「受託開発」という言葉があるように、システム開発会社はともすると受け身になりがちだ。何よりも「お客様に言われた通りのシステムを作る」ことが優先されてしまうこともある。その一方で、自分たちの熱意や思いを前面に押し出し、ときにはお客様の考えに異を唱えながらも、「お客様にとって本当に役立つシステムを作る」ことにこだわるシステム開発会社がある。株式会社スペリオルだ。同社が「熱意」を前面に押し出して受注に至った背景には、発注ナビ担当者の後押しがあったという。同社の代表取締役である藤原浩章氏にお話しを伺った。
社名 | 株式会社スペリオル |
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所在地 | 愛知県名古屋市千種区内山3-18-10 |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | システム開発、自社サービス・運営、Webサイト制作 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
お客様にとって本当に役立つシステムをご提案できるように、熱意を持って取り組んできたが、「言われた通りに作れば良い」というお客様からの案件では受注できるにもかかわらず自ら断ってしまうこともあった。自社の考えを正しく発注者に伝えること、自社の考えを貫きながらも妥協して案件を受注することのバランスに悩んでいた。
- 導入後の効果
発注ナビ担当者からのアドバイスをもとに、スペリオルのお客様に対する熱意、システム開発にかける思いを前面に出し、それを理解していただける発注者(お客様)を探すという方向にシフト。案件を精査してエントリーすることで、紹介を受けて提案する際にも自社の強みを強調できるようになり、複数社のコンペに勝ち抜いての受注や、競合他社よりも見積もり金額が高いながらも「熱意が伝わった」ことでの受注に成功した。
お客様やシステムにかける熱意を持って「お客様に本当に役立つシステム」を考え抜く
株式会社スペリオルは名古屋に拠点を構えるシステム開発会社で、システムの発注者、つまりエンドユーザーから直接依頼を受ける一次請けによる受託開発を得意とする。同社の代表取締役、藤原浩章氏は「一次請けで大切なのは、お客様のご要望や課題、お困りごとをお聞きし、それらを解決するシステムを企画・提案すること。それができるのが当社の強み」と話す。
ただし、企画・提案を得意とするシステム開発会社は他にもある。同社の特長は何か。ひと言で示すと「熱意」だ。お客様に対する熱意、システム開発に対する熱意、どちらも強い。決して「押しつけ」ではなく、常にお客様のことを真っ先に考え、お客様にとって本当に意味のある役に立つシステムとはどのようなものかを徹底的に考え抜く、その熱意だ。
お客様を第一に考える気持ちを具現化したのが、同社が自社開発した顧客管理システム(CRM)「神対応シリーズ」だ。「事業の売上げ、コスト、利益など、ビジネスの全ては顧客、お客様に紐づくのです」(藤原氏)という言葉の通り、個々のお客様とそのお客様に関連する売上げ、コスト、利益などの全データをつなげることで、本当の意味での顧客管理ができる。お客様を第一に考え、「最高のおもてなし」を提供できるようにするツールといえる。
お客様やシステム対する熱い思いを貫くことは、必ずしも良い側面だけではない
こうした特長を持つ同社だから、お客様とシステム開発に関する打ち合わせをするときにも当然、熱が入る。「ときには『何よりもお客様のために』という思いが強すぎ、提案に力が入りすぎてしまったこともありました」(藤原氏)という。同社では、お客様との打ち合わせには、基本的に藤原氏が参加する。それは、営業担当を置いていないからという理由だけではない。その場で技術的な質問や費用に関することに即答できるようにすることに加え、お客様の本当の目的、本当に実現したいことをお聞きし、同社がシステム開発で支援することがお互いにとって本当に意味のあることなのかを確認したいからだ。
お客様が「これで良いからこう作って」という場合でも、「それではお客様にとっての真の課題解決につながりません」と言い切ってしまうこともあったという。例えば、ある部署のある業務だけをシステム導入で効率化しても、他の部署と連携していないために他部署の仕事が煩雑になってしまうといったことが目に見えていたときだ。他にもコーポレートサイトを作るとき、その企業のお客様に向けたサイトなのか、あるいはリクルートサイトなのか、コンセプトが明確でないままに「社長からリニューアルしろと言われたから」といった理由で依頼されたときも、「目的を曖昧にしたままでは、サイト制作にかける費用が無駄になります」と説明した。「お客様に言われた通りのモノを作るだけでは、当社も納得がいかないのです」(藤原氏)。
だからこそだろう。こんなエピソードがある。「実は以前せっかく営業担当者が取ってきた案件で、クロージングの際に私が参加して、『そういうことでしたら当社がシステムをお作りする意味がありません。言われた通りに作ってくれるシステム開発会社にご依頼されたほうが良いでしょう』と断ってしまうこともありました」(藤原氏)と振り返る。
同社の設立時のポリシーは「ITをもって社会貢献していく」だ。そのポリシーのもと、同社はお客様の課題の本質を見極め、解決していくシステムを提案していきたいと考えている。その考えを変えるつもりはないものの、受注できたはずの案件を自ら断ってしまったこともある。自社の考えを貫くことは、決して良いことだけではない側面もある。そのことは藤原氏自身も理解していたという。
発注ナビからの意外なアドバイス、「熱意をわかってくれるお客様を探しましょう」
こうした課題感を持ちつつ、一方では新規顧客の開拓の必要性も感じて、同社ではマッチングサービスを利用した。当初は発注ナビ以外のマッチングサービスを使っていたが、「そのサービスはひと言で示すとビジネスライク。担当者が丁寧に話を聞いてくれることもなく、ただ案件を紹介してくれるだけ。それも決して質の高い案件とは言い切れなかった」(藤原氏)と不満を感じていたようだ。
先にも記したが、同社の悩みは熱意をお客様に伝えて、理解いただけるかということだ。これが叶わないことには、結局は「言われた通りに作ってくれればいいんだよ」となってしまう。自社の考えを貫くか、妥協して「割り切って」お客様から言われた通りのシステムを作るか。どちらに偏りすぎてもいけないのはわかるが、そのバランスが難しい。マッチングサービスの担当者とはそんな話しもしてみたかった。
そうした経緯から同社は2022年1月から発注ナビの利用を開始したが、当初は発注ナビにも不満があったという。
「案件にエントリーする際に自己推薦文などを書いて提出しなければいけないことです。当社にはシステム開発に対するこだわりや熱い思いがありますので、それを事細かく書いて提出するのは時間がかかり大変なのです。そこまでしても紹介をしてもらえない、紹介してもらっても受注に至らないケースがありました。他サービスだとエントリーの工数がかからなかったため正直、当時は発注ナビを継続するか悩んでいたのです」と藤原氏は振り返る。
だが、エントリーに工数はかかるものの、発注ナビ担当者の存在が大きく引き続き利用したいと強く思うようになったという。
「なかなか商談につながらなかったり、商談できても受注に至らなかった際に発注ナビの担当に悩みを打ち明けたところ、『藤原さんの熱意が伝わるお客様を探しましょう。そっちに振り切ってしまいましょう』という言葉をもらいました」(藤原氏)。
お客様からも「提案内容から熱意が伝わったのでお願いしようと思った」というコメントが
藤原氏は当時のことをこう振り返る。「発注ナビの担当者は、話を丁寧に聞いてくれて、そのうえで、『開発に対するこだわりや熱い思いがポリシーであるならそれを曲げず、逆にそれを受け止めてくれるお客様、御社にマッチするお客様と出会えるように全力でサポートします』と背中を押してくれたのです」。
目先の受注案件をただ増やすだけでなく、自社の良さや想いを発注者に伝えてくれる、その手伝いをしてくれるという姿勢が見えたことで、発注ナビの継続を決定。あわせて、熱意がきちんと伝わりそうな案件を厳選していくことで、少しずつ発注につながる取り組みができるようになったという。
その結果、契約から約1年半で、約60件の案件紹介を受け、2件の受注に至った。2件の受注は、いずれも同社が発注ナビから「熱意が伝わるお客様を探しましょう」とアドバイスを受けた後のものだ。うち1件は、大手企業の受発注に関する基幹システムで、複数社のコンペを勝ち抜いて受注できた。まさにコンペを通じて同社の熱意をお客様に伝えて勝ち取った案件である。
もう1件はECサイト構築の案件だ。競合他社よりも見積もり額では高かったのだが、どういった技術で構築するかといったテクニカルなことではなく、「お客様が今後、どう成長していくべきなのか」までに踏み込み、真剣に考え抜いて提案した。「説明して提案する機会をいただき、それができたこと。それが受注につながったと感じています」(藤原氏)。実際、同社に発注した発注者側からも「提案内容から熱意が伝わったのでお願いしようと思った」というコメントが寄せられている。
「熱意を伝え、正しく理解してもらう」、発注ナビはそのための重要なチャネル
同社では今後も、まずはお客様を第一に考え、お客様やシステム開発に対する熱意をきちんと伝え、それを理解してもらうこと、そこを曲げずに妥協せずにシステム開発に注力していくという。システム開発会社はともすると受け身になりがちで、発注者であるお客様から言われた通りのシステムを作り、お金が入ってきたら「とりあえずはこれで良しとしよう」となりがちだ。
しかし、同社は「どうしてもそうは思えません」(藤原氏)という。「これからも自分たちが作ったシステムが本当にお客様の役に立っているか、常に自問自答しながらやっていきたいと考えています」(藤原氏)。重要となるのは、同社のお客様やシステム開発にかける熱意を正しく伝え、発注者側に理解していただくか、だ。「そのためのチャネルの1つとして、これからも発注ナビを積極的に利用していきたいと考えています」(藤原氏)。迷いはないようだ。
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