スタートアップ企業がネットサービスを提供する場合、システムの発注先探しに悩むケースも多い。さらには、サービスの構築・運用ノウハウが社内に蓄積されていないことがほとんどだろう。
今回取材に応じてくださった株式会社System Yachtは、教師のためのコミュニティサービスを提供するために現役大学生が設立したスタートアップ企業だ。教育学部の大学生が中心となって起業したものの、ネットサービスの構築・運用は初めてであり、システムの発注先探しにも慎重になっていた。しかし、発注ナビを利用することで、数多くの自社サービスを構築・運用している開発会社と出会うことができたという。
詳しい経緯を株式会社System Yachtの代表取締役である佐々木瑛介氏と、株式会社コレックホールディングスで技術統括部社外開発部の副部長を務める秋匡土氏に、それぞれ伺った。
教育学部の学生が中心となり、教師のためのコミュニティサービスを提供するために新会社を設立。

株式会社System Yacht
代表取締役 佐々木瑛介氏
――System Yacht様はどのような事業を展開していますか。
株式会社System Yacht 佐々木氏:当社は登記申請を2024年9月に済ませたばかりのスタートアップ企業です。常勤役員は全員が学生で、社長及び副社長は教育学部を専攻しています。当社は、教育分野にフォーカスし、2025年2月より教師向けのコミュニティサービスプラットフォーム「Ut,edu」を提供していきます。今回、コレックホールディングスさんに発注したのが、その「Ut,edu」の開発です。
――「Ut,edu」について詳しく教えてください。
佐々木氏:幼稚園・保育園から大学までの教職に就く方がそれぞれにつながるためのSNSのようなイメージです。教師だけでなくカウンセラーも加わることで教師が抱えるさまざまな課題の相談先としても機能させたいと考えています。また、授業プランや、さまざまな課題におけるケーススタディのような情報交換も行えるプラットフォームを想定しています。
――教師同士の交流や情報交換の場ということですね。
佐々木氏:教師にとっては、その学校が世界の全てになってしまうことが多いと言われています。積極的に研究会などへ足を運ばないと、なかなか横の交流が生まれず、外の世界と情報交換ができません。「Ut,edu」では、そこからさらに世界を広げ、たとえば教員免許を持っている会社員の方や、教育学部や教職課程を専攻している学生さんといった方たちにも参加していただき、学校だけでない世界とも“教育”というテーマでつながれる場として展開できればと考えています。
――今回、発注ナビを利用した経緯を教えてください。
佐々木氏:こうした構想があり会社を設立しましたが、サービス立ち上げのノウハウもないため、ネットサービス開発経験のある発注先を探す必要がありました。インターネット検索で、上位に表示された発注ナビと、念のため、もう1つ別のマッチングサービスの2つを同時並行で利用しました。
20以上の自社サービスを開発・運営する東証スタンダード上場の開発会社が受託開発を開始。豊富なノウハウでスタートアップ企業の心強い味方に!
――コレックホールディングス様は、普段どのような開発を手掛けているのですか。

株式会社コレックホールディングス
技術統括部社外開発部
副部長 秋匡土氏
株式会社コレックホールディングス 秋氏:当社はもともと営業代行や採用支援をメインに行い、「Web×リアル」をテーマに、主にマーケティングの領域でビジネスを展開し、東証スタンダードにも上場しています。また、自社サービスメディアとしてゲーム情報Wiki「アルテマ」のような情報サイトや、各種マッチングサービスの企画・開発・運営も行っています。それに付帯して、VTuber制作に関するワンストップサービスの提供、ブロックチェーン技術を利用したNFT関連の情報提供、コールセンター運営代行などもサービスとして提供しています。
また、グループの子会社ではマッチングアプリやスマホ向けゲームの開発なども行っています。
2023年の春からは、いろいろなスタッフの活躍機会を増やそうということで、外向けのサービスをより一層強化し、社外開発部門を設け、受託開発にも乗り出しました。初案件の受注も発注ナビ経由でした。
――今回、System Yacht様の案件にエントリーされたのは何故ですか。
秋氏:System Yachtさんの案件は、新規サービスの立ち上げということでした。当社は前述の「アルテマ」をはじめ「家AGENT」「お金プラス」「キャリハイ転職」など、20を超えるサービスを企画・開発し、運営しています。そこで培ってきたさまざまなノウハウが活かせるのではないかと思いエントリーすることにしました。発注者側の視点も持っているのは大きな強みだと思っています。
【コレックホールディングスのメディアプラットフォーム事業】
・お部屋探しのチャット不動産サービス「イエプラ」
・ゲームの攻略情報サイト「アルテマ」
・マッチングアプリの紹介・比較サイト「マッチライフ」
・光回線の紹介・比較サイト「ヒカリク」
・不動産の仲介、売買、斡旋事業「家AGENT」
ほか
打ち合わせにチームメンバー全員が出席してくれる安心感が、コレックホールディングスを選んだ大きな決め手に。
――発注ナビからは、コレックホールディングス様を含めて7社紹介しました。どのような基準でコレックホールディングス様に発注を決めたのですか。
佐々木氏:実際には別のサービスから紹介された会社も入れてトータル15社の中から選んでいきました。基準は4つありました。
一つ目は予算です。そこまで大きな予算を組めなかったので、予算内でなんとか収める必要がありました。
二つ目は、一緒に走ってくださるかどうかです。もう少し具体的に言えば仕様や機能を盛り込む際に「これは必要」「これは不要」「別のアプローチもある」など、アドバイスがもらえるかどうかということです。
三つ目は納期です。教師向けということで、年度の境目である3月までにはサービスインしておきたいという目標がありました。
四つ目は信用度です。運用・保守などの面でサービス公開後もいろいろとお願いしていくことになるので、安心感が欲しいと思っていました。
最初の15社から、7社に絞り込みました。平均1社当たり2~3回は打ち合わせの機会を持ち、そこからさらに3社に絞り込みました。
コレックホールディングスさんはチームメンバー全員が打ち合わせに参加してくれました。5~6回はミーティングしたのではないでしょうか。他社さんでは、要件定義で打ち合わせをした方が開発には参加しないというお話もありました。そういう意味では、最初からそれぞれの担当全員が参加してくれるコレックホールディングスさんに安心感を覚えました。
――全員参加はいつものことなのですか。
秋氏:そうですね。一人だけの参加だとミーティングの引継ぎができない事態も起こり得るので、基本的には複数名で参加するようにしています。営業、SE、サービス、保守など、異なる担当者が次々に一人ずつ出てくると「ちゃんと申し送りできているのかな」と、お客様が心配されるかもしれません。そうした不安を払拭する意味でも各担当が最初から出席しています。また、立場が異なるメンバーが出席することで、案件内容をより客観的に判断できるというメリットもあります。
――本格的な開発はこれからということですが(取材時は2024年秋)、現在、どのような形で開発業務を進めていますか。
佐々木氏:コレックホールディングスさんとはSlackでやりとりしながら、こちらから出した要望の細かな詰めの作業をしています。
秋氏:たとえば「通知が届く条件」はどのような時かといった詳細を確認しています。投稿に返信があった時はどうか、返信に返信があった時はどうか、など。こちらから実装時のメリットとデメリットを提示して、確認していく作業を行っています。
主なマネタイズは広告収入モデル。クライアントが一歩踏み込んだマーケティングを行えるような仕組みも用意。
――教師は無料で使え、マネタイズは主に広告収入モデルを想定しているとのことですが、具体的にはどのようなものですか。
佐々木氏:教師が集まる場での広告効果は大きいと考えています。教師の多くが公務員であり、安定した収入や社会的信用力を持ち、将来設計がしやすいといった職業的な特徴があります。結婚や育児に前向きな方が多いのも教師ならではです。
したがって、ハウスメーカー、自動車ディーラー、銀行、旅行代理店、飲食店、家事代行サービス、ウォーターサーバーレンタル、PCメーカーなど、幅広い業種が関わることのできるプラットフォームだと考えています。これらの業種が広告を出すことで、教育業界への企業参入を促すことができます。
さらには、教師自身の心身の健康や豊かな暮らしにもつながります。教師を大切にすることで仕事の効率や質、ひいては教育の質向上につながり、将来の日本社会のアップデートにも寄与すると信じています
――発注ナビの利用者にはスタートアップ企業も少なくありません。開発会社の目線から、スタートアップ企業が発注する際のアドバイスはありますか。
秋氏:そうですね。みなさんテーマや、やりたいことはしっかりと決めていると思うのですが、システムの仕様については、最初からあまりガチガチに決めずに来てくださった方が、結果としてより良いものが出来上がると感じています。こちらからも経験に基づいた多様なご提案ができますので、アイデアを携えて、当社にご相談いただければと思います。
発注ナビの画面はシンプルで分かりやすく、戸惑うことはない。担当者のフォローアップの頻度も適切。
――あらためて発注ナビを利用した感想をお聞かせください。
佐々木氏:今回利用したもう一つのサービスは、サイトが少し複雑だったのと、なかなか会社を紹介してくれず、いざ紹介してくれた後は「どうですか?」と頻繁に電話が来て、落ち着いて選定ができずに閉口しました。
その点、発注ナビのサイトはUIがシンプルで使いやすいと感じました。画面の構成も分かりやすかったと思います。また開発会社を紹介してくれるタイミングも速く、担当者からのフォローも適度な頻度で好ましいと感じました。
――開発企業様から見て発注ナビの使用感はどうでしたか。
秋氏:ネットサービスは、あまり機能が多過ぎるとユーザーが戸惑ってしまい、利用の途中でくじけてしまうかもしれません。そういう意味で発注ナビの適度なシンプルさは良いですね。開発会社側のUIも新規案件を探しやすいと思います。あえて希望を言うなら、メールや電話でのフォローアップよりも、開発中も応答しやすいSlackやTeamsなどと連携できるようにして連絡をくれると、開発者にとってはありがたいですね。
――ありがとうございました。
今回学んだ、発注が上手くいくポイント
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やりたいことや目指すことを明確にしつつ、仕様や機能は最初から固めすぎず、柔軟性を残しておく
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仕様や機能を決める際に具体的なアドバイスを行うことで伴走してくれるパートナーを選定する
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信用できる発注先を慎重に選定し、打ち合わせの中で信頼関係を築く
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SlackやTeamsといった迅速かつ効率的なツールを活用し、プロジェクトの細部を随時確認、調整しやすい体制を整える
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