プログラミングに詳しくない人でもアプリケーションを開発できるのがノーコード・ローコード開発ツールだ。TVCMなどの効果もあり、導入している企業やこれから導入したいと考えている企業も多いのではないだろうか。
しかしこれらのツールには、現場の誰かが以前作ったアプリケーションをアップデートしたいとか、既存のシステムを拡張して機能を追加したいといった際に困ってしまうことがあるという点に注意が必要だ。
今回は、先代の社長がローコードツールで自作したアプリケーションを今風にアップデートしたいと悩む企業が、発注ナビを通じてその担い手に出会った事例を紹介する。発注企業であるライティングビッグワン株式会社の前島氏、受注企業であるMICKS株式会社の水谷氏にお話を伺った。
先代社長がFileMakerで自作したアプリケーションを、『今の現場』に対応させたい!
――ライティングビッグワン株式会社様は、どのようなビジネスを展開されているのでしょうか。
ライティングビッグワン株式会社 前島氏:当社は1979年2月に設立し、ライブ、コンサート、演劇、ファッションショー、そしてさまざまなイベントにおけるライティングデザインを手掛けてきました。内訳としては、現在は約9割がアーティストのコンサートやライブで、そのほかにはスポーツのハーフタイムショー、モーターショーのような各種展示会などを手掛けています。ライブやコンサートでは、全国でドームやアリーナ・ホールツアーを開催するさまざまなアーティストの演出照明を担当しています。
そうしたイベントでは、質の高い光の演出が求められます。当社は一人ひとりがそういった要求に応えうる豊かな個性を持っており、『今まで培われたノウハウと最新の機材を駆使して、イメージを鮮明に実現できる技術を持つクリエイティブなライティングデザイナー集団』として、お客様から厚い信頼を寄せられております。
――今回の発注は照明機材の貸出管理システムとお聞きしています。
前島氏:はい。当社保有の機材は数十種類あり、それらを数百台という規模でイベントなどに向けて貸し出します。機材に合わせてケーブルも揃える必要があるため、一つのイベントに貸し出すアイテム数は相当な量になります。
例えば週末に開催されるコンサートを全国で20箇所ほど担当することが多いのですが、当社は北海道から沖縄までカバーしていますから、『いつまでに、どこに、何を、どれだけ送り出し、いつそれが返ってくるのか』というのを日々管理しなければなりません。また、当社の手持ちの機材だけで足りない場合には、同業者から足りない分を借り受けたり、逆に同業者へ貸し出したりすることもあります。
当然ですが、これらの機材を管理するためにアプリケーションを導入しています。そのアプリケーションとは、コンピュータ好きな先代の社長がFileMakerというソフトウェアツールを使って自ら作り上げたもので、これまでずっとそれを使い続けてきました。アプリケーション開発のプロではない人が作ったものなので若干のバグも残っていたのですが、自社の業務を知り尽くした人物が作っただけあり、現場では使いやすいと好評でした。
ところが、そのアプリケーションが作られた当時と今とでは、開催されるイベント数も、機材の種類と数も大きく異なっています。それでもなんとか使い続けながら、現場では「そろそろこのシステムを何とかしなければ」という話をしていました。そうして2023年の春に、ようやく行動に踏み切りました。
発注の決め手は『希望通りの提案をしてくれた』こと。対面の打ち合わせができたこともポイントに
――発注ナビのご利用に至った経緯を教えてください。
前島氏:当初は既存の在庫管理システムをネットなどで調べ、いくつか検討してみたのですが、いずれも当社の業務にはフィットしませんでした。そこで次に、同業者は何を使っているのかを調べてみました。その結果、自社の業務に合わせたシステムをイチから作ってもらう、いわゆるスクラッチ開発のケースが多いということが分かりました。
そこで、現場も使い慣れている従来のシステムをベースとして、機能を追加したシステムを作ってもらえないかと考え、同時に、開発してくれる会社を何社か比較したいとも考えました。
やがて、ネットで調べた際に発注ナビというサービスの存在を知ったことを思い出し、発注ナビなら何社か発注先の候補を紹介してもらえて、比較検討できるのではないかと思い、実際に使ってみることにしました。
――発注ナビからは3社をご紹介させていただきました。その中から最終的にMICKS株式会社様に発注された理由をお聞かせください。
前島氏:ご紹介いただいた3社全てとお話をさせていただきました。その中でもMICKSさんはレスポンスが一番良かったのが印象に残っています。打ち合わせがオンラインになってしまうかと思ったのですが、こちらの直接会ってお話をしたいという要望を承諾してくださったため、一番にお会いしました。
MICKSさんに決めたのは水谷さんからのご提案が魅力的だったから、というのも大きいですね。FileMakerを使って、当社が使っているシステムをアップデートしてくれる、という当社の希望通りのものでした。
残る2社のうち、1社はオンラインでの打ち合わせとなり、もう1社はまったく別のソフトウェアに変えませんかというご提案でした。FileMaker以外だと、どういうものが出来上がるのか分からないという不安がありました。また、提示金額が折り合わなかったことも、お断りした理由の一つです。
――やはりオンラインではなく、直接会って打ち合わせることは重要ですか。
前島氏:効率重視のためにオンラインで打ち合わせを済ませたいという気持ちは分かります。しかし一緒に物を作る際には、最低でも一度は顔を合わせておきたいですね。その後はオンラインでも構いません。これは普段、私たちが仕事でいろいろな会社と一緒になってイベント会場を作り上げていく中で育まれた感覚なのかもしれません。
FileMakerを使った開発を得意とするMICKS株式会社。既存アプリケーションのアップデートもお任せ!
――MICKS様はFileMakerを使ったアプリケーション開発を普段から手掛けられているのでしょうか。
MICKS株式会社 水谷氏:当社は元々、FileMakerでの開発を得意としており、これまで数多くのお客様のビジネス上の課題に対し、FileMakerを活用して解決してきました。
――発注ナビでは、普段、どのような案件にエントリーされているのでしょうか。
水谷氏:業務システムなど、ビジネス上の課題を解決したいというお客様の案件を中心にエントリーしています。FileMakerをベースにするだけでなく、スマホを使って社外からも利用したいというご希望や、DropBoxと連携したクラウドでのファイル共有、LINEと連携して使いこなしたいといった声にもお応えしています。
システムの規模は小さなものから大きなものまで、社内の人員的に対応できないもの以外であればエントリーしていますね。
――今回のように、元々FileMakerで作成したアプリケーションをリニューアルするケースは多いのでしょうか。
水谷氏:リニューアルしてほしいというお話をいただくことはあります。元々FileMakerは「自社の社員でもアプリケーションが作れます」という売り方をしています。確かに優れたソフトウェアなので、プログラミングの知識がなくても、ある程度のアプリケーションは作れてしまいます。
ところが、そこから一歩踏み込もうとすると、プログラミングの知識や周辺のITに関する知識が必要となり、お手上げとなってしまうことも少なくありません。また、ほかの誰かが作成したアプリケーションを改修する場合には、FileMakerの仕様や内部の処理について知る必要があります。
FileMakerに精通している当社は、そのようなケースでお困りのお客様にもご対応が可能です。また、社内のいくつかのシステムを統合させたい、連携させたいといった細かなニーズにもご対応していますので、遠慮なくご相談いただければと思います。
月2~3回の打ち合わせで少しずつ雰囲気を醸成。システム開発を成功に導くのは『何でもいえる関係』
――開発で苦心した部分はありましたか。
水谷氏:先代の社長様がどういう思想で設計したのかを、前島社長から詳しく教えていただきました。一番苦心したのは、その先代の思いを引き継ぎつつ、新たな機能を実装していくという部分でした。
それから、苦心したというわけではありませんが、以前はシステムを自社内に設置したサーバで動かすオンプレミスで運用されていたようですが、サーバの不具合があった際に大変だったとお聞きしたので、今回はクラウド上で運用することをご提案しました。
具体的にはAWSを利用して、FileMakerと暗号化通信を行うことでセキュリティ面を確保しています。機能面では、ニーズを聞き取った上で、FileMakerでできることをご提案しました。
前島氏:好き勝手に「ああしたい、こうしたい」と思いつくままに注文を出しました(笑)。Excelも使うのでうまく連携できないか、とか。月に2~3回ほど打ち合わせをさせていただき、話しやすい雰囲気を醸成できたこともあり、かなり無茶なこともお願いしていたかもしれません。
あるときは、こちらからお渡ししたExcelの数式が間違っていたのに、「結果が正しくないのですが」と苦情をいってしまったこともありました(苦笑)。
――すでにシステムは運用しているのでしょうか。
水谷氏:はい。元々アジャイル開発の手法を採り入れていたため開発開始から3か月目で運用をスタートし、その後は実際に運用しながら機能の改修や追加といったアップデートを繰り返し、完成させていきました。この手法では開発段階で色々な課題を洗い出すことが大切です。そのため、さまざまな意見を出してくださったのは、むしろ助かりました。
前島氏:とにかく水谷さんの人柄がとても良く、話しやすかったですね。自分たちの要望をシステム化してもらうというのが初めての経験だったのですが、思った通りのものに仕上げてくださいました。
水谷氏:ありがとうございます。ご要望をしっかり伝えてくださり、こちらも助かりました。意見がないと「満足していただけているのだろうか」と不安になるので、思ったことをハッキリいっていただけた方が、結果として良いものが出来上がります。
Excelの数式を提供していただけたことも、ここでどのような処理をしたいのか、といったことが明確になりました。
前島氏:当社の別部署が、完成したシステムを見て、別件のシステム開発をMICKSさんにお願いしたいといっているほどです。後でお話をさせてください。
水谷氏:ぜひ、よろしくお願いします。
発注ナビの紹介件数は比較検討にちょうど良い。やり取り用のテンプレの充実も助かった
――改めて、発注ナビの印象はいかがでしたでしょうか。
前島氏:とても良いイメージを持っています。利用を申し込んでから、かなり早いタイミングでMICKSさんに決めることができました。もし自分で発注先を探して、直接何社もアクセスしていたら、これほど早く発注先が決まることはなかったでしょう。
発注ナビの画面は操作も分かりやすく、戸惑うことは少なかったですね。発注ナビ担当者の対応もとても丁寧で、進捗確認やフォローアップなどで何度も電話をもらえ、不安になることがありませんでした。
紹介社数3社というのもちょうど良いと感じています。1社、2社だと選択の余地が限られますし、5社、6社となると多過ぎて、詳しく内容を吟味するまでに至らないかもしれません。3社ということで、それぞれの提案内容をじっくりと比較検討できました。
また、テンプレの充実も嬉しいですね。お話をさせていただいた開発会社さんに対してお断りの旨を伝えるのが心苦しかったのですが、発注ナビのサイト上にさまざまなテンプレが用意されていて、お断りの際の文面も用意されていて助かりました。
当社の仕事でも、複数の業界で合い見積もりを取ることが多く、最終的にお断りする際に悩むことも多いので、この配慮はありがたかったです。
――ありがとうございました。
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