企業にとって経費の管理は欠かせない業務であり、精算業務効率化のために経費精算システムの導入を進める企業も少なくありません。しかし、少しでも経費精算システムをお得に導入するなら、費用相場を理解し、費用を抑えるコツを知っておくことが重要です。そこで今回は、経費精算システムの導入・改修を検討している方に向けて、「費用相場」「主要な機能」「導入時に失敗しないためのコツ」の3点を中心に解説していきます。
目次
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経費精算システムを再定義する
経費精算システムは交通費などの経費精算を自動化するシステムのことです。経費の精算や、交通費精算、出張費精算など、様々な精算業務がシステムを使って行うことができます。経費精算システムがあることで、経費精算を申請する従業員はもちろん、申請内容を承認する上司や経理担当、それぞれの工数を削減したり、経費を一元管理できたり、不正や不備を防いだりすることにつながります。
経費精算システムの費用相場は導入場面で変わる
経費精算システムのコストがかかる場面としては、経費精算システムの導入・開発・構築・改修の4つのタイミングが考えられます。今回は経費精算システムの「導入」と「改修」の2つの場面に分けて費用相場がどのくらいなのか解説していきます。
●経費精算システム導入の場合
経費精算システムの導入は、既存のパッケージ化された経費精算システムを契約して導入することを指しています。経費精算システムをアウトソーシングで依頼し、一から作ってもらう場合と違い、契約すればすぐに導入することが可能です。
パッケージ化された経費精算システムには、クラウド型とオンプレミス型の2つのシステムが存在します。クラウド型はブラウザ上のクラウドサーバーを通じてアクセスできる経費精算システムのことです。初期コストがほとんどかからないのが特徴的で、ランニングコストとして1名あたり数百円から数千円程度の月額料金が発生します。
一方で、オンプレミス型は自社にサーバーを設置し、そのサーバーを使ってオフラインでアクセスする経費精算システムのことです。サーバー設置にあたり数十万円から数百万円のコストが発生しますが、セキュリティの高い環境で経費精算システムが利用できます。例えば、以下のようなパッケージ化された経費精算システムがリリースされています。
初期コスト | 1名あたりの月額料金 | 最低利用価格 | 対象従業員規模 | |
---|---|---|---|---|
らくらく旅費精算 (クラウド型) |
100,000円~ | 300円~ | ー | すべて |
ジョブカン経費精算 (クラウド型) |
ー | 400円~ | 5,000円 | すべて |
Traveler’s WAN SaaS (クラウド型) |
ー | 400円~ | 200,000円 | 50名以上 |
これらの経費精算システムの導入コストを参考に、自社の予算や規模に合った経費精算システムを検討してみてください。
●経費精算システム改修の場合
経費精算システムの改修とは、経費精算システムに新しい機能を追加したり、デザインを一新したりする際に行う作業のことです。経費精算システムの改修だけでなく、開発・構築についても、主にシステム会社などに依頼して行ってもらうのが一般的です。誰かに作業を依頼してもらう場合、かかってくるコストのほとんどは人件費が占めます。ここでかかる人件費は、「作業人数×作業にかかった月数」で決まるため、作業してもらう人数が多かったり、作業にかかる時間が長くなったりしないように依頼することが重要です。技術者ごとに単価や作業ペースも異なるので、参考程度に技術者の単価の目安について以下の表にまとめました。
技術者 | 1ヶ月あたりの費用相場 |
---|---|
上級システムエンジニア | 100~160万円程度 |
初級システムエンジニア | 60~100万円程度 |
大手企業所属のプログラマー | 50~100万円程度 |
下請け企業や個人事業主のプログラマー | 40~60万円程度 |
外国籍プログラマー | 30~40万円程度 |
システム改修における詳しい費用相場と内訳については、以下のページで解説しています。
▶ システム開発にかかる費用はどのくらい?費用計算の方法も解説!
経費精算システムを選ぶ前に主要機能をチェック!
経費精算システムを選ぶ前に、どのような機能があるか以下3つに分けてご紹介します。
●入力作業を効率化する機能
支払った項目の入力作業を効率化してくれる機能として以下が挙げられます。
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領収書のOCR読み取り
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乗換案内サービスとの連携
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交通系ICカードとの連携
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法人クレジットカードとの連携
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スマホ決済アプリとの連携
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航空券やホテルなどの予約や手配の機能
様々な決済手段があり、クレジットカードだけでなく、交通系ICカードやスマホ決済アプリなどとの連携が必要です。また、備品の購入だけでなく、出張や外出時に必要な交通・宿泊費なども経費計上できます。それらを手配する機能などもあると便利です。不必要な機能を選ぶとその分コストがかかるので、どういった決済手段が必要で、どういった項目が経費として発生しやすいかを想定し、必要な機能を選択しましょう。
●申請・承認機能
申請・承認作業を効率化してくれる機能として以下のものが挙げられます。
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Webブラウザやスマホアプリを介した経費申請や承認作業
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コメント・データ添付
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承認ルートの自動分岐設定
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規定違反チェック機能
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チャットツールによる通知
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チャットボット対応
経費は外出中に発生することが多く、会社に帰ってから対応しようとすると、申請を忘れてしまうこともあるでしょう。Webブラウザやスマホアプリからでも経費申請・承認ができる機能があると、そのようなミスを減らすことが可能です。また、何でも経費計上できてしまうと、私的に購入したものまで経費計上されてしまうことがあります。悪意のある経費計上でなくても、不適切な経費計上が行われるとトラブルに発展してしまうため、経費として計上して良い項目かどうか判断する機能も必要です。
●経理機能
経理業務を効率化してくれる機能として以下のものが挙げられます。
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自動仕訳
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FB(ファームバンキングデータ)の作成
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会計ソフトとの連携
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電子データ保存
経費として承認された項目は、会社の会計帳簿に反映させる必要があります。ただ、会計帳簿にはいくつもの種類の書類があり、それらに情報を反映させるとなると、手作業では時間がかかってしまいます。それだけでなく、ヒューマンエラーによる記入ミスも発生しやすいです。また、会計帳簿とは別に承認された経費のデータを記録しておく必要があります。経費についての経理業務を効率化させ、記入ミスを減らすために、経理機能もチェックしておきましょう。
経費精算システムの導入に失敗しないよう課題整理がポイント
経費精算システムの導入で失敗しないために、以下のポイントを押さえておきましょう。
●利用頻度の高い機能が備わっている
特に以下の機能があるかどうか確認したうえで、経費精算システムを選ぶことをおすすめします。
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交通系ICカード・モバイルIC連携機能
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OCR読み取り機能
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クレジットカード連携機能
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会計システム連携・振込データ作成機能
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ワークフロー機能
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規定違反チェック機能
営業活動の移動の際に支払った交通費など、従業員の交通費申請は日々行われるため、交通系の連携機能は必須でしょう。また、経費として計上したものを会計帳簿に計上し、先払いで負担してくれた従業員の口座に後日振り込む必要があります。それらの作業を円滑に行うために、会計システム連携・振込データ作成機能があると便利です。ただ、経費計上したものがすべて経費として認められるものとは限りません。規定違反の経費計上を防ぐためにも、規定違反チェック機能も必要です。最低限これらの機能がそろった経費精算システムを導入するように心掛けてください。
●導入前に自社の課題を整理する
闇雲に経費精算システムを導入したところで、業務を効率化できるわけではありません。経費精算システムの導入前に自社の課題を整理してみましょう。例えば、以下のような課題が挙げられます。
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外出先で経費申請ができない
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海外出張での経費をレート換算しづらい
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交通費を調べて入力するのが面倒
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仕訳や振込の処理が手動で手間がかかる
社内でしか経費申請ができない場合、ブラウザやスマホアプリでも経費申請できるシステムを導入することで、「外出先で経費申請ができない」という課題は解決されるでしょう。また、仕訳や振込の処理が面倒なら、それらを自動で処理してくれる機能のある経費精算システムの導入が最適です。
●自社に合ったシステムを見つける
機能面だけでなく、経費精算システムごとに適切な企業規模や提供形態が異なります。例えば、従業員が十数人くらいの規模の会社で大企業向けの経費精算システムを導入しても、使える機能を持て余してしまうため、無駄に導入コストがかかってしまいます。また、会社全体ではなく一部分のみに導入し、段々と導入部門を拡大するやり方もあります。こういった形で経費精算システムを導入する場合は、部分的な導入が可能な経費精算システムを選ぶと良いです。
●従業員教育の準備
自社に合う経費精算システムが決まったら、今度は従業員教育が必要です。経費精算システムが導入されていきなり使いこなせるようになる人はそうそういないため、事前に従業員に経費精算システムの操作方法をどのような形で教育するか考えておきましょう。必要に応じてマニュアルを作成しポリシーを定めることで、導入が円滑に進むはずです。運営陣でなく、現場で使う従業員にとって使いやすいやり方を教育するように意識してみてください。
経費精算システムを低コストで導入する方法も
経費精算システムの中には、無料で利用できる経費精算システムもあります。ただ、利用可能な期間が決められていたり、機能が制限されていたりします。ほかにも、セキュリティに不安があるといったデメリットもあり、有料のものより不安要素が多いです。無料の経費精算システムを導入する場合は、それらのデメリットを理解したうえで使うようにしましょう。
●無料の経費精算システムの選び方
もし無料の経費精算システムを導入する場合には、以下の3つの点を意識して経費精算システムを選ぶことがおすすめです。
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どこまで無料で使えるか
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いつまで無料で使えるか
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手間が省ける機能があるか
無料で使える経費精算システムだと、使える機能がある程度制限されています。そのため、無料の経費精算システムで必要な業務がすべてこなせるか確認しましょう。また、無料の経費精算システムにはいつまでも使えるものや無料トライアル期間が設定されているものまであります。有料の経費精算システム導入も視野に入れつつ、いつまで無料で使えるか把握しておきましょう。ほかにも、スマホからの申請機能や入力が自動でできる機能などがあるかどうかもチェックしておくと良いでしょう。
自社に合った経費精算システムで上手に効率化を
経費は、事業運営のために発生した費用で、正しく計上する必要があります。ただ、経費精算業務はどうしても作業工程が多く煩雑になりやすいため、時間をかけ過ぎてしまうこともあるでしょう。そのため、経費精算業務を効率化させてくれる、自社に合った経費精算システムの導入が必要です。
また、経費精算システムの導入・改修を検討している場合には、それぞれの費用相場を把握しておくことも重要です。経費精算システムの導入では、クラウド型とオンプレミス型のメリット・デメリットを理解したうえで自社に合ったものを選ぶようにしましょう。
自社でのシステム改修や技術者選定をするのが難しいという場合は、マッチングサービスを使って開発会社を探すのがおすすめです。発注ナビでは専門コンシェルジュによる詳細なヒアリングで、最適な開発会社とのマッチングをサポートします。確実に自社に合うシステムが作れるシステム開発が特におすすめです。気になる方はシステム開発会社をいくつか見たうえで、依頼先を探してみてください。
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