エンジニアとして成長し、将来のキャリアを築くためには、明確な目標設定が不可欠です。適切な目標を設定することで、自己効力感やキャリアパスの明確化、評価の向上など、様々な面でポジティブな影響があります。
本記事では、目標設定がエンジニアのキャリアに及ぼす影響や、具体的な方法やフレームワーク「SMART」を活用した効果的な目標設定の仕方を解説します。また、市場価値の向上やスキルアップのための目標追跡方法についても詳述し、新人からベテランまでのエンジニアがどのように目標を立て、達成すればよいかを紹介します。本記事を参考に目標を設定し、エンジニアとしての成長を加速させましょう。
目次
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エンジニアのスキルアップに重要な目標設定の影響
エンジニアとしての成長や将来のキャリアを考える際、目標を設定することが大切です。なぜ目標設定が重要なのか、キャリアと市場価値への影響から解説します。
●目標設定がもたらすキャリア成長への影響
適切な目標設定は、キャリアパスや評価、自己効力感という3つの観点でキャリアに良い影響を与えます。
目標を設定することでエンジニアとしての自分の現在位置や、目指す方向性を考える機会となり、キャリアパスを明確化できます。
また、具体的な目標を持って業務に取り組むエンジニアはその成果や成長過程が評価されやすく、昇進や昇給の判断の際に良い印象を与えるでしょう。
そして、目標を達成して成功体験を積み重ねること自体が、エンジニアとしての自信につながります。この自信が、チーム内プロジェクトへの参加や大規模なシステムの開発などの、より大きな業務へ挑戦する際の後押しになります。
●エンジニアとしての市場価値の向上
目標設定は、エンジニアとしての市場価値を向上させることにもつながります。
IT業界では技術が日進月歩で進化しているため、トレンドを追いかけることは市場価値を高めるために必須の姿勢といえるでしょう。トレンド技術のキャッチアップを目標の一つとすることで、常に最新の情報を取り入れ、エンジニアとしてのアンテナの感度を高く保てます。
また、スキルマップを目標設定に活用することも自己研鑽に有効です。スキルマップとは、業務に必要なスキルを項目として設定して、それぞれの能力がどのレベルに達しているかを可視化するための表です。自身の能力を可視化でき、不足部分を補えるように効率的な計画を立てられます。その際、苦手な範囲に対しての努力も大切ですが、得意分野の専門知識や技術を高めることも欠かさず、エンジニアとしての強みを確立させましょう。
スキルアップにつながる目標設定の方法
エンジニアとしての成長を目指すうえで重要な目標設定について、フレームワーク「SMART」を用いた目標設定の方法と取り組み方について説明します。
●フレームワークSMARTを意識して設定する
「SMART」とは、目標設定の際によく使われるフレームワークです。以下5つの頭文字で構成されています。
SMARTの原則 | 目標の例 |
---|---|
Specific:具体的であること | AWSの認定クラウドプラクティショナーの資格をとる |
Measurable:測定可能であること | AWSの認定クラウドプラクティショナーの模擬試験で800点をとる |
Achievable:達成可能であること | AWSの初級資格である認定クラウドプラクティショナーの資格をとる |
Relevant:関連性があること | 実業務でクラウドの知識が必要なのでAWSの資格をとる |
Time-bound:時間制限があること | 1年以内にAWSの資格をとる |
この「SMART」の考え方を用いて目標を考えることで、達成するために必要な行動がはっきりと見えていきます。「SMART」のポイントを押さえて目標を設定すると、以下のような流れになります。
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社内でのエンジニアとしてのキャリアを向上させたい
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実業務と絡めてキャリア形成を考えるとクラウドの知識が求められているため、1年以内にAWSの資格をとる
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まずは初級レベルのAWS認定クラウドプラクティショナーの試験を受ける
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そのために、模擬試験では900点をとれるように勉強する
●ポイントを押さえて目標を設定する
フレームワークである「SMART」だけでなく、目標を設定する際に意識したいポイントがいくつかあります。
最初に、「自己反省」です。自分自身を振り返り、挑戦や失敗から学んだことを改善点として目標に取り入れましょう。
次に、目標と技術トレンドがマッチしているかを意識しましょう。IT技術は日々進化しているため、最新のトレンドや市場の需要を把握して将来性のある技術を学ぶことが大切です。例えば、生成AIやVRとARなど、現在需要が高まっている分野やこれから伸びる分野のスキル獲得を目指すことで、自分の市場価値を高められます。
ただし、技術や市場の動向は予測が困難なことも多く、設定した目標が時代遅れになる可能性もあります。そのため、目標にはある程度柔軟性を持たせ、時代やトレンドの流れに乗って適宜調整することも重要です。
最後に、健康への意識も忘れてはいけません。個人差はあれど、長時間の作業は精神的・肉体的な健康に大きな影響を与えます。そのため、いくらスキルマップやキャリア形成のための目標でも、心身の健康をないがしろにした働き方や自己研鑽はかえって逆効果です。継続的にスキルアップするためには、健康的なライフスタイルを大前提として目標を設定することが大切です。
●スキルアップのための目標追跡
スキルアップのためには、ただ目標を設定するだけでなく、その達成状況を追って適宜調整することが大切です。
目標を追いかける際は、進捗の可視化とフィードバックの活用がポイントです。
進捗の可視化には、無料や有料で使える進捗管理ツールが役立ちます。自分流にカスタイズしたい場合にはGoogleスプレッドシートを用いても良いでしょう。
学習やスキルアップのために設定した目標の進捗が良くない場合には、計画を見直して達成までの期限やこなすタスクの量などを改めて調整します。
また、学習や実務を通して受けたフィードバックは、目標設定に活かす気持ちで受け入れましょう。例えば、ソースコードのレビューや上司から指摘などを受けた場合、どの部分について改善が必要かを具体的に質問して、現在立てている目標のアクションプランに適宜取り入れます。
目標設定の効果
キャリア形成のどの段階でも、目標を設定することは次のステージに進むために役立ちます。ここでは、新人、中堅、ベテランエンジニアの各ステージでの目標の設定例を紹介します。
●キャリアステージ別の目標設定例
目標設定の内容は、それぞれのキャリアのステージや期待されている役割によって異なります。3つのステージを例に挙げましょう。
新人エンジニアの目標設定
新人エンジニアは、基本的な技術スキルや資格の取得、コミュニケーションスキルの向上を目標に設定しましょう。例えば、基本情報技術者試験や、現場で使っているプログラミング言語の資格の取得などが挙げられます。
チームワークや報連相は、職種によらず新人社員に求められるコミュニケーションスキルです。磨かれた対人スキルは、この時期だけでなく今後のキャリア形成にも重宝するでしょう。
中堅エンジニアの目標設定
ある程度業務のノウハウを掴んだ中堅エンジニアのステージでは、技術の専門性とマネジメント能力の向上を目指しましょう。これまでの経験を振り返って、自分がスペシャリストとマネジメントのどちらの方向に進みたいのか、エンジニアとしてのキャリア方針を定めましょう。
また、マネジメント志向ではなくとも中堅であればプロジェクトのリーダーとしての役割を担ったり、チームを指導・管理する立場を任されたりすることもあります。専門技術とは違った形の業務にも積極的に経験することで、将来的にはより大きなプロジェクトを任されるようになるでしょう。
ベテランエンジニアの目標設定
ベテランエンジニアになる頃には、スペシャリストかマネジメントのどちらへ進むかが明確になっているでしょう。特定分野に関して高い水準の知識や経験を積んだスペシャリストは、高いパフォーマンスで業務に貢献します。現在のスキルに慢心することなく、より高い専門性を得るために最新の情報をキャッチアップし、技術を磨きましょう。
また、同じようにスペシャリストを目指す後進を育成することでより会社への貢献度が高まります。新人エンジニアの育成やプロジェクト管理で活躍するマネジメントタイプであれば、予算やコスト管理といった経営側の立場に立つことで、より社内での影響力が高まります。
●スキルアップとキャリアアップのための具体的な方法
スキルアップとキャリアアップのためには、学習と実務、そして目標に応じたスキルの把握が必要です。以下でこの3点について紹介します。
学習計画に合わせたリソースを選択する
まずは、キャリア目標と現在のスキルから学習計画を立てます。例えば、フロントエンド開発者を目指していてHTMLとCSSはある程度理解している場合、次に取り組むべきはJavaScriptの基礎学習です。学習リソースとしては、オンライン講座や技術書のほかにも、インターネット上で閲覧できる動画やブログが有効です。
実践的な経験を積む
スキルやキャリアアップには、プロジェクトの参加やチームでの活躍など実践的な経験が欠かせません。まずはプロジェクトの一員として、テストや修正のチェックなど比較的簡単なものから挑戦しましょう。
また、チーム内での貢献度を高めるには、自分だけでなくチームメンバーを気にかけたり、チームの課題に対して意見を出したりといった積極的な姿勢を意識することが大切です。
目標設定のポイントとスキルセット
キャリアアップを目指す際には、具体的な業務内容や将来的に達成したい役割を明確に設定して、そのために必要なスキルを把握することがポイントです。例えばシステムエンジニアを目指す場合、システム設計や要件定義の基礎はもちろんとして、顧客の求めるものを汲み取るコミュニケーション力も必要なスキルとして設定します。
目標設定における一般的な誤解とその対策
バランスのとれた目標設定は個人やチームの生産性を高めますが、理想を追い求めるあまり「誤解」に基づいて設定してしまうと、上手くいきません。ここでは、目標設定時に陥りやすい誤解と、回避するための対策について紹介します。
●過度な目標設定の罠
目標を設定する際に陥りがちな誤解の一つ目は、非現実的で高すぎる目標の設定です。一見すると前向きな行動に見えますが、実現不可能な目標はモチベーションの低下や燃え尽き症候群を引き起こすリスクがあります。長期的な目標と短期的な目標といったようにステージで分け、バランスをとることが大切です。
●目標設定は固定的ではない
二つ目の誤解は、「一度設定した目標は変更すべきではない」という考え方です。スキルを習得中の過程では、新しい発見や自分自身の向き不向きの気付きなど変化が生じやすい状況です。そのため、その変化に応じて目標を柔軟に調整しても問題ありません。
目標を見直す際には、自己評価だけでなく同僚や上司からのフィードバックも積極的に取り入れましょう。客観的な意見を取り入れることで、より現実的で自己成長につながる目標へと修正できます。
●全て自己学習でカバーしなくても良い
三つ目の誤解は、スキルアップを目指す際に全てを自己学習でカバーしようとすることです。ストイックな姿勢ですが、必ずしも効率的ではありません。より速く成長したいのであれば、上司や同僚、外部の専門家などにアドバイスを求め、周りを頼りましょう。
特に、プロジェクトやワークショップといったチームの活動は新たな知見と技術を身に付けられる良い機会です。周囲とコミュニケーションをとりながらスキルアップが目指せます。
スキルアップの先に案件を効率的に獲得しよう
エンジニアとしてのキャリアを形成するには、理論学習はもちろん実践を積み重ねて案件の獲得につなげることが大切です。案件での実務経験は向上したスキルを発揮できる場所であり、そこで出会う新しい知識や経験は自分自身の力になります。しかし、案件獲得には見込み顧客の発掘や営業活動など、システムの開発業務とは異なる難しさがあるのも事実です。
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