
渚株式会社は、2017年創業の東京都港区に本社を置くシステム開発会社だ。少数精鋭のエンジニアたちはキャリア10年以上のベテランも多く、技術力は高い。一方、従業員は20名ほどで、決して規模の大きなシステム開発会社ではない。また、2017年設立ということを考えると業界で名の通った老舗システム開発会社ともいえない。大規模でも老舗でもない、そんな同社だが、発注ナビを活用して、『トータル12件・総額1億円以上』の新規案件を獲得している。同社は、どのような使い方、どのような工夫で成功を収められたのか。その取り組みについて代表取締役の野口 博之氏、プロジェクトマネージャーの森田 大充氏、吉田 将宏氏にお話を伺った。
| 社名 | 渚株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区三田2-14-7 ローレル三田506 |
| 従業員数 | 1 – 30名 |
| 事業内容 | WEB制作、システム構築/運用、インフラ構築/運用 |
| 掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
リファラル案件を中心に事業を展開していたが、紹介者や発注者の都合に合わせて相談が来るため、繁忙期に発注が集中したり、反対に紹介が皆無な期間が続いたりと案件のコントロールが難しかった。平均的・定常的に新規案件を獲得していく営業体制の整備を考え、営業代行も活用したが、システム開発やWeb制作は決まった製品・サービスを決まった価格で売るビジネスとは異なるため、そもそも営業の代行が難しい。さらに、自社の強みや特徴、システム開発に対する理解や知識が乏しいまま営業が代行されるので新規案件の獲得には至らなかった。
- 導入後の効果
顧客の困りごとを聞き、丁寧な提案でシステムやWebを作り上げるという同社の強みを活かせる案件の獲得を目指し、発注ナビのコミットプランを契約。発注ナビから紹介を受けた新規顧客と信頼関係を構築すること、発注ナビ担当者とのコミュニケーションを大切にすること、発注者に刺さる提案をすることの3つを心掛けた。その結果、トータル12件、総額1億円以上の新規案件獲得に成功した。
どうすれば平均的・定常的に新規案件を獲得し続ける体制を整えられるのか

代表取締役
野口 博之氏
中堅・中小規模のシステム開発会社の場合、『新規案件の獲得はもっぱらリファラル(紹介)案件が中心』というケースも少なくない。小回りが利く柔軟な対応力という中堅・中小企業の強みを武器に顧客から信頼を獲得し、その顧客からグループ企業や知り合いの会社などを紹介してもらって、自社の技術力や提案力を活かせる新規のシステム開発案件につなげるというパターンだ。渚株式会社も創業当初は、そんなリファラル中心のシステム開発会社だった。
しかし、リファラル案件を中心に事業を展開していると、ある特有の悩みに直面する。まずは「新規案件の広がりには限界があること」(野口氏)だ。いくら会社や案件を紹介してもらえるとはいえ、無限に紹介し続けてもらえるわけではない。さらには、「新規案件をご紹介いただくタイミングを自社でコントロールできない」(野口氏)という難しさもある。システム開発会社が主体的に営業をかけて新規案件を獲得していくのとは違い、顧客の都合やタイミングによって新規案件の相談が来ることになる。そのため、新規案件の相談が全く来ない時期もあれば、一気に複数社から相談が来て捌き切れなくなることもある。しかも仲介してくれた顧客との関係性を考えると、「今は対応できません」と簡単に依頼を断ってしまうことは難しい。つまりリファラル案件が中心のままだった同社は、野口氏曰く「案件コントロールが難しく、平均的・定常的に新規案件を取り続ける体制を確立できていない状態」だったのだ。
そこで、同社はさまざまな方法で『平均的・定常的な新規案件獲得』の実現に取り組んだ。始めに、そもそも自社に専任の営業担当社員がいなかったことに着目した同社は、まずは大手の営業代行サービスを活用してみた。しかし野口氏曰く、新規顧客の開拓や新規案件の獲得にはつながらなかった。理由は、同社が得意とするシステム受託開発やWeb制作が、『決まった製品やサービスを決まった値段で売る』だけのビジネスではないからだ。特に同社の場合、顧客の困りごとを丁寧にヒアリングし、そのソリューションを一から設計して開発することを強みとしており、システム導入後のアフターフォローも徹底している。「依頼先が、こうした当社の強みや特徴をきちんと理解した上で営業を代行してくれることはありませんでした」(野口氏)。なお同社は、営業用のトークスクリプトを作成して渡すこともしたものの、それでも同社の強みやシステム開発を理解して、きちんと説明できる営業代行者はいなかったという。どうすれば平均的・定常的に新規案件を獲得し続ける体制を整えられるのか。同社はその壁に直面していた。
『見積もりありき』でなく『真っ当な営業』ができるのが発注ナビの良さ
こうした状況の中、同社はマッチングサービスの利用を検討し、実際にいくつかのマッチングサービスを使ってみたという。しかし野口氏曰く、いずれのサービスにおいても思うような成果は出なかった。もちろん、どのマッチングサービスにも一長一短がある。利用したマッチングサービスがたまたま、同社のように顧客に寄り添った開発を信条とする会社にマッチしなかったとも考えられるだろう。その上で、同社ではいくつかのマッチングサービスについて、次のような感想を持ったという。「見積もり依頼が一括で大量に届くサービスを使ってみたのですが、見積もり依頼一件に対して費用が発生する料金体系でした。見積もり数をこちらでコントロールできず、一度に数十件も届くのでそのたびに費用が高額になり、しかも、その中には『見積もりだけ欲しい』という案件も含まれていました。費用が高額な上に案件獲得に至らないということで、利用を止めました」(野口氏)。
また、新規の案件情報に対し『早い者勝ち』で受発注が決まるサービスも利用した。同サービスは一つの案件につきエントリー上限が5社程度だったので、一瞬で決まってしまうことも多かったという。森田氏は、「案件の精査や発注者の情報を調べている時間はなく、すぐにエントリーしなくてはならない。お客様の困りごとをきちんと理解し、最適なシステムを考えてご提案する当社のようなシステム開発会社には合わないと感じました」と話す。
こうした紆余曲折を経て、同社は発注ナビの利用を決めた。選定のポイントについて、森田氏は「発注ナビでは募集がスタートしてから応募の締め切りまで一定の時間が設定されていました。案件に対するシステム開発会社の早い者勝ちではなく、エントリーした中から3~5社が『発注ナビからの紹介企業』として発注者に情報提供されます。その流れが当社に合っていると感じました」(森田氏)。
もう一つ決め手となったのは、発注ナビは「まず見積もりを」という方向で話が進むのではなく、発注者との商談が設定されて打ち合わせをし、その内容を踏まえてから見積もりを出す流れとなっていたことだ。「要するに、当社にとって強みや特徴をしっかりと示せる『真っ当な営業』ができる仕組みだったということです。最終的に失注した場合でも、お客様と商談をした上で落とされたのであれば、そこにはちゃんと理由があり、それを次の営業に活かすこともできるでしょう。営業活動自体が無駄にならないと感じました。それも発注ナビに決めたポイントです」(森田氏)。
継続的な付き合いができる会社との繋がりができ、総額1億円以上の成果を達成
同社は、創業から間もなくして発注ナビを契約し、2024年9月からは一定期間内に一定数を確実に紹介されるコミットプランで利用している。その結果は冒頭に紹介した通り、トータルで12件、総額1億円以上の新規案件の獲得だ。案件の中には1件で3000万円以上にもなる大規模案件も含まれる。なお当然のことだが、発注ナビを利用する全てのシステム開発会社がここまでの成果をあげられるわけではない。では、同社が成果を達成できた理由はどこにあるのか。その回答はいたってシンプルで「何も特別なことはしていません」(森田氏)とのことだった。
ただし、お話を伺っていると、きちんと自社の強みや特徴を理解し、それを活かした提案をしながら顧客との信頼関係の構築を大切にしていること、そしてもう一つ、発注ナビの担当者とのコミュニケーションを重視していることが大きな理由といえそうだ。森田氏は「発注ナビは『システム開発案件をマッチングする』だけのサービスではなく、システム開発を『依頼する企業』と『依頼を受ける企業』、つまり会社と会社を責任を持って結んでくれるサービスだと感じています。紹介をいただいたお客様にきちんと対応し信頼関係を構築できれば、その後も追加案件のご相談などにつながります。発注ナビをきっかけに、新規のお客様と中長期的な関係性を構築できているのが受注拡大につながった理由の一つだと思います」と話す。
一方、発注ナビの担当者とのコミュニケーションでは、「案件情報を読んだだけでは分からない部分、例えばどんな雰囲気の発注者か、金額重視かスピード重視かなどの情報も、可能な範囲で提供してもらえるように話をしています」(吉田氏)という。「例えば『この案件はあまりおすすめしません』、『御社には、こちらの案件の方が合っていると思います』など、丁寧なアドバイスをいただくこともあります。実は、案件の獲得やお客様との信頼関係の構築には、こうした情報が非常に役立ちます。それを考えて発注ナビ担当者との対話を重視していることも、受注拡大に繋がった要因かもしれません」と吉田氏は説明する。
また、同社では定量的な成果だけではなく、発注ナビを利用したことでの派生的な効果も実感している。「お客様と打ち合わせを重ねることで、営業スキルのブラッシュアップができました。自社の強みや特徴の再認識と整理、それをどう伝えるとお客様に刺さるのか。発注ナビを活用して商談のチャンスが増えるにつれ、そんなことを考える機会も増えています。そこも丁寧に検討できたという効果も感じています」と森田氏は話す。

(左から)吉田 将宏氏、野口 博之氏、森田 大充氏
今後は発注ナビを活用しスクラッチとライトな案件の両輪でさらに売上拡大を
同社では今後も継続的な付き合いができ、追加開発が発生するようなクライアントと効率的に出会いたいと考えている。「失注してしまうのは仕方ない部分もあります。その中でも受注率を上げてき、かつ長期的なお取引きができるお客様を効率的に探していきたいと考えています。発注ナビの担当者に、我々にとって不向きな案件を省き、より適した案件を中心に紹介してもらうことで、案件に対して効率的に注力できます。そんなこともご相談したいと考えています」(吉田氏)。
このように同社の技術力や提案力を活かせる案件はもちろんだが、そのほかにも、方向性を変えて手早くシステムを構築するような安価なパッケージプランを用意することで、森田氏は新たな顧客層の開拓も検討しているのだという。「例えば『このWeb制作プランなら20万円で対応します』など、テンプレートを用意して金額やスピードを重視するお客様にも対応していく。スクラッチ開発とライトな開発との両輪で進めていく、そんな方向で発注ナビをさらに活用していきたいと考えています」(森田氏)。発注ナビの活用の方向性は決まっているようだ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
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