電話対応業務を円滑に進めるために必要なコールセンターシステムですが、費用のイメージがつかず導入に踏み切れない企業も多いでしょう。コールセンターシステムは、導入形態によって費用相場が大きく変わります。今回は「クラウド型」「オンプレミス型」それぞれの導入形態における費用相場を詳しく解説していきます。
目次
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コールセンターシステムの導入形態
コールセンターシステムには、システムを提供する企業のサーバーを利用する「クラウド型」と、自社内にサーバーを設置する「オンプレミス型」の2つの導入形態があります。それぞれに特徴や費用相場が異なるため、自社の業務内容に合わせて選ぶことが大切です。まずは、導入形態別に費用相場やメリット・デメリットを解説します。
●クラウド型
クラウド型のコールセンターシステムは自社でサーバーを設置する必要がなく、ネットワーク経由でシステムを提供する企業のサーバーにアクセスする仕組みです。そのため、パソコンとネット環境があれば、すぐにでも利用できるため規模の小さい企業でも気軽に導入できます。
費用相場を見ても、クラウド型の場合は自社内におけるサーバーや周辺機器の設置・設定が必要ないため、大規模な初期投資はほとんどかかりません。しかし、システム利用料や保守運用費は、プランによっては割高になります。一般的に、システム利用料はブース数によって変わりますが、おおよそ月額35,000円程度 が相場です。リーズナブルなタイプになると、1ブースあたり5,000円程度で利用できるケースもあります。
このように、クラウド型は初期費用がかからない点が大きなメリットです。場所や時間を選ばずに利用できるため、リモートワークでも活用しやすいでしょう。デメリット としては、既存のサービスを使うため、カスタマイズの柔軟性が低い点が挙げられます。セキュリティ面が弱いサービスもあるため、しっかりと対策をする必要があるでしょう。
●オンプレミス型
オンプレミス型のコールセンターシステムでは、自社内にサーバーを設置し業務内容に合わせたシステムを組みます。そのため、システムを導入する段階で、サーバーの購入やシステム開発にかかる費用が必要です。システムの規模によって初期費用は異なりますが、30万円以上 かかるケースも少なくありません。中には、数千万円規模のシステムを構築する企業もあります。また、クラウド型とは異なりシステム利用料はかかりませんが、メンテナンスやセキュリティ対策にかかる運用費は必要です。一般的に、運用費の相場はシステム構築料の15%です。
オンプレミス型の大きなメリットは、自由にカスタマイズできる点です。例えば、既に導入しているシステムと連携させる場合に活用しやすいでしょう。また、自社内で完結するためセキュリティ面にも長けています。個人情報を多く取り扱うコールセンターでも安心して利用できるでしょう。デメリットとしては、多額な初期投資がかかる点が挙げられます。開発にも時間がかかるため、すぐに利用したい場合には向いていません。
クラウド型・オンプレ型の費用はどう違う?
費用相場が分かっても、実際に導入した場合のイメージが湧きづらいものです。前章で紹介した費用相場を踏まえて、実際にコールセンターシステムを導入する場合を想定したケースを見ていきましょう。小規模な事業と大規模なコールセンターを立ち上げる場合の2パターンで、「クラウド型」「オンプレミス型」それぞれの費用を比較します。なお、あくまでも目安値のため、実際に利用する場合は必ず見積もりをとるようにしてください。
●最低限の機能の場合
小規模な事業であれば、ブース数も10席程度あれば十分でしょう。また、業務内容によっては機能も最低限で事足ります。下記の事業規模を想定して、導入や稼働にかかる費用を比較します。
■事業規模
ブース数:10席
機能:新規番号発行・5回線同時通話・導入サポート
■導入や稼働にかかる費用
項目\導入形態 | クラウド型 | オンプレミス型 |
---|---|---|
初期費用 | 28万円〜 | 100万円〜 |
月額費用 | 9万円(利用料) | 2〜3万円(メンテナンス費用) |
その他 | ー | オプション費用がかかる可能性がある |
●大規模なコールセンターの場合
大規模なコールセンターになると、ブース数は100席以上必要となります。同時通話の回線数も多く、顧客を管理するCRM機能との連携も大切です。続いては、以下の事業規模を想定した費用を比較します。
■事業規模
ブース数:100席
機能:新規番号発行・CRM連携・100回線同時通話・導入サポート
■導入や稼働にかかる費用
項目\導入形態 | クラウド型 | オンプレミス型 |
---|---|---|
初期費用 | 233万円〜 | 800〜1,000万円 |
月額費用 | 90万円(利用料) | 22〜30万円(メンテナンス費用) |
その他 | ー | オプション費用がかかる可能性がある |
クラウド型のコールセンターシステムを導入するメリット
費用相場を比べると、小規模な事業を行う場合はクラウド型が利用しやすいことが分かります。クラウド型のコールセンターシステムは、初期費用がかからないだけではなく、様々なメリットがあるため導入を検討する際は押さえておくことが大切です。クラウド型におけるメリットを3つ紹介します。
●柔軟に利用できる
クラウド型はシステムを提供する企業のサーバーを使うため、契約後すぐに利用可能です。最低契約期間は一般的に1ヶ月程度のため、短期のイベントや問い合わせ窓口を用意する際にも利用しやすいでしょう。一方、オンプレミス型だと契約期間も年単位に設定されているケースが多く、クラウド型のような柔軟性はありません。
●メンテナンスが不要である
クラウド型では、ハードウェアにトラブルが発生した場合の対応やメンテナンスは、サービスを提供している企業が請け負うのが一般的です。そのため、自社におけるメンテナンスは必要ありません。また、仕様を変える場合も、管理画面から対応できるため便利です。
オンプレミス型の場合、自社でメンテナンス作業をしなければならずその都度費用がかかります。状況によっては長期間を要する場合もあり、保守管理にかかる時間を比較しても、クラウド型が短期間で済むでしょう。
●納期が短い
クラウド型は自社に設備を導入する必要がないため、導入時に必要な作業は初期設計と設定程度です。そのため、契約から2週間程度で利用可能となるのが一般的です。利用にあたってのトレーニング期間を設けたとしても、1ヶ月程度あれば十分運用できます。
一方、オンプレミス型は機器選定や搬入、実装に加えて自社に合わせたカスタマイズをする期間も必要です。初期設計やユーザートレーニングを合わせると、最低でも2ヶ月程度の期間がかかるでしょう。
コールセンターシステムの費用対効果とは
予算や業務内容を踏まえてコールセンターシステムを導入したとしても、しっかりと成果が上がらなければ意味がありません。導入を検討する際は、目的と費用対効果を照らし合わせたうえで、システムを選ぶことが大切です。続いては、コールセンターシステムの費用対効果について、3つのパターンで解説します。
●テレワークの実現
クラウド型のコールセンターシステムを利用すると、場所や時間を問わずサービスが使えるためテレワークが実現します。テレワークに対応したシステムの導入によって、オフィス自体が不要になる可能性も高いでしょう。そうなればオフィス賃料や光熱費、交通費を抑えることが可能です。また、テレワークの実現で離職率が下がれば、教育コストや採用コストの削減も狙えるでしょう。こうした全体のコストダウンに関して、コールセンターシステム導入前と後を比較すると、システム導入における判断材料になります。
●業務の効率化の改善
コールセンターシステムの導入目的が、業務の効率化である場合を見ていきましょう。システム導入によって作業効率が上がれば、業務時間が減り結果的に人件費削減に繋がります。従来、オペレーターを増やして業務をこなしていた企業であれば、コールセンターシステムの導入により人件費が削減できるばかりか、採用コストや教育コストも抑えられます。人件費に関するコストダウンについて、費用対効果を比較することもシステム導入におけるポイントです。
●応対品質の向上
コールセンターシステムの中には、応対品質をアップさせる機能もあります。システムによって応対品質が上がれば、従来は指導に費やしていた時間を減らすことが可能です。マネージャーとオペレーター両方の人件費を一度に削減できるため、大いに費用対効果があるといえます。また、月次・週次レポートや、通話記録などを確認することで、今までは気がつかなかったミスや課題を改善することができ、より効率的に質の高いサービスが提供できるようになります。人件費削減はもちろん品質向上も踏まえたうえで、費用対効果を検討することが大切です。
コールセンターシステムの機能別費用相場
コールセンターシステムは一度に大きなシステムを導入するケースだけでなく、機能ごとに導入することも可能です。自社の業務と照らし合わせながら、本当に必要な機能だけに絞れば、導入時のコストを抑えられるうえに費用対効果も上がります。続いては、コールセンターシステムの主な機能について用途や役割、価格相場を解説します。
●CTI
コンピューターと電話を統合するシステムを「CTI」と呼びます。例えば適切なオペレーターに電話を繋いだり、通話を記録したりする機能です。そのほか、顧客情報やこれまでの履歴をパソコン上から検索して、画面に表示させる機能もあります。
このように、CTIは複数の機能の総称であり、どの機能を選ぶかによって費用は変わります。一般的には、ベースとなる機能だけで1ブースあたり月額数万円程度が目安です。サービスによってはCTIの機能がまとめられていることもあるため、よりリーズナブルに利用できるでしょう。
●CRM
「CRM」は顧客管理システムとも呼ばれ、顧客情報やこれまでにオペレーターとやり取りした記録を管理することが可能です。過去の履歴を一元管理できるため、部署間で情報を共有する場合にも重宝します。コールセンターシステムのうち、クラウド型であればクラウド上にデータを保管するため、自社でサーバーを用意する必要がありません。そのため、初期費用はほとんどかからず無料で使えるケースが多いです。
月額利用料については導入規模によって異なり、規模が小さい事業であれば月額数千円程度です。ブース数が数十〜数百席に上る大規模な事業の場合、1席あたり月額1〜2万円程度が相場となっています。
●FAQシステム
「よくある質問」をまとめて、回答を管理するシステムを「FAQシステム」といいます。複数の顧客から同じような質問をされた際に、FAQシステムがあると効率良く回答できるため非常に便利です。新人のオペレーターでも、FAQシステムによってまとめられた回答を参考にすることで、問題なく答えられるため教育にかける費用も抑えられます。
さらに、社内用であればExcelやスプレッドシートを使ったり、簡易的にWebサイトを作ったりすることも可能なため、費用はほとんど必要ありません。外注するとしても、月額数千円程度で依頼できるでしょう。
●PBX
電話交換機の機能を持つのが「PBX」です。多くの企業は代表番号を設けており、外線はその番号に繋がります。その後、要件のある部署に振り分ける際に使われるのがPBXです。担当者が不在の場合の転送機能や、すべての電話機で保留を共有できるパーク保留機能なども利用できます。
PBXにかかる費用は内線の数によって異なりますが、クラウド型のPBXの場合は5万程度で利用できるケースが一般的です。月額利用料も1回線2,500円程度で、サービスによっては1,000円に抑えられることもあります。しかし、通話料もかかるため要注意です。初期費用や月額利用料が安い場合、通話料が高めに設定されている可能性があるため、事前に確認してから契約しましょう。
●ACD
「ACD」は着信呼自動分配装置を指し、設定されたルールに従い着信をオペレーターに分配する機能です。稼働率が低いところに繋ぐことで全体の稼働率を均したり、適切なオペレーターに繋いだりする役割があります。また、以前問い合わせのあった顧客を同じオペレーターに繋ぐことも可能です。
ACDの初期費用はサービスによって様々ですが、1〜10万円が相場となっています。月額利用料はオペレーターの人数や搭載する機能によって異なり、1オペレーターにつき月額3,000円〜1万円と開きがあるため、必要な機能を見定めることが大切です。
●IVR
自動応答機能である「IVR」は、オペレーターに変わってガイダンスを流すことができます。営業時間外にも利用できるため、人件費削減にも大変役立つでしょう。頻繁に起こる問題の場合、ガイダンスの案内によって速やかに解決できます。また、Webやメールを使った問い合わせ方法に誘導する際にも活用できる機能です。
IVRの費用は、初期費用に該当するサーバーライセンスが25万円程度となっています。チャネルごとにライセンス費用がかかり、1台につき25,000円程度が相場です。
●RPA
「RPA」とは、頻繁に起こる作業や単調な業務を自動化する機能のことを指します。例えばオペレーターによる情報の検索や問い合わせ内容の記録を自動的に行うことが可能です。月次・週次レポートに関してもRPAで作成できるため、作業の効率化が図れます。
RPAの開発は、業務内容に合わせて開発するケースが一般的です。開発費用は、初期費用として「ライセンス費用」と「開発費用」があります。ライセンス費用とはRPAツールを購入するための費用で、数十〜数百万程度が相場です。開発費用は、業務や関連システムの連携を踏まえたうえで必要になり、数百〜数千万円と開きがあります。
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