今回は、ASPの導入の際に考えるべき3つのポイントについて。
高度化・大規模化が進んでいる今日のASP
技術やトレンドの進化が早いので、最新の技術に対応できる業者選びを
トラブルシューティングの際の綿密なルール作りが重要
はじめに
最新の技術を取り入れているかどうか
「ASP」という言葉が一般的に普及してきてから、もう10年位上の歳月が過ぎています。その間にインターネットのインフラは高速・大容量・無線LANへの対応などめまぐるしい進化を遂げ、ひと昔前のASPと現代のASPとではまるで次元の異なるものになっています。
またASPの規模も、市販のパッケージソフトと大差ないようなごく小規模のものから、大企業の情報インフラを一元的にまかなえるERPシステムのようなものまで非常に多様化しています。ASPでは「高度なシステムほど良い」というわけではなく、「自社に必要な機能だけを切り分けて、必要最小限のサービスを安く使う」というセンスも必要です。また必要に応じて、徐々に機能を増やしていくことができるようなシステムの柔軟性・拡張性のキメの細かさも重要なポイントになります。
導入するASPの内容や規模によっては、必ずしも大手ベンダーの方が優れているとはいえません。小~中規模のシステム会社の方は小回りが効き、こちらのニーズをしっかりとくみ取ったサービスを提供してくれることもしばしばあります。ただし、特定の業務パッケージしか対応できない業者よりは、ERPシステムにも対応できる広範な技術力を有している業者の方が今後のASPの最新トレンドにも対応しやすく、将来のシステム拡張がよりスムーズなものになるという可能性は高いでしょう。
また、特にセキュリティ面では最新の「PKI(Public Key Infrastructure:公開鍵暗号基盤)」などに対するノウハウを持つ業者の方が安心でしょう。
ASPと既存システムのバージョンが一元管理できるか
ASPは、プロバイダー(サービス供給者)側のシステムをバージョンアップすることで速やかに最新のサービスが提供できるようになっています。しかし、必ずしもユーザー側はシステムのすべてをASPに依存しているとは限りません。ひとつの会社に従来からのサーバーインストール型のシステムとASP型のシステムが混在する場合、ASPのバージョンアップのタイミングと既存システムのバージョン管理は非常に重要な問題となり、一歩間違えると重大なシステムトラブルが発生する可能性があります。
ASPを導入するにあたり、自社の既存業務システムと連携を行うような場合などは、プロバイダーにこうした十分な管理ノウハウがあるかどうかも確認しておく必要があります。
トラブルの際に柔軟な対応をしてくれるか
システム導入を委託する業者選定の際、システム構築能力はもちろん、管理・運用ノウハウを重視するのは当然のことです。
しかし、ASPの場合は自社内にサーバーなどを設置しない関係上、システムが日々どのように管理・運用されているのかを目視することができません。またトラブルが発生した際、それがASP側に問題があるのか自社側に問題があるのかの見極めが難しい場合があります。
こういう際、「ASP自体には問題はない」という場合でも問題がどこにあり、どうすれば解決できるのか柔軟に対応してくれる業者を選定しておかないと、サービスの迅速な復旧が困難になります。
おわりに
ハードウェアに対する初期投資が必要ない、サービス開始までの準備期間が圧縮できるなど、ASPの導入にはさまざまなメリットがあります。しかし、それだけに何か問題が発生しても、自社ではどう対処することもできないというデメリットもあります。ASPの導入には、「どういう時にどういう対応を、何時間以内にしてくれるのか」といった詳細な契約を結んでおく必要があるでしょう。
<参考URL>
株式会社モアシス
http://www.moasis.jp/workflow/choose.aspx
All About システム開発でダメな外注先の見分け方
http://allabout.co.jp/gm/gc/313652/
SMMlab