固定資産管理は、減価償却や税金ともかかわりがある複雑な業務です。Excelを使った管理が一般的でしたが、ミスが起こりやすく悩んでいた方も多いでしょう。そこで活用したいのが「固定資産管理システム」です。複数の固定資産も一元管理できるうえに会計や税務、現物などとの連携が取れるため、業務効率が上がるでしょう。今回は固定資産管理システムについて、概要やメリット、導入方法について解説します。
目次
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固定資産管理システムとは?どのような業務をサポートしてくれるの?
固定資産管理システムは、固定資産にまつわる業務をサポートするシステムです。固定資産管理は減価償却費や税金、物品管理など様々な業務が絡み合っており、非常に面倒な作業です。物件数が多ければ多いほど作業数も増えるため、大変手間がかかります。
固定資産管理システムを導入すると、会計・税務・現物の各視点からシステムで管理・処理するため、固定資産管理業務の負荷緩和が図れます。また、システム上で処理され会計ソフトとの連携も可能なため、人的ミスも防止できるのが特徴です。
固定資産管理システムのメイン機能は4つある
固定資産管理システムの機能は製品によって違いはありますが、以下のような機能が主軸となっています。
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固定資産台帳の作成・管理機能
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会計処理機能
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リース資産の管理機能
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会計ソフトとの連携機能
ベースとなる機能は、固定資産台帳の作成と管理です。また、減価償却の会計処理やリース資産の管理、会計ソフトとの連携なども主な機能に含まれます。
固定資産にまつわる業務は、会計担当者に加えて税務や総務など様々な部署に関連しており、円滑な連携が欠かせません。しかし、従来の固定資産管理だと各部署の紐づけが難しく、個別で確認する必要がありました。
固定資産管理システムにはクラウド管理ができるタイプがあるため、共有しやすいのが特徴です。
固定資産管理システムを導入したほうが良い4つの理由
煩雑で面倒な作業が必要となる固定資産管理ですが、固定資産管理システムを導入するとはるかに作業効率が上がります。そういえるのは、4つの理由があるからです。
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固定資産の総合的な管理が可能になる
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正確に固定資産情報を把握できる
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正確な償却計算や会計処理ができる
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ほかの会計システムとの連携が可能
どのようなメリットがあるかを把握したうえでシステムを導入すると、より一層の効率アップが図れるでしょう。続いては、固定資産管理システムを導入した際に得られるメリットを4つ解説します。
●固定資産の総合的な管理が可能になる
固定資産管理システムを導入すると、資産ごとに情報をまとめて管理できるようになります。そのため、複数の固定資産を保有している企業でも、状況の把握が容易になるでしょう。また、固定資産管理に欠かせない以下の作業も総合的に管理できます。
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台帳管理
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附帯情報を含めた現物管理
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減損処理
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資産除去債務管理
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法人税・固定資産税申告書作成
固定資産ごとにすべての情報が紐づけられているため、見落としのリスクがなくなり正確に作業できる点が大きなメリットです。
●正確に固定資産情報を把握できる
たくさんの固定資産を保有していると、現状を把握するのも一苦労です。しかし、固定資産管理システムを導入しておけば、現状をタイムリーに把握することができます。現状が分かれば管理をする際に非常に便利です。
また、状態によっては有効活用をすることもできるため、無駄が発生しにくくなります。
●正確な償却計算や会計処理ができる
固定資産管理システムを導入すれば、会計処理を自動的に行ってくれることで属人化を排除できるためミスが起こりにくくなります。
固定資産管理には減価償却が欠かせません。しかし、固定資産が多いとそれぞれに計算する必要があり、ミスにつながる可能性も考えられます。そのほか、固定資産税の算出や日常的な会計処理も、個々に計算していると大変な労力がかかってしまいます。
●ほかの会計システムとの連携が可能
固定資産管理システムは、そのほかの会計システムとの連携ができます。システム同士の連携ができると、業務の煩雑化を抑えるだけでなく、より効率的な業務が可能になります。
例えば、固定資産やリース資産の仕分けデータを財務会計システムと連携して会計データをひとまとめに管理したり、税金の申告書を出力したりできます。
固定資産管理システムを導入する前に気をつけたいこと
固定資産管理システムは、導入時や運用に関するコストがかかります。システムによってかかる費用は変わりますが、機能によっては高額になるケースがあります。
また、初めて利用する際には、利用者に対してレクチャーが必要です。従来のやり方に慣れている場合、固定資産管理システムを使いこなすまでには、時間的なコストも必要です。
固定資産管理システムの3つの種類
一括りに固定資産管理システムといっても、製造元によって3つの種類に分かれます。
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固定資産管理業務に特化した単独システムタイプ
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ERP(統合基幹業務システム)タイプ
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会計システムに特化した会計タイプ
固定資産管理システムは、国内ベンダーだけではなく海外のベンダーからもリリースされているため、種類ごとに特徴をしっかりと把握しておくことが大切です。
●固定資産管理業務に特化した単独システムタイプ
固定資産管理業務に特化したタイプのシステムは、会計機能を備えていません。しかし、すでに利用している会計ソフトに付属させることができるため、会計担当者にとっても使い勝手が良いタイプといえるでしょう。
万が一利用していて不具合を感じ、ほかのシステムを導入する場合でも、会計ソフトはそのまま残せるといったメリットがあります。その場合、固定資産管理システムと会計処理それぞれの作業が重複する可能性があるため注意しましょう。
●ERP(統合基幹業務システム)タイプ
企業における業務の基幹となる「会計」「人事」「生産」「物流」「販売」などを統合し、効率化するシステムをERP(統合基幹業務システム)といいます。
ERPの中には、固定資産管理システムを搭載したタイプがあり、経営視点での固定資産管理が可能です。固定資産管理単独の作業ではなく、固定資産の予算編成なども行います。固定資産に関する全ての流れを把握できる点が、大きなメリットです。
注意点として、多くのスタッフが同じシステム内で作業するため、思わぬミスが発生する可能性がある点が挙げられます。
●会計システムに特化したタイプ
会計システムに、固定資産管理システムが搭載されたタイプもあります。固定資産に関する情報が即時に会計システムに反映されるため、非常に便利です。
一方で、会計システムに特化している場合、複雑な固定資産管理には適していない可能性があります。そのため、管理する固定資産が少ない企業に向いているでしょう。
固定資産管理システムを導入する際のポイント
固定資産管理システムは、様々な種類があり機能も異なります。保有する固定資産の状況や企業の規模などからポイントを踏まえて、適したシステムを選ぶことが大切です。
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各種償却費の計算に対応しているかどうかの確認
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対応している会計基準の確認
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税制改正などにフレキシブルに対応できるかの確認
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どんな機能が搭載されているかの確認
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利用している会計ソフトなどとの互換性の確認
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固定資産管理データの移行についての確認
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セキュリティ面の確認
適したシステムを活用できれば、面倒な固定資産管理もより円滑に行えるようになります。
●各種償却費の計算に対応しているかどうかの確認
システムを選ぶ際には、自社が行う管理会計の基準に適しているかどうかを確認しておきましょう。固定資産の減価償却は、様々な計算方法を使って行います。固定資産の状況に合わせて「定率法」「定額法」「一括償却」「均等償却」などを使い分けなければなりません。
ほとんどの固定資産管理システムは、頻繁に使用する計算には対応しています。しかし、「増加償却」「特別償却」「割増償却」などのイレギュラーな計算には対応していなケースもあるため、注意が必要です。
●対応している会計基準の確認
固定資産管理システムを導入する際は、対応している会計制度・会計基準についてもチェックすることが大切です。企業によっては、日本だけではなくグローバルに展開しているケースもあります。この場合、日本の会計基準だけでは対応しきれません。海外の固定資産に関しては、IFRS(国際財務報告基準)が必要となるケースもあります。
今後グローバルな事業展開をするなら、日本基準とIFRSのダブルスタンダードに対応しているシステムでも問題ありません。
●税制改正などにフレキシブルに対応できるかの確認
固定資産にまつわる税制は、頻繁に改正が行われる分野です。そのため、固定資産管理システムが税制改正に対応できなければ、後になって困る可能性があります。
その都度改修することになれば、無駄なコストや業務負担が増えてしまいます。システムを導入する際は、税制改正にフレキシブルに対応できるかどうかもポイントとなります。
●どんな機能が搭載されているかの確認
システムによっては、標準機能以外はオプションとなっている可能性があります。例えば資産現物管理やリース資産管理、建物仮勘定の機能は、搭載されていないケースもあるため要注意です。導入する前に、どのような機能が備わっているかをしっかりと確認しておきましょう。
また、データ保存容量もチェックしておきたいポイントです。導入してから容量が足りなかったり、できない作業が出てきたりすると効率的に使えないため注意しましょう。
●利用している会計ソフトなどとの互換性の確認
すでに利用している会計ソフトと連携する場合は、互換性の確認も大切です。互換性のない固定資産管理システムを導入すると、作業が二度手間になる可能性が高まります。
互換性のあるシステムであれば会計業務を軽減できるため、作業効率が格段に上がります。システムを選ぶ前に、ほかのソフトとの連携についてもチェックしておくように心がけましょう。
●固定資産管理データの移行についての確認
複数の固定資産を管理している場合は、データの移行についても確認しておく必要があります。導入前に、既存の固定資産管理台帳をチェックして修正点がないかを確認しましょう。
また、自社で移行作業やチェックが可能かどうかもポイントです。移行作業が難しい場合は、システム開発会社のサポートが必要になります。固定資産管理システムを導入する際は、移行業務の代行やサポートが可能かどうかも把握しておきましょう。
●セキュリティ面の確認
システム導入にはセキュリティ面のチェックも大切です。編集権限の設定やログの管理をする機能があれば、情報漏洩の防止につながります。
万が一情報の漏洩が起こったとしても、不正操作のログが残るため、原因と対策が立てやすくなります。
オリジナルの固定資産管理システムの開発もおすすめ
固定資産管理システムを導入するには、既存のソフトウェアを購入するだけでなく、オリジナルのシステムを開発する方法もあります。
固定資産管理は、業種や企業規模によって必要な作業が異なります。また、企業によって所有する固定資産数も異なり、その規模も様々です。こうした背景を踏まえると、自社の形態に見合ったオリジナルのシステムを導入することも視野に入れるべきです。自社の要件を完全に満たした最適なシステムを開発できれば、固定資産管理の効率や質が一層高まります。また、固定資産管理だけではなく会計業務と連携が取れれば、さらに業務削減が可能になり生産効率が上がります。
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