IT領域に限らず、中堅中小企業の中には、『わずか数社の主要顧客との取引が売上の大半を占めており、営業面でリスクを抱えている』、『ニッチな領域に強みがある代わりに、新規顧客開拓が難しい』といった悩みを持つ会社は多い。1983年創業のソーバル株式会社もその一つ。組み込み系システムに強みを持ち、キヤノングループやソニーグループ、富士通グループなど大手顧客との取引が売上げの大半を占めていた。そんな同社は組み込み系というニッチな領域での新規顧客の開拓に発注ナビを選んだ。同社のビジネスエンジニアリング部部長の齋藤 健太郎氏にお話しを伺った。
社名 | ソーバル株式会社 |
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所在地 | 東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル |
従業員数 | 301 – 1000名 |
事業内容 | アプリケーション開発、WEB・クラウド開発、組み込み開発(ソフトウエア・ハードウエアの設計開発)、マニュアル制作 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
キヤノングループ、ソニーグループ、富士通グループなど大手優良企業数社との取引が売上の大半を占め、1社でも取引がストップすると売上に与えるインパクトが大きかった。そこで、取引先数を増やそうと新規顧客開拓を検討する。しかし同社が得意とする組み込み系システムの開発は、ハードウエアを手掛ける顧客と中長期にわたり一緒に開発するケースが多いという事情から、新規案件の獲得が非常に難しい。そのため、どうすれば組み込み系というニッチな領域で新規の顧客を開拓できるかに悩んでいた。
- 導入後の効果
2020年10月から発注ナビのセレクトプランを契約し活用。12か月の契約期間の中で任意の3か月を選んで発注ナビを利用できるプランのメリットを活かし、大手取引先からの受注案件が終わるタイミングや組み込み系システム開発の案件が出る月に絞り込んで発注ナビを効果的に活用。その結果、約4年間の利用で5件(うち3件が組み込み系システム)の受注に成功。案件受注額も1件あたり300万円~900万円と比較的高額な案件をコンスタントに獲得できた。
取引先数が少なく、1社でも取引が止まると経営に与えるインパクトが大きい
1983年創業で40年以上の歴史を持つソーバル株式会社。プリンターやデジタルカメラ、電子機器、精密機器などの組み込み系システムの開発を得意とする。キヤノングループやソニーグループ、富士通グループなど日本を代表する大手企業を顧客に持ち、創業以来、順調に業績を拡大してきた。優良な顧客をしっかりと抱え、組み込み系システムの開発を中心としたアプリケーション開発、クラウドをベースとしたWebシステム開発、マニュアル制作、Web制作など、幅広く事業を展開。連結で889名、単体でも700名以上の従業員がいてその大半がエンジニアという技術者集団。2008年12月には東京証券取引所JASDAQ市場に上場し、2022年4月には東京証券取引所スタンダード市場へ移行している。こうした長い歴史と実績をみると、『開発案件の獲得には困らない企業』と思われがちだ。
ところが、そんな同社にも悩みがあった。齋藤氏は「大手数社との取引が売上げの大半を占めていたので、1社でも取引先がなくなると売上に与えるインパクトが大きい。営業戦略面で常にリスクを抱えていたのです」と振り返る。大手の優良企業を顧客に持つ同社なら営業基盤は盤石と思いきや、1社ごとの取引額こそ大きいものの、取引先の数自体はそれほど多くはなかったのだ。だから、「既存のお客様を維持しつつ新規顧客を開拓し、取引社数を増やしたいと考えました。そこでマッチングサービスを検討したのです」(齋藤氏)。
『失注が無駄にならない使い方』にも魅力を感じ発注ナビと契約
そこで齋藤氏が担当となり、発注ナビを含めて5社ほどのマッチングサービスを比較・検討し、発注ナビともう1社を選択。最終的に発注ナビと契約した。発注ナビを選定した理由について、齋藤氏は3つのポイントを示す。まずは、『成約報酬型ではなかったこと』だ。マッチングサービスの中には、リード1件でいくら、案件を受注できたらいくら、というように費用がどんどん加算されるサービスもある。その中には一度成約した顧客からのリピート受注にまで、仲介手数料の名目で費用を求めるものもある。「その点、発注ナビは『利用する期間だけ』費用を支払えば、リード件数や成約件数で費用が別途発生することがなく、またリピート受注にも費用が全く発生しません。費用体系が非常に明確だったことが選定のポイントの一つでした」(齋藤氏)。
二つめは、『紹介される案件の質が良いこと』だ。他のマッチングサービスでは、相見積もりの相手を探すような案件や本気で発注するつもりがない案件が多い印象だったというが、発注ナビで契約前に実際にどのような案件があるのかを確認したときには「予算や納期が明確で『本気でシステム開発会社を探している』ことがわかる案件が多く、これなら新規顧客開拓に利用して成果が期待できると感じました」(齋藤氏)。
三つめは、意外なことに発注ナビ担当者から『新規案件の獲得だけにこだわらない中長期的な使い方ができるというアドバイスをもらえたこと』だったという。発注ナビを利用するシステム開発会社は、発注ナビから紹介された案件が成約に至らなかったとしても、発注者に対して商談のお礼といったフォローメール等を送ることができる。つまり、発注者が嫌がったり、迷惑になったりしない範囲で、発注者との関係性を維持・継続することが可能ということ。齋藤氏は「仮に発注者との関係性を維持・継続して別案件を受注した場合、紹介料や手数料などの名目で費用が発生することは一切ないと説明を受けました。ここは他のマッチングサービスにはない発注ナビの大きな魅力だと感じました。目先の案件を失注したとしても、その後につながるような提案をしておけば『失注が無駄にならない』、そう思えたのです」。
組み込み系というニッチな領域でも新規案件獲得に成功
こうして同社は2020年10月から発注ナビの利用を開始した。初回に契約したのは、セレクトプランで、契約期間12か月間のうち任意の3か月間を選び、選んだ月の間は発注ナビを自由に利用でき、使わない月があっても、それは利用期間には含まれないものだ。
このプランが同社にはぴったりとマッチした。「既存のお客様は大企業が多いだけに、いったん受注するとどうしても、一定期間は当社エンジニアのリソースがそちらに取られてしまいます。その一方で、手掛けている大規模開発案件が終わった後、次の発注が来るまでは空白期間ができてしまうことがあります。そのタイミングで発注ナビを利用すれば、既存のお客様を維持しながら、新規顧客も開拓できます。まさに当社にマッチしたサービスでした」(齋藤氏)。
そして、これまでに5件の受注に成功している。件数だけ見れば年間1~2件となるが、1件あたりの受注金額は300万円~1000万円弱と、決して安くはない。しかも、同社が得意とする組み込み系システム開発というニッチな案件を順調に獲得していることにも注目だ。
実は同社は、最初に契約するときに発注ナビの担当者から『組み込み系は案件自体が少なく、それのみを狙って新規顧客を開拓するのは難しいかもしれない』と説明を受けていたという。そのうえで齋藤氏は「そこは、きちんと納得して発注ナビを契約したのですが、実際に利用してみたら、少ないながらも質の良い案件を紹介してもらい、きちんと新規顧客を開拓できています」と成果に満足している様子だ。
実際に成約に至ったメーカーの顧客からも、「これまで多重構造の協力会社ばかりで反応が遅くプロジェクト推進に影響が出ていたが、ソーバルさんとお付き合いができて本当に良かった。頼れる存在として、これからもよろしくお願いします!」と嬉しいお話をもらうことができたそうだ。
発注ナビでエントリーを続けることが中堅エンジニアの底上げにつながっていく
同社が組み込み系システムを受注できているのには、発注ナビを利用するうえでのちょっとした工夫があることも見逃せない。齋藤氏は「単純に『組み込み系の案件が発生したとき』に絞って発注ナビを集中的に使っているのです」と説明する。先述したように、大規模案件が終わったあとの空白期間に発注ナビを利用するというのと併せて、組み込み系システム開発の案件がでてきたらエントリーするという方法、つまり『セレクトプランだからこそできる使い方』を実践している。
こうした使い方が功を奏しているのか、5件中3件が組み込み系システムの新規案件だ。組み込み系システム開発の案件は、ハードウエアを手がける企業と一緒に開発をしなくてはならないなど中長期的な取り組みとなることが多く、開発の性質上、既存の取引先からの継続案件が多くなる。つまり、どのシステム開発会社でも組み込み系の新規顧客開拓には苦労する。そうした特殊事情がある領域においても、発注ナビを使って新規顧客を開拓できたことの意義は大きいだろう。齋藤氏は「当社が受注した組み込み系の案件は、電力会社グループなど大企業の案件です。これまでの当社では接点を持つことすら難しかったお客様です。そういった新規のお客様と出会えて、つながり、さらに今後も関係性を維持していける、発注ナビは今後の成長につながるサービスだと思っています」と話す。
同社では、発注ナビの今後の活用方法に関して、自社の各部門の中堅エンジニアが顧客に対して直接に提案、商談できる貴重な機会となるように活用していこうと考えている。齋藤氏は「発注ナビで商談の機会が増えたことで、中堅エンジニアたちが実際に商談の席に参加する機会が増えています。システム開発会社のエンジニアにとってお客様と直接に話す機会は非常に貴重です。これを得られたことで、当社全体や技術力の底上げにつながっていると感じています」と、発注ナビの波及効果を示す。少し先を見据えて発注ナビを活用することで可能性はどんどん広がっていくようだ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
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