マッチングシステムは個人同士だけでなく、企業同士または企業と個人を結びつける際に役立つシステムです。本記事では、マッチングシステムの種類や必要な機能、開発時にかかるコストについてご紹介します。
目次
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マッチングシステムとは
そもそもマッチングシステムとは、「企業や個人(消費者)を結びつけるシステム」のことです。例としては、ビジネス仲介やフリーマーケットアプリ、求人情報アプリなどが挙げられます。これまでは、企業と消費者の関係を結びつけるマッチングシステムがほとんどでしたが、企業同士または個人同士をマッチングさせるようなシステムも多くみられるようになってきました。
代表的なマッチングシステムの例
マッチングシステムは、「BtoB(企業同士の取引)」「BtoC(企業と個人の取引)」「CtoC(個人同士の取引)」という3種類に大きく分けられます。それぞれの特徴と、代表的なマッチングシステムの例をいくつかご紹介します。
●BtoB
BtoBは「Business to Business」の略で、端的にいえば企業同士の取引です。自社のノウハウや人材、リソース不足を背景に、特定の業務を専門企業へアウトソーシング(外注)することは珍しくありません。こうした潮流の中で役立つのが、BtoBタイプのマッチングシステムです。
ビジネス系マッチングシステム全般
サービス・ノウハウ・スキルを必要としている企業と、それらを提供できる企業をマッチングさせるシステムがこれにあたります。発注会社は自社に足りないノウハウやスキルをカバーでき、受注会社は収益の拡大や顧客開拓の機会を得られるのがメリットです。システム開発や各種コンサルティングなど、ビジネス系マッチングシステムで依頼できる業務は様々です。
産業医向けマッチングシステム
企業と産業医をつなぐ専用のマッチングシステムです。労働安全衛生法において、「常時50人以上の従業員を雇用する事業所は、産業医を専任すること」が義務付けられています。産業医の選定に役立つのが、産業医向けマッチングシステムです。マッチングシステムサービスによっては、産業医の選定だけでなく、各種書類作成や申請作業のサポートを提供しているサービスもあります。
M&Aマッチングシステム
M&Aとは、企業の買収や合併を指します。M&Aマッチングシステムは、会社・事業を売却したい企業と、会社・事業を買収したい(譲り受けたい)企業を引き合わせるサービスです。M&Aマッチングシステムを活用することで、譲渡企業・譲り受け企業ともに条件の合う取引先を効率良く探せます。
BtoC
BtoCは「Business to Consumer」の略で、企業と個人間の取引のことです。身近な例としては、ECサイトが挙げられます。そのほかの代表的なサービスとして、求人・転職サイトや旅行予約サイトなど、個人のライフスタイルに深くかかわるシステムが多く見受けられます。大手企業が多く参入しているジャンルであるため、特定のジャンルに特化したニッチなサービスを提供できると差別化が図れます。
求人・転職サイト
必要な人材を探す企業と、就職先を探す個人をマッチングさせるサービスがこれにあたります。大手の人材系サイトのほかにも、企業が中心となって募集をかけるクラウドソーシング系のサイトも該当。形態は異なるものの、「企業と人材を結びつける」という特徴は一貫しています。
旅行予約サイト
ホテルや旅館にくわえ、航空券やレンタカーを予約できるサービスです。個人のニーズをより細かく反映し、オリジナルの旅行プランを作成できる旅行予約サイトも登場しています。
●CtoC
CtoCは「Consumer to Consumer」の略で、個人同士の取引を指す言葉です。フリマアプリをはじめ、婚活アプリやスキル系マッチングサイトなどが該当するといえるでしょう。
フリマアプリ
フリマアプリは、主流となっていたオークション形式よりも手軽に出品・やり取りができて、決済もプラットフォーム内で済ませられるといったメリットがあります。ユーザー登録すれば誰でも手軽に物品を売買できる手軽さにくわえ、売買システムがわかりやすい・匿名配送が可能でトラブル防止の工夫がされているといった点でも支持されています。
婚活アプリ
登録したプロフィールや好みなどをもとに、パートナーを探せるのが婚活アプリ。オンラインビジネスを主事業としてきた企業や結婚相談所、ライフサービス事業などを展開する企業が運営していることが多くあります。
スキル系マッチングサービス
スキル系マッチングサービスはBtoBでも導入されているサービスですが、個人間でスキルの売買を行うマッチングサービスも登場しています。ライティングをはじめ、イラストやSNSのアイコン、ロゴデザインの作成、写真撮影など売買できるスキルは多彩です。
これらのほか、個人ホストと旅行者をマッチングさせる民泊マッチングアプリもCtoCマッチングシステムの一種といえます。
マッチングシステムの収益モデル
マッチングシステムの収益モデルは、「手数料型」「広告収入型」「継続課金型(サブスクモデル)」「従量課金型」の4パターンに大きく分けられます。各収益モデル特徴を、以下でご紹介します。
●手数料型
マッチングシステムを利用する対価として手数料を設け、その手数料で収益を上げるモデルです。取引成立やマッチング成功、各種サービスの利用など、手数料を設けられる場面は様々。例えば、大手フリマアプリの場合、物品の売買が成立した際に一律の手数料をユーザーから徴収しています。
●広告収入型
マッチングシステム上に広告を掲載し、広告主から収益を得る収益モデルです。マッチングシステムのみならず、幅広いジャンルのWebサービスで取り入れられている仕組みです。掲載するマッチング商材やメディアの規模が大きければ大きいほど広告料を高く設定でき、その分高い収益が期待できます。従来のバナー広告のほか、媒体のコンテンツに自然な形で溶け込む「ネイティブ広告」が多くみられます。
●継続課金型(サブスクモデル)
一定期間ごとに一律の利用料金を徴収する収益モデルです。広告収入型と同様に、マッチングシステムだけでなく各種ストリーミングサービスやカーシェアリングサービスなど幅広いジャンルで取り入れられています。継続的に安定した利益を期待できますが、継続課金に足る質の高いサービスを提供できる否かがカギとなります。
●従量課金型
システムやサービスを利用した分の料金を徴収する収益モデルです。マッチングシステム以外では、電気や水道、ガスなどのライフインフラサービス、コインパーキングやインターネットカフェといったサービスでも導入されています。利用した分だけを支払うため、ユーザーからの納得感を得やすいのが特徴です。
マッチングシステムに必要な機能
マッチングシステムに必要な機能は、サービスの内容によって異なります。多くの場合は以下のような機能を導入する必要があります。
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商品、商材一覧機能
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マイページ機能
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ログイン・ログアウト機能
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ユーザー管理機能
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メッセージ機能
●商品、商材一覧機能
商品、商材一覧機能は、主にオンラインショッピングやフリマアプリなどのマッチングシステムで必要となる機能です。商品や商材の一覧機能を搭載すれば、取り扱う商品数が多くても個々の商品の視認性が上がり、ユーザビリティを高められます。なお、ビジネス系マッチングシステムの場合は商品や商材ではなく案件内容や依頼の一覧機能になります。
●マイページ機能
ユーザーのプロフィールやサービスの利用履歴(購入・予約・支払い・マッチング履歴)を残すための機能です。マイページ機能があることで、サービス利用時の入力を省略できたり、プロフィール情報をもとにマッチング精度の高い企業や個人とのマッチング率が上がったりします。マイページ機能があることで幅広い情報を管理できるので、どんなシステムでもマイページ機能は欠かせません。
●ログイン・ログアウト機能
ユーザー名(またはID・メールアドレス)とパスワードを使い、安全にシステムへログインするための機能です。ログイン・ログアウト機能は、マイページと併せて必須となります。ユーザーIDやメールアドレスはアカウントの識別子として、パスワードはアカウントを保護するためにそれぞれ必要です。くわえて、ユーザーの本人確認の役割も果たします。
●ユーザー管理機能
ユーザー管理機能は、マッチングシステムを利用するユーザーの情報を管理する機能です。マッチングシステムを導入する場合、サービスを提供する側と利用する側とでユーザーの情報を管理するシステムが重要になってきます。この機能があるからこそマイページ機能やログイン・ログアウト機能が意味を成していて、ほかにもアカウントの作成や編集、削除などユーザーにかかわる操作のすべてができるようになっています。
●メッセージ機能
メッセージ機能は、取引相手と連絡をするために必要な機能です。BtoBサービスやCtoCサービスなど、相互の密接な連絡が必要とされるマッチングシステムには特に欠かせない機能だといえるでしょう。さらに、テキストとして利用履歴や取引の履歴が残るため、トラブルが発生した際に運営側で対処しやすいというメリットもあります。
マッチングシステムの構築方法3つ
マッチングシステムの主な構築方法は、CMS構築・パッケージ開発・フルスクラッチ開発の3パターンです。それぞれの方法が持つ特徴や魅力を解説いたしますので、「自社のマッチングシステムにはどの方法が向いているのか」とお悩みの方は下記の情報も参考にしてみてください。
●構築方法1.CMS構築
CMS(コンテンツ管理システム)とは、簡単にWebサイトを作成・管理・編集できるシステムのこと。特に高い知名度を誇るのが、オープンソースのCMS「WordPress(ワードプレス)」です。無料で手軽に使えるものや拡張機能が豊富に用意されているものも多く、開発のハードルが低めなのが大きな魅力。「構築にかかる費用や時間コストをできる限り抑えたい」という方におすすめの方法です。
●構築方法2.パッケージ開発
あらかじめ用意されている」専用開発パッケージを利用し、マッチングシステムを構築する方法です。システムのテンプレートを利用し、必要に応じて独自機能を追加したり、拡張機能を用いたりしてカスタマイズするのが一般的な使い方です。「開発の知識がなくてもすぐに使える」「カスタマイズの自由度が高い」など、長所としている部分はパッケージごとに異なります。それぞれの違いや長所を見極めたうえで、自社が開発したいマッチングシステムに適したものを選ぶことが重要です。
●構築方法3.フルスクラッチ開発
CMSやパッケージを用いず、ゼロからシステムを構築する方法です。テンプレートに縛られず自由にカスタマイズできるため、大規模なマッチングシステムの構築に適しています。また、「独自の機能を多く実装したい」という場合にもおすすめです。ただし、CMS構築やパッケージ開発とは異なりシステムの土台から構築する必要があるため、コストが膨らみやすいというデメリットもがあります。
マッチングシステム開発にかかるコスト
マッチングシステムの開発は、単にサイトを構築するだけで終わるわけではありません。どのようなサイトにするか設計・定義、さらにサイトを構築した後に動作テストしたり、データ移行を行ったりといったすべての工程にコストがかかります。
くわえて、マッチングシステムは「どの機能を充実させるか」「プラットフォーム型・仲介型などどのようなタイプのシステムにするか」という点によって開発コストが大きく変わるのが特徴です。必要最低限のものだけにするなら300万円前後で開発できるケースもある一方、1,000万円以上かかるケースもあります。
以下では「プラットフォーム型」「仲介型」「一括問い合わせ型」「メディア広告型」の4タイプのマッチングシステムを例に挙げ、それぞれに必要なコストの目安を解説いたします。
●プラットフォーム型の場合:1,000万円
ユーザー同士の取引場所を提供するのが「プラットフォーム型」です。ユーザー同士が直接取引を行うことを前提としており、フリマアプリや民泊マッチングアプリなどが該当します。構築費用の相場としては、1,000万円以上と考えておきましょう。サービスの手軽さからユーザーを呼び込みやすい一方、その分必要な機能も増える傾向にあります。その結果、構築費用が高めになるケースも少なくありません。
●仲介型の場合:500万円~
運営がユーザー同士を仲介するタイプのマッチングシステムです。傾向としては、求人・転職サイトや旅行予約サイトなどBtoCのモデルが多くみられます。運営側の負担が大きいため、高単価の商材の時に選ばれるタイプです。チャットサービスやカウンセリングサービスといった機能を搭載すると、開発費用の目安は500万円程度となります。
●一括問い合わせ型の場合:300万円~
ユーザーからの問い合わせを受け、見積もりや資料提供などを一括で行うマッチングシステムです。BtoB・BtoC向けのマッチングシステムが多く、特にBtoBに絞ったシステムでは商材も高単価なものが中心となります。構築費用の目安は、300万円前後とみえておきましょう。一括問い合わせ型は、申込みフォームや各種登録フォームなど必要最低限の機能を搭載すれば構築できるのが特徴。結果として、構築費用が安くなるケースがみられます。
●メディア広告型の場合:300万円~
Webサイトのアフィリエイト広告で収益を上げるタイプのマッチングシステムです。構築費用相場は300万円前後で、仲介コストや運用コストを抑えて運用できるのがポイント。くわえて、一括問い合わせ型と同様、必要最低限の機能を搭載すれば運用をスタートできるのも魅力です。ただし、SEO施策による集客が必須で、収益が安定するまでに時間がかかることもあります。
マッチングシステムの見積もり時に注意すべきポイント
マッチングシステムは、自社で構築すればそれだけコストを抑えられますが、内部にシステムの開発環境を持つ企業は多くありません。そのため、システム構築を専門とする会社や個人事業主に依頼するのがほとんどです。依頼をする際は、できる限り開発コストを抑えるために複数見積もりを取って、安いところで依頼するのがベストです。マッチングシステムの見積もり時に注意すべきポイントは、以下のとおりです。
●システム設計・定義をしっかりする
マッチングシステムの見積もりを依頼する前に、システム設計・定義をしっかりと固めて、それを相手に正確に伝えなければなりません。マッチングシステムの構築を自社ですべて完結させない場合は、システム構築を依頼する相手と擦り合わせをします。この擦り合わせがしっかりできていないと、ミスマッチで想像していたものと違うシステムが出来上がってしまいます。まずはどういったユーザーをターゲットにして、どんな形で利益を獲得していくのかをはっきりとさせて、それをもとにシステム設計・定義をしっかりさせていくことが大事です。もしそこの段階でどうすればいいのかわからない場合は、システム設計・定義から依頼してみても良いかもしれません。
●非機能要件をないがしろにしない
システム設計・定義を自分たちで考えていく場合は、非機能要件をいい加減にしないことが重要です。非機能要件とは、システムの拡張性や信頼性、セキュリティなどの部分に該当する要件のこと。非機能要件がしっかり構築されていないとサービスリリース後にトラブルが発生しやすくなり、サービスの評価を落としてしまう可能性があります。ストレスなくサービスを利用してもらうためにも、非機能要件定義は綿密に行いましょう。
●マッチングシステムの開発実績が豊富な会社を選ぶ
マッチングシステムの開発は、できるだけその実績が豊富な会社を選ぶことが大切です。同じシステム開発に優れた会社でも、専門とするジャンルが異なればそれだけ出来上がるものが変わってきます。マッチングシステムの分野で成果を出している会社を調べて、そこで見積もりの依頼をするようにしたほうが良いでしょう。
●既存のシステムを利用して開発する場合も見積もりを取る
既存のシステムを利用して、新しいマッチングシステムを構築する場合でも見積もりを取るのが理想です。既存のものを活用して新しいものを作る場合も、独自の工程が必要となります。少なくともデザイン面は大きく変えなければならないので、ちょっといじってどうにかなるものではありません。既存のシステムを利用してマッチングシステムを構築する場合は、システム改修において実績が豊富な会社に依頼することをおすすめします。
マッチングシステムに関する依頼は得意不得意を見極めて
マッチングシステムは、BtoB・BtoC・CtoC問わず幅広い分野で普及しているシステムです。「自社でもシステムを導入したい」と考える企業も少なくありません。マッチングシステムはどんな機能を搭載するかで大幅にかかるコストが変わってくるので、少しでもそのコストを抑えるためには、マッチングシステムを専門とする会社に依頼することが大切です。システム構築の際は、しっかりシステム設計・定義をしていくことを忘れないようにしましょう。
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