ホームページ制作会社やシステム開発会社に共通する悩みの一つが、仕事の量と受注のタイミングを自社でコントロールできないことだ。忙しいときと仕事が少ないときの差が大きいということはよく耳にするが、大規模なホームページ制作で実績のあるTMCシステム株式会社も同様の悩みを抱えていた。同社は中〜大規模の案件を受注することが多く、一つの案件が終了すると次の案件を受注するまでの『空白期間』があったのだ。年間を通じて仕事量を平準化し、受注のタイミングも自社でコントロールできるようにしたい。そう考えた同社は営業のための新たなプラットフォームとして発注ナビを選んだ。同社の取り組みについて、同社のマーケティングシステム部 取締役社長である松本勇介氏にお話をうかがった。
社名 | TMCシステム株式会社 |
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所在地 | 神奈川県川崎市川崎区本町1-6-1 |
従業員数 | 101 – 300名 |
事業内容 | Webサイト制作、FA機器の受託開発、ソフトウェア開発 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
同社では中〜大規模なホームページ制作案件を数多く手がけていたが、ホームページ制作を担当する部門が15名程度なため、大規模案件を受注すると人が出払ってしまい、その間には新規案件獲得のための営業活動ができない状態となっていた。そのため、一つの大規模案件が終わると次の案件が来るまでの間が『空白期間』となってしまい、年間を通じて受注件数を平準化する必要性を感じていた。また、同社は代理店経由の案件も手掛けているが、受注のタイミングが代理店からの発注に左右されるため、自社で仕事量とタイミングをコントロールできる体制の構築が求められていた。
- 導入後の効果
2020年4月から発注ナビのセレクトプランを利用開始。これは契約期間2年間のうち任意の12カ月を選んで発注ナビを利用できるプランなので、大規模案件が一段落したタイミングを見計らって発注ナビを活用した案件獲得に注力できるようになった。また、発注ナビで狙う案件を『100万円以上のWeb制作案件』に絞ってエントリーをしたことで、受注確度も向上。空白期間を効率的に埋め、年間を通じて恒常的にホームページ制作案件がある状態にすることができた。
案件と案件の端境期を埋め、恒常的に仕事がある状態にしたい
1960年設立のTMCシステム株式会社は、60年以上の歴史を持つ老舗のシステム開発会社だ。振動試験装置や精密試験機、実験観察機などのハードウェアの開発、製造から事業をスタートさせ、2000年頃から組み込みソフトウェアの開発事業にも注力。2015年頃からはホームページ制作事業を展開するなど、幅広く事業を拡大してきた。
ホームページ制作を担当する部門に在籍しているのは15名程度ではあるが、メンバーは国内最大手のホームページ制作会社の出身者で固められており、その中には3000ページから5000ページにもおよぶ大規模サイト構築の経験者もいる。これまでのホームページの制作実績も豊富で、例えば大手商社やコンサルティング会社、製造業などBtoB企業を中心に、実績を積んできている。他にもエンタメ系サイト、食品メーカーサイト、公共機関の各種サイトなど、誰もが知る企業や公共系の案件の実績もある。リニューアルから運用、データ移行なども継続的に行っており、こうした大規模サイトの実績があるのが同社の大きな強みとなっている。
これだけの豊富な実績があるということは、顧客との繋がりはもちろん、大手代理店とのコネクションもあるだろう。いわゆる紹介(リファラル)だけでも十分に案件を獲得でき、あえて新規顧客開拓のための営業活動に注力する必要はないようにも思える。ところが、同社には『リファラルでの大規模案件が多いからこそ』の悩みもあったという。
先述の通り、ホームページ制作を担当するのは15名ほど。大規模案件を受注するとほぼ人が出払ってしまい、その間は新規案件の獲得のための動きがとれなくなってしまう。松本氏は、「大規模案件がひとつ終わると次の仕事が来るまでの期間に『空白期間』ができてしまっていたのです」と振り返る。大規模案件に取り掛かっている間は新規案件獲得に動けないので、もし案件が流れてしまうと、一気に売上が立たなくなってしまう。
将来的な事業成長とエンジニアたちの業務負荷を考えると、「案件と案件の間の空白期間を埋め、恒常的に仕事がある状態にすることが必要でした」(松本氏)という。しかし、営業専任の社員を当てるほど案件不足という状況ではなく、テレアポ代行などのサービスは費用対効果が良くないことはわかっていた。そこで、「課題解決の一つの方法としてマッチングサービスの利用を検討したのです」(松本氏)。
使いたい月だけ使えるセレクトプランがあったことが選定のポイント
同社のように大規模案件の依頼を受けているものの、案件が集中する時期と、そうでない時期ができてしまうことに悩んでいるホームページ制作会社やシステム開発会社は多いだろう。しかも、空白期間をなくして業務の平準化を図ろうにも、自社の営業リソースが当てられないために新規案件をコンスタントに獲得することができないというのは、多くの会社に共通する課題ともいえる。
こうした課題を解消するために、同社はまずネット検索でいくつかのマッチングサービスを探し、その中から発注ナビと、もう一つ別のマッチングサービスに絞って比較・検討し、発注ナビの利用を決断した。
発注ナビを選定したポイントについて、松本氏は「セレクトプランがあったことと、その料金がリーズナブルだったことです」と説明する。同社が選択したセレクトプランは、契約期間2年間のうち、自社のリソースに合わせて任意の12カ月を選んで発注ナビを利用できるというプランだ。他のマッチングサービスにありがちな『毎月の利用料金を支払っているのに、今月は多忙で使えなかった』ということがない。
同社のように、大規模案件で多忙な時期と空白期間でリソースに余裕がある月が明確に分かれているなら、空白期間に合わせて発注ナビを利用することができる。「必要な月に利用した分だけ利用期間の権利を消費するので、受注動向に大きな波がある当社にとっては、案件を獲得したいときだけ使えるというのがとても使いやすく、しかも利用料金もリーズナブルでした。こうしたことから発注ナビを選定しました」。
欲しい案件に絞って手を挙げることで端境期を埋める案件を効果的に獲得
同社では発注ナビのセレクトプランを2020年4月から利用開始した。これまでの約4年間で、大規模案件が継続的に来ていた時期にはリソースの問題から一時的に発注ナビの利用を停止していたが、2024年9月からは利用を再開。これまでにトータルで3件の成約を獲得した。
実際に利用してみた感想について松本氏は、「使いやすいというのが第一印象です。この案件はぜひ当社に発注して欲しいという案件があれば、簡単にエントリーできます。そこがいいですね」と評価する。
さらに、「当社のメインとしたい案件は基本的に100万円以上のホームページ制作の案件です。そこまで絞り込むと案件数そのものはあまり多くない印象ですが、発注ナビから紹介される案件は質が良いですね。あるお客様の案件で当社が受注できたものは、1500万円規模でしかも現在でも年間100万円くらいの追加発注が継続しています。こうした大規模でかつ継続的な案件を獲得できているので、満足しています」と話す。
また、発注ナビでは契約するとカスタマーサクセスの専任担当がついて、月に1回程度オンラインでミーティングを実施し、さまざまなことを相談できる。こうしたフォローアップについても松本氏は評価している。「発注ナビを利用開始した頃は、商談に進んだときの提案内容について相談に乗ってもらいました。また、商談後に相手から連絡がなかなか来ない場合など、『状況確認も兼ねて、もうワンプッシュしてみましょう』などとアドバイスをもらえるのも助かっています」という。
現在では使い方にも慣れて来たので、そういったアドバイスやコンサルティングを受けるシーンは減ってきてはいるものの、その代わりに「商談で当社を含めて複数社が競合した場合、当社の位置付けが何番手なのか、いわば受注確度がどのくらいかをお客様に確認してもらうといったサポートをしてもらっています」。こうしたアドバイスをもらえると、受注確度が低いと判断した場合には素早く次の案件にエントリーできる。こうした使い方を繰り返すことで、「大規模案件と大規模案件との端境期を埋めることができつつあります」と効果を感じているようだ。
今後は発注ナビをうまく活用して提案力と営業力の底上げを図る
同社は今後も引き続き、ターゲットとしている100万円以上の規模の案件に狙いを定め、ピンポイントでエントリーして新規案件を獲得していきたいと考えている。その一方で、「発注ナビをうまく活用して自社の提案力や営業力の底上げを図りたいと考えています」という。
同社ではこれまで、エントリーして商談に進んだ案件について、基本的に松本氏自身が提案書を作成して顧客にプレゼンテーションをすることが多かったのだが、今後はマーケティング部の他のメンバーにも託すことも考えているという。「事業開始当初に多く請けていた広告代理店経由の案件は、規模がどんなに大きくても『一次請け』ではないのです。つまり、お客様と直接やりとりして、お客様の声をお聞きし、ご要望をWebサイトに反映させるという、とても重要な経験を積むことがなかなかできません。そこにジレンマを感じることもありました」。
それに対して、発注ナビで獲得できた案件は直請けの案件になる。「お客様と直接つながれるので、提案の仕方やお客様とのコミュニケーションの取り方などが受注か失注かに直結します。他のメンバーとってはお客様と相対することが、とても貴重な経験となり、その経験を積むことでお客様にとってより良い提案ができるようになるでしょう。発注ナビは新規案件を獲得できるというメリットだけでなく、うまく活用することで提案力や営業力の底上げにも有効です。そういった視点でもますます活用していきたいと考えています」。端境期を埋めるだけではない、新たな可能性にも期待できそうだ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
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