コールセンターやコンタクトセンターなどで使われるツールとして「コールセンターシステム」があります。電話対応を円滑に進めるために、顧客情報や履歴を表示できるのが特徴です。コールセンターツールにも種類があり、効率化を目指すためには業務内容に適したものを選ぶ必要があります。また、導入時のメリットやデメリット、選び方なども把握しておくと安心です。今回は、コールセンターシステムについて詳しく解説します。
目次
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コールセンターシステムとは顧客対応品質ツール
コールセンターシステムとは、コールセンターやコンタクトセンターに代表される電話対応業務において、通話記録や顧客データ、履歴の確認を行うシステム全体を指します。つまり、コールセンターシステムとは、業務内容に合わせて様々な機能を組み合わせて成り立っているのです。主にコールセンターシステムで使われる機能として、以下の7パターンがあります。まずは、それぞれの機能や対応範囲を詳しく見ていきましょう。
●CTI
コールセンターシステムの主たる機能の1つが「CTI」です。CTIは、電話とパソコンとを繋ぐ役目を担っており、適切なオペレーターに電話を割り振る機能や通話記録機能などがあります。また、電話番号から顧客情報をリサーチし画面上に表示する機能もあるため、オペレーターは情報を見ながら顧客対応ができ無駄なやり取りを省くことが可能です。
●CRM
「CRM」は顧客関係管理システムとも呼ばれ、オペレーターが対応した顧客とのやり取りを記録することが可能です。過去の履歴を一元管理できるため、部署間での情報共有をする際にも役立ちます。また、後日同じ顧客から問い合わせが入った場合に、別のオペレーターが対応することになっても、CRMがあれば情報を確認できます。
●FAQシステム
コールセンターでは、複数の顧客から同じような問い合わせが入ることが度々あります。こうしたシーンで速やかに対応するためのツールが「FAQシステム」です。FAQシステムは、頻度の高い質問をまとめて分析することができます。そのうえで適切な回答を導き出すため、少人数のオペレーターでも顧客満足度に繋がる円滑な対応が可能です。
●PBX
外線と内線を繋ぐ役割を果たすのが「PBX」です。一般的な企業では、外部からの電話は代表番号に繋がります。その後、PBXによって集約され適切な部署のオペレーターが対応します。PBXには内線同士を繋ぐ機能もあり、特に規模が大きい企業では、拠点同士でやり取りをするのに使われています。
●ACD
「ACD」は着信呼自動分配装置を指し、優先度の高い着信からオペレーターに振り分ける機能があります。優先度は事前に設定することが可能で、自動的に管理されます。ACDは、多方面から入電のあるコールセンター業務をスムーズに回すうえで、大変活躍するシステムです。例えば、コールセンターに問い合わせをした際に流れる待ち時間のアナウンスも、ACDによって制御されています。そのほか、オペレーターのスキルに合わせて、入電を振り分けるスキルベースルーティングも機能の1つです。
●IVR
「IVR」は音声自動応答機能のことを指し、オペレーターの代わりにあらかじめ用意したガイダンスを流すことができます。顧客がガイダンスに沿って操作するだけで、速やかに問題を解決できる点が特徴です。慢性的な人手不足に悩むコールセンター業界において、なくてはならない機能といえるでしょう。
●RPA
「RPA」とはソフトウェアロボットとも呼ばれ、定型的な作業を自動化するシステムです。コールセンターでは顧客の電話対応だけでなく、その後の入力業務や対応中の検索など様々な作業が伴います。RPAを使うことで、顧客情報の検索や顧客とのやり取りを記録する作業の自動化が可能です。また、定期的なレポート制作もRPAによって簡単にできるため、格段に作業効率が上がります。
コールセンターシステムの2つの種類
コールセンターの業務は顧客からの電話を受け取る「インバウンド型」と、顧客に対して荷電する「アウトバウンド型」に分けられます。コールセンターシステムもそれぞれの業務内容に合わせた種類があり、適したタイプを選ぶことが大切です。続いては、コールセンターシステムの「インバウンド型」「アウトバウンド型」について詳しく解説します。
●インバウンド型
インバウンド型は、主に顧客から入った電話を受ける業務をするコールセンターで活躍します。インバウンド型のコールセンターシステムには、着信を優先度に合わせて管理するACDや、ガイダンスでの対応が可能なIVRが搭載されているのが特徴です。コールセンターに問い合わせをする顧客は問題がはっきりしているケースが多く、対応にもさほど時間がかかりません。場合によっては自動ガイダンスのみで解決することもあり、コールセンターの多くはインバウンド型を利用する傾向が高いです。
●アウトバウンド型
インバウンド型とは反対に、アウトバウンド型は顧客に対して電話をかける際に重宝します。そのため、自動的に電話をかけられるオートコール機能や、ワンクリックで発信できる番号入力省略機能が設けられているのが特徴です。例えば、アンケート調査をする際や料金未払いの顧客に対する督促では、あらかじめ設定した顧客リストを使って電話をかけられるオートコール機能が役立ちます。
コールセンターシステムの2つの導入方法
コールセンターシステムの導入方法は「オンプレミス型」と「クラウド型」の2パターンに分けられます。初期費用やランニングコスト、セキュリティ面などを踏まえながら、どちらの導入方法が適しているかを判断することが大切です。続いては、「オンプレミス型」「クラウド型」それぞれの導入方法について詳しく解説します。
●オンプレミス型
自社内にサーバーを設けてコールセンターシステムを導入する方法を「オンプレミス型」といいます。「パッケージ型」と呼ばれることもあり、社内で管理するため外部に情報が漏れるリスクを避けられるのがメリットです。一方、導入時には専門的な知識が必要となり、高額な初期費用もかかるため手軽に導入できる方法ではありません。なお、ランニングコスト面で見ると、次に紹介するクラウド型よりも割安になる傾向があります。そのため、セキュリティ面とランニングコストを重視するのであれば、おすすめの導入方法といえるでしょう。
●クラウド型
システムを提供する会社が持つインターネット上のサーバーにアクセスして、サービスを利用する方法が「クラウド型」です。サービスによって初期費用が無料なことあるため、気軽に導入できる点がメリットといえるでしょう。また、インターネット環境やパソコンがあればすぐにでも利用できるため、急ぎでコールセンターシステムを必要としている企業にも向いています。一方、オンプレミス型のように自社に合わせた仕様にすることは難しく、セキュリティ面のリスクも多少ある点がデメリットです。
コールセンターシステムの費用について詳しく知りたい方は、以下のページで紹介しています。
▷コールセンターシステムの費用相場とは?クラウド型とオンプレ型の違いを解説!
コールセンターシステムを新たに構築したい方で、パートナーや開発会社を探している場合は、以下のページをご参照ください。
「コールセンターの外注探しご相談はこちら」
コールセンターシステム導入のメリット
コールセンターシステムの機能を細かく見ていくと、様々なシーンで役立つことがわかります。システムを導入しない場合と比べると、作業がより円滑に進むでしょう。どのようなメリットがあるか把握しておくと、いざ導入した際に効率的に使えます。続いては、コールセンターシステムのメリットのうち、主な6つを詳しく解説します。
●サービス品質の向上
コールセンターでは、いかに顧客とのやり取りを円滑に行えるかが大切です。コールセンターシステムを導入すると、顧客の情報が瞬時に表示されるため、その都度検索する必要がありません。また、頻度の高い問題に関しては自動的に答えられるようになるほか、問い合わせ内容の共有もスムーズになるため、担当者が変わった場合でも品質を落とすことなく顧客対応が可能です。
●問い合わせ数の削減
FAQシステムをうまく活用すると、電話で問い合わせをする前にWeb上で問題を解決できるようになります。さらに、頻度の高い質問の分析が可能なため、FAQの内容も顧客に合わせて充実されられる点も魅力です。顧客自身で問題解決ができるため、従来のようにすべての問題に電話応対する必要がなく、問い合わせ数の削減が図れます。
●オペレーターの負担軽減
コールセンターの業務は、電話応対だけでなくリサーチや記録など多岐にわたります。コールセンターシステムがない状態では、あらゆる業務をオペレーターが担うことになり大きな負担がかかるでしょう。システム導入によって顧客情報の記録や検索が自動化され、適切なオペレーターに速やかに繋ぐことが可能になるなど業務効率化に大きく貢献します。
●オペレーターの定着化
オペレーターの業務は、マニュアルだけでなく最新情報など把握しておくべき内容が様々です。コールセンターシステムを使えば、問い合わせ内容に沿った模範回答例を確認できるほか、チャットで同僚や上司に相談できるシステムも組み込めるため、オペレーター業務に就いたばかりのスタッフでも対応しやすい環境が作れるでしょう。システムによって電話対応のハードルが下がり、オペレーターの定着化にも繋がります。
●通信費と人件費のコスト削減
コールセンターシステムの音声自動応答システムを活用すると、少ないスタッフでも対応できるようになります。また、電話の振り分けや事務的な記録作業などの自動化も可能なため、全体的な人件費削減に繋がるでしょう。さらに、頻度の高い質問はガイダンスによって対応できるほか、最適なオペレーターに繋ぐ仕組みもあるため、無駄な通信費を抑えることもできます。
●クレーム発生率の低下
ACDを活用して優先度の高い着信からオペレーターに振り分けることで、クレームを最小限に抑えられる点も大きなメリットです。また、管理者や上司が同時に通話を聞く機能もあるため、対応が困難な問い合わせの際に適切なアドバイスを受けられます。経験値が足りないスタッフでも、安心して対応できるでしょう。
コールセンターシステム導入のデメリット
メリットの多いコールセンターシステムですが、一方でデメリットがあることも念頭に置いておく必要があります。続いては、コールセンターシステム導入における2つのデメリットを詳しく解説します。
●システムに慣れる必要がある
これまで、システムに頼らず業務をしてきたスタッフにとって、初めてコールセンターシステムを使うのは戸惑いもあるでしょう。特に、機械が苦手なスタッフはシステムに慣れるまでに時間がかかります。システムを導入する際は、すべてのスタッフがスムーズに使えるように、サポート体制を整えることが大切です。また、万が一のためにマニュアルを用意しておくと、作業中に問題起きても対応しやすくなります。
●コストがかかる
コールセンターシステムは、無料で使えるサービスではありません。初期費用のかからないクラウド型も、ランニングコストが必要です。また、セキュリティ面や柔軟性を重視してオンプレミス型を選べば、導入時に高額な費用がかかります。別の業務に使っているシステムと連携させる場合は、さらに費用がかかる可能性があるため、事前にしっかりと見積もりを取ることが大切です。
おすすめクラウドコールセンターシステム5選
近年、クラウド型のコールセンターシステムが充実しており、各社からリリースされています。数あるサービスの中から、自社の業務内容に見合ったものを選ぶためには、それぞれの特徴を押さえておくことが大切です。続いては、クラウドコールセンターシステムの中から、おすすめしたい5つのサービスを紹介します。
●楽テル
「楽テル」は、株式会社ラクスが提供するクラウド型のコールセンターシステムです。クラウド型で不安があるセキュリティ面も、ファイアウォールが二重化されていたりアクセス制限ができたりと厳重に守られています。また、入力漏れを知らせる機能や用途に合わせて画面をカスタマイズできるなど、オペレーターに優しい機能が満載です。
●CT-e1/SaaS
都築電気株式会社が提供する「CT-e1/SaaS」は、クラウド型でありながら柔軟にカスタマイズできる点が魅力のコールセンターシステムです。業務内容によって細かく設定できるため、使いやすいシステムに整えることができるでしょう。また、CRMとの連携に費用がかからないため、比較的リーズナブルに導入できます。
●BIZTELコールセンター
株式会社リンクとブライシス株式会社が共同事業として運営するクラウド型コールセンターシステムが「BIZTELコールセンター」です。導入実績が2,000件を超えており、信頼できるサービスといえるでしょう。最短5日で利用できるだけでなく、現在使っている電話番号をそのまま使えるため、顧客に新しい番号をお知らせする必要がありません。
●UNIVOICE BCCS
アウトバウンド向けの機能がほしい企業におすすめしたいクラウド型コールセンターシステムが、トラムシステム株式会社の「UNIVOICE BCCS」です。コールセーターに必要なあらゆる機能を網羅しており、自社で設定ができます。クラウド型だけではなくオンプレミス型も選択できるため、重視するポイントや業務内容によって柔軟に導入が可能です。
●MiiTel
IP電話を活用したコールセンターシステムが、株式会社RevCommの「MiiTel」です。パソコンとヘッドセット、ネット環境があればすぐにでもコールセンターを立ち上げられます。また、すべての会話を自動的に録音し文字起こしもしてくれるため、確実な引き継ぎが可能です。そのほか、AIによって通話内容をスコアリングしフィードバックしてくれるため、よりクオリティの高い電話対応を目指すことができるでしょう。
コールセンターシステムの選び方
多くのサービスの中から、より適したコールセンターシステムを見極めるためには、比較するポイントを押さえることが大切です。続いては、コールセンターを選ぶ際のポイントとして4点を詳しく解説します。
●タイプ・導入方法が自社に合っているか
コールセンターシステムを選ぶ前にどのような目的でシステムを導入するのか、予算はどの程度かを明確にしておく必要があります。コールセンターと一括りにしても、業務内容は様々にあるため、すべてのシステムが自社の目的に対応するとは限りません。自社の目的や予算、コールセンターシステムのタイプ・導入方法を照らし合わせたうえで、サービスを選ぶように心がけましょう。
●必要な機能があるか
コールセンターシステムに導入される機能は多岐にわたります。すべての機能が備わっているタイプもあれば、特化した機能が搭載されているケースもあるでしょう。業務内容によって必要な機能は異なるため、どの機能を求めているかを明確にしてから選ぶことが大切です。例えば、同じような質問を多くされる企業であれば、FAQが役立ちます。そのほか、オペレーターごとに担当する顧客が変わる場合は、振り分けができるCTIが必要です。
●外部システムと連携できるか
コールセンターシステムは、顧客管理をするCRMと連携させることでより効率良く使えます。すでにCRMシステムを利用している場合、これから導入するコールセンターシステムとの互換性があるかどうかを確認することが大切です。連携できなければ別途情報を登録する必要があり、二度手間になります。そのほか、予約受付システムとの連携が図れれば、より正確な予約管理ができるようになるでしょう。
●セキュリティ対策をしているか
コールセンターでは個人情報を扱うケースが多く、セキュリティの高いシステムを選ばなければなりません。特に、クラウド型のコールセンターシステムは、オンプレミス型と比べてセキュリティが脆弱になりがちです。そのため、トラブル発生時のサポート体制が整っているサービスを選ぶようにしましょう。
コールセンターでは個人情報を扱うケースが多く、セキュリティの高いシステムを選ばなければなりません。特に、クラウド型のコールセンターシステムは、オンプレミス型と比べてセキュリティが脆弱になりがちです。そのため、トラブル発生時のサポート体制が整っているサービスを選ぶようにしましょう。
コールセンターシステムの課題
導入によるメリットも多く便利なコールセンターシステムですが、いくつかの課題も抱えています。続いては、コールセンターシステムの課題を3つ解説します。
●業務が複雑になっている
従来は電話対応で済んでいたコールセンターですが、ECサイトやSNSを通してチャットやメールでの問い合わせも増えています。電話だけでなくメールでの対応も発生したことで、別の担当者に引き継ぐ際に手間がかかり、間違いが起こるという課題が残っています。
●システムの整備が遅れる
近年、ますます進むIT化にコールセンターシステムの整備が追いつかないという現状も課題の1つです。電話以外の窓口が増えるたびに、コールセンターシステムも順次対応していかなければなりません。システムの整備が遅れれば顧客満足度にも影響するため、早急に対処すべき課題といえるでしょう。
●人材供給が追いつかない
コールセンターシステムの導入により、一通りの対応はオペレーター経験の少ない方でもできるようになりました。しかし、より質の高い対応をするためには、一定のスキルが求められます。オペレーターの顧客対応力は企業の信頼にも大きくかかわるため、経験値のある有能な人材供給が追いつかない点も、コールセンターシステムの課題です。
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