ソフトウェア開発と一口に言っても、ターゲットとなる業務分野や利用目的は多岐にわたっており、開発内容によって、求められる対象業務の知識や必要な技術ノウハウも自ずと異なってくる。発注元としては、自社が実現しようとしている業務やサービスに関する開発実績やノウハウを、より多く持っている発注先に任せたいと考えるはず。今回は「画像のアップロード・販売」という、ピンポイントなニーズに対して、最適な発注先が見つかったというケースをご紹介する。コンテンツワークス株式会社営業Gの平野幹尚氏、田中涼介氏、WebマーケティングGの小野慶子氏、そして株式会社Lion Gardenの代表取締役である蔵田哲也氏にお話を伺った。
■本来は別件を発注しようとしていたが立ち消えに!
――コンテンツワークスさんは、普段、どのようなビジネスを展開されているのでしょうか。
コンテンツワークス 平野氏 オンデマンド印刷のIT技術を核に、紙に印刷して手元に置きたいというニーズにお応えし、絶版コミックの印刷やフォトブックの制作など、さまざまなコミュニケーションプラットフォームをご提供しています。特に、2004年よりご提供しているフォトブックサービス「Photoback(フォトバック)」は、上質で落ち着いたマット紙を使用し、おしゃれかつ40種類のレイアウトからこだわりのフォトブックが作成できるため、一般のお客様から、プロのフォトグラファーの方々まで、幅広くご利用いただいております。また、プロのフォトグラファーやフォトスタジオ運営企業など、フォトバックの機能をビジネスで利用されるお客様に向けた「Photoback for Biz(フォトバックフォービズ)」というサービスもご提供しています。
――今回、発注ナビをご利用になったのは、どのような経緯からだったのでしょうか?
平野氏 もともと発注ナビでお願いしようとしていた案件は、田中が抱えていた別の案件でした。
コンテンツワークス 田中氏 当社の「Photoback」では、機能の一部をAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)として他社にご提供しています。ご提供先の他社サービスから、そのAPIを呼び出すことで、フォトブックを作成できる機能を利用できるという仕組みです。そのAPIを利用しているパートナー企業から「こんなことができないか」という打診がありました。もともと開発計画に無かったものなので、社内の開発リソースを割り当てることができず、開発期間と予算などを検討した結果、外部に依頼することにしました。しかし、いざ発注ナビに開発先のご紹介をお願いしたものの、LionGardenさんに発注する前に、パートナー企業サイドの都合により、その案件自体が立ち消えになってしまいました。
――発注は成立しなかったのでしょうか。
平野氏 いいえ。結果として別件をお願いすることになりました。「Photoback for Biz」で新機能の検討を同時期にしており、LionGardenさんがネット上への画像のアップロードや、ネットを通じた販売に豊富なノウハウをお持ちだったので、この出会いを無駄してはいけないと考え、急遽「Photoback for Biz」の機能強化のために別途企画を推進していた「Webアルバム」の開発をお願いしようということになりました。
――LionGardenさんは、なぜ画像アップロードや販売にそれほど多くのノウハウをお持ちだったのですか。
LionGarden 蔵田氏 当社は普段、受託開発を中心に、Webアプリケーションやスマートフォン向けアプリケーションを数多く手掛けています。ベンチャー企業の新しいサービスをご相談ベースから一緒に作り上げていくというケースも多いですね。一方で、自社開発の「ART BRIDGE」というサービスも運営しています。このサービスは、アーティストの方々が自身の作品をアップロードし、閲覧者からスコアリングしてもらうことで、単なる作品ポートフォリオ作成だけでなく、インタラクティブなアーティスト活動が行えるというサービスで、作品の販売やオークションなどもサポートしています。その開発や運営を通じて、画像ファイルのフォーマットや、アップロードデータのハンドリング、表示、販売に関するノウハウが社内に多数蓄積されています。
平野氏 これだけのノウハウを持つ開発先をイチから自力で探そうと思ったら大変な労力がかかるはず。そういう意味では、今回、当初の思惑とは違ってしまったものの、発注ナビを利用したことで、思ってもみなかった良い出会いがありました。
――発注に至った「Webアルバム」とは、どのようなものでしょうか。
コンテンツワークス 小野氏 「Webアルバム」は、プロのフォトグラファーの方々が写真データの販売や納品を手軽に行えるサービスです。従来の「Photoback for Biz」は、フォトグラファーやフォトスタジオの方々が、当社に印刷・製本を発注し、出来上がったものを受け取り、エンドユーザーさんにお届けするというビジネスをサポートしていました。しかし、中には写真をデータのまま販売したいという声や、仕事先にそのままデータ納品したいというニーズもあることが分かりました。「Webアルバム」は、そうしたデジタルトゥデジタルで完結するビジネスをサポートするサービスとして企画されました。具体的には、撮影した写真データをアップロードし、閲覧用URLやパスワードを発行し、それをエンドユーザーに通知することで、エンドユーザーに写真データを販売したり、納品したりといったことが可能になります。
●フォトビジネス支援の「Photoback for Biz(フォトバックフォービズ)」と「Webアルバム」
オンデマンド印刷により、ネット上から手軽にフォトブック制作が可能になるサービス「Photoback(フォトバック)」のビジネス利用向けバージョン。フォトブックへのオリジナルロゴ入れや、写真データの販売&納品など、フォトグラファーやフォトスタジオ向けの機能が追加されている。新サービスの「Webアルバム」ではPhotoback for Biz上で、写真データの販売や納品といったデジタルで完結するサービスを提供する。
■発注元の熱意も開発プロジェクトを成功に導く秘訣!
――なるほど、LionGardenさんの「ART BRIDGE」に通じるところもあり、まさに絶好の発注先でしたね。LionGardenさんにとって、今回、開発しやすかった点、苦心した点などがあれば教えてください。
蔵田氏 開発しやすかった点としては、コンテンツワークスさんの方で、要件定義書を用意してくださっていたことでしょうか。ここまできちんと要件定義を行っているお客様は、それほど多くありません。とても助かりました。苦心した点は「Webアルバム」と「Photoback for Biz」が別サーバ動いているため、両者のデータをうまく連動させることでした。
小野氏 ユーザーからは「Webアルバム」は「Photoback for Biz」の機能の一つのように見えますが、弊社環境の都合等で実は別サイトとして仕立てています。その仕様のせいで、お手間をとらせてしまったかもしれません。しかし、そのおかげで、シームレスにお使いいただけるサービスとしてご提供することができました。
蔵田氏 コンテンツワークスさんは事業にとても前向きで、打ち合わせの場でも建設的な議論をかなり突っ込んだところまで交わすことができました。良いものを作っていこうという熱意が、こちらにもひしひしと伝わってきて、それが開発陣のモチベーションにもつながりました。当社としても、開発を進めていてとても楽しかったです。
●現代アート作品のポートフォリオサービス「ART BRIDGE」
LionGardenが運営するアーティストの作品ポートフォリオ制作や、エンドユーザーによるスコアリング、インタラクティブなアーティスト活動を支援するサービス。
――コンテンツワークスさんは、LionGardenさんに発注をして、いかがでしたか。
平野氏 見積りも、フロントエンド、サーバサイド、デザインまで含めて出してもらえたので検討しやすかったですね。また、こういうデータはどう処理するべきか、といったことを一緒になって考えてくれたのも心強かったと思います。しかも、すべて自社内で開発していて、「いつまでに、ここまで出来上がる」ということがハッキリしていたので、とても安心感がありました。
――開発期間はどれぐらいかかったのでしょうか。
小野氏 プロジェクト自体は年が明けた1月頃にスタートしました。開発をお願いしたのは4月でしたが、7月中旬には納品していただきました。「Webアルバム」は7月17日にサービスインしています。
■偶発的な出会いが両社の今後の新たなビジネスに展開!
――「Photoback for Biz」や「Webアルバム」の今後の計画があれば、差し支えのない範囲で教えてください。
平野氏 「Photoback for Biz」については、今後とも使いやすさを追求していくと同時に、ユーザーの声に耳を傾け、新たな機能実装なども行っていきたいですね。また、これは先の話になりますが、「Webアルバム」では、今後、どのような写真が売れるのか、データの取集・分析結果をフォトグラファーの方々にフィードバックしていくサービスができないかと考えています。今後ともLionGardenさんとはメンテナンスや保守等でお付き合いが続くので、新たな機能の実装時はご相談させていただこうかと考えています。
蔵田氏 画像やデータの分析は当社としても、ぜひ手掛けてみたいテーマで、開発陣も意欲を持っています。いずれ、こちらからプロトタイプのご提案などもさせていただければと考えています。また、今回のご縁をきっかけに、「ART BRIDGE」から「Photoback」のAPIを呼び出して、アーティストの方々に画集の制作というサービスがご提供できるのではないか。その辺についても、コンテンツワークスさんとは、別途お話しを詰めていければと思っています。
――最後に発注ナビをお使いいただいた感想をお聞かせください。
田中氏 サポートがしっかりしているという印象を持ちました。当初は機械的にオンラインでマッチングしていくだけなのかと思っていたのですが、そうではなく、オペレーターの方がこちらの要望を電話できちんと聞き取ってくださり、開発先を紹介された後も「紹介の結果がどうだったか」というフォローアップの電話もありました。こうした細かなことが、大きな安心感につながりました。
――今後の両社の展開も期待しています。ありがとうございました。
■今回学んだ発注が上手くいく3つのポイント
◆開発対象の分野に豊富な実績やノウハウを持つ発注先を選ぶ
◆技術面は開発先に任せたとしても、サービス内容やビジネス内容は発注者も熱意を持って二人三脚で開発に臨む
◆要件定義は発注者が責任を持って行っておくとプロジェクトがスムーズに進む
■関連リンク
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おしゃれフォトブック・フォト(写真)アルバム作成「Photoback(フォトバック)」
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