SaaSの魅力は、簡単・安価・スピーディーにシステムを構築できることだ。その強みをアピールするベンダーが多い中、株式会社ソースリンクは自社開発のSaaSパッケージを活かし、自社開発だからこそできるカスタマイズで顧客の多様なニーズに対応している。2014年設立のシステム開発会社で、すでに5年以上前から発注ナビを利用していたが、自社開発のSaaS製品「Cloud BizApps」を活用したソリューション構築での新規顧客開拓を目的として、発注ナビSaaSを利用開始。約1年の間に、3件の受注に成功するなど成果を上げた。『自社開発SaaS×カスタマイズ』を強みとする同社が新規顧客開拓で感じていた課題を発注ナビでどう解消したのか、同社代表取締役社長の渡邊 新治氏にお話を伺った。
社名 | 株式会社ソースリンク |
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所在地 | 東京都渋谷区道玄坂 1-12-1 渋谷マークシティW22F |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | マイクロソフト社製品を活用した業務システムについてのコンサルティング、構築、サポートの各種製品・サービスの提供 |
掲載カテゴリ | |
ITセレクト掲載製品 | Cloud BizApps |
ITセレクト掲載カテゴリ | 受発注システム 在庫管理システム |
- 導入前の課題
同社の強みは、自社開発のSaaSをカスタマイズすることで、顧客の要望にきめ細かく対応したシステムをスクラッチよりも安価な費用と短い期間で構築できる点だ。一般的なマッチングサービスでは『簡単・安価・スピーディー』の3点が重視される案件が多く、一般的なSaaSベンダーとは異なる同社の強みである、自社SaaSのカスタマイズ性を活かせる提案が難しかった。
- 導入後の効果
発注ナビには『SaaS×カスタマイズで機能を実装したい』という依頼が多く、自社に合う案件を絞ってエントリーできた。また、商談の場では、顧客の課題意識に触れるような資料やデモを事前に用意することを心掛けるなど工夫を凝らし、発注ナビを利用して1年間で3件の成約獲得に成功した。さらに、発注ナビから届く案件情報を確認し、把握できた市場ニーズをマーケティングに反映したり、エントリーした案件をその後の経緯を含めて記録することで営業のデータベースとして活用したりなど、案件のマッチング以外の派生的な効果も感じている。
自社開発のSaaSパッケージを活用した新規案件獲得で課題に直面

株式会社ソースリンク
代表取締役社長 渡邊 新治氏
株式会社ソースリンクは、2014年設立のシステム開発会社だ。マイクロソフトのパートナー企業として、ローコード/ノーコード開発プラットフォーム『Microsoft Power Platform』を活用したクラウドベースの業務システム、Webシステムの構築を得意としている。こうしたクラウドベースのシステム開発とあわせて、同社にはもう一つ強みがある。Microsoft Power Platformで作成したさまざまな業務アプリケーションを作り、それをSaaSパッケージとした自社プロダクト『Cloud BizApps』を活用したシステム構築だ。
SaaSを活用したシステム構築を得意とするシステム開発会社は多いが、同社の強みは、自社開発したSaaSパッケージによってシステムを構築できる点にある。渡邊氏は、「自社プロダクトだからこそ、ご要望に応じて柔軟にカスタマイズすることができ、お客様のご要望をほぼすべて実装できます」と胸を張る。つまり、スクラッチ開発と同等の自由度を実現しながら、スクラッチ開発よりも安価かつスピーディーに、顧客のニーズにマッチしたシステムを構築できるのだ。
さらに、Cloud BizAppsは高いスケーラビリティを持っていることもポイントだ。一般的にSaaSパッケージは、業務のボリュームと規模がそれほど大きくない社内環境で使うことを前提としているケースが多く、例えば『毎月数万枚の請求書を処理する』といった業務には適していないとされている。しかし、同社のCloud BizAppsなら、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム『Azure』にプログラムを置くことで、大量のトランザクションを処理することができる。「こうした大規模なシステムも構築できるのが強みです」と渡邊氏は説明する。
同社ではここ数年、SaaSパッケージのCloud BizAppsを活用したシステム開発に注力してきたが、その中で、SaaSでの新規案件の獲得には、システムの受託開発とは異なる課題を感じていたという。その課題とは、Cloud BizAppsがマッチする新規案件を探し出すことが簡単ではなかったことだ。顧客の要望を聞き取り、それに応じたシステムを作り上げていくスクラッチ開発のスタイルとは異なり、SaaSを活用すればカスタマイズで要望にはほぼ対応できる。とはいえその場合であっても、そもそもCloud BizAppsでカバーできる領域以外のシステムの構築は対応できないのだ。「Cloud BizAppsがマッチする新規の開発案件をいかに効率的に獲得するか、そこに課題を感じていたのです」(渡邊氏)。
案件数の多さや「カスタマイズ前提の発注者が多い」ことが選定の決め手
こうした課題を感じていた同社は、2023年10月に発注ナビSaaSの利用を開始した。実は、同社は以前から業務システムやWebシステムなど、システム開発案件の獲得を目的に発注ナビを利用し、これまでに総額3000万円以上の新規開発案件の獲得に成功していた。そうした経緯もあって、発注ナビが新たにSaaSに特化したプランを開始したタイミングで、利用を開始したのだ。
SaaSリードジェンプランは、発注者との商談日程が確定した時点で費用が発生する、いわば『商談保証型』であるのが特徴だ。主にSaaSベンダーを対象としたプランだが、同社のように、通常のシステム開発も手掛けており、同時に自社のSaaSパッケージも持っているという会社にも適している。渡邊氏は導入を決定したポイントとして、「SaaS系の案件が多いと思いました」と感想を語る。また、「大規模な案件も多いのが意外でした。大企業が比較的大規模な案件でSaaSを活用したシステム構築を希望している、そういったニーズがあると分かったので、これは見逃せないと思いました」とも話す。
また、SaaSパッケージをノンカスタマイズで導入して「安価にサクっとシステムを構築したい」と考える事業者も多い中、発注ナビの発注者は「自社が抱える課題を解決することを本気で考え、そのためならSaaSをカスタマイズする解決策も提案して欲しいというお客様が多くいらっしゃると感じました。そういった案件は当社が最も得意とするところで、当社に合っている、やりやすいと思いました」(渡邊氏)。
約1年間で3件の受注、マーケティング的知見を得られるなど派生的な効果も実感
同社は発注ナビを利用開始して1年余りで、3件の成約を獲得できた。この成果について渡邊氏は、「正直なところ、金額的には期待より小さく、当社の売上げに対する影響度が大きいとは言い切れない状況です。ただし、実際に利用してみたらお金以上に大きなメリットがあることに気がつきました」と強調する。
まずは、SaaSを導入したいという顧客が何を望んでいるのかを、具体的に把握できたことだ。同社も予想はしていたが、費用のみを気にして『安価かつスピーディーに簡易なシステムを作れればいい』と考え、SaaSを選ぶケースが多かった。こうした、『ニーズの大まかな傾向』を実感として知ることができたため、学びも多かったという。「カスタマイズでお客様が求める機能を実装できること、スケーラビリティがあり大規模な仕組みもSaaSで構築できることが当社のアピールポイントです。簡単・安価・スピーディーを売りにするSaaSベンダーとは一線を画した当社の位置づけを再確認し、その強みが活かせる案件を見極めること。これが重要だと改めて認識しました」(渡邊氏)。
この考えに基づいて、同社では『自社開発SaaS×カスタマイズ』といった自社に合う案件に絞り込んでエントリーするなどの工夫をしているという。「エントリーする案件を吟味して、対応領域に合うもののみを選ぶようになりました」と渡邊氏は話す。「当社の場合、お客様の課題解決にSaaSがぴったり適合するというケースは少ないです。『自社開発SaaS×カスタマイズ』を提案することは多いものの、技術的な話になりがちなので、事前にお客様の問題意識に寄り添う資料やデモを準備するようにしています」(渡邊氏)。
一方、発注ナビを利用することによる派生的な効果も感じているという。「発注ナビから日々送られて来る発注者の案件情報を見ているだけでも、どんなことにお困りのお客様が多いのか、どのようなニーズが多いのかが分かってきます。それらが、当社のマーケティングに非常に有効です。発注ナビは自社にマッチした新規のお客様を紹介してくれるというマッチングサービスですが、それだけではなく、『リアルなマーケティング情報』を提供してくれるという価値も十分にあると感じています」(渡邊氏)。
カスタマイズや他社製品とのAPI連携で機能を拡充し、発注ナビでの受注獲得につなげる
同社では今後、自社開発のSaaSパッケージであるCloud BizAppsにカスタマイズの機能をさらに拡充し、発注ナビでの新規案件獲得に注力していく考えだ。すでにCloud BizAppsで勤怠管理システムを構築したケースでは、評価や新入社員の登録、給与計算など人事系のさまざまな機能と連携して欲しいという声が挙がっているという。「単機能ではなく複数の機能と連携してほしいというニーズが出ていますが、そういうところはまさに当社の得意分野です。そこをもっとアピールして、発注ナビでの受注獲得につなげていきたいですね」(渡邊氏)という。
さらに同社は、他社製品とのAPI連携も視野に入れている。「例えば、『会計ソフトの機能を実装して欲しい』というニーズに対して、当社が会計ソフトそのものやその機能を開発するのでは、時間も手間も費用もかかり過ぎます。当社は、わざわざ手間をかけて自ら開発するよりも、すでに多数の実績と評価がある、使いやすい会計ソフトと連携するのが望ましいと考えます。その視点に立つと、新規開発案件をこなしてさまざまなニーズに対応していくことで、その経験がテンプレートとなり、資産として蓄積されていくでしょう。そのためにも、発注ナビをこれからも積極的に活用していきたいです」(渡邊氏)。
発注ナビの利用をきっかけに重ねる実績と経験が、同社へさらに大きな飛躍をもたらしそうだ。
リード獲得の課題は「発注ナビ」で解決!SaaS・IT製品に特化したビジネスマッチング
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