日々の受発注業務を「メールだけでなんとか回している」という企業も多いのではないでしょうか。コストをかけずにスタートしやすい反面、情報の共有不足や入力ミス、対応漏れなど、業務量が増えるほどさまざまな課題が顕在化します。本記事では、メール運用の工夫による改善方法から、受発注システムの導入による抜本的な効率化まで、段階的に対策を紹介。これからの業務体制見直しに、ぜひお役立てください。
目次
受発注システム・開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国6000社以上から厳選
受発注業務におけるメール対応の課題
受発注業務をメールで行う企業は少なくありません。特に中小企業や個人事業主などでは、コストを抑えながら手軽に注文を受け付けられることから、電話やFAXに加えてメールも主要な受注チャネルとして活用されているケースが多いでしょう。しかし、受注件数の増加に伴ってメール対応が煩雑になり、情報の見落としや入力ミスなどのリスクが高まってしまうという課題も指摘されています。こうしたリスクを放置すると、属人化が進んで社内での引き継ぎがうまく行えなかったり、チームの進捗を全員が見通せなかったりして対応漏れにつながる恐れがあります。ここからは、メール受注業務で具体的にどのような問題が生じるのか、代表的な課題を挙げながら解説していきます。
●情報共有が煩雑になる
メールによる受注業務は、一人ひとりが自分のメールアドレスで顧客や取引先とやりとりしていると、担当者が不在のときにすぐ対応できなかったり、返信内容が他のメンバーに共有されないまま進んでしまったりしがちです。結果として「どの案件がどの段階なのか」「注文内容はちゃんと把握できているのか」などを他のメンバーが把握しづらくなり、属人的な運用になりやすいでしょう。チーム全員の視点から対応状況を確認できないと、納期が迫っている発注に気づかないまま手続きが遅延し、顧客満足度の低下を招く恐れもあります。
●入力・転記ミスのリスク
メールで受け取った発注情報を別のシステムやExcelへ手作業で入力している場合は、転記時のミスが起こりやすいです。数量や納品先の住所などを入力し間違えると、誤出荷や不正確な在庫数の管理といった問題を引き起こしかねません。とりわけメール本文には顧客ごとに異なるフォーマットや伝票番号が含まれることが多く、人の目だけで正確に判断し続けるには限界があります。業務量が増えれば増えるほど、人的ミスのリスクは大きくなるでしょう。
●対応漏れが起こる
メール受注では、重要な注文がほかのメールに埋もれてしまい、対応の抜け漏れが起こる可能性も否定できません。受信トレイの整理やフォルダ分けをこまめに行っていても、急ぎの連絡があちこちから届き始めると、うっかり未処理のまま見逃してしまうケースが少なくないようです。結果的に対応漏れが顧客クレームにつながったり、取引先との信頼に影響を及ぼしたりすることもあります。
●検索性が低い
過去のやりとりをスムーズに検索できない点も、メール受注の大きなデメリットです。とくに、年単位で膨大な受信メールを保管している場合は、何かあったときに該当のやりとりを素早く探し出すのに時間がかかってしまいます。いつ、誰が、どの案件で発注を依頼していたのかをメンバー全員が瞬時に確認できないと、調査に時間がかかるだけでなく、日常業務そのものにも支障が出るでしょう。
メールを使った受発注業務を効率化する方法
上記のような課題を抱えつつも、すぐにシステム導入に踏み切れない企業や、コスト面を理由にメール対応のまま運用を続けたいと考える事業者も多く存在します。そのような場合でも、メール運用のルールやツールの使い方を工夫することで、一定の効率化を図ることが可能です。ここでは、具体的な施策として、共有アドレスの活用やフォルダ・ラベルの仕組み化などを紹介しながら、メールベースの受発注業務をより円滑に進める方法を解説します。
●共有アドレスを活用
まずは担当者ごとのメールアドレスではなく、チーム全員でアクセスできる共有アドレスを用意する方法が挙げられます。顧客や取引先からの問い合わせや発注連絡をすべてこの共有アドレスで受け取れるよう設定すると、誰がどの案件を対応しているのかをチーム全体で把握しやすくなり、同時に重複対応や対応漏れも大きく減らせるでしょう。担当者が急に休んだり外出したりしても、他のメンバーがメールを確認して素早くフォローできる点も大きな利点です。
●フォルダやラベルの仕組み化
受信メールを自動振り分けする機能を活用し、「未処理」「対応中」「完了」などの段階ごとにメールを分けておくと、作業の進捗状況を一目で把握できるようになります。とくに、ラベルやフラグ付けの機能を活かして優先度を設定しておけば、緊急度の高い案件を優先して処理できるでしょう。担当者が複数人いる場合でも、どの担当者がどのメールを引き受けたのかが明確にわかるため、二重対応や未対応を防ぎやすくなります。
●自動返信を設定
メールを受信すると同時に、「発注を受け付けました。ありがとうございます」といった自動返信を顧客に送付する仕組みを整えると、相手にとっても安心感が生まれます。対応が完了するまで少し時間がかかる場合でも、「現時点で受注の受付を確認しました」という連絡が届けば、顧客側も状況を把握しやすいはずです。これによって「メールが届いているか不安なので再送します」といった重複連絡が減り、双方のやりとりが効率化するでしょう。
●テンプレートの導入
受注メールへの返信や出荷連絡など、頻繁に用いる定型文がある場合は、あらかじめテンプレートを準備しておきましょう。定型部分をコピペするだけで済むようにしておけば、返信のスピードが格段に上がるうえ、文章のミスも減少します。また、担当者ごとの対応品質にバラつきが出にくくなるため、社内で統一された顧客対応を行いたい企業にとっては非常に効果的な方法といえます。
受発注システムの導入で「脱メール」を考える
メール運用の効率化だけでは限界が見えてきたタイミングで、より抜本的な対策として「受発注システム」を導入し、メールによる受注を大幅に削減する企業も増えています。いわゆる「メール受注システム」「受注管理システム」や「受発注システム」と呼ばれるツールは、単にメールを効率化するだけでなく、発注情報の一元管理や在庫連携、リアルタイムでの状況把握など、幅広い機能を備えているのが特徴です。システム化によってヒューマンエラーが削減され、属人化を解消しつつ、確実で迅速な受注体制を構築できる可能性があります。
●発注情報を一元管理
受発注システムを導入すると、複数の受注チャネルから得た注文情報をすべて一ヶ所にまとめることができます。これにより、たとえば「メールで受注した分だけ情報が抜け落ちていた」といったトラブルを防ぎやすくなり、過去の履歴を検索する際にも大幅な時間短縮が期待できます。必要な情報に即座にアクセスできれば、顧客への対応スピードも上がり、顧客満足度の向上につながるでしょう。
●入力ミスを防げる
受発注システムを活用する最大のメリットのひとつは、ヒューマンエラーを大幅に低減できる点です。従来はメール本文に書かれた注文内容を手作業で入力していた場合でも、システムであれば商品情報や顧客情報を紐づけながら処理できるので、転記ミスが発生しにくくなります。また、システムによっては基幹システムや会計ソフトなどと連携する機能を持つものもあり、より効率的に受注データを活用することが可能です。
●リアルタイムでの状況確認
システム上で在庫や注文の状況をリアルタイムに可視化できれば、必要に応じて迅速な意思決定が行えるようになります。顧客から「在庫はあとどのくらいありますか」「いつ頃出荷できますか」という問い合わせが来ても、システムでサッと確認して即答できるため、担当者への負担も軽減されるでしょう。取引先との情報共有がスムーズになることは、トラブルの早期発見・早期対応にも直結します。
●業務を自動化しやすい
注文受付から出荷連絡までの定型業務をシステムが自動化してくれる点も大きな魅力です。たとえば、注文受付時点で「ご注文ありがとうございます」「出荷準備に入りました」といった通知メールを自動送信し、在庫数を自動で引き当てるといった仕組みを整えると、それまで人の手で行っていた確認や連絡作業にかかる時間を大幅に削減できます。これにより担当者はより高度なコミュニケーションや企画立案といった付加価値の高い業務に集中しやすくなるでしょう。
ERPとシステムを連携する際のステップ
受発注システムの導入をさらに進め、会社全体の基幹業務管理を行うERP(Enterprise Resource Planning)と連携させると、販売・会計・在庫などの業務データを一元管理できるようになります。ここからは、ERPとシステムを連携する際に意識すべきステップを、導入時の流れに沿って解説します。
●業務要件の整理
まずは「どのデータを、どの部門が、どのように活用したいのか」を明確にすることから始めるのが重要です。たとえば、受注データを倉庫部門と共有し、在庫管理をリアルタイム化したいのであれば、連携が必要な情報の項目や受渡しのタイミングが自然と見えてきます。社内のキーマンや現場担当者にヒアリングを重ねることで、現状の課題や将来的な要望を洗い出し、導入の優先順位を明確にしましょう。
●システムの互換性を確認
ERPや既存の販売管理ソフトなど、すでに使っているシステムとの連携が可能かどうかをしっかり確認する必要があります。データ形式やAPIの有無、セキュリティ要件などを事前に把握しておかないと、導入後になって「連携したかった機能が使えない」「セキュリティ要件を満たせなかった」という事態に陥る可能性があります。必要であればベンダーや開発会社とも連絡をとりながら、問題点を整理しておくと安心です。
●連携方式の選定
ERPとの連携方式には、リアルタイムにデータをやり取りするAPI連携と、夜間や定期的に更新を行うファイル連携など、いくつかの方法があります。リアルタイム性が求められるのか、ある程度のバッチ処理で十分なのかを明らかにし、運用コストや使いやすさ、開発の難易度などを比較検討しながら最適な方式を選ぶことが大切です。必要であれば専門知識が少なくても操作しやすいツールやクラウドサービスを導入するのも手段の一つでしょう。
●テストと運用の開始
実装が完了したら、まずはテスト環境で実際にデータ連携が正常に行われるかを確認し、予期せぬエラーやバグを洗い出します。テストで問題があれば原因を追及して修正し、本番運用に移行する際は段階を踏んで切り替えるのが望ましいです。運用開始後も定期的にチェックを行い、問題が生じたときには迅速に対処できる体制を整えると、システムトラブルによる受注処理の停止などを防ぐことができます。
受注システムの活用で業務負担を軽減しよう
メール受注は低コストでスタートしやすい一方、どうしても情報の見落としや入力ミスなどの人的リスク、検索性の低さや属人化といった課題がつきまといます。まずは今行っているメール対応の運用ルールを見直し、共有アドレスやフォルダ振り分け、テンプレート化などの工夫によって、できる限り効率化してみると良いでしょう。もしも受注件数が増えてきたり、担当者のミスが増加しているようであれば、本格的に受注システムの導入を検討し、さらなる業務負担の軽減を目指すことをおすすめします。
システムを導入する際には、「自社の業務フローをどこまで自動化したいのか」「ERPなど既存のシステムとどう連携させるのか」などの要件をしっかり整理することが重要です。必要に応じてカスタマイズ開発が可能なベンダーに依頼したり、クラウド型のサービスを利用したり、さまざまな形態のシステムを比較検討しながら最適な選択を目指しましょう。
発注ナビでは、企業のニーズに合わせた工数管理ツールを開発できるベンダーやメーカーを数多くご紹介しています。「自社に合った開発会社がわからない」「選定にできるだけ時間をかけずにスムーズに導入したい」とお考えのご担当者様は、ぜひ一度発注ナビの利用をご検討してみてはいかがでしょうか。
受発注システム・開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国6000社以上から厳選