DXに対する必要性を感じている企業は多く、すでに成果を得ている大企業も少なくありません。また中小企業の中にもDXへの取り組みを始めている企業もあります。
しかし中小企業の中には、課題を抱えているケースも多く、DX化の進め方がわからずにいまだ取り組めていない企業もあるでしょう。
今回は中小企業が抱えているDX化に向けた課題の解消ポイントと、自社だけではDX化が難しい企業向けにDX推進を支援してくれるツールや企業例を合わせてご紹介します。
目次
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中小企業のDXの取り組み状況

大企業に限定すれば、DXに取り組む企業は6割以上といわれています。では、中小企業のDXの取り組み状況は、どれくらいなのでしょうか?
●中小企業がDXに期待している要素は「業務効率化」
中小企業の社内の中でも、特にオーナーは「現在の業務における業績向上や効率化」に 強い関心を持っている傾向があります。
DXによって効率化を図ることで、自社が抱えている人手不足問題を解消することにつながります。
DXの取り組み方によって、業績の向上も達成できます。経済産業省の推進もあって、自社の課題に沿ったDXを検討している企業も少なくありません。
●中小企業のオーナーの関心点
中小企業の社内の中でも、特にオーナーは「現在の業務における業績向上や効率化」に関心を持っている傾向が強いです。
DXによって効率化を図ることで、自社が抱えている人手不足問題を解消することにつながります。DXの取り組み方によって、業績の向上も達成できます。
経済産業省の推進もあって、自社の課題に沿ったDXを検討している企業も少なくありません。
中小企業が考えるDXの必要性

中小企業のDXへの取り組み状況は3割にとどまっていますが、DXは必須という声が多く聞かれます。以下では、「なぜDXが必要なのか」を解説します。
- 業務効率化の推進が可能
- 顧客ロイヤルティ向上につながる
- BCPの拡充になる
●業務効率化の推進が可能
中小企業にとってDXが必要な理由の1つに、業務の効率化を達成できるという点が挙げられます。仕事を自動化することで不必要な作業が透明化すれば、業務の効率を上げることが可能です。
人手不足の解消や人員配置の見直しにより、付加価値の高い仕事ができるようになります。さらには、社員が働きやすい職場作りにもつながります。
●顧客ロイヤルティ向上につながる
顧客ロイヤルティとは、顧客がある特定のブランドや企業に対して「信頼」や「愛着」「親しみ」を感じることで、顧客ロイヤリティともいいます。
価格や機能は同レベルであっても、いつも同じブランドの商品を選んでしまうという人は、顧客ロイヤルティが高い状態です。
DXへ取り組むことによって顧客情報の管理がデジタル化されて、ロイヤルティを含めた詳しいデータ分析ができます。結果的にマーケティング力がアップして、顧客ロイヤルティの向上が可能となります。
●BCPの拡充になる
DXに取り組むことで、BCPの拡充につながります。ここでいうBCPとは、「Business Continuity Planning」の略で、企業や団体の事業継続計画のことです。
わかりやすくいえば、自然災害やシステム障害、テロなどの緊急事態に遭遇した際に、損害を最小限に抑えるための計画を指します。DX化で作業の自動化が可能となり、少人数で対応できるようになります。
またDXにおいてクラウドへデータ保存するように変更しておけば、情報の消失や紛失の恐れがなくなって安心です。日本国内では2011年の東日本大震災をきっかけに、BCPが重要視されています。
中小企業が抱える課題

中小企業のDXへの取り組みが浸透しないのは、抱えている課題が多いことも理由に挙げられます。
- DXに対する理解不足・進め方がわからない
- 経営層がDXの必要性を感じていない
- 社内改革が機能しきらず、ビジネス改革へ進めていない
●DXに対する理解不足・進め方がわからない
そもそも、中小企業の多くは「DXがなぜ必要なのか」「どう進めればよいのか」といった理解や具体的な進め方に課題を抱えているケースも少なくありません。
DX化をしたいと考えていても方法がわからず、結果的に取り組みが停滞してしまう例も見られます。こうした場合、まずは身近な業務のデジタル化から取り組むことで、段階的にDXへつなげる足がかりを作ることが有効です。
●経営層がDXの必要性を感じていない
DX化の戦略が進まない原因のひとつに、経営層がDXの必要性を十分に認識していないケースがあります。
DXを実現するためには、経営層が明確なビジョンを持ち、デジタル化の取り組みを将来的にDXへ発展させる方向性を示すことが重要です。
ビジョンがなければ、せっかくのデジタル化も単発的な効率化にとどまり、DXの本来の効果であるビジネス変革に結びつかない可能性があります。
さらに、DXを担うIT人材不足も深刻な課題であり、戦略を進めるには対応できる人材の確保が不可欠です。
●社内改革が機能しきらず、ビジネス改革へ進めていない
DXに取り組むためには、「最新のデジタル技術に関する知識がなければならない」と考えている方も多いでしょう。
もちろんIT人材は必要不可欠ですが、まずは既存システムの全容を深く理解している人材が必要です。自社内の事情を把握しなければ、改革を進めることは難しいといえます。
現状を把握することで、社内改革をしっかりと機能させることが可能となります。段階を踏むことで、DXに取り組むことができるのです。
中小企業が抱える課題を解消するポイント

DXへの取り組みが進まない中小企業が抱える課題を解消するためのポイントを、3つご紹介します。
●DX化そのものが進んでいない場合
DX化を進めるためには、経営層と社員の両方の意識改革をするのがポイントです。経営層、社員の双方がDXに関する知識を深めることから始めると良いでしょう。
ITの進化の速度は速いため、アナログのままでは変化に対応するのは難しいといえます。デジタル時代を生き抜くためには、企業変革が必要不可欠でありDXを積極的に推進する必要があることを認識しなければなりません。
デジタル化によって、業務効率のアップや生産性の向上が期待できます。
しかし、DXとはただ単にデジタル化をすることではなく、デジタル技術を駆使して作業効率化や業績向上などの変革をしていくものであると認識するのが必要です。
最終的には組織風土や組織体制なども、デジタルベースになるとDXが達成されたといえるでしょう。
●DX化の戦略が進んでいない場合
DX戦略を進めるためには、まず現状の分析とビジョンを明確にするのがポイントです。現状分析は、広い視野を持ち多角的に行うことが重要です。
具体的には、企業の商品(サービス)や財務状況、業務内容の現状把握などを分析すると良いでしょう。
次に、経営層が明確なビジョンを持つことが必要となります。DXが自社に与える影響について、経営層の理解を深めなければなりません。
経営層の中からDX専任者を選出するという方法もあります。経営層からの選出が難しい場合には、外部の協力を得るのも良いでしょう。
経営層が持つビジョンと現状の穴を埋めるためにDX戦略を立てることで、進めることが可能となります。
●ビジネス改革へ進めていない場合
ビジネス改革へ進むためには、既存システムの全容を把握するのがポイントです。多くの企業は、受け継がれている既存のシステムが存在しています。
既存システムは、現状に最適化されているとは限りません。そこで、既存システムの全容を把握して整理することから始めましょう。
いきなり大きなビジネス改革を実行するのではなく、身近な業務の改善から行うと取り掛かりやすいです。ビジネス改革のきっかけ作りとして、ツールの少額投資を試みるのも有効です。
中小企業向けの低予算で導入できるツールを利用するという方法があります。DXはスモールスタートからでも可能です。
中小企業におけるDX化のメリット

中小企業がDX化を進めるメリットは、大きく分けて3つあります。メリットを知り、効率的にDX推進を行いましょう。
●競合他社に差をつけられる
DX化を進めることで、市場調査がスムーズになり、顧客のニーズや要望に沿った迅速な対応が可能となります。
市場調査やアンケートなどによる顧客調査にリソースを割く必要がなくなり、コストを抑えられる点も大きなメリットになります。
顧客のニーズが多様化している市場では、いち早く最新の情報を入手して、事業に落とし込むことで、競合他社よりも早く対応ができ、差をつけることが可能です。
例えば、AIを活用して顧客の嗜好をデータ分析し、IoTを活用して顧客の動向を把握することで、顧客のニーズに合ったサービスの提供を実現できます。
ECサイトなら顧客が閲覧、お気に入り登録をしている興味関心の高い商品を再表示させて購入を促す、店頭販売ならレイアウトの変更をして商品を見やすい位置に配置するなどの方法が挙げられます。
顧客体験の向上は、DX化を進めるうえで重要な目的のひとつであるため、積極的に取り組んでいくべき項目です。
●新規ビジネスのアイデアが生まれる
DX推進により、従来アナログで行われていた作業を削減または効率化することで、創出されたリソースを新規事業の立ち上げに振り分けられます。
さらに、DX化によって蓄積された市場調査や顧客調査のデータを活用して、顧客のニーズに合った新規ビジネスのアイデアが創出できます。
削減された工数を、新規ビジネスの創出に振り分けて挑戦を続けることで、企業価値の向上につなげることも可能です。
●大量のデータを活用して効果的な運用ができる
DXの導入により、膨大なデータ収集・分析が可能となり、データドリブンな意思決定を通じて、顧客のニーズに沿った効率的な運用ができます。
さらに、DX対応ツールを活用することで、社内の情報共有が円滑化し、業務プロセスの最適化が可能です。
効率化が進むことで、コスト削減やヒューマンエラーの防止にもつながります。
無料~少額で始められるDX向けツールとは

DXに取り組むためには、高額な資金が必要と考えて躊躇する方も多いでしょう。しかし、無料や少額で始められるDXツールもあります。以下では、中小企業が低予算でもDXに取り組むことができるツールを4つご紹介します。
●チャットワーク(コミュニケーションツール)
チャットワークは、国内トップシェアのビジネスコミュニケーションツールです。ダウンロードなしでパソコンから利用可能です。ただしスマートフォンからはアプリで利用するのが前提の仕様へ変わったので注意してください。料金プランは無料のフリーと合わせて3種類あります(2025年8月現在)。
- フリー:無料で試したい企業・個人向けの月額0円プラン
- ビジネス:業務で利用したい企業・個人向けの月額840円プラン(年間契約の場合月額700円
- エンタープライズ:管理機能を強化したい企業向け月額1440円プラン(年間契約の場合月額1200円)
チャットワークの代表的な機能は、以下の4つです。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| チャット | グループチャットが可能で社内・社外のユーザーと複数人での会話ができます。 |
| タスク管理 | タスクの作成や編集をすることができます。 依頼されたタスクが完了するとチャットに通知されるため、依頼主にも知らせることが可能です。 |
| ファイル管理 | エクセルやワードなど、データや画像ファイルのアップロードが可能です。 |
| ビデオ、音声通話 | チャットに参加しているメンバーとビデオ通話・音声通話ができます。 |
●Googleドライブ(ファイル・データの格納・共有ツール)
Googleドライブとは、インターネット上で文書ファイルや動画などをクラウドに保存ができるサービスです。Googleに付随している機能のため無料で使用できます。
またクラウドに保存しているため、PCやスマホなどの複数デバイスからのアクセスや共同編集が可能です。
メールにデータを添付して送付するより、正確にデータ共有できます。またドライブ上で、直接テキストやスプレッドシートなどのデータを作成できるのもポイントです。
●Zoom(テレワークツール)
Zoomとは、PCやスマホなどのデバイスを使用してオンライン上でミーティングを開催できるWeb会議システムです。
基本無料で、サイトからアプリのダウンロードが可能です。ホストとして会議を行う方以外は、ホストから招かれればアカウントなしで参加できます。
参加制限などを解除できる有料プランもありますが、無料プランにも基本的な機能が搭載されているため、国内外を問わず高く評価されています。
●jinjer(勤怠管理から業務管理まで一括でこなせるツール)
jinjer(ジンジャー)とは、勤怠管理・給与計算・経費計算・Web会議などの業務効率化を支援するクラウド型サービスです。特に勤怠管理システムに特化しており、外国語にも対応しています。
グローバル展開などで多国語対応を必要とする企業にとっては、便利な機能です。料金は、1人あたり月額300円で、リーズナブルな設定な点も魅力です(2025年8月現在)。
中小企業におけるDX化の進め方

中小企業がDX化を進めるポイントは、大きく分けて4つあります。具体的な進め方のポイントをおさえて、効率的にDXを推進しましょう。
●目標・経営ビジョンを決定する
長期的な目標を立て、将来的にどのようになりたいのか経営ビジョンを明確にしたうえでDX化を進めることが重要です。
目標や経営ビジョンがあいまいのままDX推進をしても、十分な効果が得られません。まずは目標を立て、経営ビジョンを実現するために必要なDX化を始めることが大切です。
●経営陣・社員の意識改革を進める
中小企業におけるDX化では、まず経営陣がDX化を進めることに対する意識をしっかりと持ち、リーダーシップをとって進めていくことが重要です。
経営陣の意識改革ができたうえで、社員一人ひとりにDX化の必要性を伝え、企業全体の意識改革をしていく必要があります。
まずは、身近な業務からDX化を進めることで、社員がDX推進を意識しやすくなるでしょう。
●従来の業務を見直す
従来の業務を見直すと、どの部分に時間がかかり、無駄が生じているのかが明確化されます。
例えば、社内での連絡が円滑に行えず、連携ミスや業務の遅延が起こっている場合は、グループでチャットができ、タスクを可視化できるチャットワークなどのツールの活用が最適です。
従来の業務の中で、効率が悪い業務からDX化を行い、業務効率を改善していきましょう。
●DX推進を拡大していく
DX化は一度行えばそれで終わりということではなく、日々変化をし続ける市場の中で生き残るために、常に新たなDX推進を行い、拡大していくことが重要です。
社会の変化や顧客のニーズの変化にいち早く対応できるように、DX化を進めていくことで、競合他社に負けない強い企業となります。
中小企業のDX成功事例

中小企業が実際にDX化を進めて、成功した事例を2つ紹介します。成功事例をもとに、自社で活かせる点がないか、ぜひ参考にしてみてください。
●【製造業】株式会社ヒサノ
熊本県に本社を構える株式会社ヒサノは、半導体製造装置・医療機器・金融システム機器・ピアノ・コピー機などの精密機器の保管から輸送・搬入・設置まで一貫して行う企業です。
人材開発や顧客へのマーケティング強化、物流業務のさらなる効率化のために、DX化を推進しています。
人材開発では、e-ラーニングを用いた外部研修を行い、顧客へのマーケティングでは解析ツールを活用してWebマーケティング推進を行いました。
物流業務の効率化については、管理会計システムと配車システムの連携や、出張申請から旅費精算までを電子化・ペーパーレス化によってコストと時間の削減を行っています。
DX推進事務局が中心となって、社内の身近な業務からDX化を行い、人材育成のために外部ツールを活用、物流業務の効率化に取り組み、時間外労働の削減や売上アップにつながった成功辞令です。
参考:https://www.kk-hisano.co.jp/dx-strategy/
●【金融業】株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
株式会社ふくおかフィナンシャルグループは、九州地方を地盤とする、福岡銀行・福岡中央銀行・熊本銀行・十八親和銀行や、証券会社・カード会社などを展開している企業です。
子会社である「みんなの銀行」は、国内初のデジタルバンクであり、口座開設から振り込みなどすべてのサービスがスマートフォンひとつで完結するサービスです。
忙しくて銀行に行く時間が取れない現代人の生活スタイルに合った、画期的な取り組みになっています。
SNSを積極的に活用するなど、マーケティング活動を実施し、1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」の活躍を支援する取り組みも行っています。
社会の変化とニーズに合わせてDX化を進めて、デジタル変革に成功した事例です。
参考1:https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20250617/5010028587.html
参考2:https://www.fukuoka-fg.com/
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