「AIを活用したら、こんなことができるのでは……」そんなアイデアがあっても、ITの知識がなければ実現は難しい。どのように機能を実装していくのかという技術的な領域はもちろんだが、そもそもどのようにアプローチすればアイデアを実現できるのか見当がつかないと悩んでいたのが、函館市を中心に外出型リハビリサービス「おでかけリハビリ」などを提供する、おでかけリハビリ推進協議会だ。AIによる画像認識を用いて健康の促進や病気の予防に繋げられるアプリを開発できないか、というアイデアはあったものの、自分たちの中でITに強いメンバーはいない。まずは相談を……と考えて発注ナビを利用した。「開発ありきではなく、アイデア実現に向けてどう進めるべきか、親身になって相談に乗ってくれた」と当時を振り返る代表理事 松田 悌一氏に詳しく経緯を伺った。
シニア向け・企業向けに健康支援の活動を行うなかで見つけたアイデア
―― おでかけリハビリ推進協議会様の事業についてお聞かせください。
おでかけリハビリ推進協議会 松田氏:私たちは商業と福祉の連携を掲げ、健康寿命の延伸やフレイル予防などにつなげる活動を行っています。活動は大きく2つあり、1つは地域のシニア層を対象に商業施設への“おでかけ”そのものをリハビリなどに繋ぐ「おでかけリハビリ」「おでかけウェルネス」といったプログラムです。もう1つは企業を対象とした活動で、企業版「おでかけウェルネス」として社内で休憩時間などにセミナーなどを開催し、社員の健康づくりを支援しています。
―― 今回はどういったアイデアだったのでしょうか。
松田氏:AIの顔認証を用いて、健康管理を実現するアプリを作れないかと考えました。久しぶりに会う知人から「顔色が良い/悪い」などと声をかけられることってありますよね。私自身も、複数の知人から立て続けに「顔色が悪い」と言われて、もしかしたらどこか体調が悪いのではと思った経験があります。これをITで可視化できたら、健康促進の情報として有用なのではという発想でした。
最近はAIも進化し、顔認証なども広く使われています。この技術を活用すればイメージしたものを実現できるのではと考えました。企業が社員向けにこういったアプリを提供することで、顔色から貧血などを判定できれば、病気が重症化する前に発見し、予防につなげられるかもしれません。実現できたら、ニーズはありそうだと考えました。
アイデア実現に向けての進め方も分からない。まずは相談から、と発注ナビに問い合わせ
―― それで開発会社を探すことになったのですね。
松田氏:あくまでアイデアベースで始まった企画でしかなく、私たちの中にITに強い人間がいるわけでもありません。実現に向けてどうアプローチすればよいのか、まったく分からない状況でした。
そんなとき発注ナビに関するWeb記事を見つけ、開発会社とマッチングするサービスということだったので、とにかく相談してみようと問い合わせました。AIやアプリ開発の知見がある企業を探したいという要望とあわせて、医療の領域につながりがある方の意見も聞きたいと伝えました。
私たちの協議会は介護事業が中核で、医療系専門職のメンバーが多いため、医療知識を持つ方とは声をかければつながることはできます。ただ、医療関連の実績がある開発会社と繋がることで、そのルートからも横の繋がりとしてネットワークを広げられたら理想だと考えました。
―― 発注ナビの利用はスムーズでしたか。
松田氏:すべてが初めての経験でしたから、発注ナビからのヒアリングで、きちんとこちらの意図を伝えられたのか不安もありました。しかし最終的には満足のいく結果となりました。
最初は要件もうまくまとまっていなかったのですが、ヒアリングでしっかり意図を汲んで、バリエーションに富んだ企業を紹介してもらえました。「何社紹介するか」を問われた際、どのくらいにしようか決めかねていたところ、一般的には5社ほどと教えてもらったので、ではそれで……とお願いしました。「紹介した開発会社が意に添わなければまた改めて探します」と案内いただいて、そういったフォローも好感を持ちました。
「道内にある開発会社を紹介してほしい」などのリクエストは特にしなかったので、いろいろな地域の会社を紹介いただきました。中には神戸など遠方の会社もあり、普段活動している函館とはまったく異なる地域の知見のある方との繋がりを作れた、というありがたい体験ができたのも、発注ナビを使って「良かった」と思ったところです。
大切なのは「いきなりアプリ開発ではなく、フェーズを分けて進める」こと。実現に向けたアプローチが明確に
―― 紹介された企業の印象はいかがでしたか。
松田氏:紹介いただいた5社すべてと打ち合わせしましたが、みなさん丁寧な対応で、こちらの事業の話をしっかり理解してもらえました。どこも「金額ありきの見積もり」ではなく、ヒアリングや質疑を経て、アイデアを実現するにはどうすれば良いかを熱心にアドバイスしてくれた印象です。大手から中小まで企業規模もさまざまでしたし、医療分野に精通した企業、介護領域の実績がある企業、アミューズメントに強い企業など事業領域も異なり、それぞれのスタンスからどのような対応が可能かを聞くことができ、参考になりました。
―― アドバイスの内容も伺えますか。
松田氏:すぐ開発しようという提案ではなく、「目指すアプリを実現するには、こう順序立てて進めた方がよい」「フェーズを分けて進めるとよい」など、具体的なアドバイスをもらいました。特に中小の開発会社は、代表者自らが打ち合わせに参加して、親身に話してくれました。闇雲に予算を決めて開発しましょう、という話にはなりませんでしたし、こちらもITの知見がないなかでいろいろな気づきがありました。
―― どのような気づきがあったのですか。
松田氏:もともと、これができたら理想という最終形を提示していて、素人としてはそのゴールに向けて直接進めるイメージがあったのですが、先方からいただいたのは「まずはデータを蓄積するのが先」というアドバイスでした。確かに、判定するためのデータがないのに、判定するためのアプリを作っても、基準が分からないのでは使えない、というのは納得できます。
私たちはつい「ITはなんでもできる」と思いがちですが、データがなければITをいくら活用しても実現できない、というのは大きな気づきでした。「無理にアプリを作るのではなく、時間がかかっても丁寧に進めた方がいい」と教えてもらい、感謝しています。
想いに共感した企業のアドバイスを受けながら、まずはデータ収集・蓄積からスタート
―― 今はどういった取り組みをしていますか。
松田氏:参加者へのアンケート調査や健康測定の機材で測った数値など、データの収集・蓄積を始めました。紹介いただいたうちの1社からアドバイスもあり、収集した情報を一過性のもので終わらせず、連続性を持たせるために、データを蓄積するプラットフォーム構築などから始めると次のフェーズにも進めやすいだろうという判断で、準備・整理を進めている最中です。
―― 発注ナビから紹介した企業とコンタクトを取っているのですね。
松田氏:まだ発注できていないのですが、アドバイザーのような形で対応いただいています。お願いしている会社は「作ることではなく、機能することが目的。まずはデータを蓄積し、将来的に必要なことがあればシステムを作りましょう」というスタンスでした。「ITはなんでもできるわけではなく、手狭になったところを自動化するのが本筋」という話も腑に落ちるところがあり、こちらの会社に決めて継続して連絡を取っています。
大きく方針転換したものの、理解したうえで進められていることが重要
―― 全体を通しての印象はいかがでしたか。
松田氏:さまざまなアドバイスを受けて、結果的に当初考えていたアプリをいきなり開発するのではなく、データを収集・蓄積する環境づくりから進める方向へと大きく転換することになりました。こちらのアイデアを“交通整理”してもらい、フェーズを分けて進めることの重要性に気付かせてもらった点は大きいです。分からないまま無理に作るのではなく、理解したうえで進められるのは結果的に良かったと感じています。現在の取り組みの先で、改めてアプリ開発を進めるかもしれないですし、そのときにはぜひ開発もお願いしたいです。
―― 今後の取り組みについてお聞かせください。
松田氏:まずは発注ナビ経由で繋がれた開発会社さんと連携しながら、データ収集・蓄積に注力します。認知機能を判定するアプリの企業とも連携する予定があるので、そこでもデータを取得できるのではと考えています。今後は、データをどう活用するのかを検討し、新規事業化だけでなく、メーカーとのタイアップなど、これまで想定しなかったような展開ができるかもしれないと期待しています。
データを活用することで、日々の生活のなかで健康上の異変に気付けたら、社会にとっても価値があると思っていますが、それありきではなく、得られたデータからなにができるのかを地道に考えていきたいです。こういった進め方・考え方ができるようになったのも、今回の案件を通して、いろいろ話を聞いたからだと思います。
――ありがとうございました。
使ってみてわかった、発注ナビの便利なポイント
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要件がまとまらない中でもヒアリングで意図を汲み、さまざまな会社を紹介してもらえる
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開発会社が意に沿わない場合は再ピックアップをしてもらえるなどのフォローがある
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遠方の地域など普段とはまったく関係性のない会社とも、繋がりを作ることができる
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