サイバー攻撃のニュースが頻繁にテレビや新聞で報じられていても、なかなか自分事に感じられないことも多いのではないだろうか。
今回お話を伺った一般社団法人日本壁装協会では、自社サービスの運用・管理を委託していたクラウド事業者がサイバー攻撃を受けた結果、同協会のサービスが復旧不能な状態で停止してしまった。
サービスを利用する会員である各社の不便を早急に解消するためにも、急いで新たなシステムを再構築する必要があり、発注ナビの利用に至った。その経緯と実際の発注について、発注元である日本壁装協会専務理事の平田航城氏と、発注先であるデマンドリンク株式会社課長の野口耕平氏にお話を伺った。
サービスサイトの開発・運用先がサイバー攻撃を受けて運用停止。サービス再稼働に向け新たな開発先を探すことに
――日本壁装協会様は、普段、どのような活動をされているのでしょうか。
一般社団法人 日本壁装協会 平田氏:当会は、壁紙のメーカー、販売会社、施工業者などを会員とし、150の企業・団体が参画する業界団体です。壁紙の普及や建基法に準拠した取り扱いなどを主な目的とし、メーカーの製品情報を登録してもらい、一般消費者や施工業者の方々に周知を行うほか、当協会が関連する省庁である国土交通省や経済産業省との窓口にもなっています。
その中でも当協会のWebサイトは重要な役割を占めており、製品の防火登録番号を調べる情報検索は、月間20,000件ほどのアクセスがあり、日常的に活用されています。
――今回、発注に至った経緯を教えてください。
平田氏:はい。その当協会のサイトを預けていたクラウドサービス事業者がサイバー攻撃を受け、運用していたパッケージソフトが暗号化されてしまい、当協会のサービスも利用できなくなってしまいました。
――それは影響が大きそうですね。
平田氏:一応サイトが停止しても、アナログ的な手法として各メーカーが出している紙の見本帳を調べれば対応はできます。しかし、施工業者は常に見本帳を持ち歩いているわけではありません。施工現場や出先で調べることができないので、効率は良くないでしょう。また、一般の消費者は見本帳を持っていませんので、メーカーのカタログを一つひとつ調べていくことになります。
サービス停止直後は、会員企業が協力してくださり、施工が滞るようなことはありませんでした。しかし、このままではやはり効率が良くないので、新たにサービスを構築し直すことにしました。それが今回の発注です。
最初に見つかった発注ナビに連絡してみたら、トントン拍子で話が進んだ
――発注先探しは、どのような形で進めていたのでしょうか。
平田氏:以前のサービスを構築する際にクラウドサービスは安心・安全だと思っていたのですが、今回はその考えが覆されてしまいました。会員の皆さんからの理解を得るためにも、今回は『より安心できるところに発注しなければならない』という想いがありました。
そこで誰もが知る会社なら安心だろうと、オービックさんや大塚商会さんのような大手も候補に挙がったのですが、そうした大手はどちらかというと自社パッケージを売りにしていて、当協会のサービスのような小規模かつニッチなサービスの開発にはあまり積極的ではないように感じられたため、早々に断念しました。そして、どこに発注すれば良いのかと悩みました。
――発注ナビをどのようにして知ったのでしょうか。
平田氏:実は以前、弁護士さんを探す際に、有名な弁護士さんとのマッチングサービスを利用したことがあり、その経験からシステムの発注先探しにも同種のサービスがあるのではないかと思って探してみたところ、発注ナビを見つけました。
急いでいたこともあり、最初に見つかった発注ナビに連絡してみたところ、レスポンスが速く、すぐに専任アドバイザーの方が連絡をくれて、こちらの要件を伝えると数日のうちに候補となる発注先を複数紹介してくれるなど、トントン拍子に話が進んでいきました。正直驚きました。
スマホ対応のサンプル画面をその場で示し、質問も持ち帰りではなく、その場で丁寧に答えてくれたデマンドリンクに発注を決めた
――今回は発注ナビから5社をご紹介差し上げました。どのように絞り込み、最終的にどこが決め手となってデマンドリンク様を選ばれたのでしょうか。
平田氏:まず、安全・安心の面は各社からお話を聞きたかったので、紹介された5社すべてと面談をさせていただきました。費用よりもスピード感を重視していたので、選定はそういう面を基準に絞り込んでいきました。
現場での利便性を考え、スマホ対応はマストな要件だったのですが、3カ月や半年という工期を見積もる開発会社さんもある中で、デマンドリンクさんはその場でざっくりとしたスマホのサンプル画面まで示してくれました。また、こちらからの質問も、持ち帰りではなくその場で答えてもらえるため、打ち合わせもテンポ良く進む感じがしました。
それから、デマンドリンクさんは当協会の下調べをしてくれていた点も他の4社とは違いました。その分、当社の業務について理解が早いかなと感じました。
さらに打ち合わせをして分かったことですが、デマンドリンクさんからは先々の提案をもらえるので安心感がありました。こちらが1を言うと、2どころから、さらにその先の3とか4まで提案をもらえる感じでしたね。
事前に顧客のビジネスなどを下調べし、想定される課題などを洗い出した上で打ち合わせに臨むのがスタイル。
――デマンドリンク様は、普段どのような案件を手掛けていらっしゃるのでしょうか。また、発注ナビのご利用に当たって、どのような案件にエントリーされているのでしょうか。
デマンドリンク株式会社 野口氏:当社はスマホアプリ、Webシステム、ホームページなど、幅広い分野の開発・制作に取り組んでいます。発注ナビではさまざまな新着案件の情報が入ってきますが、当社では提案内容をしっかり評価してくださるような案件、具体的な傾向として応募社数があまり多過ぎない案件にエントリーするようにしています。目安としては最大で5社程度といったところでしょうか。
――今回の案件にエントリーされた理由はどのようなものでしょうか。
野口氏:今回の案件は、安全性とスピードが重要なテーマでした。これはシステムインフラだけをどうにかすれば良いという話ではありません。システムソフトウェア、システムインフラ、ホームページ、さらには日常の運用なども含め、セキュリティ面も含めて一気通貫で考えていく必要があると考えました。
既存のパッケージを利用するのか、それともスクラッチでイチから開発するのか。でもそれだと時間がかかりそうだ……など、さまざまな面から検討しました。当社にはAmazon社のクラウドサービスであるAWSの知見が豊富にあるので、そうしたことも先回りしてご提案しました。
今回の案件は、当社ならスピード感を持って開発できる上、完成後も長くサポートが可能であるという点がエントリーを決めた理由です。
――今回、打ち合わせの前に日本壁装協会様を下調べしていたのが決め手の1つになりました。
野口氏:特別なことではありません。お客様との打ち合わせに際しては、必ずお客様の会社や事業について下調べをしています。また、発注ナビからもらった情報を基に調査とお客様の要望のイメージ化を行い、分かる範囲内で事前に想定される課題の洗い出しなどを行います。
今回はすでに日本壁装協会さんのホームページやサービスが閲覧できない状況でしたが、社内のエンジニアが検索エンジンのアーカイブに残っていた過去のホームページの情報を持ってきてくれました。こうした下調べは、当社としては当たり前のこととして常日頃行っております。
データの受け渡しがとてもスムーズで、想定よりも短い期間でシステム開発に成功
――開発は順調でしたでしょうか。
野口氏:当初は納期を1カ月とお伝えしていたのですが、結果として2週間ほどで納品することができました。日本壁装協会さんに製品情報のデータをExcelで準備していただいていたため、作業がとても捗りました。
平田氏:製品情報は、色や柄など1製品で数百のバリエーションがあるものから、2種類ぐらいしかバリエーションがないものまでさまざまで、トータルすると7万件近いアイテム数があります。それらをExcelに登録してお渡ししました。
野口氏:決められたフォーマットで、システムで読み取りができる状態に成型されていたので、データベース化する時間を大幅に節約できました。
――日本壁装協会様は、そうしたデータの受け渡しに慣れていらしたのでしょうか。
平田氏:実は、長らく使っていたシステムなので、ふたつ前の開発会社からひとつ前の開発会社へのデータの引継ぎもこちらで行いました。そのため、データの構造についても一通り把握はしていました。とにかく急いでいたので、デマンドリンクさんの素早い対応はとても助かりました。
発注ナビは対応がきめ細かく丁寧。発注先候補を紹介した後のフォローアップも、しっかりしてくれて安心感があった
――すでに検索サービスは稼働しているのですか。
平田氏:検索サービスの提供は再開していて、検索件数も以前のレベルに戻りつつあります。ホームページは前の会社に残っていたソースを基に動かしていますが、今後デマンドリンクさんに移管していく予定です。
また、将来は検索の方法もいろいろなやり方ができるよう手を入れていきたいと考えています。たとえば逆引きなどもその1つです。製品名や品番から製品の特性を知るだけでなく、特性から製品や品番を検索できるようにもしたいですね。
さらに、この業界にはラベル発行システムというものもあります。壁紙を貼った際に『この商品は不燃です』というラベルを貼るのですが、このラベルは組合が発行できるようになっています。このシステムのデータを調べれば、全国でどの製品がどれだけ貼られたのかを一元的に把握できます。
近年ではどの業界においても、事故や不祥事があると製造や流通において製品を追跡調査するトレーサビリティが求められます。万が一、いずれかの製品の品質に問題があった場合、それがどこでどれだけ使われているかを一元的に把握できるのは、当協会が持つラベル発行履歴だけでしょう。国土交通省からも検索できるようにしておくようにという要請があるため、そちらも進めていきたいと考えております。ですからデマンドリンクさんとは今後も長いお付き合いになるでしょう。
野口氏:今後ともよろしくお願いします。
――最後に、今回初めて発注ナビを利用されて、いかがでしたでしょうか。
平田氏:発注ナビはとても便利なサービスだったと感じています。申し込み後すぐに連絡をもらえましたし、専任アドバイザーの対応もきめ細かく丁寧で、初めての利用でも不安になる要素はありませんでした。
発注先の候補もあらかじめ絞り込んだ数だけ紹介してくれるので、一度にたくさんの開発会社から連絡が来て対応しきれなくなるということも一切ありません。各社の提案を落ち着いて吟味できるのは嬉しいですね。
発注ナビのアドバイザーの方はその後も連絡をくれて、「もし紹介した会社の数が足りなければ、追加でご紹介しますか?」と、フォローアップしてくれました。今回は最初に紹介された候補の中からデマンドリンクさんのような良い開発先に巡り会うことができましたが、こうした気配りやフォロー体制には安心感がありますね。最初に見つけたのが発注ナビで、本当に良かったと思います。
――ありがとうございました。
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