小規模なシステム開発会社の場合、あえて営業活動をしなくてもリファラル案件だけで会社運営が可能というケースも多い。しかし、ビジネス環境の変化や事業の拡大により新規顧客開拓の必要に迫られた場合、営業活動のためのノウハウが十分に蓄積されていないという悩みを抱えることになる。株式会社デジタルレイも、そんな課題を持っていた開発会社の一つだ。同社は名古屋に本社を構えているため、首都圏の開発会社のみを募集している案件を獲得することは難しい。そこで課題の克服に活用したのが発注ナビだった。同社はプレゼン時に作り込んだ資料を提示することで発注者の信頼を勝ち取り、リピートを含め年間1500万円ペースで新規案件の受注を獲得することに成功している。さらに詳しい取り組みについて、同社の常務取締役である田島由貴氏に話を伺った。
社名 | 株式会社デジタルレイ |
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所在地 | 愛知県名古屋市中区栄2-11-19 熊田白川ビル8F |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | スマートフォン・タブレット向けコンテンツ企画・開発・運用など |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
携帯電話の黎明期よりモバイルコンテンツ制作を中心に事業を展開。顧客は大手携帯キャリアや他の大手企業が中心で、そこからの紹介案件なども多かったため、積極的に新規案件獲得のための営業活動を展開していなかった。
市場環境の変化からシステムの受託開発に舵を切った際、新規営業先を開拓する段階で、とうとう壁にぶつかってしまう。テレアポなどでリード情報を得ることはできても、具体的にシステム開発のニーズがあるかどうかは会ったり話したりしてみないと分からないため、営業効率は非常に良くなかった。
- 導入後の効果
発注ナビに掲載される案件は事前にヒアリングがしっかりされているため、手を挙げるかの判断がしやすく、自社の強みを発揮できる案件にエントリーできた。また、作り込んだ資料をプレゼンで提示することで発注者の信頼を獲得し、高確率で受注することができた。
さらに、発注ナビには首都圏に拠点がなくてもエントリーできる案件、地方のシステム開発会社でも強みを発揮しやすい案件がコンスタントにある特長を活かし、そうした案件に絞り込んでエントリーした結果、直近2年間で毎年3~4件、年間1500万円以上の新規案件を成約できた。
市場環境が大きく変化していく中で、新規顧客の開拓に迫られる

常務取締役 田島由貴氏
株式会社デジタルレイは名古屋市に本社を置くシステム開発会社で、システム開発、ホームページ制作、LP制作、アプリ制作を中心に事業を展開している。同社は、国内で携帯電話の黎明期からモバイルビジネスに関わり、NTTドコモのiモードがサービス開始されたのをきっかけに、モバイルシステム開発とモバイルコンテンツ制作事業に着手した。携帯キャリア公式サイトをはじめさまざまなモバイル系の開発・制作プロジェクトに関わり、いわば、『日本のモバイルビジネスの進展』とともに歩んできたといえる。
スマートフォンが登場してからは、iOS/Androidアプリの開発にもいち早く取り組み、新しい技術や手法を採用しながら最先端の開発成果を残してきた。アプリの申請から運用まで一貫して対応でき、さらにはスマートフォンやタブレット端末を活用した業務システムの開発も手掛けられる。例えば、「スマートデバイスを活用して社内業務を効率化したい」、「スマホやタブレットからもアクセスできる使いやすいシステムにしたい」といった要望への対応は、同社が得意とするところだ。
こうした特徴のある同社だけに、創業から長きにわたり特別な営業活動や新規顧客開拓はしていなかった。田島氏は、「ガラケー時代からのお客様だった大手企業から他の大手のお客様をご紹介いただくことも多く、新規の顧客開拓に悩んだことはありませんでした」と振り返る。ところが、スマートフォンの本格的な普及、アプリ開発へのニーズの高まりといった市場環境の変化の中で、アプリとWebシステムを連動させたソリューションの企画・設計・開発など、「新しい領域へ本格的に事業を拡大していこう」というまさにそのとき、壁にぶつかったのだ。「当社は創業以来、大手のお客様数社と深く、長いお付き合いをさせていただいておりました。それだけにお取引先の『数が多い』というわけではなく、新たにシステム開発をご提案する営業先そのものが少なかったのです」(田島氏)。
「システム開発の具体的なニーズを持った顧客」との効率的な出会いを求め、発注ナビを利用
こうした状況の中、同社ではいわゆる『一本釣り』のようにターゲットを絞り込んでの提案活動、テレアポを駆使しての営業、インサイドセールスによる優良リードの獲得などを試みたが、いずれも思うような効果はなかったという。「いずれの方法でも、新しいお客様のご担当者と話したり、会ったりすることが運良く叶ったとしても、そこにシステム開発のニーズがあるかどうかは会ってみないとわからないのが実情でした。苦労して時間をかけて、ようやく話しができても『今は考えていない』となってしまうことも多く、非常に効率が悪いと感じました」(田島氏)。
――どうにかして、効率的にシステム開発の具体的なニーズを持った顧客と出会う方法はないか――。そう考えた同社はマッチングサービスの活用を検討した。偶然にも同社は経営者の交流会などを通じて発注ナビを知っており、さらに、現在の代表取締役社長である浅井英行が当時、名古屋まで足を運びサービス内容を説明する機会があった。そこで利用を検討した同社は、結果的に他のマッチングサービスと比較検討することもなく発注ナビの利用を決めた。
ただし、田島氏曰く、発注ナビを利用してみようと思ったのには明確な決め手があったという。「正式契約の前にお試し期間が設定されていて、その間は無料で実際にどのような発注者がいて、どのような開発案件が紹介されるのかを確認できます。その情報を見たときに、当社が獲得したい開発案件や、名古屋拠点でもエントリーできる案件が多かったため、『これなら効率的に新規案件を獲得できる』と期待できました」(田島氏)。
また、「発注ナビの担当者が発注者に『どのような内容のシステムを』、『いつ頃までに』、『どのくらいの予算で』作りたいのかをヒアリングして、その内容がとても分かりやすくまとめられていたのです。文章からお客様の熱量も伝わってくるので、この開発案件にエントリーする・しないの判断がとてもしやすく、これなら使い続けられるシステムだと感じました」(田島氏)。
さらに、田島氏は「エントリーしない、つまり当社が希望しない案件が無理矢理に紹介されてしまうことはない」という仕組みにも魅力を感じたという。ほかのマッチングサービスでは、自社が得意でない案件などを無理やり紹介されたにも関わらず、『適切なリード情報を提供した』と扱われることもあったという。そうしたミスマッチの可能性が低いことも、発注ナビを決定した理由の一つとなったようだ。
こうした経緯で発注ナビの利用を決めた同社だが、田島氏は、発注ナビ担当者のヒアリング力を「素晴らしい」と高く評価している。「1年ほど前にほかのマッチングサービスを初めて使ってみたのですが、ヒアリングされている情報の精度や深さに圧倒的な差があり、驚きました。発注ナビの情報量が当たり前くらいに思っていたのですが、全く違っていましたね」(田島氏)と話す。
「勝てる案件」にエントリーすることで受注率を向上。2年連続で年間1500万円以上の案件を獲得
同社では2018年に発注ナビのセレクトプランを契約し、その後、契約を更新しながら現在も利用を続けている。実際に利用した感想としては、『幅広く豊富な案件があり、自社にマッチした案件を見つけやすかった』という。「メールなどで送られて来る開発案件の数が予想以上に多く、しかも予算規模の幅も大小さまざま。非常に多岐にわたる開発案件があるので、当社を含め多くの加盟社が自分たちにあった案件を見つけ出せているだろうと感じています」(田島氏)。
実際、発注ナビには、首都圏以外の地方に拠点のあるシステム開発会社にとっては、思うように新規案件を獲得できないのではないかと思えるような制限のある案件も存在する。例えば、『首都圏に拠点のあるシステム開発会社限定』などの案件だ。田島氏は、そうした懸念も確かにあり、今でも感じることがあるとしながらも、「それでも、案件の数が多いことと、開発の内容が多種多様なことから、地方のシステム開発会社でも自社に合った案件を見つけられるはずだと考えています」という。
その言葉通り、同社はここ数年間、毎年3~4件程度コンスタントに新規の開発案件を成約している。田島氏は、その成果について次のように説明する。「まず、名古屋拠点でもエントリーできる案件が月間5件程度はあります。それを逃さずにエントリーしていけば、発注者様への紹介とリード情報をいただける件数は年間9件程度です。紹介された案件の中での受注率は、肌感覚では半分程度です」(田島氏)。
受注金額の面から振り返ると、同社は2023年から2024年にかけて、それぞれ年間1500万円程度を獲得できたという。しかも、リピート案件が増えているのが特徴なのだという。「2023年は新規が1000万円、リピートが500万円でしたが、2024年は新規が500万円、リピートが1000万円と逆転しました。これは、発注ナビから質の高い案件を紹介してくださったことが背景にあると感じています。本気でシステムを活用して自社の事業を改善していこう、大きくしていこうという、素晴らしいお考えのお客様を紹介していただけたからです。例え失注したお客様でも、次の案件で当社へダイレクトに声をかけてくださって、それが発注に結び付いたケースもあります」(田島氏)。
こうした成果を上げている同社は、発注ナビの使い方も工夫しているという。まずは、エントリーする案件の絞り込みだ。「すでに仕様が固まっていて『見積りが欲しい』という案件は、価格競争になりがちで当社の強みを発揮できないため、例え魅力的な案件であっても手は挙げません。きちんとプレゼンできて、最低でも決勝戦、最後の2社に残るような案件に手を挙げています。また、失注した場合でも最後の2社に残っていればお客様の記憶に残り、次につながることが期待できます。さらに、難易度が高い案件の方が他社と実力が差別化できるので、積極的にエントリーするようにしています」(田島氏)。
また、紹介を受けて発注者に最初のプレゼンテーションをするときには、資料を徹底的に作り込んで臨むという。「システムなら、目に見える形の管理画面などを作って提示します。弊社は東京の会社でもないし、人数が多いわけでもありません。そんな我々に何ができるのか、限られた範囲で他社と差別化を図るためにどうすれば良いのか、その方法は自然と限られます。プレゼンで特別なもの、印象に残るものをお客様に提示しないと勝てないと思っているので、『うちより作り込んでいる競合は絶対ない』と思えるくらいの提案書・企画書を持ってプレゼンしています」(田島氏)。
発注ナビに集約されたデータを今後のビジネスに活かしていきたい
このように発注ナビの利用で順調に成果を上げている同社だが、発注ナビを利用したことで顧客のニーズやトレンドを把握できるようになったことにもメリットを感じているという。「市場のトレンドや動向を掴むことができれば、当社がどの領域に注力して開発に取り組めばいいのか、それが自ずとわかってくるでしょう。発注ナビには、膨大なお客様のニーズが集まっています。それを分析することで、我々の進む方向もある程度見えてくると思っています。例えばAIやローコード開発、ノーコード開発にどれくらいのニーズがあるのか知ることが、次のフェーズで検討する材料になると思います」(田島氏)
同社では今後も変わらず発注ナビを使い続けていきたいと考えている。ただ、その時々の顧客の雰囲気や、出ている案件の内容、手を挙げられる案件の数を見ながら利用することも大切と考えている。「発注ナビから日々、送られてくる発注者の開発案件情報を社内で共有しながら、そこからの気付きをビジネスに活かしていけたらと考えています」(田島氏)。トレンドも視野に入れて、さらに前進しようと考えているようだ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
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