「十数年前、プログラム開発を依頼する会社を探しても見つからず、独学でプログラムと回路設計をして開発してきました」と語るのは、株式会社イアデジタル 野田和裕氏だ。同社が開発するのは耳鳴治療器、小型のシンセサイザーのようなものだという。新たな技術に対応するため、また医療機器としての認可を受けるためにも、開発会社へプログラム開発を任せたいと考えた。かつての経験から開発会社探し自体が億劫になってしまっていたものの、やがて発注ナビへ辿り着き、紹介されたのが有限会社フタイテンだった。「熱意があり、全部任せられると感じた」という野田氏と、フタイテン代表取締役の黒田丞司氏、同社技術開発部 ソフトウェアグループマネージャーの塩見善朗氏に、詳しいお話を伺った。
自身で開発した耳鳴治療器「Tinus」。さらなる進化には知見を持つ企業の協力が不可欠

株式会社イアデジタル 開発部 開発部長
兼 医療法人音和会 のだ耳鼻咽喉科 理事長
野田和裕氏
―― イアデジタル様の事業内容を教えてください。
株式会社イアデジタル 野田氏:当社は主に、耳鳴治療器の開発、製造を行う会社です。また、私は耳鼻咽喉科の医師でもあり、自分自身も耳鳴の症状があることから、耳鳴専門外来を開設し、研究や論文発表といった活動も行っています。耳鳴はまだ分からないことが多い領域なのですが、研究の成果として治療器「Tinus」を開発しました。2016年からTinusを活用した治療をしており、この機器を扱う会社として2017年に立ち上げたのがイアデジタルです。2022年には医療機器製造販売会社として認可を受け、Tinusも医療機器として販売できるよう、認可取得に向けて動いています。
―― 今回ご相談いただいたのは、どのような案件でしたか。
野田氏:Tinusは耳鳴に効果のある音を出す小型のシンセサイザーのようなものです。これまではプログラムや回路設計を独学で習得・開発してきたのですが、いよいよ手に負えなくなっていました。発注を考えた大きなきっかけとしては、SDHCカードへの対応です。従来よりも大容量のデータを保存できるSDHCカードへと切り替えたかったのですが、自分ではどうにも対応できず、きちんと知見を持つ企業にオーダーしたいと考えました。
●株式会社イアデジタル開発の耳鳴治療器「Tinus(タイナス)」
発注ナビを知り、すぐに相談。紹介されたのが、SDカードに知見を持つフタイテンだった
―― 発注ナビへご相談いただいた経緯を教えてください。
野田氏:十数年前になりますが、実はTinusは初めから独学で開発するつもりではなく、当初は外部の開発会社に依頼するつもりでした。ただ、当時はハードウェアの工場は見つかったのですが、プログラム開発を請け負ってくれる会社が見つからず、最終的には自身で開発を完成させるしかありませんでした。当時、たくさんの会社から断られたことが少しトラウマのようになっていましたが、今回はどうしてもプロに頼みたいと改めてリサーチしたところで、発注ナビの存在に気付きました。このサービスは自分にピッタリではないかと思い、すぐに案件を登録したところ、5社ほどパッと紹介があり、そこで知り合ったのがフタイテンさんです。
―― フタイテン様の事業内容についてお聞かせください。

有限会社フタイテン
代表取締役 黒田丞司氏
有限会社フタイテン 黒田氏:当社は電子機器に組み込むソフトウェアとそれに関する回路の設計、試作品の制作までを手掛けており、昨年5月に設立25年を迎えました。製造に関するいろいろなお手伝いをしている形で、大手企業とも多く取引があります。
「少数精鋭の技術者集団」を自負しており、優秀なメンバーが集まって、価値をお客様に提示することを強みとしています。発注ナビは昨年10月に登録したばかりで、イアデジタル様が最初のエントリーでした。
―― 今回の案件にエントリーした理由を教えてください。
有限会社フタイテン 塩見氏:私は前職でSDカードに関連する開発に携わっていた経験があります。今回はSDカードに関する開発案件ということで得意分野だと思い、すぐにやらせてくださいとお願いしました。
東京から大阪まですぐ会いに来てくれる意気込みの強さが選定のポイントに
―― フタイテン様を選んだ決め手はどこにありましたか。
野田氏:発注ナビから紹介された5社について検討した結果、フタイテンさんともう1社に絞って、2社のうちどちらかに発注しよう考えていました。フタイテンさんはとにかく意気込みが強かったのが印象的で、「まずはリモートで打ち合わせましょう」という会社が多い中でいきなり「会ってご相談しましょう」と東京から大阪まで2人で足を運んでくれてびっくりしました。
SDHCカードへの対応のみを任せて終わりではなく、今後も継続的に依頼できる会社をと考えていたので、発注先の選定でこういった意気込みは重要視していました。
黒田氏:当社は、提案時にはいつも「直接お会いすること」を大切にしています。我々の技術をいかにしてお客様にお見せするかを考えてのことでもありますが、直接お話した方が互いに想いも伝わるのではないかと思っています。
今回、大阪まで足を運んだ件については、お客様に対して「前向きに受注したい」という気持ちをとにかく早く伝えたかったことが大きな理由です。発注ナビからの要件に「関西の会社を優遇する」と記載があったのですが、「東京の会社ではあるものの、我々に任せてもらえば安心できますよ」と大阪から東京という距離の不安を払拭する必要がありました。確か、木曜に案件情報がオープンになり、金曜に日程調整して、とにかく1番早くという気持ちで月曜に大阪に出張、というようなスピード感でした。
現状から今後の展望まで詳しくヒアリングしたうえで、できることを提案
―― 打ち合わせではどういった提案をされましたか。
黒田氏:まずは、これまでの開発環境や、今後どういった形でやっていきたいのかなど、細かなところまでお聞きしました。その中で開発環境が古いなどの問題点も見えましたし、こちらが持っている知見について詳しく説明していった形です。この技術・装置が持つメリットを多くの患者さんに届けたいという野田様の想いも受け取ることができて、やはり実際にお会いしてよかったと思います。
―― 今回の開発で大変だったことはありますか。

有限会社フタイテン
技術開発部 ソフトウェアグループマネージャ―
塩見善朗氏
塩見氏:開発環境の部分で、スムーズに進まない期間はありましたが、そこをクリアしてからは1~2週間ほどで開発の目途がつきました。SDHCへの対応についても、デバイスメーカーがベースとなるソフトウェア部品を用意していますから、それをうまく機器に落とし込むことで解決しました。これから最終的な動作確認などを予定しています。
黒田氏:「このソフトウェア部品を使えばよい」という判断も、塩見の持つ経験と知見があるからできるところであり、この辺りも我々がお客様に対して価値を提供できたといえるのではないかと思います。
全国から熱意ある会社を探せる発注ナビは、イノベーションにも貢献する
―― 発注ナビの印象はいかがでしたか。
野田氏:日本は、新しく何かを始めたり、イノベーションを起こしたりしやすいかというと、残念ながらそうではありません。私自身、多くの企業に問い合わせしても、なかなか門戸を開いてもらえず、ハードルを越えるのにとても苦労しました。
ところが、発注ナビは全国から対応できる会社を探し、すぐに5社も反応してくれました。これはすごいことです。さらに、紹介された開発会社がいきなり会いにきて熱意をもって語ってくれるなんて……。こういったシステムはイノベーションにも大きく貢献すると思います。個人的にはもっと早く知りたかったですね。
―― イアデジタル様とフタイテン様の、今後の予定をそれぞれお聞かせください。
野田氏:当社が今開発しているのはあくまで最初の一歩にすぎず、耳鳴治療のシンセサイザーとしてあらゆる機能を発展させていく必要があります。構想は多くあり、お願いしたいこともたくさんあります。頼れる相談相手が見つかって本当によかったです。
黒田氏:当面の目標は、今依頼いただいているものをしっかりと完成させることです。そのうえで、「こうした方がよりよいのでは」「回路はこの方がよいのでは」など、予算や納期も踏まえて提案したいと考えています。野田様が考えている理想の実現に貢献できるよう、惜しまず協力できればと思います。
塩見氏:以前に野田様がご自身で開発されたシステムに対し、うまくプロフェッショナルとしての提案を乗せられればと考えています。あるべき姿などを相談しながらさらにいいものを目指すという形を野田様からも求められており、そこを支援できればと思います。
――ありがとうございました。
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