クリニックのIT化を進めるには?導入方法や事例、IT補助金の活用方法を紹介

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クリニックのIT化を進めるには?のイメージ図

急速な少子高齢化が進む日本において、医療業界では深刻な人手不足が大きな課題となっています。それに加え、働き方改革による医師やスタッフの業務量の減少なども問題に拍車をかけている状況です。これら課題を解決するために業務を効率化しようと、クリニックのIT化を進める動きが活発になってきました。クリニックをIT化すれば、本当に人手不足の解消や業務効率化につながるのでしょうか。

本記事では、クリニックIT化の重要性やメリット・デメリット、実際にIT化を進めて課題解決につながった医療現場の事例をご紹介します。クリニックのIT化に伴う補助金の活用方法や申請の手順についても詳しく解説しています。

 

目次

 

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クリニックのIT化を進めるべき理由とは?

クリニックのIT化を進めると、現在の医療現場の課題が解決し、業務を効率化できるようになります。課題として多く上げられるのが、患者の待ち時間の長さや診療効率の低さです。

従来のクリニックでは、ほとんどの事務作業が人の手によるものでした。そのため、人手が足りていないと事務作業の遅れから診療全体に影響を与えていたのです。1件あたりの診療に時間と手間を要するため、患者の待ち時間増大にもつながっていました。

電子カルテや会計などにITを導入すれば、カルテを入力する手間や時間を省けますし、受付から会計までの手続きがスムーズになります。予約システムと組み合わせれば、患者の待ち時間の軽減にもつながるでしょう。

さらに、オンライン診療を導入すれば、患者はクリニックに足を運ばずとも診療を行えるようになります。このように、クリニックのIT化を進めれば、業務効率と患者の満足度の両方を向上できる可能性があります。

 

クリニックのIT化によるメリットとデメリット

以下では、クリニックでITを導入するメリットとデメリットについてまとめました。「IT化の必要性については理解しているけれど、まだ踏み出せていない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

●IT化のメリット

クリニックをIT化するメリットは、大きく分けて以下の3点です。IT化による業務効率化は、人手不足の解消や患者の満足度アップのみならず、コスト削減や感染症の予防、患者の理解度向上にもつながります。

  • 効率化によるコスト削減

  • 非接触診療による感染予防

  • 患者の診療内容理解の向上

 

効率化によるコスト削減

電子カルテやオンライン予約システムなど、現場の業務をITに置き換えれば、クリニックの業務にかかわる医療従事者の作業工数を減らすことができます。デジタル技術による業務の自動化によって、人的ミスを減らすことも可能です。

事務作業をある程度自動化できれば、これまで事務作業だけに配置していた人員を、より重要な業務に充てられるようになります。これまでかかっていた人件費や残業代の削減にもつながるでしょう。効率化によるコスト削減が、クリニックの経営状況を明るくする可能性があります。

 

非接触診療による感染予防

オンライン診療を導入すればオンライン上で診断や治療ができるので、患者が外出する必要がなく感染リスクがありません。患者は自宅にいながら薬を受け取ることができ、外出による感染リスクを避けられます。また、郵送などの手段を利用すれば、院内感染や移動中の交通機関での感染リスクも防げます。

自動受付機を導入すれば、不特定多数の患者同士の接触を防止できるでしょう。院内での待ち時間を減らすためのオンライン予約システムの導入も、感染リスクの軽減に役立つツールの一つです。

COVID-19の流行をきっかけにIT化をはじめたクリニックも多く、非接触診療を取り入れている医療機関が増えてきています。

 

患者の診療内容理解の向上

クリニックのIT化は、患者に診療内容を理解してもらうためにも役立ちます。ITツールで図やデータなどを用いれば、視覚的に理解しやすくなり、口頭で説明するよりも診療内容を理解してもらいやすくなります。

 

●IT化のデメリット

クリニックのIT化には多くの利点がありますが、デメリットがないともいえません。特に注意しておかなくてはならないのが、以下のような問題点です。

  • 導入コストの負担

  • 技術的な問題やスタッフの対応

  • システムの維持・更新の必要性

 

導入コストの負担

ITツールやシステムを導入するには、当然コストがかかります。初期投資だけでなく、運用保守やカスタマイズにかかる費用も考慮したうえで導入を検討しなくてはなりません。

例えば、電子カルテを導入する場合、システムのタイプによって相場は異なりますが、レセコン一体型の場合だと300万円前後が相場です。運用保守、カスタマイズまで含めると、450万円前後かかる場合もあります。

クラウド型やオンプレミス型だと費用は変わりますが、ある程度のコストがかかることを踏まえておきましょう。

 

技術的な問題やスタッフの対応

スタッフのITリテラシーの向上も必要です。これまで、仕事でITを活用する機会が少なかったために、ITに関する知識があまりないという医療現場は多くあります。

ある程度ITに関する見識がないと、せっかく高いシステムを導入しても上手く活用できない、新しい機能が現場に浸透せず、結局効率の悪いやり方で進めてしまう、といった事態も招いてしまいます。

現場の誰もがITツールを十分に使いこなせるよう、スタッフに対する教育やサポートも必要です。

 

システムの維持・更新の必要性

どの業界にもいえることですが、IT化で問題となるのはシステムトラブルのリスクです。災害や不正アクセスなどによってシステムに障害が起きると、電子カルテや予約システムが使えなくなる可能性があります。状況によっては、通常診療が行えない事態にもなりかねません。

医療機関にとって、このような危機的状況におかれた場合にも対応できるか、迅速な復旧ができるかは重要です。定期的なアップデートやセキュリティ対策、BCP対策なども実施しておくようにしましょう。

このようなシステムの維持・更新や保守管理、危機管理には、当然コストとリソースがかかります。IT化を進めるのであれば、これらコストやリソースも踏まえたうえで検討するようにしてください。

 

事例から学ぶクリニックのIT化と進め方

IT化にあたり、どんなツールをクリニックに導入すればどのような効果があるかを把握しておくことも大切です。ここからは、実際にIT化を進めたクリニックの導入事例についてご紹介します。

 

●電子カルテの導入事例

実際に、電子カルテの導入で患者情報の一元化や共有に成功した事例や診療効率が向上した事例をご紹介します。

 

検査システムとの連携で診療効率アップ

日本全国の病院で運用されている、病院管理ウィンドウズソフトウェアです。リリース後すぐに10件以上の病院で採用された実績を持っています。電子カルテにX線やCT、MRIなどほかの検査システムとスムーズに接続できるシステムが搭載されていて、診療効率を向上させている事例です。

参考:株式会社SOTATEK JAPAN「病院管理ウィンドウズソフトウェア」

 

導入支援で現場のITリテラシーを強化

電子カルテをはじめとするITソリューションの導入支援によって、導入スタートから効率化を図っている事例です。この企業では、実際に導入先の医療機関へ出向き、導入支援やレベルアップ作業に直接参画して、ITツールの理解や現場への浸透をサポート。導入にかかる時間やリソースを低減させて、業務効率化を後押ししています。

参考:株式会社データープロセスサービス「業務システム開発」

 

健診予約システムで電話対応業務を軽減

電子カルテに健診予約システムを組み込んだ事例です。これまで電話のみで予約を受け付けていた健診の申し込みをWebから申し込めるように開発されました。受診できる年齢の確認やオプションの組み合わせといった複雑な受付業務を自動化することで、スタッフの業務負担が軽減。休日や夜間でも予約できるようになったことから、診療効率だけでなく患者の満足度向上にもつながっています。

参考:キュアコード株式会社「健診予約システム構築」

 

●電子カルテの導入方法

電子カルテを導入すると、リアルタイムな情報共有と過去データの検索ができるようになります。必要な業務や診療内容に合わせて、適切な電子カルテを選ぶことが大切です。ここからは、電子カルテを導入するまでの流れをまとめました。

 

電子カルテシステムを選定する

電子カルテを導入するにあたり、はじめに重要となるのがシステムの選定です。コスト面やサポート面、操作性などを軸に、複数社を比較検討して選定しましょう。多くの電子カルテサービスで無料のトライアル期間が設けられているので、それぞれ試しに利用してみるのがおすすめです。

 

担当者に要件を確認し選定する

電子カルテを選定できたらメーカーに発注し、担当者と仕様やシステム設定のための打ち合わせを行います。自院に必要な機能が搭載されているか、要件に合わせたカスタマイズができるか、必ず確認しておきましょう。

 

試験運用を行う

導入時の操作研修や説明会を開いて、本稼働に向けた学習を行います。メーカーによっては研修用のマニュアルがあるところや直接サポート研修を実施してくれるところもあります。試験運用中は、不具合などの不測の事態が起こることもあります。万が一に備えて、従来の紙カルテに記入ができるよう準備しておきましょう。

 

本稼働を開始する

試験運用を終えたら、本稼働です。稼働後に課題が発生したら、メーカーにフィードバックして解決を求めましょう。保守やサポートの契約を結んでいるのであれば、運用後にトラブルが起きた際も対応してくれるため安心です。

 

●オンライン診療の事例

オンライン診療の導入によって、患者の満足度を向上させた事例です。神戸市立医療センター中央市民病院では、新型コロナウイルスの流行によるオンライン診療のニーズ増を受けて、在宅で診療を受けられるシステムを導入しました。保険証の画像をアップロードすれば、誰でも保険診療を受けられるシステムを開発。患者とクリニック双方の利便性を高め、院内業務の効率化と満足度向上の両方を実現しています。

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●オンライン診療の導入方法

ここからは、オンライン診療システムの構築方法を解説します。スムーズに導入できるよう、カスタマイズ時の注意点についても知っておいてください。

 

オンライン診療システムを選定する

オンライン診療にあたり、まず必要なのがツール選定です。オンライン診療専用のシステムを利用するか、汎用的なITツールを利用するかを選びましょう。

オンライン診療専用のシステムであれば、診療予約から受付、支払いまで完了できるメリットがあります。汎用ツールだとZoomやMicrosoft Teamsなどオンライン会議サービスが有名ですが、必ず患者に直接つなげる、端末内のほかのデータと連結しない設定とするなどの条件や制限があります。厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿っているかに注意したうえで選定を検討しましょう。

 

行政へ届出を提出

オンライン診療による初診料や再診料、外来診療料を算定するためには、地方厚生局への施設基準の届出が必要です。「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って、必ず事前に提出するようにしましょう。

 

研修を受講する

オンライン診療を実施するには、厚生労働省が指定する研修を受講しなくてはなりません。施設基準の届け出を行った後は、オンライン診療に関する研修を受講しましょう。

 

合意書と診療計画書を作成

オンライン診療を実施するには、オンライン診療について説明し、同意を得たうえで診療計画を作成し、患者にしっかりと伝える必要があります。合意書や診療計画書を事前に準備しておきましょう。

 

患者にシステムの使い方を案内する

オンライン診療専用システムの場合、患者が使えるように使い方を案内します。患者側がクリニックと連携できたか確認を行ったら導入完了です。

 

IT化に伴う補助金の活用方法

電子カルテやレセコン、予約システム、オンライン診療システムなど、クリニックのIT化を進めるにはこれらITツールを導入しなくてはなりません。しかし、これら一式を揃えようとするとかなりのコストがかかります。一時的な金銭的負担はかなり大きくなるでしょう。そこで活用できるのが「IT導入補助金」です。IT化に伴う資金不足に悩むクリニックを補助してくれる制度で、上手く活用すれば大きな負担をかけずにクリニックのIT化を進めることができます。

 

●IT導入補助金の概要

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者などに対し、ITツール導入のための経費の一部を補助する制度です。正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」で、審査に合格すれば補助金を受け取れます。

 

IT導入補助金の基本情報

制度の目的は、国内の中小企業や小規模事業者などの業務効率化やDX推進です。ITツールであればどれも補助金の対象となるわけではなく、IT導入補助金の導入対象になっていることが条件です。クリニックで使用したい電子カルテやオンライン診療システムなどが決まっているなら、そのITツールが導入支援の対象となっているかを確認しましょう。

 

補助対象経費と申請条件

IT導入補助金は、ソフトウェアの購入費用や導入費用、初期設定費用、サポート費用などが対象となります。ただし、IT補助金を受けるためには、IT導入支援事業者と契約し、補助金対象のITツールを導入することが条件です。導入したいITツールのメーカーやベンダーがIT導入支援事業者であると確認できたら、IT補助金を利用したい旨を伝えて、ともに申請の準備を行いましょう。

 

●補助金申請の具体的手順

ここからは、IT導入補助金の申請手順について解説します。

 

1. IT導入支援事業者の選定とITツールの選択

IT補助金を受けるには、まず補助金対象となる事業者とツールの確認が必要です。自院のニーズに合ったIT導入支援事業者を選び、導入するITツールを決定します。

 

2. 「gBizIDプライム」アカウントの取得と「SECURITY ACTION」の実施

申請には、gBizIDプライムアカウントという無料のアカウントが必要です。gBizIDの公式サイトで、「gBizIDプライム」アカウントを取得しましょう。次に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供する「SECURITY ACTION」を実施し、情報セキュリティ対策の自己宣言を行う必要があります。

参考:gBizID公式サイト

参考:SECURITY ACTION(セキュリティ対策自己宣言)公式サイト

 

3. 交付申請書の作成と提出

次に、IT導入支援事業者と協力して交付申請書を作成します。IT導入支援事業者であれば、IT導入支援補助金に関する申請ノウハウを持っています。相談のうえサポートしてもらい、必要な書類を揃えて交付申請を行いましょう。

 

4. 交付決定後、ITツールの発注・契約・支払い

申請後、交付決定を受けたら選定したITツールの発注・契約を行います。契約に従って支払いを完了したら、導入を進めます。

 

5. 事業実績報告の提出

補助金を受けるには、ITツールの導入に実際にかかった費用や導入成果の報告が必要です。ITツールの導入が完了したら、事業実績報告書を作成して提出しましょう。

 

6. 補助金の交付手続き

事業実績報告の提出後、報告が認められたら補助金の交付手続きを進めます。その後は指定された口座に補助金が振り込まれます。

参考:IT導入補助金2024

 

IT化を推進して業務効率を上げよう

クリニックのIT化を進めれば、業務効率の向上やコスト削減、患者満足度の向上など、様々なメリットがあるとわかりました。自院の業務に合ったツールを選定するためにも、具体的な手法やツールを事前に把握しておくことが大切です。

ITツールの導入には初期コストや運用・保守など多くの費用がかかりますが、IT導入補助金を活用することで金銭的な負担を軽減できます。

IT導入補助金を活用したいなら、IT導入支援事業者に指定されている会社か、導入したいツールが補助金の対象になっているかもあわせて確認すると良いでしょう。

発注ナビでは、IT導入補助金の対象となるシステムを手掛けた開発会社を複数ご紹介しています。「自院に合った開発会社がわからない」「選定にできるだけ時間をかけずにスムーズに導入したい」とお考えのご担当者様は、ぜひ一度ご活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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