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発注ナビTOP>インタビュー>実現不可能と言われた機械学習を活用した「受注入力自動化システム」、開発側と発注側のタッグが導き出した答えとは?

実現不可能と言われた機械学習を活用した「受注入力自動化システム」、開発側と発注側のタッグが導き出した答えとは?

高い技術力から質の高い産業用機械や金属部品の製造を行うHILLTOP株式会社。同社では、少量多品種生産という方針ゆえに数千枚におよぶ設計図面の管理が業務に大きな負荷を与えており、これを自動化したいと考えていた。しかし、図面から情報を読み取り、システムに登録していくという作業を自動化するのはハードルが高く、数十社に開発を持ちかけたものの断られ続けていた。そんなとき、最後の望みをかけて、発注ナビに相談したところ、機械学習を使ったシステムの開発経験豊富なアクセルユニバース株式会社が持前のノウハウで見事に課題を解決したという。多くの開発会社が難色を示したシステムを、どのように実現したのか? 今回、HILLTOPの井田貴久氏、アクセルユニバースの今村幸平氏にお話しを伺った。

■数千点におよぶ設計図面の読み取りの自動化で営業の負荷を低減したい

――HILLTOPさんはどのような事業を展開していらっしゃるのでしょうか。

HILLTOP 井田氏 京都を拠点に、自動車や飛行機の金属切削加工部品、検査機をはじめとする各種産業用機械の製造などを作っています。たとえば、製造工場で利用するロボットアーム付きの自動搬送機や、製薬メーカーの品質検査で利用する向けには錠剤の外観検査装置、需要が急激に高まったPCR検査用機器なども手掛けています。また、珍しいところでは大手飲料メーカーの展示会用ブースの装飾、有名大物アーティストがライブツアーで使うマイクスタンドの制作、さらにはマタニティーマークと連動した譲り合い促進アプリの開発・提供など、幅広い事業を展開しています。少量多品種生産を得意としており“一点物”の作成といったご依頼も少なくありません。

HILLTOP株式会社 企画開発推進部 部長の井田貴久氏

 

――今回、発注ナビをご利用くださったのは、どのような経緯からだったのでしょうか?

井田氏 少量多品種生産ということで、当社がお客様からお預かりする設計図面は膨大な数に上ります。また、産業用機械は数百点の部品から構成されるものもあり、その一つひとつに設計図面が必要になるため、その数はとどまるところを知りません。これまで当社では、お預かりしてきた図面を管理するために、営業アシスタントのスタッフが図面の基本情報(会社名、型番、材質等)を社内システムに手入力してきました。アシスタントの仕事は見積作成から発注まで様々な業務があるため、せめて、この図面の基本情報の入力作業を何とかして自動化できないものかと考えました。

 

――図面の基本情報入力というのは、それほど煩雑な作業なのですか?

井田氏 設計図面の書式は各社各様で、会社名、製品番号、材質などが、どの位置にどのような体裁で記されているかが決まっているわけではありません。お客様ごとに、何がどこに書いてあるかが違います。これは会社名、これは製品番号など、いちいち営業スタッフが判断して入力しています。ある程度の経験や知識が必要な作業と言えるかもしれません。

 

――確かにそれは手間がかかりそうですね。発注ナビ利用に至った経緯は、どのようなものだったのでしょうか?

井田氏 当社は、社内にシステム開発部門を持っており、社内システムの多くは自社内で独自に開発・運用しています。しかし今回のように図面をインテリジェントに読み取るというシステムについては、社内にノウハウが無かったので、外部の開発会社にお願いしようと考えました。実は何十社も直接お声をかけさせていただいたのですが、いずれも難色を示されてしまいました(苦笑)。そこで、最後の望みをかけて、発注ナビにお願いしてみようということになりました。

各社各様のフォーマットで、文字情報が入る場所、囲み線の位置などバラバラで、まさに絵が描ける図面から、基本情報をどう読み取るかが今回のシステムの大きなテーマ。最初は図面の文字情報をすべて読み取って分析するところからスタートしたものの、要素が多過ぎて現実劇でないと判断。アクセルユニバースが着目したのは、文字情報ではなかった。

 

 

■機械学習の使い方に一日の長あり! アクセルユニバースからの提案とは?

――発注ナビへのご依頼内容には「AI(Deep learning)等を活用した画像認識システムの開発」とありました。

井田氏 図面から基本情報を読み取るには、営業スタッフが判断しているようなことをシステムにやってもらうことになるので、機械学習での処理が必要になるものと考えて、そのようにご依頼しています。

 

――そのご依頼に対して6社が手を挙げてくださいました。そのうちの一社がアクセルユニバースさんでしたが、アクセルユニバースさんは、もともと機械学習を得意分野としていらっしゃったのでしょうか?

アクセルユニバース 今村氏 はい。当社は多様なシステムを開発していますが、その中でも、機械学習を使ってお客様の困難な課題を解決していくというのが、現在、最も力を入れいている大きな方針の一つです。HILLTOPさんのご依頼を拝見し、当社が力になれるのではと思い、手を挙げました。

 

――HILLTOPさんがアクセルユニバースさんを選んだ決め手はどこでしたか?

井田氏 やりたいことをお伝えした後に、最終的に「できる」というお返事を下さったのはアクセルユニバースさんだけでした。他社では「これは無理です」とハッキリ言われました(苦笑)。アクセルユニバースさんからは、具体的に「こうしたら良い」というご提案をいくつもいただきました。

 

――アクセルユニバースさんは、どのようなご提案をされたのですか?

今村氏 機械学習ですべてが解決できるとは限りません。しかし、ご要望に100%お応えできない場合も、どこかに効率化できるところがあるはずです。そうした部分について、たとえば「ここは人間が手を加える」「ここはシステムに任せる」といったことを丁寧にご説明させていただきました。

井田氏 アクセルユニバースさんからは、開発が進んでいく過程でも、いろいろなシーンで多様なご提案をいただきました。

 

――差し支えのない範囲で結構ですが、どのような提案を基にシステムを実現させたのでしょうか?

今村氏 何の予備知識も無しに図面中の基本情報を判別して読み取っていくというのでは、図面中の要素が多過ぎるため、相当な時間をかけて学習させなければならず、現実的ではありません。先ほどのお話の通り図面の構成は各社各様ですから。ただし、図面全体を囲む枠線の部分は会社ごとに共通フォーマットが使われていることに気づきました。「この枠線はA社、この枠線はB社」ということさえ分かれば、同じ会社の図面なので基本情報の配置や書式もほぼ共通であり、あとは機械的な読み取りでも高い確度で行えるようになります。そこで、まず、画像認識技術で図面の枠線を認識させ、どの会社のものかを判別し、次にその会社のフォーマットに沿って基本情報を読み取らせる、というようにしました。

井田氏 最初はフォーマットで分けていたわけではなく、読み取った文字情報すべてを対象に分析していました。枠線というアイデアはとても良かった。それだけでなく、フォーマットの認識のさせ方や文字情報を取得してきた後の処理の仕方とか「さすが!」と感心させられました。

 

■このシステムが将来の営業スタイルを変える可能性も!

――開発で最も苦労されたところはどこでしょうか?

今村氏 やはり判別の精度をいかに向上させていくかというところでした。図面と言ってもCADでトレースして出力したものから、手書きのものをスキャンしたものまであります。いろいろなパターンをきちんと判別できるように学習させていかなければなりません。新たな取引先が増えれば、その都度学習させることも必要です。

 

――完成したシステムの運用状況などをお聞かせください。

井田氏 アクセルユニバースさんから納品していただいたのが2カ月前なので、まだ完成という段階ではありません。この後、社内でAPIを作って社内システムとのつなぎ込みを行う予定で、本格的な運用はそこからになります。とは言え、現状でも図面データの入力にかかる工数は半分以下に低減されています。

 

――HILLTOPさんは京都、アクセルユニバースさんは東京にそれぞれ拠点を置いています。遠隔地という面で開発過程でのやりにくさはありましたか?

井田氏 いいえ、特に支障はありませんでした。最初こそ対面で顔合わせをしましたが、その後はオンラインミーティングで済ませています。週に1回はオンラインミーティングを行うようにして細かく情報を共有してきました。

 

――枠線で判別するという着想も、そうしたやりとりの中から見つけ出されていったのですね?

井田氏 アクセルユニバースさんとは、一緒になっていろいろなことをやらせていただきました。新しいアイデアを形にするために、フィジビリスタディのようなものを作り、「ここはできている」「ここは次の課題」というように検証を繰り返していきました。そうした作業に根気よく付き合ってくださった。今回のシステムは、アクセルユニバースさんだからこそできたものと考えています。

今村氏 ありがとうございます。HILLTOPさんのように、常に細かな情報を開示して、ご要望を含めていろいろご相談いただけると、こちらのご提案の幅も広がりますし、開発もしやすくなります。

 

――まだ、本格稼働前とのことで気が早いですが、今後、このシステムはどのように展開していくのでしょうか。将来的なところもお聞かせください。

井田氏 社内システムとつなぎ込むことで、営業から図面データ入力、見積りまでの一連の業務をそれぞれ一定の割合で自動化できるようになります。そうなれば、営業のスタイルそのものが変わる可能性があります。たとえば、従来は直接お客様先をご訪問していたのですが、今後はリモートでの営業、あるいはWebサイトから直接受注するといったこともできるようになるかもしれません。

 

――これはニューノーマル時代のビジネスにもつながりそうな展開ですね。本日はどうもありがとうございました。

 

■今回学んだ発注が上手くいく3つのポイント

 ◆手段は意外なところにあるかも!? 大切なのは目的の明確化

 ◆ミーティングはオンラインでも十分! 頻度を高めて情報共有を徹底

 ◆開発過程における互いの協力を決して惜しまないこと

 

■関連リンク

HILLTOP株式会社

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