ナビの存在は、どのようにして知ったのでしょうか。
久米氏:最初はネットで一社一社、発注先を探していきました。そのうちに発注ナビの存在を見つけ「こんなサービスもあるんだ」と思いました。費用もかからないということで、早速試してみることにしました。
――その時の発注内容を具体的に教えてください。
久米氏:システムのイメージは次のようなものです。
- 顧客はQRコードを読み取りWebフォームへアクセス
- 顧客はWebフォームで必要事項を入力し、送信ボタンを押す。入力された情報はPDF化され、インターネットFAXの仕組みで運送会社へ送信される
- 当社にはPDF情報がメールで通知される
- 将来的には運送会社にもメールで通知する可能性あり
このWebフォームやPDF生成、インターネットFAXでのFAX送信の仕組みを開発してほしいというものでした。そもそも良いものをしっかりと作ってくれる会社があるのかどうかを知りたかったので、発注ナビに伝える段階では、予算未定としました。
――発注ナビから3社をご紹介差し上げました。
久米氏:1社からは詳しい内容を説明した結果、できない旨を伝えられました。しかし、スティビィーさんは過去に同種のシステムを開発したことがあるとのことでしたので、安心して相談をすることができました。
可能であればコストを抑えたいというこちらからの要望で、既存のインターネットFAX送信サービスを使ったものを提案してくださったので、スティビィーさんに決めました。
PHPを得意とし、業務システムを手掛けるスティビィー。ホームページもデザインは踏襲しつつ、最新技術でリニューアル。
――スティビィー様はなぜ今回の案件にエントリーしたのでしょうか。
株式会社スティビィー 長谷部氏:発注ナビの新着案件の段階である程度明確なシステムのイメージが伝わってきたので、エントリーしました。
Webフォームの入力を反映してメールを送信するシステムはたくさんあり、珍しいものではありません。また、メールからFAXを送信するサービスは以前からあります。これらを組み合わせた同種のシステムをかつて手掛けたことがあったため、そのノウハウも活かせるのではないかと判断しました。
――スティビィー様は、普段どのような開発を手掛けていらっしゃるのでしょうか。
長谷部氏:当社はPHPの技術力を武器に、業務系システムの開発を得意としています。社内利用のシステムならばスクラッチで開発するのですが、インターネット上のサービスサイト構築となると、運用なども考慮したうえで、WordPressを使いつつシステマチックなところをWordPress用の既存プラグインに手を入れたり、新たに作り出したりしてシステムを構築していくというケースが多いですね。
――なるほど。WordPressのプラグインはPHPで記述されているので、御社の得意分野ということですね。今回の決め手はスティビィー様からのご提案にあったとのことですが、どのような内容だったのでしょうか。
長谷部氏:現場でスマホからアクセスするということでしたので、ホームページもレスポンシブ(PCやスマホなど、アクセスするデバイスに応じて最適化される仕様)なサイトにしておく必要があります。しかも、なるべく予算を抑えたいというご要望でしたので、既存のホームページのデザインを踏襲しつつ、WordPressに移行しました。
具体的には、ゼロから起こすのではなく、プロファイン様の既存のサイトの構成に近く、かつレスポンシブ対応なテンプレートを選び、ビジュアルは既存のものを踏襲するようにして置き替えるというご提案を差し上げました。
――確かに、新規にデザインを起こすとなると費用がかさみます。
長谷部氏:システムとしては、WordPressのコンタクトフォームのプラグインをカスタマイズしています。
Webフォームから入力された内容で生成されるコンタクトフォームをカスタマイズして、そこからPDFを生成する部分は当社が独自に作り込んでいます。生成したPDFを、外部のサービスを使ってFAXで送信するようにしています。
プラグインのカスタマイズの部分で、当社の持つPHPの知見が活かせているものと考えています。
サイト制作はスムーズに進んだ。ホームページを作り直すのに合わせて、セキュリティ面の対策も実施。
――開発で苦心されたところがあれば教えてください。
長谷部氏:苦心というほどではありませんが、プロファインさんが使われていたサーバーはGMOグループの法人向けレンタルサーバーサービスiCLUSTAで、WordPressに若干のクセがあったため、開発した環境をそのまま持っていっても動かず、同サービスでWordPressの設定や、SSLのサーバー証明書をどう設定するのかを見つけるまでに少しだけ時間を要しました。
同じGMOグループのレンタルサーバーでもロリポップ!レンタルサーバー byGMOペパボだったら当社としても使い慣れていたので、問題は無かったのですが。ただ、普段使い慣れているかどうかというレベルの問題ではありました。
――サイトのセキュリティも向上したそうですね。
久米氏:はい。リニューアルに合わせてホームページのセキュリティ面についてもきちんと対応していただきました。こういうところは、私たちでは気が付かないので助かりました。
長谷部氏:もともとのサイトはDreamweaverで作ったサイトでしたが、セキュアなアクセスに対応していませんでした。それだと検索エンジンでのサイトの評価も低くなるし、一部のブラウザでアクセス時に強めの警告が出たりアクセスできなかったりすることもあるので、お客様に安心してアクセスしていただけるように、サーバー証明書を置き、セキュアな通信が行えるSSLにも対応させました。
久米氏:お陰様で安心感も大いに増しました。
顧客からは好評の声多数。デジタル化したことで、以前はできなかった回収状況の事前把握もできるように
――使い勝手の面ではいかがでしょうか。
久米氏:すでに当社のお客様から、「スマホで完結できるのはいいね」という声を多数いただいています。予算の関係でフォームの入力内容を覚えさせるということはしませんでしたが、Cookieにより各端末レベルで前回記入した内容を記録していてくれるので、利用時にも助かっているということでした。以前は毎回手書きしてFAXしていたので、それに比べるとかなり効率が良くなりました。
長谷部氏:フォームへの入力内容をサーバー内に記憶させるというアイデアもあったのですが、それはシステムとして大がかりになってしまうため、まずはシンプルな方法で動かしてみて様子を見ましょうということになりました。
久米氏:運送会社様も、現在はFAXでのみですが、将来はメールでも受け付けてくださるようになるはずです。その時にはメール送信に切り替えたいと思っています。
――運用してみて気が付いたことなどありますでしょうか。
久米氏:システムを運用してから分かったことも、いくつかあります。
たとえば、これまではお客様が運送会社に送信したFAXを当社が見ることはできませんでした。しかし今回のシステムを導入したことで、当社にもメールが同時送信され、ログで残るようになっています。そのため内容を確認できるようになりました。
どういうタイミングでどれぐらい回収されているかがリアルタイムで見えるようになったため、事前に当月の見込みが立つようになりました。これまでは運送会社から請求が来るまで分からなかったので、この差は大きいですね。
また、新たな改善点も見つかりました。お客様から「コメント欄がない」というご指摘をいただいており、フォームの記入欄を増やそうかな、というのがあります。
それから、当社の関連会社のホームページも作り直したいと考えています。こちらもDreamweaverで作ったものがそのままになっているので、技術面もデザイン面も今風にしていきたいと考えています。そちらについてもスティビィーさんに相談したいと考えています。
――あらためて振り返られて、発注ナビをご利用になった感想があればお聞かせください。
久米氏:今回、発注ナビでマッチングサービスというものを初めて利用したのですが、利用申し込みからの流れも速く、ヒアリングから紹介までもスムーズだったことに驚いています。
スティビィーさんのように頼れる発注先を紹介してくださったことにも感謝しています。お陰様で、満足のいくシステムを導入することができました。
これほどのサービスが無料で使えるのはすごいなと、あらためて思いました。
――ありがとうございました。
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